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あの人の直筆

あの人の直筆第1部 近世第1部 第2章 第3節 あの本のあの人

第1部 近世

第2章 著作をめぐって 3. あの本のあの人

誰が書いたかわからなくても、その本の名前を聞けば多くの人が知っている。ここでは、そんな有名な「あの本」の作者の直筆を紹介する。「あの本のあの人」がどのような人物で、どのような字を書いていたか、直筆を通じて触れてみてほしい。


斎藤月岑(さいとう げっしん) 1804-1878

著述家、国学者。名は幸成、通称市左衛門。生家は代々江戸神田雉子町の名主を務める名家。幼い頃から国学、漢学、絵画を学び、文化人としても活動した。役人としての仕事をこなしつつ、祖父、父から引き継いだ大著『江戸名所図会』を完成させたほか、『東都歳時記』『武江年表』『声曲類纂』など、現在も有益とされる著作を残している。

24 声曲類纂稿本 〔江戸後期-明治初期〕 【WA19-18

『声曲類纂』は、浄瑠璃を中心とした三味線音楽の歴史書で、いわば江戸の音楽百科事典と言える。掲載資料は編者月岑の自筆稿本で、「草稿」「再校」(いずれも部分)、および「手控え」の3種を合綴したもの。掲載資料の「再校」でなされた訂正は、月岑の死後に出版された『声曲類纂』増補版にほぼ完全に取り入れられており、増補版の刊行に月岑が関わったことをうかがわせる。また「手控え」の様々な料紙には、挿絵の下図、諸資料からの抜書きや知人からの聞書きなどが書きつけられており、月岑が情報を広くさがし求めた様子を物語る。

24関連資料:江戸名所図会 天保5-7 (1834-1836)年 【124-114

江戸とその近郊の名所を紹介した絵入り地誌。7巻20冊。斎藤幸雄ゆきお幸孝ゆきたか幸成ゆきなり(月岑)の三代にわたり編集・校正し、天保5-7(1834-1836)年に刊行された。挿絵は長谷川雪旦が描く。実地調査を踏まえて社寺、名所、旧跡の沿革と現状を記述しており、雪旦の精緻な挿絵とともに、史料的価値が高く評価されている。当館では幸孝の実地調査記録である『郊遊漫録』  の写本も所蔵している。


喜田川守貞(きたがわ もりさだ) 1810-?

風俗史家。大坂生まれで本姓は石原。天保11(1840)年、江戸に移り住む。江戸の風俗・民間雑事を筆録し、上方と比較して図解入りで考証、『守貞謾稿』にまとめた。守貞については、自らが同書の中の「概略」に記すことと本文中のわずかな記述のほかは、ほとんど知られていない。

25 守貞謾稿 〔江戸後期〕 【寄別13-40

江戸時代の風俗について、多岐にわたる詳しい記録を残した文献である。稿本のまま残され、江戸時代には刊行されなかったが、明治41(1908)年に『類聚近世風俗志』の書名で刊行された。当館は、掲載資料を含めて3種類の守貞自筆稿本を所蔵する。もっともまとまっているのが、前集30巻(巻2・17欠)と後集4巻から成る29冊本(一部巻は合冊されている)であり、掲載資料(小栗仁平旧蔵、全3冊)および狩野亨吉旧蔵本(全1冊)の2種は、この29冊本に先立って書き留められたものと考えられる。29冊本と比較すると、記述が少ない箇所や、配列の異なる箇所などがある。また、書きかけの用箋を裏返して使用している丁もあり、執筆の過程がうかがわれる。

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