機関車・電車

標準画像を開く 画像は、1851年の第1回ロンドン万博に出展の蒸気機関車。蒸気機関車が走り始めてから50年近くたち、すでに鉄道事業も確立されていたが、機関車はいまだ発展の途上で、万博にもよく出展された。

初めて蒸気機関車が走ったのは1804年で、イギリスのトレヴィシック(R. Trevithick)が開発し、鉄工所の馬車用レール上を走行した。鋳物の筒型ボイラーに4つの車輪が付いた形で、重すぎるボイラーがレールを破壊するなど実用化には至らなかった。しかし、産業革命の進展で輸送需要が高まる中、ナポレオン戦争で産業用の馬が徴用されると、蒸気機関車が見直される。

1812年のブレキンソップ(J. Blenkinsop)の蒸気機関車は鉱山で23年間使用された。1825年にはスティーブンソン(G. Stephenson)がロコモーション号を製作、蒸気機関車を使用した世界初の公共用鉄道で90トンの列車を牽引した。レールには、当時出回り始めた錬鉄が採用されて強度も上がり、鉄道の本格的な普及へと道を開く。

1829年、リヴァプール・マンチェスター鉄道のコンテストでは、スティーヴンソン社製のロケット号が時速40kmで走行して優勝する。ピストンの力を直接車輪に伝える方式は、その後の蒸気機関車の原型となる。翌年には世界初の旅客輸送が開始された。

蒸気機関車はイギリスから各国に広まったが、1830年代半ばにはアメリカからイギリスに輸出されるようになった。特に、広大な国土を持つアメリカでは輸送手段として発達し、1869年には鉄道で東西の大陸横断が可能となった。アメリカ製の蒸気機関車は万博においても多く出展されている。

1830年代以降、動力として電気の利用が試みられ、1879年には、ジーメンス(Siemens) 社の小型の直流電気機関車がベルリン勧業博覧会で運転された。これは初の実用的な電気鉄道といわれ、架線やサードレールから電力を供給するものであった。1899年にはスイスの山岳線に三相交流の電車(電動機つき客・貨車)が走り、1903年にはジーメンスAEG (Siemens-AEG) 社の試験電車が200kmを超える速度を達成する。この頃には路面電車も普及する。1905年には架線1本で電力が供給できる単相交流の開発により鉄道の電化がさらに進んだ。電車は万博でも徐々に出展されるようになった。

19世紀終わりには、架線が不要で路線施設が楽であること、牽引力の大きさ、熱効率のよさなどのメリットからディーゼル動力の利用が検討され始める。また、この頃から地下鉄の電化も始まる。

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路面電車客車

蒸気機関車 (19画像)

Crampton,Thomas Rが特許を取得した蒸気機関車"Folkstone" 標準画像を開く Kitson, Thompson&Hewitson社のタンク蒸気機関車 標準画像を開く ボールドウィン蒸気機関車設計図 標準画像を開く
Crampton,Thomas Rが特許を取得した蒸気機関車"Folkstone" Kitson, Thompson&Hewitson社のタンク蒸気機関車 ボールドウィン蒸気機関車設計図

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電車 (7画像)

高架線路上の電車 標準画像を開く エディソン社電車用モーター 標準画像を開く 電気機関車 標準画像を開く
高架線路上の電車 エディソン社電車用モーター 電気機関車

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参考文献:

齋藤晃 『蒸気機関車の技術史』 交通研究協会 2009 <NC34-J24>
ジョン・コイリー著 ; 英国国立鉄道博物館監修 『世界の鉄道事典』 あすなろ書房 2008 <NC34-J8>
デイヴィッド・ロス編著 ; 小池滋,和久田康雄訳 『世界鉄道百科図鑑 : 蒸気、ディーゼル、電気の機関車・列車のすべて : 1825年から現代』 悠書館 2007 <NC2-H21>
水島とほる 『蒸気機関車誕生物語』 グランプリ出版 2004 <NC34-H76>