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書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?

第12回 さらなる問いに向かって

What's 書誌調整?

 最終回となる今回は、これまでこのコラムで取り上げたトピックをもう一度振り返り、書誌調整という仕事の全体像を描いてみることにしよう。
 書誌調整とは要するに、目録を作成・提供することによって、あまねく資料の存在を知らせ、利用できるようにすることである。そこにはさまざまな仕組みがある。
 まず、目録の作成。その基本的なより所は目録規則であるが、これは一図書館のためだけの規則ではない。図書館目録の流通範囲が世界に広がるに従い、目録規則は国境を越え、世界共通の原則の下に標準化されてきた。
 そうした世界標準規則に基づいて、私たちは日々、資料一件ごとの記録(目録記入)を作成する。記入の本体である記述は、いわば資料の身代わりで、書名や著者名、版、出版者・出版年などのほか、あらかじめ各資料に与えられた固有の番号――ISBN やISSNといった 資料の背番号というべき標準番号――も記録の対象となる。
 一方、作成した記述を利用できるようにするためには、検索の手がかり(標目)も整える必要がある。ある特定の資料を探し出すためには、書名や著者名が有力な手がかりになるだろう。また、ある内容・テーマ(主題)についての資料を調べたい、という主題アクセスへの要求には、件名標目や分類標目を付与して応えている。
 標目には統制が必要だ。例えば、著者標目では、読みや形を統一し、同名異人を区別し、複数の筆名を互いに関連づける、といった措置が不可欠である。こうした複雑な措置を効率的に行うため、私たちは典拠ファイルを駆使している。
 さて、作成した目録を広く流通させることも、書誌調整の大きな仕事である。世界の国々は、自国の出版物についての網羅的な記録を全国書誌として刊行する。国ごとの出版状況を如実に映し出す全国書誌は文化の鏡とも言うべきで、当館も『日本全国書誌』の刊行を通じて国内外の書誌調整に携わっている。他方、その収載対象ではない洋図書についても、世界中で利用可能なように標準化された書誌データを作成・提供することで、国際的書誌調整の一翼を担っているとも言える。
 ところで、ひとくちに目録といっても、その収載対象となる図書館資料のありようはさまざまである。目録の作成も、各々の資料の特性に応じた配慮が必要となる。
 例えば、雑誌・新聞などの逐次刊行物は、図書とは違い、改題や出版者の変更、合併・分離など、さまざまな変化を経ることがある。逐次刊行物は生きているのであり、こうした変化に合わせて、常に書誌データをメンテナンスする必要が生じる。
 さらに、音楽CDやビデオテープ、CD-ROM、DVD といった非図書資料も図書館を席捲し、書誌調整の新たな標的となっている。その向こうからは、ネットワーク系電子出版物という手ごわい相手も迫ってきており、その組織化のためのメタデータ仕様の共通化と普及は、すでに書誌調整の主要な関心事となっている。書誌調整は、今まさに、インターネットという広大な海の中に分け入ったところなのだ。
 こうして図書館資料の概念はますます広がり、それとともに伝統的な目録づくりの手法・理論は再考を促されつつある。目録とはいったい何なのか?目録であるために、いったい何が必要なのか?そんな根源的な問いを投げかけながら、書誌調整は今、新しい時代を迎えようとしている。

(『国立国会図書館月報』2005.2 No.526)

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