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書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?

第2回 目録規則は国境を越えて

What's 書誌調整?

 今回は、目録を作成するためのルール、「目録規則」についての話をしよう。
  単なる口承ではない、きちんと成文化された目録規則が誕生するのは、19世紀半ばのことだ。当初、目録規則は個々の図書館の蔵書目録を作成するための規則でしかなかった。だが利用者の図書館へのニーズが高まり、図書館間協力が進展すると、もはや目録は一館の所蔵状況だけを確認できれば事足りる、というものではなくなる。利用者が複数の図書館にまたがって目録を調べるなら、どの目録も同じ規則に従って作成されている必要がある。というわけで、20世紀以降は地域や国内レベルでの目録規則の標準化がはかられていく。
  20世紀後半における目録規則の動向をキャッチフレーズ風に表現するなら、「目録規則は世界(標準化)をめざす」とでもなるだろうか。世界各国がめいめいの目録を互いに交換して利用するにつれ、世界レベルでの目録規則の標準化が書誌調整の重要な目標と考えられるようになる。つまり、「記述」と「標目」について世界共通の原則や枠組みを打ち立てることが、書誌調整における一大課題となるのである。
  記述とは、タイトル、著者、版次、出版地・出版者・出版年、ページ数、大きさ…など、その資料の外観から得られる情報を逐一記録したもので、これが目録記入(ある一つの資料に対する記録)の本体をなすと言える。これに対して標目とは、その目録記入を探し出すための検索の手がかりを指す。
  このうち、標目については1961年に「パリ原則」が採択され、記述については1974年以降「国際標準書誌記述(ISBD)」が制定・刊行されている。世界各国はこの二つに基づいて自国の目録規則を制定・改訂することとした。各国の目録規則は、それぞれの言語や出版慣行に応じた固有の特色を持つと同時に、その大きな土台として、パリ原則・ISBDという世界共通の原則を取り込むことになったわけである。
  ISBDでは、記述として記録すべき要素の種類とその記録の順序、さらに各々の要素を仕切るための区切り記号も決めている。例をあげよう。以下は、インターネットで参照できるハンガリーの全国書誌から、一部を抜書きしたものだ。

Környezettan : természet és társadalom globális nézőpontból / Kerényi Attila.
−Budapest : Mezőgazda, 2003

このデータに現れる「:」「/」「.」「−」「,」といった記号が、ISBD区切り記号である。筆者はハンガリー語についてまったく知識がないが、それでもKörnyezettanがこの本のタイトル、természet és társadalom globális nézőpontbólがサブタイトル、Kerényi Attilaが著者で、Budapest : Mezőgazda, 2003がそれぞれ出版地・出版者・出版年だ、ということは見てとれる。ISBDは書誌レコードの国際交換を促進するとともに、言語の壁を越えた記述の要素の識別も可能にするわけだ。
  現在、英語圏では「英米目録規則 第2版」(AACR2)が、ドイツ語圏では「アルファベット順目録規則」(RAK)が、そして日本では「日本目録規則(NCR)」1987年改訂2版が、各々の国ないし言語圏における標準的な目録規則として使われている。いずれもパリ原則とISBDに従い、世界標準に合致した目録規則と言うことができる。

(『国立国会図書館月報』2003.7 No.508)

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