書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?
第8回 資料の背番号
今回は標準番号をとりあげる。ここでいう標準番号とは、資料を一意に識別できる番号のことである。
世の中には膨大な資料が存在するが資料に固有の番号があれば、著者、タイトル、出版国、出版者、言語・内容にかかわらず資料の特定がきわめて容易になる。おもな標準番号としては、図書を識別するための「ISBN」、逐次刊行物を識別するための「ISSN」「CODEN」などがある。このうちISSNは当館内にあるISSN日本センターが、日本の事務局として付与・登録の作業を行っている。以下、ISSNを中心に標準番号について説明したい。
ISSNは「International Standard Serial Number」の略称で、「国際標準逐次刊行物番号」が日本語名である。ISSNは「4桁−4桁」で表される8桁の数字からなり(例:0386−992X 最後の桁はチェック用のため「X」となる場合がある)、タイトルごとに固有の番号で、タイトルが変われば新しいISSNが必要となる。また、媒体ごとに付与するため、内容が同じでも印刷物とCD-ROM、オンラインジャーナルはそれぞれ異なるISSNを持つ。ISSNの登録の際には、キイ・タイトルというISSNと1対1で結びつくタイトルが定められる。すでに同名の逐次刊行物が存在する場合には、識別するための情報を付加して、同名異誌との区別を行っている。
<例1> タイトル 言語と文化 出版者 東北大学言語文化部 ISSN 0919−8385 キイ・タイトル Gengo to bunka(Sendai.1993) |
<例2> タイトル 言語と文化 出版者 大阪府立大学 ISSN 1347−8966 キイ・タイトル Gengo to bunka(Sakai) |
なお、日本国内においては商業出版物の流通に使用されている番号として「共通雑誌コード」がある。このため日本では、商業出版物には共通雑誌コード、学術雑誌のうち商業出版の流通ルートにのらないものにはISSNという棲み分けができている。
CODENはおもに自然科学系の雑誌に付与され、英数字5〜6桁からなる誌名識別のためのコードである。(例:KCSIE6)このコードは、米国材料試験協会が定め、現在CAS(Chemical Abstracts Service)内にあるInternational CODEN Serviceが割り当てを行っている。
ISBNは「International Standard Book Number」の略称で、「国際標準図書番号」と呼ばれ、日本では日本図書コード管理センターが登録等の業務を行っている。ISBNは10桁の数字で構成され、グループ記号(国・地域などを指す)、出版者記号、出版者が与える書名記号、チェック用数字からなる。(例:4−87582−586−2)
標準番号の付与は資料の内容に中立であり、番号の登録によってその資料に何らかの価値が加わるということはない。しかし、書誌調整という観点から見れば、標準番号は資料を容易に特定できるという大きな利点を持っている。そのため目録規則では、ISSNとISBN等を書誌レコードに含めるように定めている。一意性・中立性の反面、著者やタイトルとは異なり、誤記・誤入力の判定が困難であるが、これを補うためにチェック用数字等の工夫がなされている。
(『国立国会図書館月報』2004.6 No.519)