馬琴ファンの一人として知られる関西の素封家

小津桂窓

(おづけいそう)

1804-1858(文化元年-安政5年)


名前

桂窓は号。字は久足。通称は安吉、のちに新蔵。また、家の名である與右衛門を襲名。

人物

小津家は、京阪と江戸にも出店した豪商。桂窓は、松阪百足町の本店で生まれた。
文化14年(1817)14歳で本居春庭に入門。文政11年(1828)11月春庭が没すると、その子有郷の後見人となって活躍した。晩年の桂窓は、家業を婿養子に譲り、もっぱら善本・珍書収集に励んだ。上京・出府の度に暇をぬすんではみずから猟渉し、ときには人を駆って入手したという。享年55歳。
著作は『文政元年久足詠草』『花染日記』など80余冊の詩歌稿と百冊余の紀行稿本。

蔵書印

ほかに、「桂窓」(2種)「小津彰軒」「西荘小津図書之記」「南勢松坂小津図書記」がある

印影のよみ・大きさ

「西荘文庫」(せいそうぶんこ):66x18mm

印影撮影資料
蔵書について

あつめた書籍は百般にわたり、数万巻にのぼったといわれる。馬琴からの自筆本・旧蔵本のほかに、本居宣長・上田秋成らの名家自筆本など、貴重本が豊富に含まれていた。
西荘文庫の由来は、小津家の別荘が松阪在松江村字西ノ荘にあったことによる。西荘文庫はこれまで何度かにわたって市中に放出されたが、多くは現在天理図書館に所蔵されている。

馬琴との出会い

桂窓は、馬琴ファンの一人としても知られている。馬琴とは、文政12年(1829)2月以後、終生の知己の一人となった。文学上のことはもとより、一身上の事柄や書籍の貸借・購入あるいは蔵書の売り渡しにいたるまで相談にあずかったという。

電子展示会

「蔵書印の世界」は国立国会図書館の電子展示会です。 電子展示会の各コンテンツでは、国立国会図書館所蔵の様々なユニークな資料について、わかりやすい解説を加え紹介しています。

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