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令和6年度国立国会図書館活動実績評価

国立国会図書館は、「国立国会図書館ビジョン2021-2025 -国立国会図書館のデジタルシフト-」(以下「ビジョン」)を掲げています。また、ビジョンの趣旨を踏まえ、ビジョンにおける重点事業や基本的役割等を対象として、年度ごとに活動実績評価を行うこととしています。

活動実績評価においては、評価の客観性を担保するために、「評価指標」と「参考指標」を設定します。
評価指標は、自律的に成果を挙げることが可能な業務や、利用者へのサービスの提供に係る日数等を対象とする指標で、近年の実績値とその増減の傾向、事業の規模・性質等を踏まえ、年度当初に数値目標を設定し、達成に努めます。
参考指標は、他律的な側面が強く対外的な要因に左右されやすいため目標値を設定しませんが、当館の活動の動向を把握するために用います。

評価に当たっては、ビジョンの構成にあわせて、館の事業全般に関する評価(ビジョンの「基本的役割」に対応)に加え、重点事業推進に関する評価を行います。館の事業全般に関する評価は、事業の実施状況や指標の達成状況等を踏まえ、評語で評価します。重点事業推進に関する評価は、その達成状況を総合的に判断し、定性的に評価します。

令和6年度は、次のとおり自己評価を行いました。
全評価結果をご覧になりたい場合は、[評価結果](PDF: 458KB)をご覧ください。

評価結果の概要

事業分野1 国会活動の補佐

概要及び目標

国会議員に対し、所蔵資料のほかデータベースその他の電子情報を活用し、客観的な調査・分析に基づく的確な回答を、依頼者の要望に即した方法(令和6年1月に開始した著作物のメール送信を含む。)で提供する。また、国政審議の参考に資するため、国政課題に関する調査研究を行い、その成果を刊行物等に取りまとめ、調査回答に活用するとともに、政策セミナーを通じて国会議員等に紹介する。

国内外の大学や調査研究機関等及び海外の議会関係機関等との連携を強化して、最新かつ高度な学術的知見を幅広く積極的に吸収し、調査サービスを充実させる。

国の基本的な政策課題や、法的・社会的・倫理的課題が生じやすい科学技術に関する国政課題について、外部専門家の知見と協力を得て、より総合的かつ高度な視点から、各種の調査プロジェクトを実施し、成果を公表する。令和6年度は、総合調査プロジェクト「人口減少と地域の課題」及び科学技術に関する調査プロジェクト3件(「海洋をめぐる動向と課題」、「フードテック」及び「デジタル時代の技術と社会」)(いずれも仮)をテーマに調査を実施する予定である。

国会会議録検索システム及び日本法令索引について、国会議員及び国民が容易にアクセスできるよう、コンテンツ及び機能のさらなる整備充実を図り、国会と国民とをつなぐ役割を一層強化する。帝国議会会議録検索システムにおいて、令和6年度上半期を目途に戦前期分の帝国議会会議録のテキストデータの提供を開始する。また、国立国会図書館デジタルコレクションにおいて、デジタル化した帝国議会議事印刷資料の提供を進める。

評価結果

目標を達成した。

事業分野2 資料・情報の収集・整理・保存

概要及び目標

納本制度に基づき、国内の出版物を広く収集する。また、国の機関や地方公共団体等の公的機関のウェブサイト等を法律に基づき収集するとともに、民間のウェブサイト等について公共性や時代性を考慮し許諾を得て選択的に収集する。民間が発行したオンライン資料(電子書籍・電子雑誌)はオンライン資料収集制度に基づき収集する。

国内刊行の出版物の目録、典拠、雑誌記事索引等を作成し、広く利活用できるよう、インターネット等を通じて提供する。新しい国立国会図書館サーチ(*)において追加・拡充した全国書誌データ等の検索及びダウンロードサービスについて、積極的な広報活動等により、利活用を促進する。

収集した資料を永く保存し、国民共有の文化的資産として後世に伝える。そのため、デジタル化や適切な保存環境の整備、劣化・破損した資料の修復等、電子形態の資料を含め、長期保存対策に取り組む。

* 令和6年1月に、従来の国立国会図書館オンラインと国立国会図書館サーチを統合・リニューアルした新たなオンラインサービスとして国立国会図書館サーチの提供を開始した。

評価結果

目標をおおむね達成した。

事業分野3 情報資源の利用提供

概要及び目標

インターネット等で申込みが可能な遠隔複写サービス、図書館間貸出し及び図書館を通じたレファレンスサービスを提供する。「著作権法の一部を改正する法律」(令和3年法律第52号)の施行を受け、令和6年6月を目途に、利用者の申込みに応じて所蔵資料の一部分の複製ファイルを提供する図書館等公衆送信サービス(「遠隔複写(PDFダウンロード)」)を開始する。また、リサーチ・ナビの各種コンテンツや電子展示会等の付加価値を付けた情報発信サービスを提供する。

新しい国立国会図書館サーチの安定稼働に努めるとともに、一層の利便性向上に向けた取組を進める。

所蔵資料のデジタル化及びその著作権処理を進め、インターネットを通じて提供する。インターネット提供を行っていないデジタル化資料のうち入手困難な資料を、個人向けデジタル化資料送信サービスとして国内に居住する登録利用者に提供するとともに、図書館向けデジタル化資料送信サービスとして国立国会図書館が承認した図書館内で提供する。

東京本館、関西館、国際子ども図書館の三つの施設において、所蔵資料の閲覧や複写、レファレンスのサービスを提供するとともに、オンラインも活用しつつ展示会や講演会等のイベントを実施する。

関係機関と連携して学術文献の録音図書やテキストデータを製作するとともに、公共図書館等が製作した音声DAISYデータ、点字データ等を収集し、これらのデータをインターネットを通じて提供する。

国際子ども図書館においては、児童書や子どもの読書に関わる活動の支援や子ども向けのサービスを通じて、子どもが読書や図書館に親しむきっかけを提供する。

評価結果

目標をおおむね達成した。

事業分野4 各種機関との連携協力

概要及び目標

国立国会図書館の情報資源やサービス、図書館業務に関する知識及び経験が国内の各種図書館の業務やサービスの向上に役立つよう、オンラインを含む研修や情報発信を通じて、その活動や人材育成を支援する。また、国内の類縁機関との懇談会等を通じて連携関係を強化する。

国際図書館連盟(IFLA)等への委員の派遣、会議への参加(オンラインも含む。)や、中国国家図書館、韓国国立中央図書館を始めとする海外の図書館との業務交流等を通じて、図書館に関わる普遍的な課題の解決に取り組む。

新しい国立国会図書館サーチやみなサーチを含め、全国の図書館等のデジタル化資料を含む所蔵資料、調べ方の事例等のデータ連携プラットフォームを提供し、我が国の情報資源への総合的なアクセスや利活用の利便性向上を図る。

評価結果

目標をおおむね達成した。

【重点事業に係る事業分野①】ユニバーサルアクセスの実現

概要及び目標

インターネットや身近な図書館で閲覧できるデジタル資料の拡充を図る。令和6年4月を目途に、図書館向けデジタル化資料送信サービスにおける国外図書館向けの複写サービスを開始する。また、個人向けデジタル化資料送信サービスにおける国外居住者向けの送信について引き続き検討・協議を行う。

令和6年1月に正式版を公開した障害者用資料検索サービス「みなサーチ」を通じて、デジタル化資料から作成した全文テキストデータを、他の視覚障害者等用データと併せて視覚障害者等に提供する。また、令和5年7月に公開した「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」について、引き続き公立図書館等への普及活動や今後の見直しに向けた検討を行う。さらに、当館が障害者サービスとして取り組むべき事項をまとめた「障害者サービス実施計画2021-2024」の実施事項の総括を行うとともに、次期計画を策定する。

専門知識を活かして膨大な資料・情報をキュレーションし、効率的な調べ方のガイドや、知識を深めるための資料の紹介等、社会に役立つ情報を発信する。また、デジタル化資料から作成した全文テキストデータの効果的な利用方法を案内する。

評価結果

個人向けデジタル化資料送信サービスにおける国外居住者向けの送信について、有識者へのヒアリング等を実施した。また、図書館向けデジタル化資料送信サービスについて、令和6年4月から国外図書館向けの複写サービスを開始し、1館を「閲覧・複写」の可能な館として承認した。

みなサーチを通じて提供しているデジタル化資料から作成した全文テキストデータの数は、約73万件が新規で追加された。また、有識者や関係団体から成る検討会を開催し「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0(案)」を作成した。「障害者サービス実施計画2021-2024」の総括を行うとともに、次期計画である「障害者サービス実施計画2025-2029」を令和7年3月に策定した。

令和6年10月から11月にかけて東京本館及び関西館において企画展示「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」を開催した。国立国会図書館サーチの検索結果一覧画面を改修し、特定の調べ方案内記事と関連性の高い検索条件で検索が行われた際に、当該記事が表示されるようにした。また、レファレンス協同データベースに登録されているデータ利活用を促進するため、このデータのうち、当館提供データについては、これまで求めていた申請を不要とし、出典の記載等について定めた「国立国会図書館ウェブサイトのコンテンツ利用規約」に従うことで、商用利用も含め、自由に利用できることとした。

【重点事業に係る事業分野②】国のデジタル情報基盤の拡充

概要及び目標

デジタルで全ての国内出版物が読める未来を目指し、所蔵資料約5800万コマ分をデジタル化する。デジタル化資料から作成した全文テキストデータの一層の活用に向け、関係団体との協議や調査研究を行う。

令和5年1月に有償又はDRM(技術的制限手段)が付されたオンライン資料の収集を開始したオンライン資料収集制度について、引き続き出版者等の協力を得つつ安定的収集を図る。また、他機関のデジタル資料の収集・移管、再生困難なデジタル資料の形式変換等、多面的な取組によってデジタル資料の長期保存を目指す。

図書館の領域を超えて幅広い分野のデジタルアーカイブを連携させる「ジャパンサーチ」を通じて、多様な情報・データがオープン化され、活用が促進される環境づくりを支える。

評価結果

図書、雑誌、博士論文、古典籍資料等約6400万コマ分のデジタル化を実施した。当館が開発したOCR(光学文字認識)処理プログラム「NDLOCR」を使用し、新たに約73万点の資料をOCR処理し、全文検索可能なデジタル化資料は約319万点となった。

オンライン資料収集制度に基づく収集として、47の学協会に対して納入督促をおこない、600点以上の納入があった。また、当館が開発した自動搬送装置を備えたマイグレーションシステムにより、2000年までに発行された音声CDおよび2015年までに発行された映像DVD(計800枚)について、劣化状況調査を実施した。

ジャパンサーチにおいて、6連携(つなぎ役)機関、39データベースと新規連携を行った。また、「デジタルアーカイブフェス2024-活用最前線!-」(令和6年8月)を内閣府と共催し、中高生向けワークショップ「目指せGIF IT UP!―デジタルコンテンツでGIFアニメ作り―」(令和6年6月)、「ジャパンサーチ連携機関向けキュレーションワークショップ」(令和7年2月)を開催した。

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