開館70周年記念展示「本の玉手箱―国立国会図書館70年の歴史と蔵書―」

第2部第3章第2節 日本の科学と文化

博士論文や、原子炉設置(変更)許可申請書、テレビドラマの脚本類などは、当館の特徴あるコレクションの一部である。本節ではこのようなコレクションを紹介しつつ、主に戦後の科学や文化に焦点を当てて、時代性に富んだ資料を展示する。

不滅のリケジョ魂!

113 Studies on the structure of lignite, brown coal, and bituminous coal in Japan(日本産亜炭,褐炭及瀝青炭の構造研究)

保井コノ〔著〕昭和2(1927)年【UT51-59-N337】

113 Studies on the structure of lignite, brown coal, and bituminous coal in Japan(日本産亜炭,褐炭及瀝青炭の構造研究)の画像左側 113 Studies on the structure of lignite, brown coal, and bituminous coal in Japan(日本産亜炭,褐炭及瀝青炭の構造研究)の画像右側 拡大画像

保井コノ(やすい この)は、明治13(1880)年生まれの植物学者。昭和2(1927)年に、日本女性初の博士(理学博士)の学位を東京帝国大学から授与された。展示資料は、その時提出した博士論文。女性科学者という国内では前人未到の道を、研究に対する真摯な姿勢で切り拓いた保井は、のちにお茶の水女子大学教授などを務めた。

博士論文の収集

当館は、大正12(1923)年9月以降に学位を授与された国内の博士論文を所蔵している。昭和10(1935)年に文部省から移管し、それ以降は文部省経由で、昭和50(1975)年以降は学位授与機関からの送付により収集してきた。平成25(2013)年4月以降、学位授与機関がインターネットで全文公開することが原則となり、当館も電子版での収集を開始した。
金田一京助・湯川秀樹といった歴史に名を残す大家の論文から、山中伸弥・大隅良典のような現在活躍中の研究者の論文まで収めるコレクションは、100年に近い日本の学知の結晶といえる。

原子炉設置許可申請書

114 東海発電所原子炉設置許可申請書

日本原子力発電 昭和34(1959)年【Y95-B49】

114 東海発電所原子炉設置許可申請書の画像左側 114 東海発電所原子炉設置許可申請書の画像右側 拡大画像

原子炉を設置しようとする電力事業者は、国に対して設置許可申請を行う必要がある。展示資料は、日本で初めての商業用原子力発電所である東海発電所(茨城県東海村)の申請書である。東海発電所は昭和41(1966)年から平成10(1998)年まで営業運転を行ったのち、廃止措置に入った。

日本人初のノーベル賞

115 「中間子の本性について」(湯川秀樹 著)

科学季刊 創刊号 秋田屋 昭和24(1949)年1月【Z405-Ka24】

115 「中間子の本性について」(湯川秀樹 著)の画像

湯川秀樹は、昭和10(1935)年に公表した論文で中間子の存在を予言したことにより、昭和24(1949)年12月にノーベル物理学賞を受賞した。これは、日本人初のノーベル賞受賞である。展示箇所は、昭和22(1947)年の日本物理学会における講演を骨子とした論稿である。

カケンヒってなんだろう?

116 文明開化における教訓と文学の総合比較研究

ロバート キャンベル、東京大学〔著〕〔ロバート キャンベル〕平成22(2010)年【Y151-H15320028】

科学研究費補助金(科研費)は、研究者の自由な発想に基づく学術研究に対し国から交付される助成金である。研究の成果をまとめた研究成果報告書のうち冊子形態のものは、当館関西館に所蔵されている。展示資料は、国文学研究資料館長、テレビなどでおなじみのロバート キャンベルのものである。

なんじゃーこれは!! セリフが変わっている!

117 太陽にほえろ! 111 改訂稿

小川英 著 昭和49(1974)年8月30日(放送)【Y851-N01-16283】

117 太陽にほえろ! 111 改訂稿の画像

「太陽にほえろ!」は、昭和47(1972)年から昭和61(1986)年までテレビ放映された刑事ドラマ。1960年代のアクション映画の脚本執筆に活躍した小川英(おがわ えい)をはじめ多くの脚本家がこの人気番組を支えた。展示資料は、松田優作演じるジーパン刑事の殉職の回の脚本。書入れのある別本と比較すると当時の制作の過程を知ることができる。

放送脚本の寄贈

歴史的・文化的価値がありながら散逸していた放送脚本(テレビ・ラジオ番組の脚本・台本)について、脚本家市川森一の提唱で収集・保存活動が始まり、日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムの設立へとつながった。
一方、平成23(2011)年に文化庁と当館の間で「我が国の貴重な資料の次世代への確実な継承に関する協定」が結ばれ、当館は脚本の保存方法の調査研究等に参加するところとなり、平成25(2013)年に同コンソーシアムから昭和55(1980)年以前の脚本約2万7千冊の寄贈を受けた。
番組の映像・音声がほとんど残っていないこの時期の脚本は、当時の文化を知ることもできる貴重な資料である。

いろいろなトットちゃん

118 窓ぎわのトットちゃん

黒柳徹子 自作朗読 講談社 平成2(1990)年【YL31-529】(カセットテープ)

119 窓ぎわのトットちゃん 1

黒柳徹子 文 いわさきちひろ 絵 講談社 平成26(2014)年【Y8-N14-L658】(絵本)

120 窓ぎわのトットちゃん

黒柳徹子 著 講談社 昭和56(1981)年【KH297-552】

121 โต๊ะโตะจัง เด็กหญิงข้างหน้าต่าง

黒柳徹子〔著〕ผุสดี นาวาวิจิต〔翻訳〕ผีเสื้อ〔2009〕【Y745-K290】(タイ語訳)

122 窓ぎわのトットちゃん

黒柳徹子 著 東京ルリユール 昭和59(1984)年【YT31-157】(大活字資料)

黒柳徹子が、昭和56(1981)年に自伝小説「窓ぎわのトットちゃん」を発表すると、読者の共感を呼び大ベストセラーとなった。海外でもさまざまな言語で翻訳されている。ここでは、絵本、ラージプリントブック(大活字資料)、著者朗読カセット、翻訳版など当館の多様な蔵書構成を紹介する。