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岡山市立学校図書館(2025年7月ヒアリング)

はじめに

国立国会図書館(NDL)では、NDLの書誌データを利用している図書館の事例を調査しています。ここでは、2025年7月28日から29日に訪問した岡山市立芳泉中学校図書館および岡山市立吉備小学校図書館の利用事例についてご紹介します。

岡山市の市立学校図書館の概要

岡山市は人口約72万人の政令指定都市です。126校(分校2校を含む)ある市立小学校・中学校・義務教育学校・高等学校には126名の学校司書、119名の司書教諭が配置され、学校図書館教育が推進外部サイト(外部サイトへリンク)されています。
岡山市が市内の学校図書館用にNDLの書誌データを採用したのは、2012年8月でした。
それまで利用していた民間MARCからNDLの書誌データに切り替えた決め手は、NDLの書誌データの網羅性無償提供でした。
また、図書館システムは、OEC株式会社の「探調TOOL DX3外部サイト」(外部サイトへリンク)を導入しています。

岡山市立芳泉中学校図書館

岡山市立芳泉中学校外部サイト(外部サイトへリンク)は、生徒数893名32学級から成る中学校です。学校図書館には約19,000冊の蔵書があり、年間の延べ貸出数は約10,000冊を数えます。訪問日は夏休み期間中でしたが、複数の生徒が学校図書館を訪れて、学校司書と楽しく会話している姿が印象的でした。

芳泉中学校図書館の全景
《芳泉中学校図書館の全景》

岡山市立吉備小学校図書館

岡山市立吉備小学校外部サイト(外部サイトへリンク)は、児童数1,313名49学級から成る岡山市で最大規模の小学校です。学校図書館の蔵書数は約16,000冊。各クラスで週に1回、児童が学校図書館を利用できる「図書の時間」を設けており、年間延べ貸出数は110,000冊を超えます。訪問時には、夏休みに来館した児童が作成できるオリジナルしおりコーナーが設置されていました。

吉備小学校図書館の全景
《吉備小学校図書館の全景》

NDL書誌データを活用した資料の整備

芳泉中学校図書館と吉備小学校図書館では、毎月50~60冊の資料を受け入れています。
できるだけ効率的に資料を整備できるよう、学校司書がそれぞれ工夫されているそうです。
ここでは、芳泉中学校図書館の例をご紹介します。

資料装備は、次の順番で進めています。

選書→起案・決裁→発注→分類・ラベルの準備→納品→装備→目録作成→広報・排架

選書した本を発注すると、まず広報紙の作成とラベルの準備に取り掛かります。この段階で資料の分類もある程度決めておきます。
本が納品されたら、分類記号が適切か現物を確認して請求記号ラベルを貼付します。
装備が終わると、図書館システム「探調TOOL DX3」でISBN検索して、NDLの書誌データを取り込みます。

データを確認して請求記号等のローカルデータを追加して、資料を排架します。

NDLの書誌データの分類は必要に応じて修正し、蔵書構成に合わせて適切な分類を付与しているとのことでした。

NDL書誌データを利用して

両校の学校司書のお二人に、NDLの書誌データを利用しているご感想を伺いました。

多くの書誌データがあって非常に助かっています
NDLの書誌データの完成が遅くて困ったことはめったにありません

また、NDLの書誌データへのご要望を伺いました。

件名を充実してほしいです。 件名があると学習に活用できるので助かります。
読みを付与してほしいです。 例えば、図書記号を考える際には、著者の読みが必要になります。(※)

(※)国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)で、著者名の読みを確認することができます。

おわりに

訪問中、市教育委員会や学校の先生方から、「学校司書の先生がいらっしゃるから学校教育が成り立っています」というお話をたくさん伺いました。NDLの書誌データがそうした学校図書館の縁の下の力持ちになれるよう、これからも取り組んでまいります。
お忙しい中、調査にご協力いただいた方々に、心から感謝いたします。