国立国会図書館憲政資料室 日記の世界

長崎省吾:明治21(1888)年11月13日の日記より

長崎省吾

明治21(1888)年11月13日

琵琶湖疏水工事を見学  経済

北垣知事先導して琵琶湖疏水工事を巡覧す。該工事は京都府民の負担にして、琵琶湖の水を京都に疏して、大に工業を振起し傍ら物貨を通運する計画にて、北垣知事物議を排し熱心これに当る。明治十八年工を起し、二十二年十二月を期し竣功を告げんとす。費額予算凡百二十五万円、大津三井寺[みいでら]の右傍より官道の右に沿ひ開鑿せしものにて、隧道[すいどう]五ヵ所あり。全体の工事過半を竣す。

明治14(1881)年に京都府知事となった北垣国道(きたがきくにみち)は、京都の産業振興のため琵琶湖から京都まで水路を引く事業を熱心に進めました。工事は明治18(1885)年に始まり、5年後の明治23(1890)年に完成します。日記には、工事中の現場を見学した様子、レンガ造りのトンネル、南禅寺水路閣についても記録しています。