国立国会図書館憲政資料室 日記の世界

長崎省吾

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長崎省吾の肖像写真

長崎省吾

ながさきしょうご
1852年~1937年

長崎省吾の日記について

この電子展示会で見られる日記の概要

  • 在外経験豊富な宮内官僚の長崎が記した日記。
  • 海外に派遣された折の見聞内容が記される。
  • 天皇親書を携えてハワイ王国を訪問した「布哇国滞在中日記」、依仁親王の欧米訪問に随行した「欧米巡回余志」、この他国内旅行記もあり。

長崎省吾の日記より

明治15(1882)年4月1日

布哇(ハワイ)王国での歓迎  外交海外
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食畢[おわっ]て庭前へ皇帝陛下、本使初めを御誘引にて、大樹の蔭に到らる。…婦人三人男子一人、皆白衣、紅の短袴を着して立て踊る。婦人三人は互に手を連結して回り舞、男子は三婦にかかわらず左右の手を翻して踊る。右畢[おわっ]て音楽数回これあり。この見物中酒及煙草等時々下され、頗[すこぶ]る鄭重なる御饗応にて、午後五時帰館。
明治21(1888)年11月8日

京都での参拝 
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午前八時より旅寓を出て、愛宕郡今熊野村泉涌寺に到り、先帝の御陵に参拝し、還て霊明殿を拝して同寺に小憩し、出て霊山招魂社の木戸公の墓に請じ、帰途八坂神社を過ぎて途次美工商社に立寄り、物産を覧て知恩院に至りて帰寓す。
明治21(1888)年11月13日

琵琶湖疏水工事を見学  経済
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北垣知事先導して琵琶湖疏水工事を巡覧す。該工事は京都府民の負担にして、琵琶湖の水を京都に疏して、大に工業を振起し傍ら物貨を通運する計画にて、北垣知事物議を排し熱心これに当る。明治十八年工を起し、二十二年十二月を期し竣功を告げんとす。費額予算凡百二十五万円、大津三井寺[みいでら]の右傍より官道の右に沿ひ開鑿せしものにて、隧道[すいどう]五ヵ所あり。全体の工事過半を竣す。
明治25(1892)年8月26日

牛乳の想い出  娯楽
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この日、巡視中農園において相嘗[こころ]みたる牛乳は、至て新しくして、且味[あじわひ]頗[すこぶ]る美なり。真[まこと]に米国[アメリカ]在留の時を想ひ起せり。
明治25(1892)年9月24日

瀧本金蔵の湯 
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午前七時過、室蘭港より端舟に乗り、炭鉱鉄道会社の桟橋を渡り、直[ただち]に汽車に乗り、登別停車場において下り、直に馬に乗り、温泉場に至る。…温泉は瀧の湯・下の湯等ありて、実に怡楽[快楽]の場所なり。
明治26(1893)年8月18日

カナダの大富豪を訪問  海外
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午後当府において、百万の財産家(Million earl ミリオン イエール)と称するDunsmuir ダンスミュイア氏殿下を訪問し、自宅に来臨を請ふ。依て殿下に陪し、同人の邸宅に至る。海浜丘陵上に建築せるをもって、ジラルジヤ海峡を俯瞰[ふかん]し、兼てまたヴィクトリヤ全市を一眸の下[もと]に集め、風景最も宜し。暫時庭園を逍遥し、客室に入り家族と対話の末、同人に送られホテルに還る。
明治27(1894)年1月1日

ドイツでの正月  海外正月
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旅館食堂には電燈をもって、千八百九十四年の文字を青紅色打交へて映出し、光耀燦然美観謂ふはありなし。楽音は洋々として梁塵を浮べ、歓声は殷々として満堂を動かす。羈旅の遊客もまたこの吉辰に遭ひ、互に祝盃を挙げて新年を賀し健康を祝せり。
明治27(1894)年4月17日

バチカン見物  海外
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「サン・ポーロ」寺は、「タイバー」河畔にあり。彼の耶蘇[ヤソ]の高弟「セント・ポール」の墳墓の地に、「サン・ピエトロ」寺に均しき伽藍[がらん]を建築せんとて、法王の勧誘に依り「コンスタンチン」大帝の起工したる所なり。後歴代の帝王法王等は、切[しき]りに荘厳なる修飾を施し、羅馬[ローマ]寺院中最美最麗最大なるものとなりたり。
明治27(1894)年7月24日

パリで知る戦争の開始  日清戦争海外図書館・読書
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本日発刊の新聞紙を閲するに、我軍船朝鮮海岸を砲撃したりとの電報を掲ぐ。日清間の関係、弥[いよいよ]切迫したるを覚ゆ。国家の為め憂慮措く能[あた]はざるなり。
明治27(1894)年8月19日

ニューヨークで寺島と談話  海外
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本日、寺島伯来訪。胸襟を披ひて、本邦及海外に関し種々談話を為し、殊[こと]に快楽を覚へたり。
明治27(1894)年8月21日

観劇を通じてアメリカ人の日本観に触れる 海外
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来訪者殿下と談話中、余は殿下より暫時の御暇を請ひ、姪剛十郎の案内に依り「ミカド」と称する劇場に赴き、米人[アメリカ人]が如何なる思想と考按とをもって我帝国の状態を模写するやを一覧し、了[おわっ]て屋上園(ルーフ・ガーデン)を観覧して、直に帰館せり。

長崎省吾の日記一覧 (国立国会図書館デジタルコレクション収録分のみ)

長崎省吾について

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