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対応

災害や事故発生後の初期対応の段階です。
まず第一に人命を優先し、建物内や周囲の安全が確認されてから、被害が拡大しない措置と資料の救出作業を始めます。

体制を整える

まず防災計画を確認し、緊急連絡網や作業マニュアルの内容をもとに指揮系統を確立します。

状況確認

被害規模や状況を把握し、記録を行います。
あらかじめ被災記録票のフォーマットを作成しておくと良いでしょう。

被災記録票の例

資料救出のための見積もり

作業人員や救出に必要な資材・用具、等、救出した資料をどこに運ぶか等を見積もり、人員を割り振ります。

環境の制御・安定化

被災現場や搬出場所の環境を整え、カビなどの二次被害や未被災資料への被害拡大を防ぎます。換気、被害を受けていない周辺資料の保護、周囲の水の除去等を行います。
防塵マスク、手袋、ゴーグル、作業着等で身体の保護も忘れずに。

資料の救出

あらかじめ確保した搬出場所に資料を運び出します。同時に被災資料の重症度、緊急度、優先度に応じていくつかのグループに分類するトリアージも行いましょう。

応急処置

水に濡れた資料は48時間を経過するとカビ発生のリスクが高まるため、すぐに対処する必要があります。まずは乾かすことが必要ですが、大規模被害の場合など、すぐに乾かすことが難しい場合は、時間をかせぐため濡れたまま冷凍しておきます。冷凍も難しい場合には、被災資料を脱酸素剤と一緒に気体を通さないガスバリア袋に入れて密閉する脱酸素処置、またはガスバリア袋に入れて中の空気を掃除機などで吸い出す脱気法によって、カビの発生・拡大を抑えつつ保管しておきます。
また、「塗工紙」と呼ばれる表面がツルツルした紙は、濡れると紙同士が貼り付きやすいため乾燥の際には特に注意が必要です。
写真、フィルム、電子媒体等、紙以外の媒体は対処法が異なるため、専門業者等に相談することをお勧めします。文化財防災ウィール(文化庁のサイトへのリンク)には、紙以外の収蔵品の応急処置のアドバイスが掲載されています。

!カビに注意!

カビが生えてしまった資料の取り扱いには特別な注意が必要です。

  1. カビは乾燥や冷凍などの処置では完全に死滅しません。乾燥後も殺菌・燻蒸処置・クリーニングなどで完全にカビの因子を取り除き、その後も定期観察が必要です。
  2. カビは人体に有害です。体内に吸い込んでしまうと、アレルギー反応(喘息、肺炎)や肺疾患を起こす危険性があります。作業にあたっては、作業者の身体保護を徹底してください。

参考情報

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