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典拠データを使った資料検索:Web NDL Authoritiesガイド

1. Web NDL Authoritiesって?

国立国会図書館が作成している典拠データを検索・ダウンロードできるサービスです。2023年10月末現在、約143万件の典拠データをWeb NDL Authoritiesで提供しています。

典拠データを使って著者名やテーマを特定し、国立国会図書館サーチで書誌データを検索することができます。


図1:Web NDL Authoritiesトップページの検索ボックス

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2. 典拠データってなに?

資料の検索の手がかりとなる著者名やキーワードなどを整理してまとめたデータです。国立国会図書館が作成している典拠データは大きく次の三つに分けられます。

  • (1)名称典拠:著者名やタイトルなどを表す典拠(個人名、家族名、団体名、地名、著作、統一タイトル)
    (例)「夏目漱石」、「岩波書店」、「松山市」、「坊っちゃん」
  • (2)普通件名典拠:資料のテーマとなっているものごとを表す典拠
    (例)「個人主義」、「インターネット」
  • (3)ジャンル・形式用語典拠:資料の内容や様式を表す典拠
    (例)「漫画」、「児童図書」、「議会資料」、「LLブック」

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3. 典拠データってなんの役に立つの?:典拠データを使った資料の検索

典拠データとそれに関連する書誌データの集合を作ることで、検索キーワードのゆれ(例:「ギリシャ」と「ギリシア」)による検索もれや検索ノイズ(意図しない検索結果)のない、資料の的確な検索が可能になります。

国立国会図書館では、Web NDL Authoritiesにおいて典拠データの機能を用いた資料の検索サービスを提供しています。

3.1.~3.5.では、シチュエーションごとに、Web NDL Authoritiesにおける典拠データを使った資料の検索方法をご紹介します。

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3.1. シェイクスピア作品をまとめて探したい

いろいろなシェイクスピアの作品をまとめて探したいけれど、「シェークスピア」や「Shakespeare」、「寒格斯比亜」など、本によって著者名の表記がバラバラ…。

そんなとき、Web NDL Authoritiesをご利用ください。

  • (1)キーワード検索ボックスで「シェイクスピア」を検索
  • (2)検索結果一覧の中から「Shakespeare, William, 1564-1616」の個人名典拠データをクリック→詳細情報画面へ(検索結果が多い時は、名称の横にある生年・没年や、名称の下に記録された別名を参考に、探している個人を特定します)

    図2:「シェイクスピア」の検索結果一覧画面

    図3:個人名典拠「Shakespeare, William, 1564-1616」詳細情報画面
    詳細情報画面の「別名/別タイトル」(図3緑色の点線枠内)を見ると、シェイクスピアの名前のさまざまな表記が確認できます。「別名/別タイトル」には、個人名・団体名典拠であれば、言語や文字種の違いなどによる名称の異なる表記、著作典拠であれば翻訳タイトルなど、名称やタイトルのバリエーションを表示しています。Web NDL Authoritiesの典拠データは、「別名/別タイトル」の名称やタイトルからも検索可能です。
    ちなみに、典拠データには名前の読み・綴りだけでなく、個人の生没年、団体の設立・廃止年といった情報を記録していることもあります。そのため、同姓同名、同名異団体や似た名称の典拠データと区別することができ、著作権保護期間の確認などにも利用できます。
  • (3)「著者名検索」リンクボタンをクリック→国立国会図書館サーチで資料を検索
    詳細情報画面右側の「国立国会図書館のサービス」(図3黄色の実線枠内)には、国立国会図書館サーチと連携しているリンクボタンがあります。リンクボタンをクリックすると、その典拠データとリンクしている書誌データの検索結果一覧画面が表示されます。
    「著者名検索」リンクボタンをクリックすれば、著者名の表記の違いを気にすることなく、シェイクスピアによる作品をまとめて検索することができます[注1]。また、「件名検索」リンクボタンをクリックするとシェイクスピアをテーマとした資料を検索することができます。この機能については、3.3.で詳しくご説明します。

    図4:「著者名検索」リンクボタンによる国立国会図書館サーチでの検索結果の例

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3.2. 色川武大が別名義で書いた本を探したい

作家の色川武大は、麻雀小説を書くとき、別の筆名を使っていたらしい。「色川武大」名義でなく、麻雀小説を書くときの筆名による作品をまとめて探したい。

国立国会図書館では、原則として近代以降の人物の場合、同一人物でもペンネームの使い分けなど複数の名称を用いる場合は、名称ごとに典拠データを作成し、お互いにリンクしています。そのため、それぞれの名称の関係性を確認することができ、名称ごとに著書を区別して検索できます。

  • (1)キーワード検索ボックスで「色川武大」を検索
  • (2)検索結果一覧の中から「色川, 武大, 1929-1989」の個人名典拠データをクリック→詳細情報画面へ

    図5:「色川武大」の検索結果一覧画面
    検索結果一覧の「色川, 武大, 1929-1989」の見出しの下に「→:阿佐田, 哲也, 1929-1989; 井上, 志摩夫, 1929-1989」と表示されていますが、これは、「色川, 武大, 1929-1989」の「関連名称(別名)」の存在を示しています。
  • (3)個人名典拠「色川, 武大, 1929-1989」の「関連名称(筆名)」に表示されている「阿佐田, 哲也, 1929-1989」をクリック→「阿佐田, 哲也, 1929-1989」の詳細情報画面へ
    「色川, 武大, 1929-1989」の詳細情報画面を見ると、「関連名称(筆名)」(図6紫色の破線枠内(上))欄に「阿佐田, 哲也, 1929-1989」と「井上, 志摩夫, 1929-1989」の典拠データへのリンクが表示されています。一方、「阿佐田, 哲也, 1929-1989」の詳細情報画面には、「関連名称(本名)」(図6紫色の破線枠内(下))として「色川, 武大, 1929-1989」へのリンクが表示されています。このように、Web NDL Authoritiesではある人物が持っている複数の名称について、それぞれの典拠データを参照することができます。
  • (4)個人名典拠「阿佐田, 哲也, 1929-1989」の詳細情報画面にある「著者名検索」リンクボタンをクリック→国立国会図書館サーチで資料を検索
    「阿佐田哲也」名義の著書を、「色川武大」名義の著書と区別して国立国会図書館サーチでまとめて検索できます。『麻雀放浪記』などがヒットしていることから、探している筆名はこちらでよさそうです。ちなみに、「関連名称(筆名)」にリンクされている個人名典拠データ「井上, 志摩夫, 1929-1989」で検索すると、時代小説がヒットします。

    図6:「色川, 武大, 1929-1989」と「阿佐田, 哲也, 1929-1989」の検索結果の比較

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3.3. ソーシャルネットワーキングサービスについての本を探したい

SNSについて調べてレポートを書かなくちゃ。タイトルに「SNS」ってある本を探せばいいのかな?でもSNSにもいろいろなサービスがあるしな…。

あるテーマについての本を調べたいとき、どのように検索していますか?タイトルのキーワードで検索しただけでは、タイトルにそのキーワードが含まれていない本は見つけられません。そんなときWeb NDL Authoritiesを使うと、タイトルに関係なく、探したいテーマの本をまとめて正確に検索することができます。

  • (1)キーワード検索ボックスで「SNS」を検索
  • (2)検索結果一覧の中から「ソーシャルネットワーキングサービス」の普通件名典拠データをクリック→詳細情報画面へ

    図7:普通件名典拠「ソーシャルネットワーキングサービス」詳細情報画面
  • (3)「件名検索」リンクボタンをクリック→国立国会図書館サーチで資料を検索
    「ソーシャルネットワーキングサービス」がテーマに含まれる本が、国立国会図書館サーチでまとめて検索できます[注2]。『LINE公式アカウント史上最強の成功テクニック』など、タイトルに「SNS」や「ソーシャルネットワーキングサービス」という単語が含まれていない本もヒットします。

    図8:「件名検索」リンクボタンによる国立国会図書館サーチでの検索結果の例
    普通件名典拠の詳細情報画面では、典拠データ同士の関係(上位語、下位語、関連語)を確認でき(図7紫色の破線枠内)、その中からさらに適切な用語を選ぶことができます。グラフィカル表示タブをクリックすれば、典拠データ同士の関係が見た目にも分かりやすく表示されます。

    図9:普通件名典拠「ソーシャルメディア」のグラフィカル表示

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3.4. 「星の王子さま」の翻訳作品をまとめて探したい

「星の王子さま」が読みたいな。せっかくだから、自分の好みの翻訳で読みたいけど、どうやって探したらいいかな。

同じ文学作品でも、異なる翻訳タイトルで刊行されることがありますが、それらのタイトルを調べてひとつひとつ検索するのは大変ですよね。
国立国会図書館が2021年1月に導入した著作典拠を使えば、タイトルにバリエーションがあっても、同じ作品の図書をまとめて検索できます[注3]。「著作」とは、文字や音声などで表現される前の作品のアイディアそのものを表す概念です。国立国会図書館では次に該当する著作について典拠データを作成します。

  • 復刻・翻刻または翻訳(現代語訳・口語訳を含む)された古典作品の原著作
  • 日本語訳のタイトルが複数存在する近現代の作品の原著作

詳しくは「著作典拠について」(Web NDL Authoritiesへリンク)をご参照ください。

  • (1)キーワード検索ボックスで「星の王子さま」を検索
  • (2)検索結果一覧の中から「星の王子さま」の原題である「Le petit prince」の著作典拠データを選択してクリック[注4]→詳細情報画面へ

    図10:著作典拠「Le petit prince」詳細情報画面
    詳細情報画面の「別名/別タイトル」(図10緑色の点線枠内)を見ると、「小さい王子」や「あのときの王子くん」など、日本では「星の王子さま」として知られる「Le petit prince」という著作の翻訳タイトルにもいろいろあることが分かります。また、「創作者等」(図10青色の二重線枠内)には、「Le petit prince」の著者である「Saint-Exupéry, Antoine de, 1900-1944」の個人名典拠データとのリンクが表示されています。
  • (3)「著作検索」リンクボタンをクリック→国立国会図書館サーチで資料を検索
    翻訳タイトルの違いに関わらず、「Le petit prince」という著作そのものの本をまとめて検索することができます。また、「星の王子さま」がタイトルに含まれていても、アントワーヌ・サン=テグジュペリの著作「Le petit prince」そのものではない本はヒットしません。「星の王子さま」をテーマにした研究書などは「件名検索」リンクボタンから検索してください。

    図11:「著作検索」リンクボタンによる国立国会図書館サーチでの検索結果の例

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3.5. とにかく「漫画」が見たい

漫画家やタイトルに関係なく、とにかくどんな漫画の本があるのか探したい。

なにについての資料なのか(資料のテーマ)ではなく、その資料がなんであるのか(資料のジャンル・形式)を探すための用語として、「ジャンル・形式用語」があります。国立国会図書館では2021年1月から、図書を対象に「漫画」、「児童図書」、「議会資料」、「LLブック」の四つの用語の運用を開始し、その後徐々に用語および対象資料を拡大しています[注5]。

  • (1)キーワード検索ボックスで「漫画」を検索
  • (2)検索結果一覧の中から「漫画」のジャンル・形式用語典拠データをクリック→詳細情報画面へ

    図12:「漫画」の検索結果一覧画面

    図13:ジャンル・形式用語典拠「漫画」の詳細情報画面
  • (3)「ジャンル検索」リンクボタンをクリック→国立国会図書館サーチで資料を検索
    タイトルや著者、出版者等に関わりなく、漫画の本を検索することができます。

    図14:「ジャンル検索」リンクボタンによる国立国会図書館サーチでの検索結果の例
    なお、漫画をテーマにした本を検索したいときは、先ほどの検索結果一覧画面から、普通件名典拠「漫画」の詳細画面に遷移し、そこから「件名検索」リンクボタンをご利用ください。

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4. その他の機能:典拠データの利活用

Web NDL Authoritiesでは、資料を検索できるだけでなく、ダウンロード、RSS配信、SPARQL検索などの機能を使って典拠データを取得することもできます。取得した典拠データは、データベースやアプリに取り込んで活用することができます[注6]。4.4.では、事例を用いて、Web NDL Authoritiesでの典拠データの取得方法をご紹介します。

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4.1. 典拠データをダウンロード

詳細情報画面から典拠データを1件ずつダウンロードすることができます。ダウンロード形式にはRDF/XML、RDF/Turtle、JSON-LDの各形式があります。

また、国立国会図書館件名標目表(NDLSH)または国立国会図書館ジャンル・形式用語表の収録範囲である典拠データについては、一括ダウンロード用ファイルを提供しています。NDLSHはRDF/XMLまたはTSV形式で、国立国会図書館ジャンル・形式用語表はTSV形式でダウンロードできます。詳細は「一括ダウンロード用ファイル」(Web NDL Authoritiesへリンク)をご覧ください。

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4.2. RSS配信

NDLSHの収録範囲である典拠データの新設・標目訂正・削除について日次でお知らせしています。詳細は「新設件名等のRSS配信」(Web NDL Authoritiesへリンク)をご覧ください。

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4.3. SPARQL検索

検索用API(SPARQLおよびSPARQL1.1(試行版))のエンドポイントから、Web NDL Authoritiesのデータを検索・取得することができます。データ形式はRDF/XML、RDF/Turtle、JSON-LDなどです。1回に取得できるデータの上限は、1,000件(SPARQL1.1(試行版)の場合)です。詳細は「SPARQLについて」および「SPARQL1.1(試行版)について」(Web NDL Authoritiesへリンク)をご覧ください。

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4.4. 分類「596.7」に対応する件名標目を探したい

うちの図書館には日本十進分類法(NDC)の分類「596.7」(飲料)の本がいっぱい。分類「596.7」だけだと、コーヒーとお酒の本がわけられない…、国立国会図書館は「596.7」の本にどんな件名をつけているのかな?

そんなとき、Web NDL Authoritiesをご利用ください。

分類記号検索で、ドロップダウンリスト「NDC10」を選択し、ボックスで「596.7」を検索すると、NDC新訂10版の代表分類が「596.7」である典拠データが検索結果一覧に表示されます。詳細情報画面から典拠データを1件ずつダウンロードすることも可能です。


図15:「596.7(NDC10)」の検索結果一覧画面

SPARQL検索を利用すると、取得したデータを簡単にリスト化することができます。また、より複雑な条件でも検索が可能です。

国立国会図書館は、SPARQLによる検索を試せるフォームを用意しています。フォームおよびSPARQL検索用APIの仕様書など、詳しくは「SPARQLについて」および「SPARQL1.1(試行版)について」(Web NDL Authoritiesへリンク)をご覧ください。

Web NDL Authoritiesの機能について、さらに詳しく知りたい方は「機能説明」(Web NDL Authoritiesへリンク)もご参照ください。なお、Web NDL Authoritiesで提供している典拠データは、どなたでも申請なしで、無料でご利用いただけます。ご利用にあたっては「利用条件」(Web NDL Authoritiesへリンク)をご確認ください。

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[注1]「著者名検索」で検索できるのは、国内で刊行された出版物および外国で刊行された日本語出版物のうち、学習参考書や小冊子等を除いた書誌データです。外国で刊行された日本語以外の図書等については、一部のみ対応しています。また、雑誌記事索引や博士論文は対応していません。国立国会図書館が作成する書誌データの水準について、詳しくは「書誌データ水準」をご覧ください。

[注2]「件名検索」で検索できるのは、原則として、日本語図書のうち、実用書や学習参考書、小冊子等を除いた書誌データです。詳しくは、「書誌データ水準」をご覧ください。

[注3]著作典拠とリンクしており、「著作検索」に対応しているのは、原則として、2021年1月以降に新規作成された日本語図書および国内刊行洋図書の書誌データです。著名な古典作品などの一部の著作について、2020年12月以前に作成した日本語図書・洋図書の書誌データへのリンク追加作業も進めています。

[注4]著作典拠の「名称/タイトル」には、古典作品の場合は、原著作の言語に関わらず日本語のタイトルを、近現代の作品の場合は原則として原著作の言語のタイトルを採用します。ただし、近現代の作品でも、漢字、仮名、ラテン文字、キリル文字、ギリシャ文字以外の場合は日本語のタイトルを採用します。

[注5]国立国会図書館が運用するジャンル・形式用語典拠の一覧およびリンク対象となる資料については、「国立国会図書館ジャンル・形式用語作業指針」をご覧ください。

[注6]次の記事では、Web NDL Authoritiesで提供している典拠データの利活用事例を紹介しています。
是住久美子.ししょまろはんのLOD(Linked Open Data)に関する取組み―Web NDL Authoritiesの利活用事例紹介. NDL書誌情報ニュースレター. 2015年3号(通号34号), p.1-3,
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9496832_po_2015_3.pdf?contentNo=1#page=2, (参照 2021-06-09)
Linked Web NDL AuthoritiesとGeoNames.jp―典拠データの利活用事例紹介. NDL書誌情報ニュースレター. 2017年2号(通号41号), p.1-5,
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10358974_po_2017_2.pdf?contentNo=1#page=2, (参照 2021-06-09)

*国立国会図書館サーチの画面イメージは開発中のものです。

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