国立国会図書館憲政資料室 日記の世界

石坂泰三:昭和24(1949)年1月19日の日記より

石坂泰三

昭和24(1949)年1月19日

 東芝の内部事情 経済

この頃急に忙がしくなって仕舞[しま]った。全く手紙を書く閑さへない。…東芝では、如何ういふ訳か役員会を会社で開かず、交詢社とか日本クラブとか、工業倶楽部とか、鉄道協会とか、転々として変って歩いてゐるので、自分の席へ戻る閑がない。これは幹部が組合に押しかけられるのを廻避する為だと思ふが、少し馬鹿げてゐる様に思はれる。費用と時間の浪費で、社員は役員に会ふ事も出来ず、私でさへも誰が何処にゐるか判らない。

東芝の役員となった石坂は、会社の再建に乗り出します。石坂は真正面から労働組合との交渉に臨みますが、労働争議の経験のない他の経営陣は労働組合とぶつかることを恐れ、転々と役員会の開催場所さえ変えていました。