国立国会図書館憲政資料室 日記の世界

福島安正:明治40(1907)年8月19日の日記より

福島安正

明治40(1907)年8月19日

旧知の宣教医を訪ねる  海外

英国宣教医グレーを訪ふ。午睡中にて面会せず。氏は、十五年前余が単騎遠征の途次、この地に来りし時の旧相識なり。彼は団匪[だんぴ]の変、家を焼かれ、家財を奪はれ、身をもって浦港[ウラジオストク]に逃れしも、事収ればまた旧の如し。その忍耐感ずべし。

中国東北部の吉林に来た福島は、英国人宣教医グレーを訪ねました。宣教医はかつて福島がシベリア単騎遠征をしたとき以来旧知の人物です。彼は明治33(1900)年の義和団事件で襲撃を受けて、ウラジオストクに一時逃れましたが、再び戻ってきたとのことで、福島はその忍耐強さに感心しています。