国立国会図書館職員 先輩からのメッセージ
利用者サービス部政治史料課 福山 樹里
主な経歴
- 平成22年4月 入館(II種)、主題情報部科学技術・経済課
(平成23年10月 利用者サービス部科学技術・経済課に組織再編) - 平成25年4月 電子情報部電子情報流通課
- 平成28年8月 長期在外研究(フンボルト大学及びキングス・カレッジ・ロンドン)(平成29年7月~副主査)
- 平成30年10月 利用者サービス部政治史料課(平成30年10月~副主査、平成31年4月~係長、令和元年7月~副主査、令和元年10月~係長)
はじめに
私は、大学と大学院で音楽学を専攻し、修士論文の提出後に、自分が分野を問わず調査すること自体が好きであることに気づきました。その後、当館のホームページを偶然見て、誰かのために調査し文章にまとめる仕事があること、情報の流通環境の整備を核としていることを知り、当館の存在意義に共感したため受験しました。
現在担当している業務
占領期資料係の仕事は大きく4つあります。1つめは資料の収集で、政治史料課が担当している3種類の資料のうち、日本占領関係資料と日系移民関係資料を担当しています。2つめは資料の整理です。書誌データを作成して資料を検索できるようにし、同時に提供に備えて資料を装備します。3つめは資料の保存で、現在はデジタル化が中心です。4つめは利用者への案内で、資料の調べ方などをご案内しています。
担当業務のやりがい・魅力
資料を収集していると、情報というのは、残そうと努力する人間がいなければ残らないのだと、つくづく思います。占領期と移民、どちらも情報の空白地帯を持つ領域です。何もしなければ消えていたはずの資料に、人が出会って喜ぶ瞬間に立ち会うと、資料の収集はいつかの未来にも人の喜びにつながるのだと感じ入ります。
また、いくら資料を収集しても、何もしなければその存在は知られず、ないのと同じです。資料を必要とする誰かが見つけられるようにしたい、そして活用してほしい。そのためには、資料の情報をデータ化してシステムに登録する必要があります。書誌作成の細かいルールを学んだり、資料の有様が伝わる表現を考えて言語化したり、データ処理技術に習熟したりと、常に学びと実践と反省の繰り返しです。それでも、検索できるようになれば充実感がありますし、資料が利用されれば嬉しく、検索できるようになればやっぱり資料は使われるのだと、この仕事の意義を感じます。
デジタル化は、数年で成果が実る仕事です。占領期資料係では、図書や雑誌といった紙の刊行物だけでなく、マイクロフィルムや写真帳、パンフレットなど多様な資料を担当しているため、難しさも試行錯誤も楽しみつつ、日々こつこつ取り組んでいます。
在外研究等の経験
当館には、国内外への出張や在外研究の機会があります。私も、国内外の図書館への訪問調査、国際会議での発表、ドイツとイギリスの修士課程への留学等を経験しました。一歩外に出れば当館の代表として見られ、当館の活動への感謝や期待、担当外の業務への質問、時には批判の言葉も投げかけられ、様々な気づきにつながります。在外研究等の経験は、自らの成長や業務改善策の検討へのきっかけとなるだけでなく、仕事をする上での励みや支えにもなる魅力的な機会だと感じています。
当館職員を目指す方へ
当館には多様な仕事があり、いずれも情報の収集、整備、提供につながっていると思います。情報を重要だと思う人、多くの人の役に立つ仕事をしたい人、学ぶべきことを自分で見つけて、新しく得た知識を経験に変えられる人なら、きっと楽しめると思います。ぜひ一緒に働きましょう。