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第20回科学技術情報整備審議会

日時:

令和8年7月29日(水)午前10時から午前11時40分まで

場所:

東京本館総務課第一会議室(ウェブ会議サービスを用いたハイブリッド開催)

出席者:

科学技術情報整備審議会委員 10名、陪席 1名
(委員)安浦寛人委員長、竹内比呂也委員長代理、浅川智恵子委員、有田正規委員、生田知子委員、池谷のぞみ委員、大隅典子委員、黒橋禎夫委員、野末俊比古委員、渡部泰明委員
(陪席)金子博之科学技術振興機構理事(橋本和仁委員の代理)
館側出席者 18名
館長、副館長
(幹事)総務部長、調査及び立法考査局長、収集書誌部長、利用者サービス部長、電子情報部長、関西館長、国際子ども図書館長
(陪席)総務部企画課長、総務部副部長会計課長事務取扱、収集書誌部主任司書、利用者サービス部副部長、利用者サービス部サービス企画課長、電子情報部副部長、関西館図書館協力課長
(事務局)利用者サービス部科学技術・経済課長、電子情報部司書監電子情報企画課長兼務

会議次第:

1. 開会
2. 国立国会図書館長挨拶
3. 新委員・新幹事紹介
4. 委員長選任
5. 委員長代理の指名
6. 報告及び懇談
 (1)第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画の策定
 (2)国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―の策定
 (3)懇談
7. その他
8. 閉会

配付資料:

第20回科学技術情報整備審議会次第(PDF/46KB)
資料1 科学技術情報整備審議会関係者名簿(PDF/93KB)
資料2-1 第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画(PDF/219KB)
資料2-2 第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画の概要(PDF/538KB)
資料3 第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画の実施状況及び評価(PDF/259KB)
資料4 国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―(PDF/1MB)
(参考資料)
1 科学技術情報整備審議会規則(PDF/69KB)
2 科学技術情報整備審議会議事規則(PDF/60KB)
3 第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言―私たちの社会と未来をつくる知識基盤を目指して―(令和7年12月17日 科学技術情報整備審議会)(PDF/2MB)
4 国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―(パンフレット)(PDF/2MB)

議事録:

1. 開会

上保利用者サービス部長:

ただいまから、第20回科学技術情報整備審議会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、この度は、委員への御就任を御快諾いただき、ありがとうございました。お忙しいところ、また昨日、熊本地震が発生し大変心配な状況にもかかわらず、当審議会に御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日の審議会でございますが、現在、委員長が空席となっておりますので、委員長選任までの間、暫定的に幹事である私、利用者サービス部長の上保が進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、14名の委員中、ただいま9名の委員に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。
まずは事務局からお知らせがあります。

井上科学技術・経済課長:

当館東京本館の会場での御出席は、有田委員、池谷委員、大隅委員、竹内委員、野末委員、安浦委員、渡部委員の7名です。竹内委員は若干到着が遅くなられると伺っております。オンラインでの御出席は、浅川委員、生田委員、黒橋委員の3名です。なお、生田委員は用務のために10時半頃までに中座されると伺っております。また、浅川委員も途中で中座されると伺っております。御欠席は、北川委員、小口委員、橋本委員、林委員の4名です。橋本委員の代わりに、科学技術振興機構(以下「JST」)の金子博之理事に会場で御陪席いただいております。
本日、当館からは幹事のほかに、倉田館長、木藤副館長、審議会事務局等の職員も同席しています。新委員及び新幹事につきましては、後ほど御紹介します。
今回は、対面及びオンラインのハイブリッド開催とさせていただいております。オンライン参加の委員の皆様方におかれましては、会議中、常時カメラをオンにしてくださるようお願いいたします。マイクは、御発言の時以外はミュートにしてください。御発言については、委員長から指名を受け、会場参加の委員の皆様は、お手元のマイクのスイッチを入れてお話しください。オンライン参加の委員の皆様は、マイクのミュートを解除してからお願いいたします。なお、御発言を求められる場合は、お名前を挙げて御発声して、委員長選任までの間は上保に、委員長選任後は委員長にお知らせください。

2. 国立国会図書館長挨拶

上保利用者サービス部長:

開会に当たり、館長の倉田から御挨拶申し上げます。

倉田国立国会図書館長:

この度は、御多忙のところ、本審議会委員をお引き受けくださり、誠にありがとうございます。また本日は、第20回科学技術情報整備審議会に御出席を賜り、重ねて御礼申し上げます。
本審議会では、令和6年度と7年度の2か年にわたりまして、今後の国立国会図書館(以下「NDL」)の科学技術情報整備の基本方針について御議論いただき、昨年12月の第19回科学技術情報整備審議会において、提言を頂戴いたしました。提言の取りまとめに際しましては、委員の皆様に多大なる御尽力を頂きましたことに、改めて御礼申し上げます。
NDLでは、頂戴した提言を踏まえまして、今年の3月に「第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画」(以下「第六期基本計画」)を策定いたしました。この基本計画は、提言において示された長期的な展望の下、NDLが多様な情報資源へのアクセス手段を広く提供し、現在のデジタル社会を生きる私たちのみならず、100年後の未来の人々からも、主要な情報源として信頼される知識基盤を構築していくために、NDLが令和8年度から令和12年度までの今後5年間に取り組むべき事項を定めたものでございます。本日は、この基本計画について御報告申し上げます。
また、NDLの新しいビジョン「国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―」を今年の4月に公表いたしました。NDLは、知の基盤の構築と、その基盤へのアクセスの拡大を通じた社会活動の活性化を基本的な役割としており、新ビジョンもその方向性に大きな変化はございません。しかし、前ビジョンでは、知の基盤の「デジタルシフト」を大きな目標としたのに対し、新しいビジョンでは、「デジタルシフト」を前提とした上で、「共に」知の基盤を構築し、知の再生産という「循環」をいかに作り上げるか、この「共に」と「循環」に焦点を当てています。
本日は、この基本計画とビジョンにつきまして、委員の先生方に御議論いただきたく、お願い申し上げます。これらの実施に当たり、NDLが留意すべき点等に関し、忌憚のない御意見を頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

3. 新委員・新幹事紹介

上保利用者サービス部長:

それでは、会議次第の3に移ります。委員名簿を資料1として配付しておりますので、御覧ください。新たに御就任くださった委員を御紹介いたします。
今期から、国立遺伝学研究所の有田正規先生、文部科学省大臣官房の生田知子審議官が新たに委員に御就任くださいました。御新任の委員には、一言お言葉を頂戴したいと存じます。まず、有田委員、お願いいたします。

有田委員:

御紹介にあずかりました国立遺伝学研究所の有田です。日頃はDDBJと呼ばれる塩基配列のデータベースのセンター長をしております。今、科学データは、無償・オープンで公開されて当然と意識されています。しかし、国際的には、生物のゲノムデータ、いわゆる塩基配列のデータは国の資産であるという意見が主に途上国から出されています。この考え方は「データ主権」と言われ、大多数の途上国サイドは無償・オープンでデータを使うなと主張してきています。インターネットが普及すると「知」が世界中に回ってより住みやすいより良い社会ができるように思われますが、残念ながらオープンが良いという意見に収束しない難しさを実感しています。いろいろインプットしていきたいので、よろしくお願いいたします。

上保利用者サービス部長:

ありがとうございます。続きまして、生田委員、お願いいたします。

生田委員:

文部科学省(以下「文科省」)の生田でございます。前職は大臣官房政策課で国立国会図書館支部文部科学省図書館長を拝命しておりました。NDLとの関係では、正にいつもお世話になっているところでございます。この4月から今の職に参りまして、こちらの委員を拝命いたしました。皆様方からいろいろと御知見を頂きながら勉強をしていきたいと思っております。
科学技術・イノベーション関連で言えば、時を同じくしてこの4月から「第7期科学技術・イノベーション基本計画」がスタートしました。世の中もかなり変わってきている中、文科省ではAI for Scienceにかなり力を入れており、私が今所属している部署では特に生成AI関係を担当しています。その観点から、AI時代における図書館の意義、特に物理的・ハード的なものを抱えている図書館の意味は何だろうと考えを巡らせました。先ほど有田委員からもあったように、今の時代はデータ・情報の意味や位置付け、価値が変化してきていると感じています。特にNDLと言えば、絶対的な正しいソースを提供してくれるという信頼性を持っている、デジタルになってきているものも多くあるとともにまだデジタル化されていない過去の情報も含めて網羅性がある、これからの時代重要になってくると思われる著作権の処理をしっかりクリアした高品質なデータを抱えているという観点から、唯一無二の存在であると感じています。いろいろな観点から私も勉強していきたいと思います。
冒頭にお話しいただいたとおり、本日用務が入っておりますので途中で離席させていただきますことをあらかじめ申し上げます。御容赦いただければ幸いです。本日はよろしくお願いします。

上保利用者サービス部長:

ありがとうございました。御新任の委員の皆様の御挨拶は以上とさせていただきます。
また、NDL内の人事異動に伴い、幹事に異動がありましたので御報告いたします。辰巳電子情報部長、兼松関西館長、田中国際子ども図書館長が、前回の審議会以降に新たに幹事に任命されました。また、本年1月、副館長に木藤淳子が就任いたしました。

4. 委員長選任

上保利用者サービス部長:

それでは、会議次第の4、委員長選任に移ります。お手元にございます参考資料1の科学技術情報整備審議会規則第2条第5項の規定に従って、委員長を委員の皆様の互選により選任していただきたいと存じます。どなたか御推薦いただけませんでしょうか。

黒橋委員:

国立情報学研究所(以下「NII」)の黒橋でございます。前期に引き続いて安浦委員にお願いできたら大変よろしいのではないかと思います。

上保利用者サービス部長:

ありがとうございます。
ただいま、黒橋委員から安浦委員を委員長にと御推薦いただきました。委員の皆様の御異議がございませんようでしたら、安浦委員に委員長をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
御異議はございませんようですので、当審議会の委員長は、安浦委員にお願いしたいと存じます。安浦委員長には、これ以降の議事を進めていただきます。安浦委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

安浦委員長:

御指名いただきましたので、今期も前期に引き続き本審議会の委員長を務めさせていただきます。皆様方、よろしくお願い申し上げます。
先ほど、館長からのお話にございましたように、NDLの使命が時代の要請によってある意味で大きく変わろうとしている時期ではないかと思います。この委員会は「科学技術情報」というタイトルが付いておりますが、これはいわゆる自然科学や医学、工学というような学問領域だけではなく、人文社会科学、歴史学、経済学など幅広い科学技術に対する基本的な情報を、NDLが今後どのように集めて、国民の皆様、それを代表して様々な立法を行っていただく国会議員の皆様方に提供するかを考えるという使命があるのではないかと思います。
先ほど、有田委員からお話がありましたように、いわゆる純粋なデータに対する考え方も今世界的に大きく変わろうとしております。一方で、人文社会系に関しては、歴史的な事実や、経済がどのような理由で動いているかという解釈も、ある意味、データによって変えることができる時代になってきていると思います。その中で、いかに信頼できる科学技術情報を整備して国民に届けていくかという視点で、今回も皆様方の幅広い御意見を頂ければと思います。よろしくお願い申し上げます。
また、NDLの職員の皆様方におかれましては、今までやってきたことと違うことをやらないといけない時代で、いろいろとお困りのことも出てくるかもしれません。できること、できないことがあると思いますが、この審議会では、こうあってほしいという方向性を各委員から出していただきますので、それを実際の業務の中でどのように反映していただくかということに関しては職員の皆様方に知恵を絞っていただくことになると思います。是非、よろしくお願いいたします。

5. 委員長代理の指名

6. 報告及び懇談

安浦委員長:

それでは会議を始めていきます。会議次第6の報告及び懇談に移ります。
まず、「(1)第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画の策定」及び「(2)国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―の策定」について事務局が報告した後に、懇談を行います。事務局の報告への質問は、懇談の中でお受けしたいと思いますので、委員の皆様方はそれぞれのお立場からの質問及び御意見をお考えになりながらお聞きいただければと思います。
では、まず「(1)第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画の策定」について、事務局から報告をお願いします。

井上科学技術・経済課長:

(資料2-2に基づき説明。資料2-1及び資料3は提示のみ)

安浦委員長:

続いて、「(2)国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―の策定」について、報告をお願いします。

福林企画課長:

(資料4に基づき説明)

安浦委員長:

それでは、懇談に入る前に、会議次第5の委員長代理の指名を先に行いたいと思います。審議会規則第2条第7項の規定に従い、委員長が不在の場合に委員長に代わって審議会を運営するために、竹内委員に委員長代理をお願いしたいと思います。御異議ございませんか。
異議なしと認めますので、委員長代理は竹内委員に決定いたしました。竹内委員、よろしくお願いいたします。

竹内委員長代理:

承りました。

安浦委員長:

それでは、懇談に移ります。審議会からの提言に基づいて第六期基本計画が策定されました。また、あわせて、「国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―」(以下「ビジョン」)も策定されました。これらの内容について、御質問や御感想、実施に当たってNDLが留意すべき点やNDLに要望したい点などがありましたら、御発言をお願いします。どなたか先頭を切って御発言いただけるということでしたらお願いしたいですが、なければ五十音順で進めさせていただいてよろしいでしょうか。有田委員、お願いできますでしょうか。

有田委員:

文献だけでなく、データへ発展して、知の循環をつくるというビジョンは非常に素晴らしいと思います。
私は、自己紹介で申し上げたように、天然の塩基配列データを扱っております。それに対する権利を各国が主張し始めているわけです。私が要望として挙げたいのは、データに対するライセンシングの整備です。今までの著作権法がかかるものは、著作権を基に少しずつ改変していくしかないと思いますが、特に例えば、著作権切れというだけで扱われている古典籍や画像等に関して、オープンアクセスだから無償で誰でも自由に使っていいのかというと、そうとは限らないと思います。例えば、個人情報が入り込んでいることも考えられます。特にAIを使った場合は、オープンなデータを組み合わせることによって、個人の特定に至るケースもこれから出てくると思います。NDLのデータを使う以上、データの利用においては、悪用しないことは当然として、何か利益が出たときには、その利益配分をデータ提供者や連携する図書館、博物館にも戻すといった枠組み、責任ある利用のためのライセンスの整備をお願いしたいです。

安浦委員長:

ありがとうございます。これは先ほどのビジョンにございました、知の循環を支える組織を作ることにまで関係する非常に大切なポイントかと思います。続きまして、池谷委員、お願いします。

池谷委員:

私は、第六期基本計画策定に向けての提言の審議に参加させていただきましたので、当時の議論が非常によく反映され、なおかつ進捗が見えるという点に非常に感銘を受けております。私は、大学で教えたり研究したりする立場で、情報を使う側でも作る側でもあることから、そのような観点で申し上げます。前回、新聞データのデジタル化の話があったと思います。最近、卒論に関わる中で、商用プラットフォームで地方紙がなかなか使えなくなっている事実に改めて気付き、非常に不便を感じました。日本全体の様々なことを把握する上でも、中央紙ばかりではなく、地方紙に容易にアクセスできるということが重要で、デジタルであればより容易にアクセスできます。基盤整備の中にはそういう観点も入れていただいていると思いますが、継続的に推進していただくことが非常に重要ではないかと思いました。
次に、コミュニティへのアプローチというところで、非常に広い方々との連携を掲げておられる点も心強く感じます。若年層に関わるアクセスについて考えられており、教育関係者へのアクセスについては、底上げという意味でも、教育現場の大変さ、例えば、小学生からAIに頼ってしまっているという現場の現状を見るにつけても、非常に重要だと思います。そのあたりを書かれていることをポジティブに受け止めています。
デジタルで知を開くということは、障害のある方、学校に行かない・行けない方、その中にはギフテッドの方又は発達障害の方のような方々も含まれるわけですが、そうした様々な人々にとって非常に重要だと思います。同時に、私は大学でミュージアムにも関わっておりますが、文化財やアートといった研究資源的なモノに触れることから入っていくことも重要であることに気付きます。そのため、NDLは、モノとして様々な蔵書を持っていることを大事にして、デジタルとの両輪で、様々な方が知に触れられる取組を継続していただけたらよいのではないかと改めて思いました。

安浦委員長:

ありがとうございます。続いて、大隅委員、お願いいたします。

大隅委員:

私は、現在は日本学術振興会におりますが、前職の東北大学では図書館長も務めましたので、NDLの科学技術情報整備審議会に携われることを大変有り難く思っております。また、今回のビジョンなどに掲げられた言葉が印象的で、「共につくる知の循環」、100年後も残るべき情報を残していくといった方針に感銘を受けた次第です。
まず一点、質問させていただきます。第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画の実施状況及び評価(資料3)の8ページに、外国雑誌の電子ジャーナルについてバックファイルを含めて整備を行い、購読タイトル数が1,283タイトル増加したとあるのですが、総数は何タイトルあり、その中にメジャーなものはどの程度そろっているのでしょうか。というのも、例えば、地方の大学等では研究のための電子ジャーナルへのアクセスが悪い研究者もいるという点が大変問題だと思っております。NDLは国民全体がステークホルダーであるという観点から、そのあたりをきちんと伺いたいと思いました。
次に、意見として三点申し上げます。まず、納本された書籍等のデジタル化を粛々と進められていること、これ自体は大変素晴らしい事業であると思います。一方で、紙資料をスキャンしてデジタル化するというのは、元々デジタルなものをそのまま使えるようにすることと比べれば、とても無駄な労力を掛けているようにも見えます。著作権の問題等があることは承知しておりますが、出版社との間でどのような課題整理ができるのか、是非今期の間に進めていただけるとよいと思います。和書の中でも商業的なものはデジタル化が進展する一方、学協会の和文雑誌や研究者の知の成果を著書にまとめたものはなかなかデジタル化が進んでいない現状があると思います。こういった和書のデジタル化についても、NDLがリードしていただけるとよいと思いました。
二つ目は、重点的収集についてです。知の全てを収集することは到底困難であるとしましても、例えば、昨日も熊本で大規模地震がありましたが、日本は昔から災害とともに暮らしてきた面がありますので、自然災害を未然に防ぐことはできないとしても、減災やその後の対応に関して、災害関連資料の集約に取り組まれるとよいのではないかと思いました。例えば、東北大学のある仙台では、「せんだいメディアテーク」に災害ライブラリーが設けられ、毎年3月に公開のイベントが開催されています。今後の活動の中でこのようなことも一考していただけるとよいかと思いました。
最後に、デジタル化は本来、首都圏と地方の格差をなくすことができるツールのはずですが、実際は、地方の方がむしろデジタルへのアクセスが悪い場合もあり、必ずしもそうなっていないと感じられます。NDLが身近なところにないために、存在自体を御存じない、あるいは、縁遠いものだと思っている方もいらっしゃるかもしれません。地方の公共図書館との連携を密にして、その公共図書館にはないものでもNDLの蔵書にデジタルでアクセスできることを周知されるとよいのではないかと思いました。

安浦委員長:

ありがとうございました。有田委員、池谷委員、大隅委員から御意見等頂きましたが、NDLからこの場で回答いただけるものがあれば、よろしくお願いします。

辰巳電子情報部長:

電子情報部長の辰巳です。
まず、池谷委員からの御質問にお答えします。新聞のデジタル化については、大手新聞社を中心に商用データベースが作られておりますので、そちらとのバッティングが問題となります。一方で、地方新聞社にはデジタル化の体力がなく、なかなかデジタル化が進まないという状況があるとも聞いております。このような状況を踏まえて、現在、新聞のデジタル化を試行しております。日本新聞協会とも御相談し、バッティングを避けつつ、デジタル化を進めていければと考えているところです。
障害のある方へのサービスについて、発達障害等についてお話がございました。(国立国会図書館障害者用資料検索(みなサーチ)を通じた)NDLの障害者サービスは、「視覚障害者等」を対象としておりまして、対象を視覚障害者の方に絞ってはおりません。他の障害をお持ちの方にも同様に御利用いただけるサービスを提供しており、データをダウンロードして利用できるサービスなど、今後も視覚障害者以外の障害者の方(活字を読むのに障害がある他の障害者等)にも配慮したサービスをしてまいりたいと思っております。
大隅委員からは、デジタル化の地域格差についてのお話を頂きました。こちらについては、NDLのデジタル化資料の図書館送信、個人送信というサービスも展開しておりますが、認知度が十分でないところは御指摘のとおりですので、今後十分な周知を図ってまいりたいと存じます。

井上科学技術・経済課長:

大隅委員からの外国雑誌の電子ジャーナルの購読タイトル数についてのお尋ねに御回答いたします。手元の資料で確認できた範囲ですが、外国雑誌の電子ジャーナルの現在の購読タイトル総数は3,122タイトルでございます。正確な数値につきましては改めて確認し、後ほど事務局から回答を共有させていただきます。

(補足)
外国雑誌の電子ジャーナルの購読タイトル数は、令和8年7月現在、科学技術関係資料費による主に科学技術分野の購読タイトルが3,122タイトル、図書館資料購入費による主に人文社会分野の購読タイトルが1,174タイトルあり、合計で4,296タイトルとなります。
また、現在は購読しておらず最新号までは利用できませんが、バックファイル等過去の一定期間の刊行分を利用できる電子ジャーナルも含めると、タイトル数は合計で24,967タイトルあります。
NDLの資料収集の方針について定めた「資料収集方針書」では、外国雑誌の電子ジャーナルについては国際的に評価の高いもの、基本的な学術雑誌、基幹的な学協会誌、紀要等を優先的に収集することとしています。これに基づき、Elsevier、Springer Nature、Wiley、Taylor & Francis、SAGE Publishing、American Chemical Society(ACS)、Institute of Physics(IOP)、Royal Society of Chemistry(RSC)、Lippincott Williams & Wilkins(LWW)等の学術出版社、学協会等から刊行された電子ジャーナルを利用することができます。

辰巳電子情報部長:

大隅委員から頂きました重点的収集についての御指摘についても御回答いたします。災害関連情報について、NDLは「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)」を構築しております。「東日本大震災」という名称ですが、それ以外の地震の情報、また、地震に限らず各種災害の情報(地震に伴う津波や原子力災害等の災害の情報)も収集しております。今回の熊本地震についても収集体制を強化し、情報の収集・保存を図りたいと考えているところでございます。

安浦委員長:

ありがとうございます。それでは続きまして、黒橋委員、お願いします。

黒橋委員:

オンラインから、少しコメントさせていただきます。まず、この第六期基本計画、それからビジョンについて、大変素晴らしいものをおまとめになったと思います。敬意を表したいと思います。私からは二点、主にビジョンに関連付けて申し上げます。
まず一つ目は、ナショナル・コレクションについてです。私は今、デジタルアーカイブ学会の会長も務めております。デジタルアーカイブ学会は、2017年にデジタル知識基盤の構築に対する研究開発、人材育成、また、そのための法制化を目的として活発に活動してきた学会でございます。今、デジタルアーカイブ推進の法制化について力を入れており、「骨太の方針2026」にもデジタルアーカイブの重要性を記述してもらうことができましたので、少し可能性が出てきていると感じています。現在のところ、NDLではある一定範囲のものについてデジタルアーカイブ化を進めておりますけれども、これを拡大していくということを、是非一緒に考えさせていただけたら有り難いと思います。
今、AI for Scienceは、文科省だけでなく、国全体の大きな方向です。まずはライフサイエンスやマテリアルサイエンスというところで戦略的に研究開発を進めるという風潮ですが、人文社会科学のデータ、文献ももちろん非常に重要です。いろいろな社会課題がありますけれども、価値観の問題に帰着されると思います。例えば、少子化問題は人生の価値観をどう考えるかということだと思いますし、先ほども少しお話がありました防災都市計画についても生活の価値観、地域紛争についても共同体の価値観というようなことかと思います。そういうことを今後AIとともに考えていくためには、正に広い意味でのデジタルアーカイブがますます重要であると思います。
二点目は、ビジョンで言いますと、重点事業2に対応するAIにおけるデータの活用という視点です。昨今はサーチエンジンでもなく、AIに聞いて回答を見るという形が、人々の情報探索における基本的な行動になりつつあります。RAGの場合には、リファレンスも付いています。逆に言いますと、AIの回答に含まれないものは、情報として存在していると言いにくい、なかなかアクセスされないという時代になってきております。その中で、日本の様々な活動や文化的なものがそこに含まれるということは非常に重要です。これはステップバイステップだと思いますが、日本のある程度公的なソブリンモデルの研究開発としては、例えば、デジタル庁の「源内」ですとか、文科省の中ではNIIを中心にやらせていただいており、また、経済産業省のフィジカルAIのプロジェクトも想定としてはLLM的な言語モデルも作っていくということで立ち上がっています。そのような公的な部分に対して、NDLに所蔵されている数百万冊規模のデジタル化された日本の知の集積を活用していくことを、スピード感も含めて御検討いただけたら有り難いのではないかと思っております。そのときには権利者の権利を侵害するということではなくて、一定程度の利益を還元するモデルを考えながら、場合によってはオプトアウト的なことも含めて進めていくことが重要です。そうしなければ、いろいろなところにある情報がビッグテックの草刈り場状態になり得ます。逆に、きちんと整備し活用して、権利還元のモデルも考えていく、そういう方向でNDLも進んでいっていただけたら有り難いと思いますし、NIIとしても、できる限り協力をさせていただきたいと思っております。

安浦委員長:

はい、ありがとうございました。それでは続きまして、竹内委員、お願いします。

竹内委員長代理:

本日は遅れまして、議事の進行にも支障が生じてしまいましたこと、まずはお詫び申し上げます。
本日御説明いただきましたビジョンを含む新しいNDLの方向性ということにつきましては、全体として非常によくできているものと考えております。特にNDLのミッションとして、これまで紙の資料をベースとして行ってきたことに対して、電子的な情報が増えてくる中で、本質的にやらなければならないことをどのように担保していくかということについて、様々な要素が組み込まれていると理解をしています。そのように考えますと、電子の情報が非常に多くなってきた中でNDLは何をすべきなのか、何をしたいと考えているのかというステートメントを、NDLの側から一度出していただいた方が良いであろうし、そのような時代に入ってきたのではないかと思いつつ、個々の要素としては非常によく網羅されていると思いました。
特に今回、ナショナル・コレクションが非常に重要な点であると思っております。2023年1月に科学技術・学術審議会のオープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会が審議まとめを出しておりますが、その中でも、日本語蔵書のデジタル化に関して、「国立国会図書館の蔵書のデジタル化を中核に、各大学図書館等がこれとは重複しないよう留意しつつデジタル化を進め、それらへのアクセス環境を最適化することにより全国規模のデジタル・アーカイブ基盤を構築する」ということが述べられています。審議まとめではナショナル・コレクションという表現を直接使っているわけではありませんが、「全国規模のデジタル・アーカイブ基盤」は、少なくともデジタル環境におけるナショナル・コレクションと呼ぶことができるものと考えて記述されております。この時には、NDLのミッションということを考えた場合に、日本で生み出される資料以外については原則的にはNDLの収集対象外となるだろうと考えていましたので、日本語の蔵書という限定をかけておりました。今日、日本語資料のコンプリヘンシブなデジタルコレクションの形成が、NDLが果たすべき役割であるということを考えても、あるいは日本の学術の基盤ということを考えても、特に先ほど黒橋委員から御言及がございました日本におけるAI for Scienceということを考えても、目下の最重要課題と言えるのではないかと思っております。この点について是非、NDLに旗を振っていただいて、多くの図書館がこれに協力するという体制を進めていくことができればと思っております。
ただ、このナショナル・コレクションは、なかなか定義が曖昧な部分がございます。正直に申し上げますと、資料4の4ページの「公共図書館・大学図書館などを含む「国全体の蔵書」」という表現に若干驚いたところがございます。例えば、我々が契約をしている電子ジャーナルなどはこれに含まれるだろうかというようなことまで考えてしまいました。先ほどの福林課長の御説明を伺っている限りでは必ずしもそうではないと理解ができて安心したところですが、先ほど申し上げましたように、我々が何をナショナル・コレクションとして考えるべきなのかということのより明確な説明が広く求められていくのではないかと思います。そのような中で、ナショナル・コレクションを実現していくために、資料で「基本原理」と表現されている、様々な連携機関との協力を組み合わせるという考え方には全く異論ございません。以前であれば、コンテンツ提供基盤としてのプラットフォームの統合化といったことを考えなければならなかった時代もあったと思いますが、今の状況を考えれば、複数のプラットフォームが、一定の調整の下で役割を分担した上でそれぞれ特有のコンテンツを有し、それを統合的な検索の対象としていくということは、極めて合理的な方向性だと思います。しかしながら、NDLが著作権法上非常に特権的な地位にあることも間違いのないことですので、その特権的な地位をフルにいかしていただくことが国民全体にとって利益になるということは、やはり申し上げておきたいと思います。

安浦委員長:

はい、どうもありがとうございます。それでは、野末委員、お願いします。

野末委員:

野末でございます。私は基本方針検討部会で密に議論をさせていただいくことで提言に関わらせていただきましたので、十分に、更には具体的に反映されており大変嬉しく思っております。そのため、重ねて申し上げることはあまりございません。
今、皆様がおっしゃっているように、非常によくできたものになっているのですが、バラエティーに富んでおり、やることがたくさんあるということもまた事実であると思います。したがって、当然ながら、優先順位を付けながら、資源をどこに投入するかということを考えながら実行に移していくということになると思います。その際に、先ほどの御説明でも、第六期基本計画にも、年度ごとに進捗を確認しながら計画も柔軟に見直すとありますが、テクノロジーや社会のニーズの進展、変化に合わせて、年度と言わずに、是非もう少し短いスパンで躊躇なく柔軟に見直していただきたいと思います。特にAIの変化は一年ごとではとても追いつかないペースです。
その際に、優先順位をどのように付けていくかについて考えると、今回の提言のベースには利用者の存在があります。利用者の顔を見て、利用者がどのようなニーズを持っていて、どのような情報を、どのように使うかというところを発想の基盤にして提言を作っています。先ほどウィキメディアンの話などが出てきましたけれども、優先順位を付けるときに、利用者にとっての利益や成果の大きさみたいなものを是非基準にしていただきたいと思っています。もちろん、NDL側の都合もいろいろあると思いますが、是非利用者、ひいては国民、国全体にもたらすメリットで判断をしていくということを基軸にしていただきたいと思っております。
それからビジョンについてです。こちらも、ナショナル・コレクションという大きな理念の下に集約していくということを強く受け止めました。五つある重点事業の中の最後の組織作りのところが非常に重要だと思っています。組織作りの際に、もちろんNDL自体をきちんと時代に合わせたものにしていくということも大事ですが、その中で今回、第六期基本計画にも含まれていますけれども、外部との連携協力は非常に重要になってくると思っています。NDLだけで全てを完結するわけにはとてもいきません。先ほど来、委員の皆様からも出ているとおり、外部の様々な所と協力していかなければならないので、柔軟に協力ができるような体制を含む組織作りというところを強く希望したいと思います。例えば、重点事業4にAIなどを活用した探索がありますが、情報の探索の研究開発は民間を含んだ様々な所でも既に取り組まれています。そういった知見をうまく取り入れられるような外部機関と連携することが考えられるかと思います。国全体のうまい旗振り役になっていただくような組織作りになるとよいと思っております。

安浦委員長:

どうもありがとうございました。今、お三方からかなり重たいお話、御意見が出ましたが、NDLの方から御発言ございますか。浅川先生は御意見ございますか。

井上科学技術・経済課長:

浅川委員から、ただいまオンラインで御発言が難しいと承りましたので、浅川委員の御意見は、後日、事務局から皆様に共有いたします。

(浅川委員御意見)
視覚障害者等の情報保障に向けた新たな一歩として、図表に対する代替テキストに取り組むことには、社会的にも大きな意義があり、賛同します。特に、グラフやダイアグラムなど、学習や業務に必要な図表について、AIを用いて説明テキストを生成する技術は、近年の技術革新によって実用化に近づいています。
第六期基本計画に掲げられた、AI等を活用し、図・グラフ・画像といった本文以外の情報に代替テキストを付与する取組の検討を、是非着実に進めていただきたいと思います。
あわせて、その取組を支える評価用データセットの作成や、機械学習データとしても活用可能なデータセットの整備・提供についても、是非検討を進めていただきたいと思います。これらのデータセットは、AI技術の評価や改善、今後の技術的な方向性を示す指針としても重要です。
第六期基本計画及びビジョンでは、生成AI等の先進的な情報技術の活用・開発や、そのための環境整備が掲げられています。
こうした取組を進めるに当たっては、AI利用に伴うエネルギー消費や環境負荷についても、今後、説明責任が求められる可能性があります。このため、AI関連の電力使用量や温室効果ガス排出量を可能な範囲で把握し、段階的に開示の在り方を検討することを提案します。
AIの活用に伴うエネルギー消費や環境負荷については、算定の前提や方法がなお発展途上にあります。そのため、NDLが率先して利用ベンダーに情報開示を働き掛けるとともに、自らも把握・推計に努め、可能な範囲から情報を開示していくことができれば、社会的な意義は大きいと考えます。まずは、AI利用に伴う電力使用量及び温室効果ガス排出量を推定する取組を段階的に進め、実施状況の評価や、今後の技術・サービスの選定にも活用してはいかがでしょうか。

安浦委員長:

ありがとうございます。それでは橋本委員の代理で、本日、JSTの金子理事に御参加いただいておりますので、お願いいたします。

金子科学技術振興機構理事(陪席):

JSTで情報事業を担当しております金子と申します。本日は御説明ありがとうございました。
まず、本日御紹介いただきました第六期基本計画やビジョンにつきましては、情報流通を取り巻く環境変化を的確に捉えて、大変意欲的な内容であると感じました。私どもJSTも、J-STAGEやresearchmapなどを通じて科学技術情報の流通活用促進に取り組んでおりますけれども、NDLと目指す方向性に多くの共通点があると考えております。今後も是非連携を深めながら、知識情報基盤の充実に取り組んでいければと考えております。その上で、今後、特に重要になりますのは、デジタル化、オンライン化をどこまで進めていくかという課題ではないかと思います。
近年、海外の大規模AI事業者がインターネット上の膨大な情報を学習に活用する時代となっております。一方で、紙媒体の資料やテキストデータとして、十分には利用できない形で保存されている情報など、オンライン空間から取り残されている知識も少なくありません。NDLとJSTは、それぞれ立場は異なりますけれども、貴重な知識、情報資産をデジタル化し、利用可能な形で社会に提供していくという点では、共通の課題を抱えていると思っております。著作権との関係も含めて、どのような範囲で、どのような形でオンライン化を進めるべきかについては、今後是非継続的に議論し、知見を共有していければと考えております。
もう一点申し上げますと、昨今はサイバーセキュリティへの対応の重要性が急速に高まっております。私どものサービスにおいても、アクセスの増加やサイバー攻撃への対応が大きな課題となっておりまして、安定的なサービス提供のために様々な対策を講じているところでございます。場合によっては、アクセス制御の在り方そのものを見直さなければならない場面も想定されております。NDLも我々と同様、社会的に重要な情報基盤を担う組織だと思いますので、サイバー攻撃への対応やシステム運用上の課題につきましても機関の垣根を越えて、情報共有、意見交換を進めていければと思っております。以上、今後の連携への期待も込めて意見とさせていただきます。

安浦委員長:

どうもありがとうございます。それでは、渡部委員、お願いいたします。

渡部委員:

国文学研究資料館の渡部です。御説明ありがとうございました。周到に計画をお立てくださって、特に様々な機関との連携という点では、現在も当館も連携させていただいており、引っ張ってもらっている立場からすると大変心強い気が致します。
当館もテキスト化については、これから一番中心となってやっていかなければいけないと思っております。現在、OCRもNDLで開発されたものを最大限利用しております。当館は更にそれに研究を加えていき、情報交換なども求められておりますので、是非御協力をお願いしたいと思います。特に我々の領域である古典籍に関しまして、NDLも古典籍はたくさんお持ちですが、古典籍は同じ作品でも内容が違うためデジタル化が求められているところでもありますので、よろしくお願いしたいと思います。
また、特にAIの問題への対応が、これから大いに求められていくところでもあります。委員の方々からも大いに意見が出たわけですけれども、AIにどれだけ確度の高い、信頼度の高い情報を組み入れていくかということが喫緊の課題ではないかと思っております。特に日本語・日本の文献資料に関する情報があまりにも薄い中で、研究者や一般の方々が情報を得ていくことを、非常に危惧しています。つまり、デジタル化の危うさの一面です。もちろんデジタル化は必須だろうと思いますが、デジタル化が求められるからこそ、対面で得られる情報もまた求められるという関係にあると思います。確度の高い情報は、対面で身体的につながることによって、より密度の高い情報が補完できると私は思っています。そういうところにどのような道があるのかということも是非示していただければと思いますし、我々自身も考えております。一緒にいろいろ研究開発などを行い、同時に引っ張っていっていただければ有り難いと思います。
もう一点、地域の様々な図書館との連携ということを挙げておられて、これは本当に大事なことだと思います。地域活性化としても大きな問題として掲げられております。結局、原本は基本的に地域にあるので、私たちも地域に調査に行きますが、その地域が疲弊しますと、死蔵されて、下手をすると紙くずとして処分されかねないという非常に危機的な状況にあるわけです。ただデジタル化して残していけばよいだけのことではなく、地域こそ対面とデジタルの両方の良さが発揮できる場所だろうと思います。そのあたりの地域活性化ということも含めてNDLにも是非働き掛けていただきたいし、体制作りというものを進めていただけたらと切に願う次第です。

安浦委員長:

どうもありがとうございました。最後になりますが、私の方からも少しお話しさせていただきます。先ほどの黒橋委員や今の渡部委員のお話にも絡みますが、AIというものを無視はできないということで今回書かれており、正にデータは、そのAIが様々な仕事をするための材料になるという意味で非常に重要であるという点は間違いありません。一方で、AIは知識を圧縮する道具であって、ある意味でフィクションを作る道具であるという見方もできます。AIがジェネレートしたデータが蔓延している世の中にあって、何でもデータとして持ってくればよいというわけでもなく、ここの基準をどう作っていくかは、我々人類全体の今後の大きな課題ではないかと感じております。誰も答えは分かっていないと思いますので、是非、皆様と今期、議論をさせていただければと思う次第でございます。オリジナルデータとは何かということをやはり突き詰めて考えていく必要があるのではないかと思います。その中で、有田委員や黒橋委員もおっしゃいましたように、データを提供する人たちにもちゃんとメリットが行くようなサイクルを作っていくことが、我々が今後5年、10年で新しく作っていくべき方向性ではないかと皆様方の御意見をお伺いしながら感じた次第でございます。以上、私からの意見とさせていただきたいと思います。
最後に、本日御欠席の北川委員及び林委員からも別途御意見、御質問が寄せられたと聞いております。事務局から御紹介をお願いします。

井上科学技術・経済課長:

北川委員からは、全文テキストデータのAIの機械学習データとしての利活用に関して、外部への提供に係るNDLの考え方についてお尋ねいただいております。
また、林委員からは、御意見と御質問を一つずつ頂いております。まず、御意見ですが、NDLサーチの拡張について、外部機関と連携することで同じ資料に対して表記ゆれが生じるといったことにはならないように、しっかりと書誌情報が特定され、ISBNやISSN等を付して一意に特定できるようにしてほしいと承っております。
御質問は、第六期基本計画において、取組事項1の(1)(b)「オンライン資料の収集の強化」の③で「重点収集分野を定めて出版物を調査」(資料2-1の3ページ)とあるが、重点収集分野はどのように定めるのかというお尋ねでした。こちらについては、第六期基本計画本文にも記載した、デジタルに移行した国内発行の学協会出版物が当面の重点収集分野となります。その他については今後検討してまいります。

安浦委員長:

ありがとうございました。それでは、皆様の御意見を伺いましたが、全体を通してNDLから何か発言はございますか。

辰巳電子情報部長

先ほど北川委員から、全文テキストデータのAIの機械学習データとしての利活用について、外部提供に係るNDLの考え方について御質問を頂きました。この審議会の場でも、複数の委員の先生方から関連のコメントを頂きました。こちらについて、現在答えられることを回答させていただきます。
第六期基本計画策定に向けた提言におきまして、NDLが保有するデータを良質な学習データとして提供することで、生成AIを始めとする情報環境を支えることへの期待が示されたということを踏まえて、提供方針について、NDLにおいて検討を進めているところです。現在の状況としては、実験的サービスである次世代デジタルライブラリーにおきまして、著作権保護期間が満了した全文テキストデータ、すなわち図書と古典籍約35万点のデータをダウンロードして使用できるという状況になっております。機械学習に用いることも可能になっております。それ以外の全文テキストデータは、みなサーチで、視覚障害者等の利用についてはデータをダウンロードして利用できるのですが、視覚障害者等以外の方は利用できませんので、提供依頼があった場合に個別に検討して判断しているという状況です。NIIからも、公的機関の出版物の情報について提供依頼がありましたが、検討し、本文の情報が結果として出ないということを確認した上で提供しているところでございます。
AIの機械学習に関する著作権の考え方については、政府、文化庁の方で示されておりますとおりで、享受目的か非享受目的かというところで、非享受目的であれば権利制限規定が働きます。NDLとしましては、今後、AIに関する法制度、政策、他の国立図書館などの状況等も研究して、研究者、著作者、著作権者、出版社等、様々な関係者に御理解いただけるような、適切な方向性を見出し、方針としたいと考えております。以上、現状の御報告をさせていただきました。

安浦委員長:

金子理事からお話のありました、JSTとNDLの協力関係は、何か具体的に進んでいるのでしょうか。

辰巳電子情報部長:

JSTとの間では、定期的に懇談の場も持たせていただいており、今後も相談をしつつ対応を進めてまいりたいと思っております。

有田委員:

コメントよろしいですか。今、図書や古典籍で、著作権切れのもの35万点を利用してもらうという話がありましたが、一回公開したら、どう使われようと我々のコントロールが利かない状況になるわけです。そのため、私は絶対に、何か自分たちでライセンスを付けてほしいと思います。今のまま公開すれば、それこそ丸々コピーされ、例えば、どこかの国で自由に改変されたものが、日本ではなくその国のもののような形で公開されても文句を言えないわけです。そうした不適切な利用であるとか、AIに使用されたときにはそのAIは日本に優先的に使わせてくださいとか、そういったライセンスを付けてから公開すべきだと思います。

辰巳電子情報部長:

ありがとうございます。著作権保護期間満了というところで提供しているところではございますが、御意見を踏まえて、検討させていただきます。

安浦委員長:

有田委員の御意見、オープン化へ向けて走ってきた世界の情勢が大きく変わってきているというもので、経済でもグローバリズムであったものが今は全く反対の方向に動いているという国際環境の中にあって、知的財産というものを国としてどう考えるかは非常に重要なポイントだと思います。
それから、先ほど私も少し申し上げましたが、フィクションと事実というものが、二次著作、三次著作になると曖昧になって、それによって、例えば国のイメージが損なわれたり、あるいは、科学的な事実、身近なところで言えば、国民に知っておいてもらいたい医学的常識が全く違うように理解され、流布され、実際に国民の健康が害されたり、といったことが災害の問題なども含めいろいろなところで起こり得る時代です。オープンであれば良いという考え方をどうするかは是非慎重に議論していただきたいと思いますし、この委員会でも、その辺は議論を詰めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
その他全体を通して、委員の先生方から御意見、追加の要望等ございましたら、御自由にお願いいたします。
御意見はなしでよろしいでしょうか。それでは、NDLには、今頂いた様々な御意見も参考に取組を進めていただき、是非この計画を実現していただきたいと思います。世の中の変化は非常に速いので、決めたからこれで4年間、5年間走るというだけではなく、もう少し柔軟な考え方も今後必要になってくるかと思います。委員の先生方も、この会議は年一回しかございませんけれど、何かお考えになることがありましたら、事務局の方に御連絡いただくということで、事務局よろしいでしょうか。

井上科学技術・経済課長:

はい、よろしくお願いいたします。

7. その他

安浦委員長:

最後に、事務局から連絡事項があります。

井上科学技術・経済課長:

本日の審議会の議事録につきましては、案がまとまり次第、委員の皆様にメールで送付いたします。御多忙のところ大変恐縮ですが、内容の御確認をお願いいたします。確認が終わりました議事録は、委員長の御承認を頂いた後、NDLホームページで公開いたします。
本日頂きました御意見を踏まえ、NDLでは、第六期基本計画の実施に取り組んでまいります。第六期基本計画の進捗につきましては、今後の審議会で御報告いたします。次回、第21回の審議会につきましては、現在のところ、来年の7月から8月頃に開催することを考えております。引き続きよろしくお願いいたします。本日は、貴重な御意見、御提案を頂きましてありがとうございました。

8. 閉会

安浦委員長:

予定していた議事は全て終了しました。それでは、本日はこれにて閉会にしたいと思います。委員の方々には、質の高い御議論を賜りまして、感謝申し上げます。今後とも、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

(閉会)