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第19回科学技術情報整備審議会議事録

日時:

令和7年12月17日(水)午後3時30分から午後4時50分まで

場所:

東京本館総務課第一会議室(ウェブ会議サービスを用いたハイブリッド開催)

出席者:

科学技術情報整備審議会委員・専門委員 13名
(委員)安浦寛人委員長、竹内比呂也委員長代理、浅川智恵子委員、池谷のぞみ委員、大隅典子委員、北川雄光委員、黒橋禎夫委員、坂下鈴鹿委員、野末俊比古委員、林隆之委員、渡部泰明委員、生貝直人専門委員、大向一輝専門委員
館側出席者 17名
館長、副館長
(幹事)総務部長、調査及び立法考査局長、収集書誌部長、利用者サービス部長、電子情報部長、関西館長、国際子ども図書館長
(陪席)総務部副部長企画課長事務取扱、総務部副部長会計課長事務取扱、総務部司書監関西館図書館協力課長兼務、収集書誌部主任司書、利用者サービス部副部長サービス企画課長事務取扱、電子情報部副部長
(事務局)利用者サービス部科学技術・経済課長、電子情報部電子情報企画課長

会議次第:

1. 開会
2. 国立国会図書館長挨拶
3. 新委員紹介
4. 議題
 第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言(案)について
5. その他
6. 閉会

配付資料:

第19回科学技術情報整備審議会次第(PDF: 37KB)
資料1 科学技術情報整備審議会関係者名簿(PDF: 91KB)
資料2-1 第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言(案)―私たちの社会と未来をつくる知識基盤を目指して―(PDF: 1MB)
資料2-2 提言素案からの主な変更点について(PDF: 250KB)
資料3-1 第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画の実施状況(提言付属資料)(PDF: 275KB)
資料3-2 諸外国におけるウェブサイトの収集をめぐる状況(提言付属資料)(PDF: 635KB)
(参考資料)
1 科学技術情報整備審議会規則(PDF: 68KB)
2 科学技術情報整備審議会議事規則(PDF: 57KB)
3 第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言―「人と機械が読む時代」の知識基盤の確立に向けて―(令和3年1月13日 科学技術情報整備審議会)
4 第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画
5 第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けた基本方針検討部会の設置について(第17回科学技術情報整備審議会 資料2)(PDF: 128KB)
6 第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言(案)の検討経過(PDF: 361KB)

議事録:

1. 開会

安浦委員長:

まだおそろいでない委員の方もおられるようですが、時間になりましたので、ただいまから、第19回科学技術情報整備審議会を開催いたします。
委員の皆様にはお忙しいところ、当審議会に御出席いただきましてありがとうございます。まだいらっしゃっていない方もおられますが、本日は、14名の委員中11名の委員に御出席いただく予定です。現在でも9名は御出席なので、定足数は満たされております。まずは、事務局からお知らせがございます。

福林科学技術・経済課長:

東京本館の会場での御出席は安浦委員長、竹内委員長代理、黒橋委員、野末委員、林委員です。池谷委員も御出席と伺っておりますが、まだ到着されていません。オンラインでの御出席は、浅川委員、大隅委員、北川委員、坂下委員、渡部委員の5名で、坂下委員は少し遅れて入られるようです。大隅委員は用務のため17時頃までに中座されると伺っております。今、池谷委員がお見えになりました。一方、小口委員、橋本委員、村山委員は御欠席です。
また、会場で大向専門委員、オンラインで生貝専門委員に御出席いただいております。なお、生貝専門委員は用務のため17時頃までに中座されると伺っております。池内専門委員は御欠席です。
本日、当館からは幹事のほかに、倉田館長、山地副館長、審議会事務局の職員も同席しております。今回は対面及びオンラインでのハイブリッド開催とさせていただいております。オンライン参加の委員の皆様方は、会議中、常時カメラをオンにしてくださるようお願いいたします。マイクは御発言の時以外はミュートにしてください。御発言については、委員長からの指名を受け、会場参加の委員の皆様はお手元のマイクのスイッチを入れてお話しください。オンライン参加の委員の皆様は、マイクのミュートを解除してからお話をお願いいたします。なお、御発言を求められる場合は、お名前を挙げて御発声して委員長にお知らせください。

2. 国立国会図書館長挨拶

安浦委員長:

開会に当たり、倉田館長から御挨拶がございます。

倉田国立国会図書館長:

本日は年末の大変お忙しい中、第19回科学技術情報整備審議会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定のため、昨年の第17回科学技術情報整備審議会において、委員の皆様に御提言を頂くことをお願いし、基本方針検討部会を設置して検討を進めていただきました。今年7月の第18回審議会では基本方針検討部会で作成いただいた御提言素案を審議いただき、委員の先生方から様々な御意見を頂戴いたしました。
この度、御提言素案についてお伺いした御意見を踏まえ、部会で提言案をまとめていただき、本日、この審議会で審議いただく運びとなりました。御指導いただいた安浦委員長をはじめ、委員の皆様、また、6回にわたる基本方針検討部会で御議論いただきました野末部会長、池内専門委員、生貝専門委員、大向専門委員には、これまでの御尽力に厚く御礼申し上げます。
第五期基本計画、すなわち人と機会が読む時代におけるデジタルシフトは、着実な成果を挙げられたと思います。一方で、その間にもオープンサイエンス・オープンアクセスの進展、生成AIの急速な普及などに伴い、科学技術情報はもとより、社会における情報の流通の在り方は大きく変化しております。本日は御提言の最終案の審議を通じ、将来に向けた指針を示していただき、また、第六期基本計画策定及び実施に際し、留意すべき点に関し、忌憚のない御意見を頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

3. 新委員紹介

安浦委員長:

倉田館長、どうもありがとうございました。遅れていた委員も全員そろいまして、11名の御出席になっています。
それでは、事務局から委員の交代につきまして御報告をお願いします。

福林科学技術・経済課長:

委員名簿を資料1として配布しておりますので、御覧ください。新たに御就任くださった委員を御紹介いたします。国際医学情報センターの北川雄光理事長、文部科学省(以下「文科省」)大臣官房の坂下鈴鹿審議官が新たに委員に御就任くださいました。御新任の委員には一言お言葉を頂戴したいと存じます。まず、北川委員、お願いいたします。

北川委員:

国際医学情報センターの北川雄光と申します。専門は消化器外科です。何とぞよろしくお願いいたします。

福林科学技術・経済課長:

ありがとうございます。続きまして、前回、委嘱手続が間に合わず陪席という形で御出席いただきましたが、坂下委員、お願いいたします。

坂下委員:

文科省の研究振興局の坂下です。正式に委員になりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

福林科学技術・経済課長:

ありがとうございました。御新任の委員の皆様の御挨拶は以上とさせていただきます。

4. 議題

安浦委員長:

ありがとうございました。それでは議題に入りたいと思います。前回の第18回審議会での素案についての議論を受け、基本方針検討部会において検討がなされ、資料2-1として配布されております「第六期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言―私たちの社会と未来をつくる知識基盤を目指して―」の案がまとめられました。本日、この案について御審議いただき、確定したものを倉田館長にお渡しすることとしたいと思います。
では、提言案の内容につきまして、部会長の野末委員から御説明をお願いします。

野末委員:

前回、7月の審議会で、提言素案について御議論いただきました。委員の先生方から、様々、貴重な御意見を頂戴いたしました。その後、8月に第6回の部会を開催し、審議会で頂いた御意見を踏まえて、素案に更に検討を加え、本日御審議いただく提言の最終案をまとめました。お手元の資料2-1を御確認ください。表紙に続いて目次、そして最終案の本文となっており、概要をまとめた図も同じく資料2-1の本文の後、11ページにお示ししております。続く資料2-2を御覧ください。こちらは、7月の審議会で頂戴した御意見を踏まえて、素案からの主な変更点をまとめたものです。提言案の本文につきましては、素案でお示ししたものから、基本的な内容・構成に変更はありません。概要図でお示ししているとおり、オープンサイエンス・オープンアクセスの進展、そして生成AIの普及という二点に絞って背景を整理した上で、知識基盤の整備、知識基盤の利活用、そして外部との連携協力という三つの視点から取組を整理しております。個別の取組については、7月の審議会における御意見を基に部会で検討を行い、文章を追加したり修正したりしました。概要図についても、審議会での御意見や部会での議論を踏まえて修正を加えております。変更点の詳細につきましては、この後、事務局から御説明いただきます。
ところで、一般にこうした提言や答申、審議のまとめといったものは、検討が進むにつれて、現実的に実現可能な事柄だけを打ち出すにとどめて、慎重あるいは無難な記述に収まるということが無きにしもあらずかと思っております。しかし、今回の最終案では、素案から更に前進して、より意欲的に、今後5年間に国立国会図書館(以下「NDL」)にどのような知識基盤の構築に取り組んでいただきたいかをまとめています。概要図の上部に追記したように、現在のデジタル社会を生きる私たちからも、それから、100年後の人々からも信頼されるNDLの知識基盤を目指して、継続的に取り組んでいただく、そのことを期待する提言案となっているのではないでしょうか。また、図書館側だけでなく、利用者側の視点、立場からも検討が加えられ、まとめられた提言である点も大きな特色です。この点は是非この後、計画を具体化する段階においても大切にしていただきたいと考えております。やや出過ぎたことかとは思いましたが、部会長として取りまとめに当たった感想をお伝えした次第です。では、詳細について、事務局からお願いいたします。

福林科学技術・経済課長:

(資料2-1及び資料2-2に基づき説明)

安浦委員長:

ありがとうございました。それでは審議に移りたいと思います。この提言案につきまして、御意見のある方がいらっしゃいましたら、御発言をお願いします。各委員へは事務局が個別に説明し、御了承を得ていただいているとは思いますが、ここで更にお気付きの点等があれば、御発言をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
御発言はないようなので、提言案について特に修正や追記が必要となる御指摘はなかったという結論とし、この提言案を審議会として認める方向で進めたいと思います。
提言の取りまとめに入ります。配布されている案のとおりの内容で皆様の御了承が得られましたら、倉田館長に提出したいと思いますので、御異議ございませんでしょうか。オンラインで御参加の委員の方々もよろしいでしょうか。

全員:

異議なし

安浦委員長:

ありがとうございます。それでは皆様の御了承を頂きましたので、これをもちまして提言を決定とし、倉田館長に提出したいと思います。よろしくお願いします。
(安浦委員長から、倉田館長に提言を手交)

倉田国立国会図書館長:

ただいま貴重な御提言を頂きまして、誠にありがとうございます。提言に記載された内容の実現に向けまして、NDLは第六期科学技術情報整備基本計画の策定とその実施をはじめとして、精一杯努力してまいる所存です。本日まで審議会の皆様には御指導を賜りましたこと、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

安浦委員長:

倉田館長、よろしくお願い申し上げます。
ただいま提言を倉田館長にお渡ししましたが、この提言は来年度からの5か年にわたるNDLの第六期科学技術情報整備基本計画に向けたものです。第六期基本計画の策定及び実施に当たって、この機会に是非皆様から一言ずつ、御感想や、特にNDLが留意すべき点、NDLに要望したい点がございましたら、御発言をお願いします。全員から一言ずつ頂くことになっておりますので、名簿順にお願いします。委員長と委員長代理は最後の方が良いですね。では、五十音順になりますが、浅川委員はいらっしゃいますか。オンラインで音声が接続されていないようなので、先に、池谷委員、お願いします。

池谷委員:

おまとめいただきました委員長をはじめ、皆様、この度は本当にありがとうございました。少ない機会でしたが、私もいろいろ考えて発言する機会を与えられ、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。
今までは手始めにウィキペディアを見る学生が多かったのですが、最近では手始めにAIに聞く学生が増えてきています。だからこそ、AIが出してきたものをどう吟味するのか、裏付けをどう取るのかという能力がどんどん国民全体に問われることになってくるのだということをひしひしと感じております。そのため、学習支援の立場にある方々にとってNDLが構築されている知識基盤を知識の入り口として位置付け、裏付けを取るというような能力を身に付けつつ、これまでの知識の蓄積に触れてもらえる基盤を作っていただきたいと思います。知識基盤を作っていただく点では、中小の学協会の雑誌のデジタル化にも鋭意努力していただくと明記されていることは非常に意義深いと考えております。
また、ユーザのコミュニティとして、市民の中でもいろいろな段階にある人が提言の中できちんと明示されている点、そして先ほど申し上げたように、学習支援者という言葉で学習者を支援する人々まで広くとらえて、その人たちの支援にも踏み込むという点は非常に大きな意義があると思っております。

安浦委員長:

ありがとうございました。浅川委員、一言御意見をお願いします。

浅川委員:

まず、第五期計画に関して、利活用促進のための取組としてデジタル化資料の多くが全文テキスト化されて視覚障害者等向けの送信が始まったことは本当に素晴らしいと思います。また、OCRのオープンソース化につきましても本当に正しい方向性であったと感じております。今後もワークロードを軽減していくためには、OCR技術が重要な鍵となるので、機能の向上や効率化に引き続き努めるようよろしくお願いいたします。また、現在AIの急速な進歩によって、OCRに関しても文章校正に比重を置くなどの新たな手法が出てきているので、こういった新たな技術を取り入れて今後もOCRの機能強化を進めていただければと思います。加えて、提言の「Ⅳ 取組の方向性」で触れられているように、図版やグラフに関してAIで説明文を生成することが可能になってきているので、そうした技術を導入するという方向性についても賛同いたします。
また、もう一点、今回の提言の「2 恒久的保存のための取組」の「(1) 資料収集の強化」で、DRM付きのオンライン資料についても、法律の整備に伴って収集対象となったと述べられています。詳しいサービスについては提言では触れられていなかったかと思いますが、御存じのとおり読書障害者向けには著作権法の例外規定がありますので、こういった点も引き続き御配慮いただき、視覚障害者等がアクセスできるよう進めていただければと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

安浦委員長:

ありがとうございました。それでは続きまして、大隅委員、よろしくお願いします。

大隅委員:

実は私、10月1日付けで日本学術振興会(以下「JSPS」)の理事を拝命しました。今回の第六期に向けての提言は皆様の御尽力により非常に素晴らしいものになったと思っております。ただ、JSPSの理事の立場でもう一度改めて読み直したときに、NDLとの連携先にJSPSは全く入っていなかったことに気が付きました。JSPSは日本で一番古いファンディングエージェンシーで、科学者、そして研究を支えるという立場にあり、国の予算を使って様々な事業を行っています。その中に、科学研究費助成事業として研究成果公開促進費というものを持っております。こういったものをどのような形で活用していくかは、正に今回の提言にも書かれているオープンサイエンス・オープンアクセスと非常に関わるところだと思いますので、できれば今後の活動の中で少し連携が図れないか考えていければよいと思います。なお、今回の提言は先ほどお認めいただいたとおりで結構でして、今回の提言に入れてほしいという意味ではございません。
二点目は、学術情報を考えるに当たって、電子化されているジャーナル系のバックファイルに関することです。多くの大学は紙媒体で1950~60年代などの古いジャーナルを抱えてはいますが、電子が当たり前になってしまうと、多くの方にとって過去の情報に紙でアクセスすることは大きな心理的困難を伴うということがあります。出版社は実はバックファイルを持っているわけですが、それを非常に高額な値段で買わせようとしているところもあるので、我が国全体としてどのように対応していくのかという観点も、中期的には今後必要になるのではないかと思いました。
三点目は、少し小さなことかもしれませんが、NDLが中心となって日本語の様々なコンテンツが膨大な量、集められることになると思います。それが更に生成AIに学習されて、それがまた使われていくための基になるわけです。そういった情報の中で、例えば、ジェンダーの偏りが著しくないかなどについて、どこかが目を配っておく必要があるのではないかということも将来的に考えられるかと思いました。
第六期も是非よろしくお願いいたします。

安浦委員長:

大隅委員、ありがとうございます。貴重な御意見がありましたので、是非NDLでもこの御意見はお考えいただければと思います。特に、例えば科学技術振興機構(以下「JST」)や国立情報学研究所(以下「NII」)、国文学研究資料館(以下「NIJL」)という固有名詞は提言に入っていますが、JSPSも今後は忘れないようにしていただきたいと思います。
それでは北川委員、お願いいたします。

北川委員:

まず、この第六期の提言ですが、皆様からの様々な御意見が反映されて、非常に素晴らしいものが出来上がっていると思いました。
私の専門領域である医学情報は、情報量の増え方が非常に著しい一方で、医学研究者などがこれを利活用するのに膨大な費用が発生しています。このような状況で、医療分野においては、日本の研究力が相対的に伸び悩んでいる、低下しているのではないでしょうか。そのため、情報へのアクセスにおけるコストという面でも、これから検討いただきたいと思っております。また、先ほどから御指摘されていますように、視覚障害者の方々のアクセスに関して、非常に大きな配慮をされていることは素晴らしいと思いました。私としましては、医学情報、それから医療機器や薬物情報の観点から、こういった提言を拝見しながら今後も勉強していきたいと思います。何とぞよろしくお願いします。

安浦委員長:

ありがとうございました。それでは続きまして、黒橋委員、お願いいたします。

黒橋委員:

NII所長の黒橋でございます。皆様もおっしゃっているとおり、この素晴らしい提言を取りまとめていただきましたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。
この提言の中で、幸いなことにNIIはしっかり協力しようと書いていただいていますので、是非よろしくお願いしたいと思っております。つい先日も、NDLの古典籍OCRによりNIJLの古典籍300万画像からテキストを読み出して、そのデータをNIIに提供していただき、言語モデルに学習させました。やはりそういうデータをしっかり使うと、例えば、センター入試などの古典の回答率が上がるということも確認でき、先日、NIJLでのシンポジウムで基調講演をさせていただきました。そういうサイクルが本当に回り出しているので、国文学というか、人文社会科学も含めて、これから大きなインパクトが出てくるものと思っております。
重要なことは、この提言を是非どんどん実現に移していっていただきたいということかと思います。先日、NDLで主催されたシンポジウム「デジタルシフトの次へ―米国議会図書館の新戦略から見えてくるもの―」について、パンフレットなどを拝見しましたが、非常に印象的だったのは、ゲストの米国議会図書館首席副館長の先生が「何が一番大事ですか」と尋ねられたときに「スピードです」とおっしゃったことです。先ほどもいろいろお話がございましたとおり、ChatGPTが出てきてまだ3年ですが、これからもっともっと急速に社会が変わっていくと思います。その中でやはり信頼できる情報、真正性のある情報の重要性もますます増していきます。そのスピードに負けないように、NDLにもどんどん様々な施策を進めていただくことが社会のために重要だと感じております。NIIも精一杯協力させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

安浦委員長:

ありがとうございました。続いて、坂下委員にお願いします。

坂下委員:

初めに、この提言をおまとめいただきまして、本当にありがとうございました。私から二点ほどコメントさせていただきます。
一点目は、先ほどからも各先生のお話にありますように、AI、特に生成AIに関することです。生成AIは本当に急速に普及し、科学研究においても、AIを組み込むことで研究の範囲やスピード、いろいろな考え方に、飛躍的な向上や変化、革新がもたらされる状況になってきており、文科省ではこれを「AI for Science」と呼んでいます。国際的にも急速に進展している新しい潮流をしっかり見据えながら、我が国が世界を先導する革新的なイノベーションを創出していけるよう、また、科学的な研究成果を更に創出できるよう、進めていきたいと考えております。ちょうど昨日国会で成立した補正予算においても、関連する予算を計上したところでございます。NDLにおかれましても、官庁出版物についても、デジタル化画像からOCR技術で作成した全文検索用のテキストデータなどを作っていただいています。先ほど黒橋委員から御発言がありましたが、そういったデータがNIIで作っているLLM(大規模言語モデル)の構築の学習用データとして提供されていると承知しております。
このように、NDLの多種多様な資料が、こういった学習データの基盤として期待されていると考えております。これが我が国の研究の更なる進展につながることを期待するとともに、一方で、生成AIにどう対応していくのかには様々な課題もあると思います。諸外国でもいろいろな検討がされていると思いますが、是非NDLの皆様には、我が国の国立図書館として、他国のナショナルライブラリーなど海外の関係機関も視野に入れた連携協力などを推進しながら、御検討を進めていただけると有り難く思います。
二点目は、以前にも発言させていただきました大学図書館との連携です。文科省では、竹内委員長代理に主査を務めていただいております「「2030デジタル・ライブラリー」推進に関する検討会」で、2030年の大学図書館の望ましい姿を描いておりますが、特にAIとの関連も含め、大学図書館でもどうしていくかという議論を始めているところです。昨年7月にロードマップを公表しましたが、NDLと大学図書館の連携方策の検討も掲げておりますので、引き続き、お互いの特性や強みなどをいかして、一層の連携協力を進めてまいりたいと考えています。また、今年度新しく公募したものから、公的資金で助成を受けた研究の成果である学術論文等の即時オープンアクセスを義務化する方針が決定されております。論文やその根拠データの公開、いわゆるオープンサイエンス・オープンアクセスを推進していくことも喫緊の課題となっており、そのプラットフォームとして、例えば、NIIが構築しているJAIRO Cloudを用いた機関リポジトリや、JSTのJ-STAGEなどの国内学会誌の電子ジャーナルプラットフォーム、また、各機関で整備されているデジタルアーカイブなどがあります。これらのコンテンツのデジタル化・流通が進むことで、国内外によらず、物理的な環境・場所に左右されないシームレスな図書館サービスの利用環境整備なども必要になってくるのではないかと考えております。
以上を踏まえて、文科省としても、大学図書館をはじめ、NDLほか関係の皆様とも引き続き連携協力してまいりたいと思っております。

安浦委員長:

はい、ありがとうございました。次が野末委員ですが、部会長の立場を離れたところで御意見いただければと思います。

野末委員:

委員の先生方には、御議論いただきありがとうございました。また、部会の専門委員の皆様には、拙い進行ながらも、非常に熱心に取り組んでいただいて、感謝しております。そして、事務局にも、様々な準備・調整等に力添えいただきありがとうございました。
その上で、一委員としての感想を一言だけお伝えいたします。今回、様々に盛り込んだ、あるいは踏み込んだところがあります。一つは内容、NDLとして取り組むべきことも、もちろん様々、幅広く盛り込んでいるわけですが、一方で、関わる人々の範囲も広がっていると思っております。先ほど池谷委員からもありましたが、様々な方に関わっていただくということが、今回の提言の前提になっているかと思います。この提言が関係者だけにとどまらず、広く様々な方に手に取って、目にして、お読みいただけるように、私も努めていきたいですし、NDLとしても是非そのようにお考えいただければと思っております。
また、先ほど説明の中でも一言お伝えしましたが、今回、議論のスタートから、利用者側の目線、立場を非常に重視して、そこから議論を展開してきたと認識しております。この点については今回の提言の特色だと思いますので、NDLでこれからの計画を具体化する段になっても、是非大切にしていただければと願っているところです。私からは以上です。

安浦委員長:

部会を引っ張っていただき、本当にありがとうございました。続いて、林委員、お願いします。

林委員:

はい、林です。このような素晴らしい提言をまとめていただき、改めて私からも部会の先生方に感謝申し上げたいと思います。
私のコメントで、まず一点目ですが、私はこの委員は2年目なのですが、こういう分野にずっといたわけではないので、NDLの業務範囲、責務は一体どこまで求めたらよいのか、少し分かりづらく思っていました。審議会の議論を聞いて分かってきたのは、有体物である本を収集するという昔の発想でいくとそういう業務なのでしょう。しかし、正に提言に書かれているようにオープンサイエンス・オープンデータが出てきたとき、一体何がそもそも知識としての形態であって、どこまでを知識として収集しなければいけないかが非常に不明瞭になってきていると理解しました。おそらく今後、パブリッシュ・レビュー・キュレーションモデルなどの形で、例えば、そもそも学術雑誌の論文とは一体何なのかという定義すら崩れていく中で、本当にどういうものを集めるべきか、なかなか難しくなっていくのだろうと思いました。今回の提言でも、そういうことを踏まえて、保存すべき対象の再検討・拡大をしていくということ、それから、そういう雑多なものがある中で、例えばメタデータを含めて、情報の構造の整理等も考えていくということを入れていただいたのは、非常に素晴らしいと思います。それにプラスして、連携というところについてしっかりと書いているのが私も非常に良いと思っています。今こういう状況でもバウンダリーがよく分からないものが、5年後にどうなっているかは全く分かりません。やはり状況は変わっていく中で、NDLが自己の業務範囲がどこか再定義しながらも連携していくことがきっと求められるところだと思っています。提言で非常に良いのは、「時にはNDLがその旗振り役となって」という文言を入れていただいた点で、正にそういうことだと思います。やはり自ら旗振り役として連携を進めていく、そういうことを是非御検討いただければと思っております。
それから二点目、各論のところで、さっき池谷委員もおっしゃっていたところだと思いますが、中小の学協会等の雑誌や科研費報告書など、デジタル化が進んでいない分野についてのデジタル化を進めていくという取組が書かれていて、とても素晴らしいことだと思っています。やはり人文系はどうしてもデジタル化が進んでいません。ただ、若い世代はデジタル化されたものばかり見るので、図らずも知識の断絶が起きている感があります。特に人文社会系の分野の中小の学協会のデジタル化はニーズが高いと思うので、是非進めていっていただきたいと思います。それが、先ほど坂下委員がおっしゃったように、AI for Scienceの中の人文社会学のところにつながると思います。

安浦委員長:

はい、ありがとうございます。それでは、渡部委員、お願いいたします。

渡部委員:

NIJLの渡部泰明です。提言の取りまとめ、本当にありがとうございました。多岐にわたる問題を、本当に要領よくまとめ、かつ、細やかに練り込まれた提言だと思います。そのことにまず御礼を申し上げた上で、NIJLとの連携も名前を挙げて言及していただいたことも本当に感謝申し上げたいですし、これからもますます御指導、御教授いただければと思っております。そして、何より地域や学習者、そのような広い意味での利用者のことを、その立場に立ってお考えくださったことにまた御礼申し上げたいし、非常に強く背中を押していただいた気がします。
今もありましたが、やはり人文科学や社会科学、特に人文科学は、これからデジタル化を進めていかないとますます時代に取り残されていくという思いがございます。そのためにも、是非御協力、御指導いただきたいと強く思います。例えば、大学や図書館などはネットワークを作ること、そしてそのネットワークのハブになることを求められております。特にNIJLのような大学共同利用機関に求められているわけですが、その場合のネットワーク作り、そして、そのネットワークのハブとなって進んでいくこと、これを更に支援していただくというのでしょうか。具体的にどういう形になるか、私自身も示すことができませんが、ハブの中のハブという役割をNDLには期待します。NDLが中心であることはもちろん間違いないわけですが、そういうハブ作り、ハブとなるネットワーク作りにも、更に一層の御支援を賜れればと思っております。
ひとまず御礼を申し上げて、私の感想としたいと思います。ありがとうございます。

安浦委員長:

渡部委員、ありがとうございました。それでは引き続いて、専門委員の先生方にも、ここで一言ずつ御意見を伺いたいと思います。

福林科学技術・経済課長:

池内専門委員は、今日は御欠席です。池内専門委員から、次のような御意見を頂いておりますので、私から御紹介させていただきます。
科学技術情報整備審議会におきましては、安浦委員長をはじめとする委員の先生方から多彩な御見識に基づく貴重な御意見を賜り、厚く御礼申し上げます。また、部会におきましては、野末部会長、生貝専門委員、大向専門委員と自由闊達な意見交換ができましたことを心より御礼申し上げます。そして何よりも、NDLの皆様方から毎回前向きなフィードバックを頂戴し、本提言案がより充実したものとなりましたことに深く感謝申し上げます。
部会の場ではやや難色が示された論点であっても、実現可能性を粘り強く模索していただき、限定的に反映してくださったことも大変有り難く、心強く感じておりました。今後、NDLの知識基盤の想定ユーザが地理的にも時間的にも更に広がり、研究機関や研究者との連携協力が一層深まることにより、ますますの発展を遂げられることを願っております。私自身もオープンサイエンスの研究を進めるに当たり、常にNDLの取組を念頭に置きながら、微力ではございますが、貢献できる道を探してまいりたいと存じます。貴重な機会を頂き、誠にありがとうございました。
以上です。

安浦委員長:

はい、ありがとうございます。それでは生貝専門委員、お願いします。

生貝専門委員:

一橋大学の生貝でございます。改めまして、この度は大変重要な提言の作成の議論に関わらせていただいたことに深く御礼を申し上げます。
私自身は最近、特にAIやデータの活用を中心としたデジタル政策を研究しております。そのような立場からは、今回の提言で正に示されているような、デジタル社会の知識基盤というものが我が国のデジタル政策全体の中にどのように位置付けられるかということが極めて重要だと、一貫して考えているところです。まだ今、このタイミングでは、日本のデジタル政策において知識基盤というものはおそらく明確には位置付けられていません。そのため、NDLが旗振り役となって、その位置付け、そして関係機関や関係者との連携をしっかり構築していくことを、これから5年間の計画を進める中で、是非実現していただきたいと強く思うところです。どうもありがとうございました。

安浦委員長:

生貝専門委員、お忙しい中長時間にわたって議論していただき、どうもありがとうございました。それでは、大向専門委員、お願いします。

大向専門委員:

東京大学の大向一輝と申します。今回、専門委員として提言案の作成に関わらせていただきました。私自身の専門は、デジタル人文学と呼ばれる、情報学と人文学の融合領域です。また、学術情報流通に関しても、これまで研究や実務を通して関わってまいりました。
今回の提言案について、第五期の「人と機械が読む時代」という言葉があまりにも美しく、かつ、この状況を的確に表していたということもあって、その続きをどう作ればよいのか、大きなプレッシャーがありました。本当のプレッシャーは野末部会長が一手に引き受けてくださいましたが、我々としては、様々な観点で意見を申し上げ、それがこのような形でまとまっていったことに改めて御礼を申し上げます。
第五期に対抗するわけではありませんが、やはり骨太のコンセプトが必要だろうということで、時間の概念を前面に出してはどうかという議論になりました。概要図で100年後というキーワードが出てきますが、いよいよ22世紀のことすら考えなければならない状況において、今の生活、技術、研究のために我々が情報を整備していくことと同時に、将来から我々はどう見られるのかを意識する必要があるでしょう。NDLをはじめとした図書館が、直接時間の概念を扱う場であることを、社会にも知っていただきたいという思いもあります。ひいては、将来から見た私たちということは、皆が当事者なのである、というメッセージも伝わるとよいと思っているところです。
NDLの活動方針として、コンテンツ作りをこれからも進めていただくことはとても重要なのですが、OCRの公開等をはじめとして、間接的な成果についても、これから何かを頑張りたい人、コミュニティや組織を支えるという機能が見え始めてきました。その面もまた育てていただければと感じております。
最後に、今回初めてこういった検討体に参加させていただき、ここまで精緻に議論をして提言、更には計画が作られていくのかということ自体に驚きを感じました。そのこと自体も社会にお伝えいただければよいかと思います。これまで私自身もNDLの皆さんと様々な形でお付き合いをしていましたが、行動原理の一端が、こういったシステムによって作り出されていることも非常に興味深いですし、それがまた、多くの方々の理解を得るためにも今後必須になるのではないかと考えております。これまで長らくありがとうございました。

安浦委員長:

大向専門委員も、本当に真剣に議論していただきまして、どうもありがとうございます。
今日御欠席の委員の中で、橋本委員から御意見を伺っておりますので、事務局から御紹介をお願いします。

福林科学技術・経済課長:

JSTの橋本委員からは、NDLの保持するテキストデータの活用に向けて、NDLが慎重な検討が求められる立場であることは理解するが、より踏み込んだ取組を期待したい、という御意見を頂いております。

安浦委員長:

どうもありがとうございました。それでは、竹内委員長代理にお話しいただきたいと思います。

竹内委員長代理:

まずは、野末委員をはじめとして、提言案をまとめられた部会の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。また、前回の大変に幅の広い委員からの御意見を的確に組み込んでいただき、最終案にまとめられたということに対しても、改めて敬意を表します。私からは、基盤の整備と利活用というそれぞれの点について少しコメントさせていただきます。
知識基盤の整備に関しては、先ほど林委員がおっしゃったことが非常に重要だと私も考えております。提言の10ページに、国レベルでのコレクションの基盤、いわゆるナショナルコレクションという考え方が、今回、明確に示されており、しかもそれを様々な連携の下に構築していくという方向性が示されたことが極めて重要ではないでしょうか。社会サポートについて、1948年の国立国会図書館法の成立においては、おそらく「知識基盤」という言い方をしていなかったと思いますが、法定納本制度を導入することによって、それがイコール知識基盤であるという解釈だったのだろうと思います。この法定納本の制度そのものも、その後の法改正によって少しずつ変化しているところだと思うのですが、特に今日のオープンサイエンス・オープンアクセスの進展は、逆に何がどこにあって、何をどう保存していけばよいのかを曖昧にしている面があるのではないでしょうか。そのため、最終的なよりどころとしてのナショナルコレクションの中核であるNDLのコレクションという位置付けの重要性を、改めてここで確認することができたのではないかと思っております。是非この提言にある知識基盤の整備の考え方をベースに、NDLで具体化について御検討いただければと思うところです。
二点目としては、利活用の側面です。先ほど野末委員から、利用者の視点でということが述べられていました。このことについては前回の審議会の場でも私が発言させていただきましたが、従来、来館利用は18歳という線が引かれていたところ、オンラインの環境に関してはそうではないということが、今回の提言の中で明確に示されたと考えております。特に生成AIとの関連で申し上げますと、情報を探す、あるいは生成AIを使うことに、子どもたちあるいは人間の成長段階の一体どこで触れるのかということが極めて重要だという意見が最近出てきています。それを考えると、なるべく若いうちからオーセンティックな、つまり信頼のおける情報源を使うというリテラシーを持つことの重要性が極めて顕著になっているわけです。それを可能にする基盤としてのNDLの知識基盤、そしてそれを利活用する環境の整備がつながってくるのではないかと考えています。先ほど、第五期の「人と機械が読む時代」が一つの非常にキャッチーな言葉としてとらえられたと言っていただいて、その責任者でありました私としては大変有り難いと思っていますが、100年後の人々からも信頼されるNDLの知識基盤、そしてその利活用という方向性が明確に示された今回の提言の価値は、やはりそれに劣らず素晴らしいものであると考えました。以上でございます。

安浦委員長:

どうもありがとうございました。
私から最後に一言申し上げたいと思います。野末部会長をはじめ、専門委員の先生方、それから事務局の皆様方、この提言案をまとめていただく中で、本当に多くの時間を費やし、議論をしていただいたことと思います。心から御礼申し上げます。
一つ目は、今までの各委員からのお話にあったように、次の5年、あるいはその先の10年、概要図にある100年後の人からも信頼されるという言葉、そういう過去だけではなく未来を見据えた情報や知識基盤をどう作っていくかという大きなテーマを言語化していただいたものと感じています。知識基盤とは何なのか、今後、国民全体で議論していく必要があるのではないかと思います。正にAIは、国、世界、人類のある種の共通知識、コモンセンスを勝手に作ってしまう、そういう道具です。「人工知能」では少し言い方が狭いのではないかと私は思っています。「人工知能」と言うと人の代替のようですが、人の集合の代替にもうなっている、あるいはマジョリティとして我々に語りかけてくる立場になってしまっているのではないでしょうか。そこにある種の偏見なり、偏った意見しか取り入れていなかったら、社会は我々が望まない方向に進む可能性も強いと感じております。その意味で、この知識基盤というものは非常に大事ではないかと感じる次第です。
二つ目に、これまでは、どちらかというと歴史や経済状況、政治状況などが社会を動かしているように我々は思っていました。しかし、今は医学の知識や工学、例えば原子力工学の知識、AI情報工学の知識など、そのこと自体が国民一人一人に正しく理解されていないといけません。例えば、COVID-19に対する社会的な対応など、そういったところにも非常に大きな影響を与えてきます。正にあらゆる学問分野が社会のベースになって、ある意味で民主主義体制を維持するために非常に重要な役割を持っているのではないかと感じます。それをかなり全面的に、この提言の中に書いていただいたのではないかと思っております。
最後に、NDLには、2026年から2030年の日本社会をきちんと映し出すだけの資料が残っているのだと、100年後、2125年の人が言ってくれれば、素晴らしいことではないでしょうか。具体化や実現には、予算の制限や人手の問題などこれからいろいろ御苦労があると思いますが、是非この提言の精神が少しでも実現に近づくように、NDLの皆様方には今後頑張っていただければと感じる次第です。
そして、御議論に参加していただきました審議会の委員の先生方、本当に熱心な御議論、そして各分野からの重要なポイントの御指摘を頂きましたこと、改めて御礼申し上げ、私からの言葉とさせていただきます。皆様方、どうもありがとうございました。
それでは、一通り皆様に御意見を伺いましたが、各委員、専門委員からの御意見を聞いて、こういうこともあるなと追加で御意見のある方がいらっしゃいましたら伺います。いかがでしょうか。特に最初の方に御発言になった先生方、そこまで言ってよいのだったらもう一言あります、というようなことはありますか。

池谷委員:

もしかして言い忘れたかと思う部分なのですが、NDLの職員の方々の研究開発にも力を入れるよう明示されていたところも、私は非常に重要かと思います。連携などもありますが、外からの人だけが一生懸命やるのは望ましくありません。職員の方々もそれぞれに、いろいろな分野で専門の知識を培っている方がそろっていらっしゃることと思います。そのあたりの知識や活力の全てをいかして外の方との連携が成立すると非常に実り多いものになるのではないかと思い、一言付け加えさせていただきました。

安浦委員長:

どうもありがとうございました。他にございますか。
黒橋委員の方で、実際にNDLのデータを使ってLLMをお作りになっているわけですが、まだこういうところに障害があるというようなことがあればお話をお願いします。こういう場で出しておいていただいた方が、どの点で何ができなくて困っているかが明らかになってよいかと思います。

黒橋委員:

とても重要な場で発言の機会を頂きましてありがとうございます。今、NIIで国産ソブリンモデルの学習をしております。透明性や信頼性の基礎研究をするため、それから場合によっては教育や医療など、ソブリンモデルが必要なときの基盤になるためということで行っています。重要なのはやはりデータである、これは間違いのないことです。
NDLにある納本された資料のうち、デジタル化・全文テキスト化されたものは350万点くらいあります。ChatGPTが出てくるまではAIによる学習や研究が可能だったわけですが、やはりLLMが若干賢すぎるという面もあり、著作者の方々の不安ということで、それは一回止まっています。我々ももちろん荒っぽいことをするつもりは全くありません。そういうことは徐々にできるし、社会に役に立つという御理解を得ながら進めさせていただければと思っており、状況を少しだけ御紹介いたします。
NDLから提供された官庁出版物のテキストデータについて、NIIで学習させたモデルをNDLでも試行し、いわゆる完全なコピーのような回答は出てこないということを確認していただき、そのような認識が得られてきたのかと理解しております。この提言にも少しありますが、今後できましたら、納本された資料のデータをAI研究のために使わせていただきたい。もちろん、いきなり外に出すということではありません。そうしてできたモデルは日本の文化などへの理解度がやはり高く、例えば教育など、目的を限れば活用していけるのではないでしょうか。そのように一歩ずつ進めさせていただいていますが、先ほど申し上げましたとおり、スピード感がもう少し上がるとよいと思います。御存じと思いますが、もう今、Qwenという中国のモデルがオープンソースになっており、それをベースに学習したモデルを世界中、アメリカでも日本でもいろいろなところが使い始めています。一つの選択肢ではあるのですが、先行者利益のようなものもあるので、やはり日本としてもきちんとしたモデルを作っていきたいと思います。是非引き続き御検討いただきたい、一緒に相談させていただきたいと思います。

安浦委員長:

ありがとうございます。先ほどの橋本委員からの御意見もこれに通じるところがあると思います。坂下委員はNDLのデータがきちんと日本製のLLMを作るベースになっていると理解されているようですが、それは本当の現場では必ずしも簡単なことではない現状もあるということです。例えば、教育だけには使ってよいなどいろいろなレベルがあると思いますが、国民の理解も含めて、コンセンサスを取りながら、著作権の問題等との兼ね合いも考えながら、今後進めていく必要があるのではないでしょうか。関係する諸機関や行政ともしっかり議論しながら、あるいは、最後に司法からノーと言われると非常に困ったことになるので、司法ともコンセンサスを作りながら、国として進めていく必要があるのではないかと思います。行政の方は坂下委員を中心に議論をまとめていかれながら、NDLとしてどのように資料を提供できるかということを是非お考えいただければと思います。
他に何か御発言ございますか。竹内委員長代理、野末委員はよろしいですか。それではオンラインで御参加の方で御発言があればお願いします。よろしいでしょうか。

坂下委員:

文科省の坂下です。先ほどお話しいただいた点、ありがとうございます。省内でも著作権を担当している部署がありますので、そのあたりも含めてしっかり連携して取り組んでいきたく、またこの場以外でも何かありましたら、担当の方も含めて御連絡いただければと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

安浦委員長:

ありがとうございました。今後、著作権との兼ね合いはLLMだけの話ではなく、様々な利用を広げていく中で必ず大きな問題になってくると思います。学協会とNDLだけの話ではなく、行政あるいは司法とも意見交換をしながら新しい形の知識基盤の作り方を第六期で考えていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
NDLの方では是非提言の方向性、そして今皆様から頂きました様々な御意見を参考に計画を策定し、次回の審議会で御報告いただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

5. その他

安浦委員長:

最後に事務局から事務連絡をしていただきたいと思います。

福林科学技術・経済課長:

本日の審議会の議事録につきましては、案がまとまり次第、委員の皆様にメールで御送付いたします。御多忙のところ恐縮ではございますが、内容の御確認等お願いいたします。また、確認が終わりました議事録については、委員長の御承認を頂いた後、ホームページで公開いたします。
本日頂きました御提言を踏まえ、NDLでは今年度中に第六期の科学技術情報整備基本計画を策定いたします。その内容については、今委員長からも御案内があったとおり、来年の夏の次の審議会で御報告したいと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。本日は貴重な御意見、御提案を頂きましてありがとうございました。

6. 閉会

安浦委員長:

これで予定している議題は全て終了いたしました。それでは、本日はこれにて閉会したいと思います。委員の皆様方には、本日のみならず、これまで質の高い御議論を賜りまして、誠にありがとうございました。特に部会の野末委員、池内専門委員、生貝専門委員、大向専門委員には大変な御尽力を頂きましたこと、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。それではこれで、閉会いたします。

(閉会)