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学協会アンケート

国内の学協会を対象に、論文誌等の刊行物、また、文献相当の情報資源の刊行、デジタル化、ウェブサイトでの公開等の状況について、アンケート調査を実施しています。アンケート調査は、これまでに6回(平成24年度、平成25年度、平成26年度、平成28年度、平成30年度および令和3年度)に実施し、その結果を国立国会図書館における学術情報の収集・保存に役立てています。
なお、平成26年度までの学協会アンケートでは自然科学分野の学協会のみを対象としていましたが、平成28年度からは、人文・社会科学を含めたすべての学術分野の学協会を対象としました。

これまでの実施状況

実施年度
(実施期間)
実施方法 送付機関数 回答機関数 回答率
令和3年
(令和3年9月~10月)
ウェブ 2,526 929 36.8%
平成30年度
(平成30年11月~12月)
郵送 2,007 1,207 60.1%
平成28年度
(平成28年10月~11月)
郵送 1,913 1,128 59.0%
平成26年度
(平成27年1月~2月)
郵送 1,096 665 60.7%
平成25年度
(平成25年11月~12月)
郵送 1,095 673 61.5%
平成24年度
(平成24年8月~9月)
ウェブ 1,017 330 32.4%

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結果の概要

令和3年度

(1)納本の状況

冊子体、CD/DVD-ROM、USB等の納本状況について、「納本していないものがある」と回答した機関は約2割でした。
納本していない理由として、「納本制度を知らなかった」が約1割、「納本の対象となるのかが分からなかった」が約4割を占めました。「その他」の記述では、刊行物の電子化とオンラインでの公開により紙媒体での刊行を止めたという内容が多く見られました。

(2)オンライン資料の提供状況

「オンライン資料を当館に全て提供している」と回答した機関が4割を超えました。
「提供していないものがある」場合の理由について、「J-STAGE、機関リポジトリ等で公開している」という回答が約6割を占めており、オンライン資料収集制度の除外対象資料が多いことが分かります。一方、「オンライン資料収集制度を知らなかった」または「オンライン資料収集制度の対象となるのかが分からなかった」という回答が約3割を占めており、制度の理解促進のための周知が課題です。

(3)定期刊行物における電子ジャーナル化の状況

「一部又は全てのタイトルを電子ジャーナル化している」と回答した機関が約6割でした。また、「電子ジャーナル化していない」と回答した機関においても、その約3割は「電子ジャーナル化を予定又は検討している」と回答しており、今後さらに電子ジャーナル化が進むことが予想されます。

(4)刊行物のデジタル化の状況

過去に紙で刊行した資料のデジタル化について、「全てデジタル化した」と回答した機関が約5割でした。一方、「いずれの刊行物についてもデジタル化の予定がない」と回答した機関が約2割でした。
デジタル化の仕様については、「テキストデータを含まない、または含むか分からない」という回答が3割を超えました。

(5)デジタル化した刊行物の公開状況

デジタル化した刊行物の公開状況について、「デジタル化後、即時・無償で一般公開している」と回答した機関が約4割でした。「保護期間(エンバーゴ)後は無償で公開している」という回答も含めると、6割以上の機関がデジタル化した刊行物を公開しています。

(6)インターネット資料収集保存事業(WARP)によるウェブサイトの収集

当館のインターネット資料収集保存事業(WARP)について、「知らなかった」と回答した機関が半数を超えました。続く設問でWARPによるウェブサイト収集希望の有無を尋ねたところ、「希望する又は関心がある」という回答が約4割を占めました。また、約3割の機関は「依頼を受け、既に許諾済みである」という状況でした。

平成30年度

(1)納本の状況

冊子体、CD/DVD-ROMの納本状況について、「納本していないものがある」又は「全て納本していない」と回答した機関は約2割であり、平成28(2016)年からほとんど変わっていません。
納本していない理由として、「納本制度を知らなかった」又は「納本の対象となるのかが分からなかった」が5割近くを占め、「その他」にも納本制度の周知不足と思われる記述がみられました。

(2)定期刊行物の形態

学協会の定期刊行物の形態は、タイトル数では「冊子体」が約8割と大半を占めています。平成28(2016)年と平成30(2018)年を比較すると、自然科学と人文・社会科学の両分野で「オンライン資料」の割合が約10ポイント増加し、自然科学分野の「学会誌・論文誌」では5割を超えています。

(3)デジタル化の状況

冊子体の定期刊行物のデジタル化状況について、自然科学分野では約4割のタイトルが「全部をデジタル化した」と回答しています。平成28(2016)年と平成30(2018)年を比較すると、特に人文・社会科学分野の「学会誌・論文誌」について、デジタル化が進んだことが分かります。他方、「会議録」については、「デジタル化していない」が全分野で約5割、人文・社会科学分野では約8割と「学会誌・論文誌」に比べると、デジタル化が進んでいません。

(4)デジタル化の予定

デジタル化されていない冊子体の定期刊行物について、「デジタル化の予定はない」が両分野で最も多く、5割を超えています。これは平成28(2016)年から変わっていません。

(5)ウェブサイトでの公開状況

オンライン資料の公開について、「全てを無条件でインターネット公開」及び「一部を無条件でインターネット公開」が約7割です。とりわけ人文・社会科学分野では、「全てを無条件でインターネット公開」が5割を超えており、自然科学分野よりもオープン化の傾向が強いといえます。自然科学分野では、人文・社会科学分野より「有償での公開」が約20ポイント多く、「オンライン資料」の約4分の1にのぼっています。

(6)ウェブサイトでの公開方法

オンライン資料の公開について、「J-STAGE又はCiNii」が5割を超えており、学協会刊行物のプラットフォームとして確立されていることがうかがえます。平成28(2016)年と平成30(2018)年を比較すると、人文・社会科学分野では「J-STAGE又はCiNii」がやや増加していますが、「学協会ウェブサイト(DRMなし又はあり)」での公開が5割を超え、「J-STAGE又はCiNii」よりも多くなっています。このほか、自然科学分野では、約1割が「Springer、Wiley等の海外出版社のウェブサイト」で公開しており、人文・社会科学分野と状況が異なっています。

平成28年度

冊子等の定期刊行物については7割以上の機関が全て納本していると回答していますが、納本していない理由として、「納本の対象となるのかが分からなかった」との理由が3割以上を占めています。事務局が変わる際に、刊行物の納本について引き継ぎが十分になされていないケースもあるようです。
オンラインの刊行物を納本していない理由については、「J-STAGE、CiNii、機関リポジトリ等で公開しており収集対象ではない」、「オンライン資料収集制度の対象となるものを発行していない」との回答が多く見られ、オンライン資料収集制度の除外対象に該当するものが多いことが裏付けられました。
冊子の定期刊行物のデジタル化状況については、全てをデジタル化したものは3割程度であり、全くデジタル化していないものは4割近くあるなど、デジタル化が進んでいないことがうかがわれる結果となりました。また、デジタル化していない冊子の今後の予定については、「デジタル化の予定はない」という回答が半数を超えました。
ウェブサイトに掲載している定期刊行物の6割が、一部又は全てを無条件でインターネット上に公開しているとの回答がありました。公開方法については、J-STAGE又はCiNiiで公開しているとの回答が最も多く、J-STAGEやCiNiiがプラットフォームとして確立していることがうかがわれました。

平成26年度

平成26年度のアンケートの結果、学会誌・論文誌、会議録、その他の刊行物の刊行形態はそれぞれ冊子が中心であるものの、冊子を廃止して電子媒体の配布またはオンライン提供に変更することを予定している学協会が1割程度存在することがわかりました。
刊行物が納本されていない場合の理由としては、納本制度を知らなかったというものと、オンライン資料であるためというものが多く見られました。
また、4割程度の学協会が外国語で書かれた学術雑誌を刊行している一方、現在は刊行していない学協会の多くに今後刊行する予定は無いことがわかりました。

平成25年度

平成25年度のアンケートの結果、学会誌・論文誌、会議録の刊行形態は、冊子が中心であることが判明しました。また、東日本大震災をテーマとした刊行物を刊行した学協会が44あることがわかりました。
平成25年度のアンケートでは、外国語で書かれた学術雑誌についての質問も設けました。半数近くの学協会が外国語で書かれた学術雑誌を刊行していることがわかりました。

平成24年度

アンケートの結果、学協会資料の当館への納本状況は、学会誌に比べて会議資料の納入状況が良くないことが判明しました。また、学協会資料の刊行状況は、従来どおりの冊子体の他にも多様な形態(CD-ROM、Web上の掲載、オンライン提供等)で発行されていることが分かりました。さらに、オンラインで提供される学協会資料には、当館における当面のオンライン収集対象の範囲に含まれないものがあることが明らかになりました。

(参考)

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