書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?
第10回 情報の情報:メタデータ
今回は、「メタデータ」をめぐる書誌調整がテーマである。
メタデータとは、「データに関する構造化されたデータ」と言われていて、情報資源の組織化、アクセス手段の効率化や保存・管理に寄与するものである。例えば、従来から図書館で作成・利用されているさまざまなデータ(図書や雑誌を対象とした目録、索引、抄録等の二次情報)は、すべてメタデータである。図書や雑誌はもちろん、インターネット上に存在する情報資源(静止画像、動画、音声、ホームページ、電子ジャーナル等の各種コンテンツ)もメタデータの対象になる。メタデータは、実際にはインターネット上の情報資源を発見するツールとして語られる場合が多い。特に、全文検索に適さない情報資源(文字情報を持たない静止画像等)を探し出すためには欠かせない。メタデータそのものは、XML(文書やデータの意味や構造を記述するためのコンピュータ言語の一種)を記述言語として使用するのが一般的である。また、図書や雑誌の目録も、XMLで記述することが可能である。
インターネット上に存在する情報資源の組織化・利用提供のために二次情報としてメタデータを使用する場合、その「要素」を定義することが必要である。代表的なものとして、「ダブリンコア・メタデータ・イニシアティブ:DCMI」(OCLCの支援の下で活動する団体)が勧告している「ダブリンコア・メタデータ・エレメント・セット:DCMES」がある(表1)。当館は、DCMESに準拠した「国立国会図書館メタデータ記述要素」を平成13年に策定した(表2)。当館では現在この国立国会図書館メタデータ記述要素を「インターネット資源選択的蓄積実験事業:WARP」、「データベースナビゲーションサービス:Dnavi」において試験的に用いている。また、国内では国立情報学研究所が、主として国内の大学・研究機関等を対象に、平成14年から「メタデータ・データベース共同構築事業」を実施している。
当館は、平成14年11月に「ネットワーク系電子出版物の書誌調整」をテーマに、第3回書誌調整連絡会議を開催し、同会議では「メタデータ作成のルール作り」等の課題が提起された。また、本年(平成16年)、電子図書館サービスの基盤となる「国立国会図書館電子図書館中期計画2004」を策定した。ここでは「デジタル・アーカイブの構築にあたって、アクセスや保存のためのメタデータ付与を行う」ことを掲げている。
電子図書館サービスの実現には、日々進歩する情報技術をふまえた、情報資源の蓄積・保存・提供に関する継続的な調査研究や、メタデータを収集し、それを効率的に利用するためのメタデータ仕様の共通化とその普及を推進すること等が必要である。これらのうち、「仕様の共通化と普及促進」が「メタデータに関する書誌調整」であり、インターネット上の情報資源を円滑に流通させる上で、その重要度はますます大きくなってきている。
表1 | 表2 |
---|---|
DCMES (Version1.1) |
国立国会図書館メタデータ記述要素(要素概要) |
Title | タイトル |
Creator | 作成者 |
Subject | 主題 |
Description | 内容記述 |
Publisher | 公開者 |
Contributor | 寄与者 |
Date | 日付 |
Type | 資源タイプ |
Format | フォーマット |
Identifier | 資源識別子 |
Source | 情報源 |
Language | 言語 |
Relation | 関係 |
Coverage | 時間的・空間的範囲 |
Rights | 権利関係 |
(『国立国会図書館月報』2004.10 No.522)