ホーム > 資料の収集 > 納本制度 > 納本制度審議会 > 令和2年度第1回納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会議事要録

令和2年度第1回納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会議事要録

日時:
令和2年8月7日(金)午前10時~午前11時45分
場所:
Web会議システムによるリモート開催
出席者:
福井健策小委員長、植村八潮委員、遠藤薫委員、奥邨弘司委員、柴野京子委員、永江朗委員、根本彰委員、佐々木隆一専門委員、樋口清一専門委員
会次第:
  1. 電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
  2. その他
配付資料:
  • (資料1)納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会所属委員・専門委員名簿
  • (資料2)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
  • (参考資料)オンライン資料収集に係る法規対照表
議事概要:

資料2に基づいて、事務局から、電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の実施結果等及びこれを踏まえた有償等オンライン資料の制度収集に向けた検討の方向性について説明し、質疑応答が行われた。主な発言は次のとおりである。

  1. 収集作品、アンケート結果について
    • NDLの利用者は、NDLにしかない資料を目的に来館するのが一般的であり、公共図書館とは状況が異なる。実証実験で提供されたコミック、文芸といったジャンルは、来館目的とは異なる資料群と思われ、利用実績を評価する際に注意を要する。
    • 実証実験における収集作品の分野選択が受託者の任意ということだと、実際の出版状況を反映していない。
    • 実証実験では専門書出版社の電子書籍が必ずしも対象とならなかったため、出版界の全ての分野を網羅していない。
    • 今後さらなる実証実験が行われるとすれば、NDLで利用の多い書籍の電子版をNDLが指定し、実証実験に参加してもらうような方法だと、利用分析の役に立つだろう。
    • 収集資料1点について、著作権者の事情に基づく取り下げが発生したとあるのが気になったが、著作権の継承に伴う一時的な対応ということで承知した。
    • 実証実験利用者アンケートの回答者層が、国民あるいは図書館利用者全体の中でどう位置付けられるかを補足した方が分かりやすかった。利用ログについても、納本資料の利用状況との対比があると分かりやすいだろう。
    • 利用者アンケート結果によると、実証実験をきっかけとして電子書籍に興味を持った利用者が一定数いる。これが購入意欲にもつながると、NDLによる収集・利用提供と出版ビジネスとがwin-winの関係になるため、この点を詳しく分析することは有益ではないか。
  2. 出版ビジネスへの影響について
    • 出版社に不安があるという点以外に、実証実験から得られた客観的な分析結果が乏しい。制度設計に役立てられるよう、課題が残っていることを明記してはどうか。
    • 著作権法第31項第3項により、図書館送信サービスの対象は絶版等資料に限られている。現行法下で認められている利用による出版ビジネスへの影響と、今後発生する可能性がある利用拡大への懸念とは、区別して論じるべきではないか。
    • 昨今のコロナ禍により、フェーズが大きく変わったのではないか。民業圧迫という観点だけでなく、社会的なニーズに応えていくという観点も必要だろう。
    • 海賊版問題を巡る議論の様子からすると、ビジネスをしている出版社側は、被害額を過大に見積りがちである。一方で、コロナ禍で明らかになったように、電子書籍への社会的なニーズは高まっている。出版社の損失や懸念だけでなく、社会における書物の意義、「書物は何のため、誰のためのものなのか」という点を踏まえて検討すべきではないか。
    • 何をもってビジネスへの影響とみなすか、何ベースで被害を計算するかについて、共通理解があった方がよいだろう。
    • 図書館送信サービスの対象が絶版等資料に限られるという前提に立てば、それによる民間ビジネスへの影響は限定的といえるが、そもそも、電子書籍は絶版になる可能性がほぼない。NDLが電子書籍を収集すると、国民やその代表である国会議員から、より広く利用に供すべきという要望が出ることが予想される。出版社には、そのような利用拡大に対する懸念があり、それを解いていくことが必要。
  3. リポジトリについて
    • オンライン資料の制度収集は既に導入されているが、一定の場合に適用除外が認められている。このうち、除外対象となり得るリポジトリについては、「長期継続」「公衆利用可能性」「特段の理由なく消去されない」という要件を満たすことを示してもらうことが法律上必要である。
    • 民間リポジトリについては、運営主体の倒産や運営費用過多により継続できなくなる可能性もあり、サービスの永続性が保証されていない。リポジトリの運営終了時や電子書籍の販売停止の場合のコンテンツの取扱いについて担保を考える必要があり、NDLとして方向性を示してほしい。
    • かつて、国が電子書籍の出版と利用提供の全体をコントロールするような考え方があり、それに対し、出版社が不安を覚えていることは理解できる。しかし、当時とは状況が異なり、今となっては、そのような考え方では難しいということなら、それを明確に示した上で、検討を進めるべきではないか。
    • 民間リポジトリの機能や運用に言及されたことは、実証実験の成果である。急成長しているセルフパブリッシングの収集や著者との関係整理、将来的に利用が拡大された場合の補償をどうするかが今後の検討課題だろう。
  4. その他
    • 実証実験は電子書籍を端末にダウンロードする方式だったが、NDL館内では、端末利用者が入れ替わる度にダウンロードしたデータを消去するとのことなので、館内利用に当たってはストリーミング方式の方が合理的かもしれない。
    • アメリカ議会図書館著作権局では、ボーンデジタルの電子書籍を納本制度に組み込むよう検討している。日本とは制度面の違いはあれど、技術面では参考になるのではないか。

(以上)

このページの先頭へ