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トップ > 国立国会図書館について > 科学技術情報整備審議会 > 議事録 > 第6回科学技術情報整備審議会議事録

第6回科学技術情報整備審議会議事録

日時:
平成27年7月21日(火)午後1時58分から午後3時52分まで
場所:
国立国会図書館東京本館 総務課第一会議室
出席者:
科学技術情報整備審議会委員・専門委員 10名(欠席2名)
安西祐一郎委員長、安藤慶明委員、倉田敬子委員、児玉敏雄委員、佐藤義則委員、竹内比呂也委員、戸山芳昭委員、中村道治委員、藤垣裕子委員、村山泰啓専門委員
(喜連川優委員及び中村利雄委員は欠席。安達淳国立情報学研究所副所長が陪席。)
館側出席者 14名
館長、副館長、(幹事)総務部長、調査及び立法考査局長、収集書誌部長、利用者サービス部長、電子情報部長、関西館長、国際子ども図書館長、(陪席)総務部企画課長、収集書誌部主任司書、利用者サービス部副部長サービス企画課長事務取扱、(事務局)利用者サービス部科学技術・経済課長、電子情報部電子情報企画課長
会議次第:
1. 開会
2. 国立国会図書館長挨拶
3. 委員紹介・幹事紹介
4. 報告及び懇談
 (1) イノベーションを支える「知識インフラ」の深化のための提言~第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けて~(素案)について
配付資料:
第6回科学技術情報整備審議会次第 (PDF: 83KB)
資料1 科学技術情報整備審議会関係者名簿 (PDF: 136KB)
資料2 第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けた基本方針検討部会の審議の概略について(PDF: 256KB)
資料3-1 イノベーションを支える「知識インフラ」の深化のための提言~第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けて~(素案)の概要 (PDF: 367KB)
資料3-2 イノベーションを支える「知識インフラ」の深化のための提言~第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けて~(素案)(PDF: 751KB)
資料4 科学技術情報整備審議会関係の日程について(PDF: 98KB)
(参考資料)
1 科学技術情報整備審議会規則(PDF: 135KB)
2 科学技術情報整備審議会議事規則(PDF: 121KB)
3 国立国会図書館における今後の科学技術情報整備の基本方針に関する提言(平成23年1月19日 科学技術関係資料整備審議会)
4 第三期科学技術情報整備基本計画(PDF: 296KB)
5 国における科学技術基本計画策定等の進捗状況について(PDF: 142KB)
議事録:
1.開会
安西委員長: まだ2時前ですが、皆様いらっしゃっているということですので、第6回科学技術情報整備審議会を開催します。
大変申し訳ありませんが、3時30分にどうしても出なければならないので、その後は竹内委員長代理にお願いしています。御了解ください。
それでは、事務局からまずお知らせがあるそうです。よろしくお願いします。
木藤科学技術・経済課長: 利用者サービス部科学技術・経済課長の木藤です。よろしくお願いします。本日はお忙しい中、御出席ありがとうございます。また、本日は、国立情報学研究所長の喜連川優委員及び日本商工会議所専務理事の中村利雄委員が所用のため御欠席されています。関係者名簿を資料1として配付していますので、御覧ください。なお、国立情報学研究所(以下「NII」)からは、安達淳副所長がこの後3時頃から御参加くださる予定です。
 
2.国立国会図書館長挨拶
安西委員長: ありがとうございました。開会に当たり、大滝館長に御挨拶をお願いします。
大滝館長: 国立国会図書館長の大滝です。本日は先生方には大変にお忙しいところ、第6回科学技術情報整備審議会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
国立国会図書館の「第三期科学技術情報整備基本計画」は、これに基づいて現在取り組んでおりますが、今年度、その最終年度を迎えております。この第三期基本計画は、平成23年1月に当審議会の前身であります科学技術関係資料整備審議会から国立国会図書館の科学技術情報整備の基本方針に関する御提言をいただき、それを指針としてまとめられたものでありました。
この度、来年度から新たな第四期基本計画を策定する段階に際しまして、当審議会から新たに御提言をいただくことをお願いし、前回、昨年12月2日開催の第5回審議会におきまして、「第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けた基本方針検討部会」を設置していただきました。この部会は、前回審議会の御決定により、竹内委員を部会長に、佐藤委員、村山専門委員のお三方から構成されておりますが、早速、昨年12月に第1回会合を開催、これまで5回の会合、また随時、御相談を重ねていただくことなどを通じ、新たな第四期基本計画策定の指針となる御提言の素案をまとめていただきました。部会長の竹内委員をはじめ、佐藤委員、村山専門委員のお三方には、大変に御尽力いただいておりますこと、改めまして、厚くお礼申し上げる次第であります。
本日の第6回審議会では、この部会素案が取り上げられ、御審議されること、また、当審議会としての最終的な御提言は、部会案を基礎にして、今後に御審議を重ねられ、年内にはお取りまとめいただく御予定と伺っており、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
一方、科学技術政策に関する国の動きとして、同じく来年度から始まる「第5期科学技術基本計画」について、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(以下「CSTI」)における検討が深められていると伺っております。先般、中間取りまとめが公表されましたが、これを拝見しますと、情報通信技術等が飛躍的に進展する大変革時代にあって、「世界で最もイノベーションに適した国」の実現に向けた取組の必要性が謳われております。そのためには基盤的な知の力の強化が必要ということも謳われておりますが、残念ながら、現時点におきましては、大学図書館や国立国会図書館が担う知識基盤に関する具体的な言及が見当たらないところであります。技術革新のスピード感が格段に加速しているとはいえ、過去や現在の知的活動の成果を踏まえたところに新しい創造がなされるということは変わりがないところだと考えます。今後の図書館活動の方向性ですが、現行の国の「第4期科学技術基本計画」及び国立国会図書館の第三期基本計画に明記されている「知識インフラ」を整備して、知識・情報の循環と再生産に役立つ社会的基盤と認めていただけるように取り組むべきだと考えております。そのためには、この方向性が国としての政策に位置づけられ、また広範な社会的な御理解を得ることができるよう、国立国会図書館としても努める必要性があると強く考えているところであります。この点につきましても、引き続き、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
以上種々お願い申し上げましたが、第6回審議会に際しての御挨拶とさせていただきます。
本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
 
3.委員紹介・幹事紹介
安西委員長: ありがとうございました。それでは、新任の委員・幹事の紹介を事務局からお願いします。
木藤科学技術・経済課長: 事務局から委員の交代等につきまして御報告します。日本原子力研究開発機構理事長の交代により、松浦祥次郎委員が退任され、この4月1日から児玉敏雄理事長が新たに委員に御就任くださいました。ありがとうございます。よろしくお願いします。
(児玉委員挨拶)
当館幹事につきましては、異動により、石渡利用者サービス部長及び片山関西館長が新たに幹事に加わりました。なお、本日は、幹事のほかに、大滝館長、網野副館長、審議会事務局の職員が出席しています。どうぞよろしくお願いします。(関係者挨拶)
安西委員長: それでは、会議次第の「4.議題及び懇談:イノベーションを支える「知識インフラ」の深化のための提言」に移ります。
前回の第5回審議会で設置された、第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けた基本方針検討部会において、先ほどありましたように取りまとめていただいたもので、本日の懇談のテーマとさせていただきたいと考えています。部会長の竹内委員から御説明をお願いします。
竹内委員: 竹内です。それではただ今より「イノベーションを支える「知識インフラ」深化のための提言」について検討状況を説明させていただきます。お手元の資料2、資料3-1、資料3-2をベースに説明をしますので、適宜御参照ください。
先ほど大滝館長及び安西委員長から御紹介いただきましたが、基本方針検討部会は、私、佐藤委員、村山専門委員の3名で構成されていまして、お手元の資料2にありますとおり、これまで5回の検討部会を開催いたしました。この後に審議いただく提言(素案)を今日お示しするような形でまとめたわけですが、本日の御意見をもとに更に検討した最終案を次回の審議会でお示しをする予定です。ですので、本日の段階では最終案ではないので、忌憚のない御意見を伺えればと考えています。
お手元の資料3-2が提言(素案)の本文です。今回「イノベーションを支える「知識インフラ」の深化のための提言」というタイトルを付けています。これは、国の次期科学技術基本計画の策定主体が総合科学技術会議からCSTIに改組されたことに象徴されるように、イノベーション創出を大きな目的としている国全体の科学技術政策に呼応していこうということでもあります。また、イノベーションが生み出される基礎中の基礎、基盤の中でも最も土台と言える部分に、図書館が果たすべき機能があるということを改めて訴えていかなければならないのではないかということも、このタイトルを考える中では考慮しました。
なお、現行の第三期計画の中で「知識インフラ」という言葉が使われています。このまとめは平成23年1月に出ていますが、ここで示されている「知識インフラ」というビジョンは現時点においても有効であると考えていまして、したがいまして、この第三期計画に示された「知識インフラ」というビジョンをベースに、第四期計画ではより具体的に深化させる必要があるという観点から今回の提言をまとめています。言わばビジョンである第三期計画を踏まえつつ、その深化のためのストラテジーとアクションプランを用意したといえるのではないかと思います。
資料3-1に提言(素案)の概要をまとめています。この一番最後の6ページの図を御覧ください。この図は、第三期計画に示された「知識インフラ」の概念を第四期計画にどのように継承し、そしてこれを深化させていくかということを整理して図示したものです。この絵の中では領域を二つに分けていまして、一つは恒久的保存ということを考える領域、もう一つは利活用の促進ということを考える領域です。この二つを階層で示し、この中で国立国会図書館(以下「NDL」)にどのような役割を担ってもらうかを示すと同時に、NDLにはこの二つの領域をつなげる役割があるということも期待して、このような図をお示ししています。
詳細については事務局から説明をよろしくお願いします。
木藤科学技術・経済課長: (資料3-1に基づき説明)
 
4.報告及び懇談
安西委員長: ありがとうございました。それでは、懇談に移りたいと思います。
ただいまの提言(素案)について、議論をお願いしたいと思います。この素案には、先ほどもありましたように第三期計画の実施状況、外部の諸状況、それらを踏まえた上で、来年度から始まる次の計画期間に、NDLが取り組むべきことが記されていますが、内閣府では、第5期科学技術基本計画について検討しているところであり、それとの関係についても御関心のあるところかと思います。
御質問、御意見、御提案がありましたら、どなたでも結構ですのでよろしくお願いします。
中村道治委員: 非常に重要な時期を迎えていると私は考えているわけですが、国全体としても科学技術情報、研究開発力、あるいはイノベーションをどう活用するかは非常に重要なテーマです。これは日本だけでなく世界的に同じような議論を進めているという意味でも、我々としても常に先導役といいますか、この分野でリードしていきたいと思っています。日本はNDLやNIIや科学技術振興機構(以下「JST」)など、実際に実行する部隊だけでなく、今回は内閣府もいろいろと検討してくださっているところです。日本全体として、関連部門が集まって議論するような場はできたのでしょうか。
安西委員長: これはかなり大事なポイントだと思いますが、NDLの方で何かコメントはありますか。そのような場はできていないような気がするのですが。
田中電子情報部長: おっしゃるとおり、第三期計画には当館が旗を振って国全体でそのような会議体を設置するという言及もありますが、現時点では国全体の関係機関が集うというような場所はまだできていません。
安西委員長: 私の理解でも、そういうものがないのは非常に大きな課題、問題ではないかと思います。
中村道治委員: 今回の提言案でよく書かれているように、実行する部隊はそれなりに担当レベルで議論しています。新しいところでは、内閣府のCSTIがこの問題に対して非常に関心を持っていてリードすることになりそうで、第5期科学技術基本計画でも明記しようとされています。そういう意味でも、今までより一歩進んだ、大きな全体で議論する場を是非実現していただき、そういう中でNDLも貢献してくださればよいと思います。
安西委員長: CSTIとNDLの関係はどうなっているのでしょうか。
田中電子情報部長: 直接的には当館は行政府の機関ではないので指揮関係はありません。連携する中で私どもの計画についても部分的に、国全体として実現するという観点で計画の一部分を成す部分はあります。また、当館は科学技術振興のための資料整備予算も持っていますので、その観点では全体の調整、管理する事項になっている部分はありますが、CSTIと直接的なやり取りをする明確な関係はありません。
安西委員長: 既にやっていると捉えてよろしいでしょうか。
田中電子情報部長: 国の科学技術基本計画の中に例えば「知識インフラ」が言及されていますので、その部分の進展、進捗に関しては内閣府が関与する対象になるのですが、直接的にCSTIと事務的に調整しながら進めているという関係では必ずしもありません。
安藤委員: 私も全て詳らかに知っているわけではないのですが、今の中村道治委員の流れで申し上げれば、CSTIでオープンサイエンスの検討会ができて、そこでポリシーというものがまとめられました。その後、その検討会が継続的に議論をしているかというと、必ずしもそうではなくて、むしろまとめたポリシーをどうフォローアップしていくかについて事務レベルで検討、情報収集がなされているようです。今CSTIでは第5期科学技術基本計画の検討作業がなされていますので、そこにどうインプットしていくかという話が一つあると思います。
また、文部科学省では、学術情報委員会においてオープンデータの検討をしています。これから文部科学省として大学の図書館、あるいはJSTをはじめいろいろな事業展開をしていますので、それをどう活用していくかを学術情報委員会で検討し、9月の頭に中間的にまとめるということを考えています。ですので、NDLの検討と文部科学省における議論との間でいろいろとコミュニケーションを密にした方がいいと思いますし、文部科学省の方でまとめたものはまたCSTIの方にもきちっと紹介をして、議論を深めてもらう必要があれば議論を深めてもらわないといけないと思っていますので、その検討を今進めているという状況だと思います。他省庁で何をやっているかは存じ上げません。
安西委員長: よろしいでしょうか。第5期科学技術基本計画の取りまとめ元になるCSTIへのNDLのチャネルが細いように見えますが、これをどうしたらよいかは、NDLにとって非常に大事な案件だろうと思います。
今、中村道治委員がおっしゃいましたように、日本全体の科学技術情報の在り方はJSTだけでなく文部科学省等々としても非常に大事だと思いますが、一方で、関連部門のパイプがかなり細いような気がしますので気になるということです。
村山専門委員: 私は内閣府のオープンサイエンス検討会のメンバーをしておりましたので、内閣府のオープンサイエンスのガイドライン関係とのいわば非公式なチャネルとして機能できるかと思います。しかし、私の専門はどうしても研究データの取扱いに重点がありますので、図書館・文献関連のオープンサイエンスに関わる議論については、この場の有識者の皆様からも御意見を伺えればありがたいと思っています。
安西委員長: それでは、他の御意見等でも結構ですのでお願いしたいと思います。
児玉委員: 資料3-1の6ページの見方についての質問ですが、真ん中の緑色のブロックの「国立国会図書館の役割」というのをNDLのミッションと理解すると、この中にはもう既に十分にある機能と、これからまだ深化させないといけない機能と、全くない機能があると思います。
そういう理解でいうと、図の上の「利活用促進のための領域」では、真ん中のブロックから両側の赤いブロックへ矢印が向かっています。下の「恒久的保存のための領域」では両端の青のブロックから中に来ています。ということは、上の「利活用促進」はかなりもう充実しているからそれを展開していき、下の「恒久的保存」はまだこれからやっていかないといけない、という理解でよろしいでしょうか。矢印が外へ行くものと、外から来るものでは意味があるのかなと思いました。
田中電子情報部長: 全体のグレーの矢印は、情報が循環しているということを表しています。下のレイヤーの基盤的な層から利活用の層へ、さらにそれが再生産につながるという意味で、全体が回るような矢印ということです。上の層、下の層、それぞれあるのですけれども、緑の枠のなかに書かれていることには現在当館ができていることもあれば、まだまだ不十分なこともそれぞれあります。必ずしも、上だけが進んでいて下がまだ、ということではありません。下にも上にもまだこれから整備していくべきものが、それぞれたくさん課題としてあります。
木藤科学技術・経済課長: それにつきまして、下の四角で青い矢印は当館側に向かっていて、上の四角では赤の矢印が当館から出ているので段階が違うという印象を持たれたのかと思いますが、それはそうではなくて、「恒久的保存のための領域」では他機関が集めたものを当館が統合する可能性があるため、主な流れが集まっている形になっています。
上の「利活用促進のための領域」はむしろこれから当館が働きかけなければならないということで、例えば、制度整備や人材育成を当館自らがやるわけではないけれども、関係のところに働きかけなければいけないなど、他のところで作っているポータルについても協力していきましょうというところを主な働きとして書いています。
上と下でたまたま役割が分かれてしまっているということで、どちらも段階は様々であるというのは田中が申したとおりです。
戸山委員: 資料3-1の6ページ目のここが私、一枚で一番よくまとまっているということで拝見しました。確かに保存と利活用の促進ということで、保存であれば当然、どの程度の範囲までをどういう形で保存するかが明確にならないといけません。
それで上のところが一番大事で、「利活用促進」のところでは一方通行のように書いてありますが、私は両方向がここにあって良いと思います。NDLの膨大なデータを、どこの領域が利活用できるかというのをNDLが受ける必要があり、これができる・できないという返答が必要だと思います。私は両方向があるのが一番良いという感じがしますね。それをもって次のステップに行くのがよいと思います。
それからあと細かいことですけれども、図の上と下のところで「大学・研究機関」という文言のうち、「大学」は「教育機関」に置き換えた方がより良いと思います。以上です。
木藤科学技術・経済課長: 矢印の御指摘については全くそのとおりで、上の「利活用のための領域」では、長い資料3-2の本文をお読みいただきますと当館で持っているかなり大きな、大量の情報につきましてももっと他のところで利用していただくために、いろいろな整備をしなければならないということにも言及しています。ですので、下の「恒久的保存のための領域」についても矢印は一方的ではなくて双方向の働きかけがあります。今はたまたま一方向で表していますが、より正確に表すとすれば、言われるとおり双方向的に表したいと思います。
大学につきましては教育目的、教育機関としての側面と、研究所等と同様に研究を行って、研究成果を生み出す場としての面をもっていますので、適切な用語に変えたいと思います。ありがとうございました。
安西委員長: 藤垣委員、お願いします。
藤垣委員: 資料3-1の6ページにあるNDLの役割の一番上で「国全体のメタデータ」といったときに具体的にどういうものをイメージしているか、教えていただけますか。
田中電子情報部長: 出版物のメタデータはもとより、この場合、下にあるような各領域のメタデータ、出版物以外のものとしては博物館や美術館、あるいは文書館、あるいは研究データとして大学等が保有しているもの、そういったそれぞれの領域のメタデータを当館が集約するということです。
藤垣委員: なぜそういう質問をしたかというと、NDLのなかに調査部門があって、調査及び立法考査局がいろいろな資料を出していて、例えば、科学技術政策の国際的な動向の資料編や国による研究開発の推進という調査報告書が出ています。これらもおそらくメタデータのなかの一つであって、先ほど来、中村道治委員の意見にもありますように、おそらく第5期科学技術基本計画は、本当であれば、NDLがこういう科学技術政策の国際的データに関する調査報告書を出しているのだから、それをベースとして、国際的な科学技術政策の比較データをもとに日本ではこれから先どうしたらよいかの議論に活用していただいた方が良いわけです。ですからパイプを太くするという意味では、こういう調査報告をメタデータとしてNDLはやっているということをもっとアピールして、使っていった方が良いと思うのですけども、そのへんはいかがでしょう。
田中電子情報部長: 藤垣委員の言われるとおりと思います。調査報告も必要なものは公開をしていますけれども、そういったものもこれから検討の中にも反映させていきたいと思います。
安西委員長: 普通は情報科学でいうメタデータというと、データに付けるいろいろなタグといった意味です。今の話では違うので、NDL側ではどういうつもりでメタデータと言っているのか、聞かせていただけるとありがたいです。
田中電子情報部長: この提言(素案)の中でメタデータというのは、紙の出版物やデジタル情報といったいろいろな情報に対して、それを管理するために付けるメタデータという意味です。本で言えば目録に当たるもので、デジタル情報であればインターネットで探すためのいろいろな管理情報、一義的にはそういったものを意味しています。それらを集約すれば最終的なコンテンツを利用するための足掛かりとなるので、当館でそれらを集約するということを機能としてやっていくという話になっています。
藤垣委員: 普通、メタというと、あるアクティビティがあって、それを観察するメタの視点からのデータという一段上にあるようなものをイメージします。そのため、私自身はその科学技術政策の動向に対する調査ということで調査報告書をメタデータと呼ぶのかなと思ったのですけど、今の話を聞いていると、おそらく一次情報も含まれているようです。
田中電子情報部長: すみません、さきほどの藤垣委員の御指摘のほうで言えば、メタデータと呼んでしまうと混同して誤解があるかもしれませんけれども、それは全体、国の科学技術政策についてのいろいろな調査結果を反映させる点についてはそのようにさせていただきますということです。それもメタデータと呼んでしまうと提言(素案)の文脈と外れますので、言葉の定義としては混同した使い方をしたということで申し訳ありませんでした。
安西委員長: 両方大事ですので、どちらでないといけないという意味ではないのですが、今、藤垣委員が言われた、調査報告書を活かしてそれのベースの上で第5期科学技術基本計画の政策立案をきちんとやってもらいたいというのは、それは理屈が通っていると思います。
一方で、メタデータというときには、データにいろいろ付加し、データベースを統合してみることができるようにするための情報のことをメタデータと呼んでいます。そうすると、前にも質問しましたが、国全体のメタデータは膨大な量になるので、これを集約するには、相当のステップが必要だと思います。これはNDLがこういうことをしたいという理想として書かれているのか、かなり具体的にこういうステップで本当にNDLがやるというつもりで書かれているか、どちらなのでしょうか。
田中電子情報部長: 既に私どもは国立国会図書館サーチというポータルのサービスを提供していて、それが対象にしているメタデータが現在、1億件以上あります。NII、JSTのそれぞれのデータベースもこのポータルの連携検索の対象にしています。これからは例えば文化庁で作っている文化遺産オンラインなど文化資源のポータルサービスともつないで、それぞれの領域のポータルサービスをつないでいくことで全体の大きな対象のメタデータの連携を行って対象を広げていくという形を考えています。
安藤委員: 今のメタデータの件は、この資料3-1の6ページでは、NDLだけで全てやるという絵に見えますが、それは全体の日本のインフラを考えれば、いろいろな機関が連携をして、トータルでインフラを構成するという形になると思います。プレイヤーがもう少し見えてくると分かりやすいと思いました。
先ほど申し上げようと思ったのは、資料3-2の4ページの「電子情報資源収集範囲の拡大」に、NDLの重要機能として納本図書館という機能が書かれていますが、データジャーナルが出るなど、電子ジャーナルも今後、いろいろな形で出版されてきます。NDLの機能は非常に重要だと思うので、是非しっかりと進めていただきたいと思います。
特に、この中で当面の間は無償利用できるものでかつDRMのないものに収集対象は限られていることと、今後は有償又はDRM付で流通している資料の収集が課題で、平成27年度から実証実験を行って、方策を探るとありますが、具体的にどんな計画で、どういう形でこの実験等は進めていくのかをお聞きしたいと思いました。
大曲収集書誌部長: 資料収集を所管していますので、回答させていただきます。今、非常に重要な御指摘をいただきまして、当館は無償のオンライン資料の収集を既に開始しています。一方で有償の電子書籍や電子雑誌が今たくさん市場に出ていますが、まだ収集できていません。これらを保存し、利用できるようにしなければならないので、ここに書いてありますように、年内に、出版社等の御協力を得ながら、データを集めてそれを利用していただくという実証実験をやっていく予定です。実証実験で、出版界の利益等も勘案しながら、ボーンデジタルのもの、各出版社がデジタル化したもの双方について、我々国立国会図書館としてどういう形で国民の文化資産として後世に残して利用することができるかを検討することにしています。
倉田委員: 既に御指摘になっている部分と似てしまうところはあるのですけれども、資料3-1の6ページの図の意図は大変よく分かりますし、全体のイノベーションへの創出のために保存によるアクセスの保証と利活用ということは分かるのですけども、書き込み方が雑駁と言いますか、書き込みすぎといいますか、全体の戦略的な面というのが見えにくくなってしまっている点があります。特に、今既にある程度は見えている部分と、目標としてこういう方向でやっていきたい話は、かなりバラバラな感じのものが列挙されているように見えるのはあまり望ましくないと思いました。
今、安藤委員のほうからも御指摘がありました、ボーンデジタルのもので、例えば日本の国内の電子ジャーナル等や電子書籍のアクセスが保証されない可能性が出てきているのはとても大きな問題だと思います。今はまだ紙の出版物が併存していることが多いので納本制度で何とかなっていますが、電子ジャーナルについては電子オンリーの雑誌が国内のものでも既に出てきています。それがどんどん加速する可能性の方が強い時代において、NDLがこれまでずっと言っていらした、国内の学術情報資料に関してはほとんど問題なくアクセスできるという状況が全く根幹から壊されるということにもつながり、そのことはもっと強く訴えるべきではないかと思います。
今、大曲さんのほうから御説明があったように、実証実験に向けて具体的に動いていただけるのはありがたいとは思うのですけれども、ここは早く進めていただかないと、本当に問題が想像以上に大きく出てくる可能性があると私は思っています。
一方、利活用のところで、メタデータの集約という言葉はあまり良くないと思いました。皆さんの誤解を非常に招く言い方になってしまっています。利活用においてNDLの果たす役割としてメタデータがとても重要だということは強調した方がよろしいですが、集約や提供というと、集めてくるとか自分たちで全部作るというイメージをもたれてしまうかもしれません。そういう話ではないわけで、いろいろなところがいろいろな形で作っているメタデータに関して情報を総括し、そこにおける問題などをきちんと認識したうえで、その連携を図っていこうということだと思います。ですので、重要なのはメタデータの重要性や、オープン化、標準化の問題だと思います。それをもっと強く言っていただく方が、ここのところは分かりやすくなると思います。
もう一つは、全体の方向性として、今、内閣府等で、オープンデータということが強く言われています。提言にキーワードをちりばめればよいというわけではないと思いますが、NDLとしても、オープンサイエンス、オープンデータという言葉自体をもっとお使いいただいて、NDLが率先してデータをオープン化し、それを利活用できるようにしていただきたい。しかも今のいくつかの省庁に見られるように「PDFで出せばいいんだろう」では絶対、オープンデータではないということを訴え、きちんとした形で「各省庁は、こういうふうに出せ」というモデルを示していただきたいと思っています。
安西委員長: ありがとうございました。NDL側はいかがでしょうか。大変大事なポイントが含まれていると思います。
田中電子情報部長: 倉田委員の御指摘はごもっともで、不十分な点と思います。全体的に力を入れるべきところとそうでないところのメリハリがついてないという点も確かにありますし、オープンデータ、オープンサイエンスに向けた取組についても、一層具体的なものをいただければそれも御提言として承りたいと思っています。ありがとうございました。
安西委員長: デジタル資料の収集について、具体的にいつまでにどういうふうにどうやってやるのかをお答えいただけるとありがたいです。今の倉田委員のコメントは、NDLにとって非常に大事なポイントだと思います。
田中電子情報部長: いわゆる電子書籍・電子雑誌に相当するオンライン資料の制度的収集は昨年7月から法律に基づいて始まっているのですが、DRMが付いているものや有償・有料のものは今のところまだ収集対象になっていません。そこについて商業出版社と実験をしていくというのが先ほどあった報告の中身です。今のところそれがいつの時点までというめどが立っていません。この第四期計画の5年の中では必ず実現していかなければならないと思います。
大曲収集書誌部長: 資料の収集は収集書誌部で担当しています。インターネット資料のうち、公的なものについては収集を始めています。倉田委員から御指摘いただきましたボーンデジタルのものをはじめとして、民間のものを全体としてどういう形で保存していくかについても非常に一生懸命検討をしています。無償でDRMなしのものは収集を開始していますが、ただ、有償であったりDRM付きであったりするものについては、収集書誌部で出版界の方々といろいろとルートを持って、話し合いをしながら、商業的な利益に関わる部分について合意を得ながらやっていかなければいけないという難しさがあります。その辺りについてスピード感が必要だという先生方の御指摘は重々承るわけですけれども、収集書誌部を中心に議論をし、急ぎながらも慎重にやらなければいけないという状況です。今年の末から実証実験を行い、その結果を受けて制度化について何らかの国内の合意をとっていきたいと考えています。
竹内委員: 今のポイントですけれども、非常に重要な御指摘をいただいていると部会長としては考えています。これについてはお手元の資料3-2の16ページで「今後、中長期的に散逸が危惧されるボーンデジタル情報については、制度の整備を待つことなく、適切な対応を取ることが求められる。」と述べています。今の大曲部長の御意見は、とりわけ商業的なものについて、関係各方面との調整を踏まえながらNDLとしての機能をいかに果たしていくかという非常に苦しいお立場からのものだったと思うのですが、この審議会としては、ここに書かれているように、制度の整備を待つことなく適切な対応を取ることが重要だと明確に申し上げるという対応をするのがよろしいのではないかと思います。
中村道治委員: 議論についていけてないところがあるのですが、私が問題と思っているのは、科学技術関係の学会中心にJ-STAGEで電子ジャーナルを提供しているわけですが、数から言ったらそれに入らない雑誌がいっぱいあります。一例としては企業が出している技報はJ-STAGEに入らず、ほとんどPDFでしか配付されていないと思うのですが、産学連携といったときに、企業がどういうものを使っているか、大学の研究者の誰をリファーしているかというのは非常に貴重な情報だと思います。それから人文社会科学系はこれから自然科学との連携が非常に大事になってきますが、いわゆる自然科学者が人文社会科学に簡単にアクセスできるようにというのもなかなかうまくいっていません。電子ジャーナルを少なくとも今の学会だけでなく広く集めて保存するというのが一つ課題です。
もう一つ、データのオープン化は正に今議論が始まったところで、各国ともまだそれほど明快な指針・方針が出ているようには思われません。皆模索している段階のはずで、早くその議論の中に入っていって、日本としてこれからデータをどういう形でオープンにするかということを一つ一つ克服しながらやっていくと、この二つが課題と思います。
倉田委員: そのとおりだと思います。私もレベルの違うものを全部一緒に言ってしまったので誤解を招いたかもしれませんけれど、印刷体がある形で出ている学術情報に当たるもの、雑誌といっても電子ジャーナルになっているものだけではなくて、技報や論文集や会議録、そういったものを全部含めて、これまでは印刷物である限りはNDLが、国内資料に関しては完全にではないにしても、かなりの割合で集めてこられたと思います。そこでアクセスが保証されていました。ところが、電子化され、学会によっては印刷物を出すのをもうやめてしまったというところが出てきたときに、NDLが今それらを十二分には拾えていない可能性が非常に高いということが非常に問題だと思っています。まずはその状況を完全に把握していただかないと困るということが一つです。
またその中で、海外の出版社から日本の学会が学術雑誌を出している例も今とても増えています。特に著名な英文学会誌の場合、ElsevierやSpringerやWileyから出す方が良いという考えの学会もあります。そうなると権利関係はとても面倒になってしまって、これらが出している電子ジャーナルをNDLに簡単に無料で保存させてくれ、それを公開させてくれという話が通るとは私も全く思っていません。いませんが、だからといって手をこまねいていていいという話にもならないと思います。まず、なくなってしまうのは一番困るので、なくなりそうなものに関しては、公開を二の次にしてでもまず保存だけは何とかして確保した方がいいと思いますし、商業出版社との関係が複雑なものに関しては、すぐに、1年後に何とかしろと言っているわけではなくて、既に努力を始めていただいていることを着実にしていただく必要があります。全体動向に関してはできるだけ早く具体的なデータをお示しいただいて、これだけ問題があるということを多くの人に認識していただくというのも重要なポイントだと思うので、こういう提言の時に参考資料の一部として具体的なデータもつけていただくのは、一つのやり方として適切だと思います。
研究データそのものの公開に関しては謳わなければいけないとは私も思いますが、そこはゆっくりと、走りながら考えても良いのではないでしょうか。ただ、遅れては絶対にまずいと思います。これは国際的な議論の枠に入りそこなったら終わりですので、常に情報収集をしていただき、「ここは入ってないとまずい」ということを日本全体として、NDLも含めた多くのステークホルダーが動かないといけないと思います。
中村道治委員: ありがとうございます。言われることが理解できました。最後に言われましたデータについても正にそのとおりで、一言だけ御報告しますと、研究データ同盟(Research Data Alliance(RDA))が活動を始めて、日本からもかなり参加していただくようになりました。研究データ同盟の来年春の総会は日本で開催するという方向で準備を始めることになっています。決して日本が周回遅れにならないようにしたいと思います。
安西委員長: ありがとうございました。
藤垣委員: 今の倉田委員の御発言の最後の方で出た海外の英文学術誌の話について伺っておきたいのですが、海外の学術雑誌は円安とElsevier・Springer等の寡占状態から、契約料金が非常に上がっていて、今国立大学は非常に困っています。私は副研究科長として経理を担当しているのですが、図書経費の高騰に大学運営費がついていけない状況になっていて、国立大学、東大でさえ悲鳴を上げているのです。そういう状況に対してNDLとしてどういうことをお考えなのでしょうか。一応資料3-2の17ページにはそれに類することが書いてあって、「全部は無理なので中心的な」という表現になっているわけですけれども、国立大学図書館協会でさえ大変な思いをしていることに対してNDLはどういう役割を果たそうとなさっているのかだけ聞いておきたいので、よろしくお願いします。
大曲収集書誌部長: 当館としても、各大学が非常に厳しい状況にあるということは聞いています。ただこの問題には非常に根が深いところがあります。1990年代に各大学が紙で買ってきた学術雑誌をデジタルに切り替えるということが全世界で起きました。その中でビッグディールという購読契約を結ばれて、21世紀初めには大学の大小を問わず電子ジャーナルを購読できるという、情報がかつてないほど平等に利用できる環境が、日本国内で整ったと言われています。それがここに来て、円安と大幅な価格上昇が重なって、これまでの契約を維持できなくなってきていると聞いています。当館は、ビッグディールはせず、紙と電子の永続的購読権があるものを中心に丹念に蔵書を作ってきたという経過があります。当館も今回の円安と雑誌の価格上昇については大変苦しんでいますけれども、予算の問題も検討しながら何とか重要なコアジャーナルを維持して、多くの方々が全国から公平に利用できる形でやっていきたいと、ぎりぎりの努力をしています。ジャーナルのラインナップについて国内のいろいろな大学や大学に属さない方々が必要とする最大公約数を探りながら、限られた予算の中で情報を供給していきたいと考えています。
竹内委員: 今の藤垣委員からの御質問と、御質問に対する大曲部長の御回答について補足いたします。資料3-2の17ページに書かれている「国民ニーズの高い外国刊行資料の収集・アクセス保証」という点と密接に関わる議論であると理解いたしました。ベースの考え方としては、NDLは大学の構成員に対して直接的にサービスを提供するという立場をとらないというのが従来の科学技術情報整備の考え方であり、それは踏襲されるものであると理解しています。したがいまして、大学の構成員に対するサービスは一義的には各大学において資料の整備が行われ、そしてその資料のサービスが行われるというものであり、NDLの役割としては大学等に属さない、一般市民としての研究者に対して資料へのアクセスをどのように保証していくのかが大きな課題であるという考えをベースにこの部分は書かれています。
またもう一つ明確にしておかなければならないのは、JSTによる文献複写サービスがもうなくなるということと思います。従来であれば一般企業等に対してはJSTが、日本科学技術情報センター(JICST)の発足以来、科学技術情報の提供を国策として行ってきたわけです。これがなくなるという状況の中でNDLが広く大学に属さない研究者等に対して唯一の情報提供機関になってしまうという状況が生まれつつある中でどのように考えるかというのをかなり苦しく書いたのが17~18ページだと思います。
したがいまして大学は大学として責任をもってその構成員が必要とする学術情報を整備・提供するのを当たり前の役割として当然果たしていくべきであると思います。
藤垣委員: 一応、「第四期科学技術情報整備基本計画」なわけですよね。大学も含めた国全体のシステムとして考えてほしいなというのがあって、その辺はどうですか。
竹内委員: 大変ストレートに申し上げると、それは無理です。今の日本の科学技術の規模全体を考えると、国全体で一つのシステムで何かを賄っていけるほど小規模ではないと思います。大学が金を払えなくなると国全体でやれという議論が必ず、いろいろなところで何度も何度も出てきましたけれども、これはシステム全体の規模感を考えると無理だと言わざるを得ないと私は思います。もしそれをやるのであれば、結局のところは大学に配分されている予算をもう一回集め直してでもやらない限りは絶対できるものではないと思います。「大学では無理だから国で払っていわゆるナショナルサイトライセンスと言われる国全体のジャーナル提供の環境を作ればいいのではないか」という議論が必ず出ましたが、その議論をやるたびに出るのは、それは無理という結論です。
倉田委員: 藤垣委員が言われることはよく分かるのですけれども、今の学術雑誌の契約形態があまりにも硬直化していて、NDLという立場でそこに踏み出すのは決して得策ではないと思われます。各国の国立図書館もいろいろな形でとても苦労していますが、ナショナルサイトライセンスを完全にやっていらっしゃるところはほとんどありません。例えばバックファイルだけは何とかやるといった条件で行うのですけれども、今の電子ジャーナルの契約はどれだけの人数が利用するかによって金額が幾らでも変更できてしまうという契約形態です。例えば多分、東大がお買いになっているElsevierのファイルと慶應が買っているElsevierのファイルの価格は違うわけですね。そんなことはこれまでだったら許されない話なのに、そうなっています。更にいうと、多分、NDLはそれよりも更に高いお金をかけている。なぜかと言えば国民全体が使うという前提だからですね。そういう意味でNDLが海外の電子ジャーナルの契約をするというのはとても大変なことです。
安西委員長: 私もそう思います。
倉田委員: NDLは、これだけはないと日本の全国民が絶対困るだろうという、ごく少数の、確実に取っておいてもらわないと困る最低限のタイトルだけに焦点を当てるというのは致し方ない方針だと私も思います。
児玉委員: 今の点はとても重要なところで、これからの時代はイノベーションをやるにはグローバル化抜きには考えられないという状況だと思います。そうしたときに、お金がないからイノベーションができない等ということになってはいけないと思いますので、解決策はすぐにはないかもしれませんが、NDLとしてはそういう問題意識を持っているということを書いておかないといけないでしょう。NDLが何も考えていないと思われるとまずい気がします。
安西委員長: 電子ジャーナル、あるいは有償のものを含め、どこまでNDLがきちんと整備すべきかについては、それこそ「深化」というか、もう少し深く検討していただけると国民の役に立つと思います。全世界には何千というジャーナルがありますけれども、それを全部NDLで集めるのはほぼ不可能です。国民にとって大事な電子データをきちんと保存していただく必要があります。これまではNDLに行けば、きちんと本があるという国民の素朴な信頼があったと思いますが、そこが揺らいでいくのはNDLにとっても極めて望ましくないと感じられます。
他にはいかがでしょうか。
倉田委員: 資料3-1の6ページにある「人材育成」については、具体的に何かお考えがあってこういう形で強く出していこうという話なのでしょうか。制度整備や目的別ポータルへの支援などは直接的でよく分かりますが、NDLの活動がどういう形で人材育成に対する支援につながるのかが分かりにくかったので、それをお尋ねしたいです。
また、NDL作成データのオープン化に関して、具体的にお進めになっている計画があるのであれば、教えていただきたいと思います。
大場電子情報企画課長: 電子情報企画課の大場と申します。人材育成に関しては、どちらかというと各府省にお願いすべき内容の一つと考えています。当館は図書館の職員に対して様々な研修を行っていて、その延長線上でデータの使い方の研修をやっていこうと既に取り組んでいますし、それを拡大していくのが役割と考えています。より広い領域に広げるためには当館だけでは足りないので、他機関や府省と協力しながら進めていくべき課題ということで図に書き込んでいます。
当館作成データのオープン化については、既に画像データで著作権保護期間満了のものは手続なく利用できるように公開しています。さらにそのほかのデータに関しても、オープン化できるものについてはウェブページを作って、公開を少しずつ始めているところです。取組を更に進めて、当館が持っているデータをできるだけ広く公開しようと考えています。
倉田委員: 例えば利用データの公開については目処が立っていますか。
田中電子情報部長: 利用データの公開については今検討を始めているところです。利用データについては業務で利用することができるかどうか、その先に共同研究に利用データを提供することができるかを検討している最中で、今年度内には一定の結論を出したいと考えています。
安西委員長: ほかにはいかがでしょうか。
中村道治委員: 資料3-2の10ページにある国内のオープン化の状況については、研究成果のオープン化が遅れているのは認めざるを得ません。オープンアクセスについては、JSTがファンドした論文は、グリーンオープンアクセスでやってくださいとリコメンデーションしています。いつの時点でオープン化の義務化を書くかというタイミングを見計らっているところです。
今日は日本学術振興会(以下「JSPS」)の安西委員長がいらっしゃいますけれども、論文の数からいうと圧倒的にJSPSの科研費によるものが多いので、JSTで口火を切るにしても、日本全体ではJSPSでガイドラインを明確にしていただく必要があると思います。
安西委員長: JSPSでもJSTといろいろと話をさせていただきました。科研費の論文に関するデータのオープン化はかなり大きな影響があると思います。今、もちろん検討中で、迅速にやらないといけないと考えています。
中村道治委員: 論文についてはオープンアクセス化をすべきです。JSPSでも厳しく「オープンアクセスにすべきである」と書いていただけますか。
安西委員長: オープンアクセスの義務化については、エンバーゴの期間が分野ごとに異なると思いますので、そのあたりをきめ細かく検討しないといけない状況です。大体ある分野では何か月のエンバーゴ、ある分野では何年のエンバーゴというのがあるので、できるだけ早く諸機関と相談させていただいて、オープンアクセス義務化の方向でやるべきだと思っています。
申し訳ありませんが、議論は佳境に入っているところですけれども、竹内委員にこれからの進行をお願いさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
(安西委員長退出)
竹内委員: それでは安西委員長が退出されましたので、以降の議事につきましては私が取りまとめさせていただきます。引き続き御意見等がありましたらよろしくお願いします。
倉田委員: これは単純にお聞きしたい点ですが、資料3-2の「知識インフラ」構築に向けた取組において、「ひなぎく」がうまくいっていると書いてあるように読めます。しかし、「ひなぎく」が「知識インフラ」構築の先行事業として期待されているのは、データ件数の問題ではなく、従来の文献資料と異なるものを、プラットフォームとしてどうやってうまく集めたり、整理したり、提供したりすることができるのかという実験的な意味合いであると捉えています。その観点からすると、「ひなぎく」の効果がどういう意味で今上がっているとお考えなのでしょうか。今後、NDLとして、文献以外のもののデジタルな形での保存、プラットフォームの構築を行おうとお考えなのか、現在の状況を教えていただければと思います。
田中電子情報部長: 「ひなぎく」の事業を通じて、これまで私たちはこれまで扱っていないような部分まで領域を広げた結果、いろいろな課題も見えてきました。「知識インフラ」に取り組んでいく上での主要なポイントが「ひなぎく」に出てきています。保存の基盤と利活用の基盤をつなぐところに当館の役割があるというのも、「ひなぎく」の事業を通じて出てきた視点です。出版物でないものを扱う際の肖像権などの権利の問題、収集時点で難しくなってしまう問題、メタデータを共通して使えるようにする基盤を作らないといけないといった認識は「ひなぎく」事業から出てきました。今後、震災関係のデータベースの中には、既に事業を継続できずに断念しているものを引き継がないといけないものが出てきています。ほかのアーカイブを当館が引き継ぐことがどうやったらできるかという課題があり、具体的には一定期間非公開にする、保存はするけれどもすぐには公開しないといったことを制度として取り組まないといけないという課題があります。そういった一連の課題が「ひなぎく」を通じて明らかになっているという認識でいます。
倉田委員: それを是非提言に書き込んでいただきたいと思います。
戸山委員: これは第四期計画のための提言に近いものですが、その出し方についての意見です。資料3-1の3ページに、第三期計画で残った課題が書かれています。第四期計画に、第三期計画から継続する課題をより深く入れるのであれば、第四期計画では、先ほどから若干ディスカッションのあった電子情報の利活用や提供が進んでいないこと、御議論あるでしょうけれども学術情報の網羅的な収集ができていないということをより強く、各論に踏み入った書き方にするのが望ましいと思います。第四期計画のなかで、「イノベーションを支える「知識インフラ」」をまた光る形で出していただけるとよいと思います。
竹内委員: 提言のまとめ方についての御意見と伺いました。資料3-1の6ページの図が今回の提言の全体像という形になっています。第三期計画のビジョンを引き継ぎつつ、第四期計画においてどう進展すべきか、NDLの役割は何かをまとめようとしたものです。進展の具合が違うものがひとまとめに書かれているので、NDLが何をやらないといけないかがやや明確でないという御意見が先ほどからありました。今の戸山委員の御意見も第三期計画からの課題を明確にしたうえで、深化する「知識インフラ」はこうであるという書き方にすべきであるという御意見と伺いました。
ほかに御意見はありますでしょうか。
安藤委員: デジタル化の推進について、NDLが進めてきているものはこの中にいろいろと記述がありますが、公共図書館・大学図書館の資料のデジタル化についても、NDLが果たすべき役割があると思います。それを推進するという考え方はこの中に入ってきているでしょうか。
大場電子情報企画課長: 公共図書館・大学図書館におけるデジタル化については、一つは著作権法の制度の運用をやりやすくする点について、当館としては文化庁とお話しさせていただきながら、改善に努めてきたところです。成果が出ているところもありますので、それを広く周知していくのは当館の役割の一つと考えています。著作権法の解釈を明確化していく中で、当館が持っていない資料を他機関がデジタル化した場合、著作権が存続しているものであっても当館が収集することができるという解釈も出ています。ほかの機関がデジタル化したものを当館が収集し、絶版等であれば、全国の図書館に送信するという形で、デジタル化したものを国民全体が有効に活用できるような仕組みにするのも当館の役割と考えています。資料3-2の16ページにデジタル化の推進やノウハウの共有も含めて書いています。
竹内委員: 資料3-2は詳細な活動について、たくさん書いていますので、どこに何が書いてあるかを見ていただくのは難しい点があるのかと感じています。資料3-1の6ページに全体像をまとめてあり、そのなかで非常に細かい活動に関わることについては資料3-2に述べられているところです。
前回の提言が12ページ程度で、しかも今回の提言(素案)よりもはるかに行間が広い形で書かれていますが、今回の提言(素案)は文字が多く、分かりづらいかもしれないことについては、私も責任者として大変感じているところですが、その部分については更に精査させていただきたいと思います。
資料3-1の6ページに戻ると、この枠組でこれからの「深化型知識インフラ」におけるNDLの役割を明確にするというのが今回の提言の第一の目的です。それを踏まえつつ非常に細かい、必要なアクションをとるというのを説明していく形にしたいと思います。先ほどから御意見をいただいているように、NDLに何ができていて、何をやらなければならないのかを明確化するなど、NDLとしてプライオリティをどこに置くかについては、部会でも議論して、次回の審議会に提出する最終案に反映したいと思います。
ほかに何か御意見がありますでしょうか。
児玉委員: スケジュール感についての質問ですが、この提言を受けて第四期計画の策定を来年3月末までに行い、その後実行計画のようなものができるわけですね。予算要求の兼ね合いがあると思いますが、今日の提言が実行に移されるのはいつになるのでしょうか。
木藤科学技術・経済課長: 今の提言や現行の第三期計画の内容を見ますと、今年度中に作る第四期計画の中には、当館の事業についてかなり広範なことが書き込まれることになると思われます。その中には既に予算化されているものもありますし、他府省・機関への働きかけのように予算とは関係なく行うべきものもあります。段階が様々のものが書き込まれているという御指摘があったように、既に始まっているものからこれから動き出すものまで様々ですので、一概にいつからとは申し上げられません。新しく行うものについては、予算措置が必要なものでしたら、平成28年度以降に要求することになりますので、平成29年度予算以降になります。当館の事業にどう結びつくかによってばらばらになってしまいますが、ものによるということになります。
児玉委員: それは理解しますが、優先順位を付けておくべきです。
竹内委員: ありがとうございました。ほかに御意見がありましたらよろしくお願いいします。次回の審議会においては最終提言案を御提示しますので、今回の審議会が直接、皆様の御意見をいただく最後の機会となります。部会長としても御意見をよろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どんな些細なことでも構いません。
倉田委員: 資料3-1には「「NDLラボ」事業による次世代システムの開発」が挙がっていますが、これは具体的な動きがおありになるのでしょうか。次世代システムというのは何の話なのか、これだけだと分かりません。
木藤科学技術・経済課長: 資料3-2の3ページの①最後の段落に5行ほど次世代システムへの言及があります。実験的なシステムをいくつか立ち上げたことを表したものです。
田中電子情報部長: 資料3-1が省略しすぎのため分かりにくくて申し訳ありません。次世代システムというのは、次世代システム開発研究室が担当していて、外部の研究者と協力しながら、NDLラボ事業を行っているものです。それがすぐ次世代システムにつながるということではありません。
倉田委員: 提言に書いていただけるなら、是非お願いします。
以前の提言に関わった者としては申し訳ありませんが、「知識インフラ」が何かはいまだにはっきりしないわけで、それを今回の提言に書けたらすごいことだと思います。「知識インフラ」の全体像でなくても、次世代システムの開発を行っているのであれば、少しでも提言に書いていただいた方がよいと思います。
先ほど「ひなぎく」を挙げたのは、単なるポータル、窓口やプラットフォームという言い方だけではなくて、小規模でも「知識インフラ」のイメージとしてどういうものがイメージできつつあるのか、どこがイメージできていて、どこが実際にはまだ無理なのか、少しでも分かると「知識インフラ」の全体像が分かりやすくなると思ったためです。
資料のデジタル化がある程度進んでいるというのは分かりますが、「知識インフラ」を深めましょうといっても、「知識インフラ」とは何かについて、十分に理解が進んでいるわけではありません。「知識インフラ」が何か分かりにくいままで部分的なことを言われても理解できないので、そのへんのところは全体の構成で考えていただけたらありがたいと思います。
竹内委員: ありがたい御助言ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。次の御質問が最後になってしまいますが、御質問・御助言あればありがたいです。まだ若干時間がありますが、御意見が出尽くしたなら、今日の議事は以上で終了させていただきたいと思います。
今回貴重な御意見をいただきまして、部会長としてもありがたく思っています。今回の御意見を生かした提言(案)を次回の審議会に提出することにいたします。その間また部会でも議論をいたしますし、みなさまにも内容につき御相談することもあるかと思いますが、その折にはどうぞよろしくお願いします。
それでは閉会の前に事務局から事務連絡がありますのでよろしくお願いします。
木藤科学技術・経済課長: 本日は貴重な御指摘、ありがとうございました。今後の日程は資料4にありますとおり、次回の審議会を今年の11月頃に開催する予定です。再び部会において最終提言(案)を取りまとめていただいて、本日素案を審議いただいた提言を頂戴する予定です。審議会の日程については改めて御連絡差し上げます。
本日はどうもありがとうございました。
竹内委員: 本日は安西委員長が途中で御退出されたので、私が委員長代理として、途中から代わりに議事を進めさせていただきました。皆様の御協力により、円滑に議事を進められたことをお礼申し上げます。本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
(閉会)

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