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トップ > 国立国会図書館について > 納本制度審議会 > 納本制度審議会ネットワーク系電子出版物の収集の課題に関する小委員会(第2回)議事録

納本制度審議会ネットワーク系電子出版物の収集の課題に関する小委員会(第2回)議事録

日時:
平成16年1月26日(月)午後2時~4時
場所:
国立国会図書館 特別会議室
出席者:
公文俊平小委員長、合庭惇委員、内田晴康委員、小幡純子委員、紋谷暢男委員、奥住啓介専門委員、杦本重雄専門委員、夏井高人専門委員、野末俊比古専門委員
会次第:
1. 第1回小委員会の議事録の確認
2. 独立行政法人等の出版物納入義務に関する納本制度審議会の調査審議状況について
3. 調査審議
 (1)ネットワーク系電子出版物の収集・利用に係る著作権法等の問題
 (2)その他(第1回小委員会における継続審議事項の取扱い等)
4. 第3回小委員会の調査審議の内容及び日程等
配布資料:
(資料1)第1回小委員会議事録
(資料2)独立行政法人等の出版物納入義務に関する納本制度審議会の調査審議状況について
(資料3)論点メモ ネットワーク系電子出版物の収集・利用に係る著作権法等の問題
(資料4)平成14年3月以降の納本制度審議会における著作権問題の検討状況
(資料5)政府審議会等の関連報告書(関係箇所抜粋)
(資料6)外国のネットワーク系電子出版物収集等に係る立法例における著作権制限規定
(資料7)著作権法 関連規定抜粋
(資料8)第1回小委員会における継続審議事項の取扱い等
(資料9)第3回小委員会の調査審議内容(案)

議事録:
小委員長:  それでは、時間となりましたので、第2回の「ネットワーク系電子出版物の収集の課題に関する小委員会」を始めます。
 本日は、前回の最後に確認しました予定に従いますと、収集範囲・方法の(2)ということで、学術的な出版物、通知・送信の在り方といったところを審議する予定でしたけれども、すでに皆様のところにも事務局から通知されているかと思いますが、準備の都合上、第3回に予定していた収集及び利用の際の著作権等の問題を先に審議することとし、収集範囲・方法の(2)は、第3回小委員会で審議することとします。その点、改めて、私のほうから、皆様にお願いをしたいと思います。
 
1. 第1回小委員会の議事録の確認
小委員長:  では、会次第の1、第1回小委員会議事録の確認をすることとします。併せて、今日の配布資料の確認もお願いします。事務局から、説明をしていただきます。
事務局: 〔第1回小委員会議事録の確認と配布資料の確認。〕
 
2. 独立行政法人等の出版物納入義務に関する納本制度審議会の調査審議状況について
小委員長:  続きまして、会次第2の独立行政法人等の出版物納入義務に関する納本制度審議会の調査審議状況に入ります。
 前回の小委員会におきまして、国・地方公共団体の発行するネットワーク系電子出版物(以下「ネットワーク系」という。)といったとき、国・地方公共団体の周辺にある独立行政法人等の発行したものも含まれると解釈するのか、含まれないのであれば、その取扱いはいかにあるべきかについて、審議いたしました。小委員会としては、従来の紙媒体等の出版物を独立行政法人等が発行した場合における納入義務についての審議会の調査審議結果を待って、その結論と同じ考え方により、独法等の発行したネットワーク系について、発行者に対する法律上の義務付けを伴う制度的収集の対象とすることの可否を決定することとなっていました。
 そこで、独法等の発行した出版物の納入義務に関して諮問がなされた第9回納本制度審議会以降の当審議会の調査審議状況について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
事務局: 〔説明:諮問事項の調査審議のため設置された「独立行政法人等の出版物納入義務に関する小委員会」は、平成15年11月26日及び同12月16日の二回にわたり調査審議を行った。その調査審議経過の概要は次のとおり。
(1)現行の納本制度において国・地方公共団体の出版物の納入目的である「公用」(国立国会図書館法第24条)の意義について検討を加え、その結果、行政の活動に関する国会の審議を補佐する国立国会図書館(以下、引用の場合を除き、「館」という。)の任務遂行のために用いることが「公用」の中心的意義であるとされた。
(2)上のような「公用」の意義の根底には、行政機関及び独立行政法人等の情報公開制度と共通する国民主権・民主主義の理念が認められることから、国・地方公共団体と同等の納入義務を課されるべき法人の要件を考えるに当たっては、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律において採られた対象法人の考え方を参考とすることができるとされた。
(3)国等と同等の納入義務を課されるべき独立行政法人等に対する代償金の交付の要否については、一定の要件のもとに交付を要しないとされた。
(4)国等の「諸機関のため、発行されたとき」(同法第24条及び第24条の2)と同様に、出版物が独法等のため発行された場合における当該独法等の納入義務についても、自らが発行した場合と同様に納入義務が課されるべきであるとされた。
 以上の審議経過及び結果は、小委員会報告としてまとめられ、2月に開催が予定されている第10回審議会における報告の後、審議会の了承を得て答申として決定される見込みである。〕
小委員長:  ただ今の説明で、確認したいことなどございますか。ないようですので、私から申し上げます。
 2月に答申が出される見込みであるということですので、現時点では、この小委員会が国・地方公共団体の範囲を確定させるには早いと考えられます。第3回小委員会又はそれ以降の適当な時期にこの点について、議論することとしたいと思います。
 
3. 調査審議
(1)ネットワーク系電子出版物の収集・利用に係る著作権法等の問題
小委員長:  それでは、本日の調査審議に入りたいと思います。まず、収集・利用に係る著作権法等の問題についてですが、事務局から論点メモを用意していただきましたので、その説明をお願いいたします。
事務局: 〔説明:論点メモの本文は大部なので、付表1の論点一覧表に沿って、説明する。
(1)基本的な考え方
 ア 本論点メモでは、原則として、ネットワーク系の考えられる収集方法(保存を含む。)及び利用態様について現行著作権法下での許諾の要否を整理した。
 イ ただし、現行著作権法の権利制限規定を適用することが難しく、無許諾では行い得ないと考えられる収集方法及び利用態様については、法改正による著作権の制限を行うという選択肢にも触れている。特に、収集時点に関して、必要な限りにおいて複製権を制限しなければ、収集自体を行うことが困難となる場合には、著作権制限を行うことを前提として考えた。
 ウ 考えられる収集方法は、ネットワーク系電子出版物小委員会の報告に示された通知に基づく館の収集又は送信による収集である。また、考えられる利用態様としては、館内での閲覧、複製、ネットワークを介した館外への提供などがある。
 エ 考えられる収集方法及び利用態様においては、同一性保持権、上映権、複製権、公衆送信権等について問題が生じ得る。
(2)発行者別の論点
 (1)の考え方に基づき、ネットワーク系を発行者別に次の4つのカテゴリーに分け、各々について収集・利用の時点で生ずる著作権等の問題を整理した。
 (a) 国の諸機関、(b) 独立行政法人等、(c) 地方公共団体の諸機関、(d) 私人(学術的内容の発行者)
 ア 独法等・地方公共団体については、組織・事務の性格と「公用」という収集の目的にかんがみて、国と同等に扱う必要性があり、その合理性もあり得るとして、整理を行っている。
 イ 私人以外の場合には、通常、発行者たる当該機関がネットワーク系の主たる著作権者であることを前提としている。ただし、私人の場合には、ネットワーク系の主たる著作者と発行者とが一致しないことの方が通例と考えられるので、双方が一致しない場合についても記述した。
 ウ 第三者の著作物が混在している場合の取扱いについて、論点メモでは、当該第三者著作物について適切な著作権処理がなされたものと推定するとしているが、これは法律上の根拠がないと困難であると考えている。
 エ 公衆が無償で自由にアクセスし得るネットワーク系を主たる検討対象としたが、利用に際して課金されるネットワーク系、ID・パスワードの入力を要するなどアクセスに一定の制限が課されているネットワーク系の取扱いについても、考え方を整理した。
 オ 国の諸機関のネットワーク系については、著作権が国に帰属するので、他の国の機関との間で著作権法上の問題は生じる余地がない。ただし、財政法、国有財産法等の問題を別に整理した。〕
小委員長:  ありがとうございました。それでは論点が多岐にわたっておりますので、おおむね論点メモの付表1の項目にそって、順次、議論していきたいと思います。
 
-基本的考え方について-
小委員長:  まず、「基本的考え方」のところではいかがでしょうか。確認・質問も含めて、どなたからでもどうぞ。
委員:  独立行政法人に著作権が帰属すると論点メモにありますが、根拠はあるのでしょうか。というのは、私は、大学共同利用機関に所属していますが、大学共同利用機関では、平成16年4月の法人化に向け、現在、知的財産ポリシーの策定を行っていて、国立情報学研究所のひな型をもとに、著作権に関する考え方を議論し始めたところです。このひな型によると、法人化以前の当該機関の著作権は、新たに設立された法人に承継されないとあります。また、科学研究費補助金で作ったデータベースの著作権は原則として製作者個人に帰属する一方で、いわゆるデータベース科研費の交付を受けて作成されたデータベースの著作権は国に帰属することとされており、著作権の帰属の問題はかなり複雑です。
 独立行政法人等への著作権の帰属については、何か根拠があってのことなのかどうか、教えていただければと思います。
事務局:  「承継されない」というのは、国の機関である間に発生した権利について定めたものであって、独立行政法人等となった後に独立行政法人等が作成した著作物に係る権利の帰属について定めるものではないと思います。この論点メモは、独立行政法人等により原始取得された著作権に関する考え方を述べたものです。
 独立行政法人等の作成した著作物の権利の帰属に関する内部の取決めがある場合については、ここでは考慮しておりません。もちろん、内部の取決めの中に、特別の定めがあれば、著作物の権利が独立行政法人等ではなく、個々の研究者に帰属することもあり得ます。
 しかし、ここでは、一般論として、独立行政法人等の作成した著作物の権利が当該法人に帰属する場合について、論点メモを準備しました。独立行政法人等が国と別の法人格を有し、著作権の享有主体になり得ることは、論点メモにあるとおりです。
委員:  一般論としては、それでよいのだろうと思うのですが、著作権の帰属の取扱いが機関・法人ごとに違っていると、一律に議論することは難しいでしょう。
小委員長:  なお調査が必要ということですか。
委員:  職務上の著作物の権利の帰属に関する原則は、著作権法第15条に規定されています。国の作成した著作物を例にとると、国の発意に基づいていること、国家公務員が職務の一環として作成したこと、国名義で公表されること、国と事実上の作成者である公務員との間で作成時において別段の取決めが存在しないことという第15条に規定する職務著作の要件がすべて満たされたときは、作成された著作物の著作権は国に帰属するということになります。
 独立行政法人等の場合も同じように考えられると思います。ただし、所属する独立行政法人等の就業規則等の中で、著作権の帰属に関して別段の定めがあれば、結論は異なります。
小委員長:  調査などは特に必要としないということですか。
委員:  原則は、著作権法第15条に規定されているとおりです。発行者が国であっても、すべて国が著作者になるわけではありません。
委員:  大学共同利用機関法人の就業規則はこれから作るわけですが、制定された就業規則中に著作権の帰属に関して明確に定めた条項がない場合において、著作権法第15条の規定が適用されるとすると、どのような結論になると考えられますか。
委員:  就業規則中で、著作物を作成する行為が業務として位置付けられているかどうかがポイントになるでしょう。著作物の作成が就業規則において業務として定められていれば、通常、当該法人の職員により作成された著作物は職務著作となり、その著作権は当該法人等に帰属するということになると考えられます。
 この点、大学では、論文等を「書く」ことが教官の職務とされていないのではないでしょうか。これまでの大学の就業規則の例をみると、研究と教育は教官の職務とされていますが、「書く」という職務は規定されていないでしょう。ですから、執筆した論文の著作権は、研究者個人に帰属するとされています。けれども、今後、所属機関の就業規則の中で、「書く」ことが職務の一つとされれば、その場合には著作権の取扱いは別になります。
委員:  国立大学についても、国立大学法人に移行した後も含めて、同様に考えればよいのですか。
委員:  そうです。
委員:  先ほど申し上げた国立情報学研究所の著作権ポリシーのひな型によると、科学研究費補助金により作成されたデータベースの著作権は作成者に帰属するとなっていますが、その一方で、いわゆるデータベース科研費により作成されたデータベースの権利は、作成者(研究者)ではなく、国に帰属することとなっています。この点については、いかがですか。
委員:  それは特別な定めがある場合ということになるでしょう。
専門委員:  論点メモのまとめ方ですが、職務著作の場合の特別の定めに関して「特別の定めがある場合を除き」などと留保を付け加えれば、誤解されるおそれがないと思います。原則はこの論点メモに書いてあるとおりでよいのではないでしょうか。
委員:  著作権法第15条の要件を満たした職務著作であり、国や独立行政法人等に著作権が帰属していることを前提としている旨を明確にすれば、この論点メモの書き方でよいと思います。
 
-収集時点の問題について-
小委員長:  収集時点の問題についてお願いします。ここでは、便宜、同一性保持権の問題も対象とします。
委員:  論点メモには、ネットワーク系を発行者から館に送信させる収集方法を採る場合において、そのネットワーク系の発行者と著作権者とが一致していないときは、発行者が著作権者の許諾なく館へネットワーク系を送信すると公衆送信権及び複製権を侵害するとありますが、公衆送信とは不特定多数への送信ですから、発行者から館へ送信すること自体は必ずしも公衆送信ではありません。館のサーバへの固定については、発行者による複製権の侵害に当たると考えられます
委員:  そのとおりです。ネットワーク系の発行者と著作権者とが異なっていて、発行者が他人の著作物を送信することとなっても、特定のあて先に送信するのであれば公衆送信ではありません。単なる送信です。特定のあて先に送信する場合には、送信したネットワーク系が送信先のサーバに固定されることになりますので、送信を行った発行者は複製を行っているだけで、公衆送信はしておりません。ですから、館のサーバに固定されることを前提として、館の特定のサーバあてに送信した場合には、複製権の侵害にはなりますが、公衆送信権の侵害とはなりません。
委員:  ただし、ネットワーク系の発行者と著作権者が異なっていれば、両者の間で、当該ネットワーク系の発行に関して何らかの契約が締結されているのが通常であり、その契約中においては、当該ネットワーク系の送信について、それが著作権法上の公衆送信に該当するかどうかにかかわらず、送信先を限定する旨の条項が盛り込まれていることが多いでしょう。その契約中の条項において、発行者による館の特定のサーバへの送信が認められていなければ、当該送信は、公衆送信権の侵害には当たらなくとも、契約に反することになるおそれがあります。
 しかし、そのような送信を認める条項が契約中になくても、法律により課せられた義務に基づき発行者が送信を行ったのだとすると、契約違反の問題にはならないと考えられます。したがって、ネットワーク系を館へ送信する義務が発行者に対して課されるのであれば、結論としては、収集時点において法的な問題は生じないことになります。
 もちろん、ネットワーク系が館のサーバに固定された後、利用に供される時点では話が違ってきますが、その場合にも、館において一定の利用が可能である旨の法律の規定が置かれるとすれば、著作権侵害等の問題は生じないことになります。
専門委員:  特定のあて先への送信が公衆送信に該当するかどうかに関する今の御説明は通説の考え方によるものだと思いますが、ウィニー(Winny:P2Pのファイル共有ソフト)事件の時には、特定の個人間の通信しか存在しないのにもかかわらず、検察庁は公衆送信権の侵害であるとして容疑者を起訴しています。検察庁は、多数の者への送信行為でなくとも公衆送信に当たる場合があるという解釈を採っているように見受けられます。
委員:  検察庁は、特定個人間の通信が繰り返されることにより、全体としてみれば、送信可能な状態にされた著作物が公衆に送信されることになると考えているのだと思います。著作物がアップロードされたサーバが公衆に公開されているということで、公衆送信権侵害であると検察庁は考えているのでしょう。
専門委員:  私は、そのような場合でも公衆送信に該当しないと考えるべき場合もあり得ると考えますが、この点については様々な見解があり得ることは承知しています。しかし、館のシステムを構築する際には、この問題についても、あり得る解釈論を踏まえた検討だけはしておいたほうがよいと思います。
 もし、特定個人間の送信であっても、その後の送信まで考慮すれば最終的に公衆に送信しているのと同じ効果をもたらすということをもって、公衆送信に該当するという解釈を採ると、館でも同様の問題が起こり得ます。例えば、総務省から送信を受けてサーバに固定されたネットワーク系について、そのサーバから自動的に広く公開されるようにした場合には、総務省から館への送信だけに限ってみれば公衆送信ではないですけれども、そこから先が利用者への自動公衆送信に当たるので、先ほどの解釈によると、全体が公衆送信に該当すると考えざるを得ないのではないでしょうか。
 このような解釈を前提とすると、全体としてどういうシステムであるかを確認しなければ、公衆送信であるかどうか判断できなくなると思います。
委員:  送信されたネットワーク系を固定したサーバーが公衆からアクセス可能な状態に置かれているのであれば、全体としてみると、公衆送信に当たると解釈されるおそれはあります。
 しかし、発行者から館のサーバへネットワーク系が送信された局面に限ってみれば、公衆送信にはならないと思います。後は利用に供する態様いかんということになるのではないでしょうか。
委員:  利用に関わる新規立法の問題はひとまずおくにせよ、現行著作権法でも図書館における著作物の利用は一定程度認められているのですから、当該権利制限規定の認める範囲内でしか、送信されたネットワーク系を館が利用に供さないということにすれば、問題は生じないと思います。
委員:  図書館に送信されたネットワーク系を図書館で見せるだけなら、上映のみの問題です。上映だけなら著作権法第38条第1項に規定される権利制限により無許諾で行えます。しかし、送られてきたネットワーク系を図書館が公衆送信すれば、公衆送信権侵害の問題が生じます。図書館がどのような態様で利用に供するのかによって結論は違ってきます。
小委員長:  論点メモの中で、私人の発行したネットワーク系の収集に関し、権利制限の根拠を文化財の蓄積・利用に求めているのは、私人以外の主体の発行したネットワーク系について権利制限の根拠として公用目的を掲げているのと一貫しないという気がしますが、いかがですか。
事務局:  現行の納本制度では、国・地方公共団体の出版物については、国立国会図書館法第24条及び第24条の2の規定により公用及び国際交換の用のため納入させることとしているのに対し、私人の出版物については、同法第25条の規定により文化財の蓄積及びその利用に資するために納本させることとしており、異なる納入目的が規定されています。
 ネットワーク系についても、国、地方公共団体等の場合には、公用のため、つまり、政府の活動に関する国政審議を補佐するために収集することとし、私人の場合には、文化財の蓄積・利用のために収集するというように、一応は現行の納本制度とパラレルに考えておくことができるのではないかという趣旨です。
小委員長:  そういう趣旨であれば、了解しました。
委員:  同一性保持権については、著作権法第20条第2項第4号に該当する「やむを得ないと認められる改変」といえるためには、その改変が行われた当時の最高水準の技術をもってしても完全に同一に複製又は再現することが不可能だったという立証ができなければなりません。同一性保持権侵害の例外を認める著作権法第20条第2項各号の要件はかなり厳しいものです。
事務局:  国が利用者に対して必要なサービスを行うために充てることのできる予算、人員等には一定の合理的な制約があると思いますが、その範囲内で可能な限りの努力を行ったということでは、足りないのでしょうか。また、ネットワーク系を広く利用に供することが国民の利益につながるという点は、考慮されないでしょうか。
委員:  最高水準の技術を用いるには費用がかかり過ぎるからできませんでしたというのでは、やむを得ない改変とは認められず、同一性保持権の侵害となるおそれがあります。国民の利益につながるというのも、著作権法第20条第2項第4号の解釈に直接関わってくるとはいえないでしょう。
専門委員:  国の諸機関から館へのネットワーク系の送信経路として霞ヶ関WANを使った場合には、国の諸機関と館とは、著作権法第2条第1項第7号の規定により公衆送信権が及ばないとされている「同一構内」に当たると解する余地があるのでしょうか。
委員:  困難だと思います。立法者の解釈では「同一構内」と認められる範囲はかなり狭いものです。具体的には、同一建物の同じ階です。
専門委員:  そうすると、国の諸機関から館に送信した場合には、同一構内における送信ではないことになりますか。
委員:  立法者の解釈ではそうなります。
専門委員:  「プログラムの著作物」の場合には、同一構内の送信であっても公衆送信に当たるとされていますが、ネットワーク系は、「プログラムの著作物」に該当すると考えられるのではないでしょうか。デジタルの著作物は、すべて「プログラムの著作物」であるとの見解もあります。
委員:  我が国の裁判官は、デジタルの著作物について、二面性を有すると把握しています。デジタルの著作物としての性格を有するソフトウェアについて、「プログラムの著作物」であると同時に「映画の著作物」であるとした判例があります。こうしたものは、「プログラムの著作物」でもありますから、同一構内であっても公衆送信は認められないということになるでしょう。
 
―利用時点の問題について―
小委員長:  利用についてお願いします。ここでは、保存のための複製の問題も便宜一括して、対象とします。
委員:  ネットワーク系が著作権法第31条の「図書館資料」という概念に当たるかどうかですが、ネットワーク系のような出版物は立法時には想定されていなかったものです。例えば、同条第1号の「著作物の一部分」という要件にしても、デジタルの著作物では一部分とは何かがはっきりしません。私個人の見解としては、なるべくなら図書館資料に含めて考える方がよいと考えていますが、デジタル化され、ネットワーク上で流通する情報は、図書館資料には入らないというのが一応今の通説です。
 この通説に従うと、電子出版物については、図書館が著作権法第31条に基づくサービスを何もできなくなってしまうので、図書館関係者は、文部科学省に対して、電子出版物を利用しやすくするような立法を行うよう、何らかの形で強く主張されてもよいかもしれません。今ではこの規定は時代遅れです。
専門委員:  ネットワーク上のものを図書館のサーバ等に固定した場合であっても図書館資料には当たらないということですか。
委員:  そう思います。デジタルの著作物の一部分の複製とは具体的にどの程度までをいうのかという問題をはじめ、立法時にはそうした著作物の問題を全然予測していませんでした。問題が整理されてくると図書館資料に入れてもよいという解釈が出てくるかもしれません。
 ネットワーク系の利用に関しては、国立国会図書館法の規定により一定の利用を可能とするか、著作権法第31条の規定を改正するか、何らかの立法措置が必要でしょう。
専門委員:  著作権法ではなく図書館法第17条の「図書館資料」の解釈についてですが、平成10年に出た生涯学習審議会図書館専門委員会の報告には、図書館において利用者がインターネット上の情報にアクセスすることは「図書館資料」の利用には当たらない、と書いてあります。その時点から状況は相当変化していると考えられますが、現在でも、著作権法の解釈では、ネットワーク系は、媒体に固定したものであっても、同法第31条にいう「図書館資料」には当たらないということですか。現在の状況にはそぐわないようにも思えますが。再考の余地があるのではないでしょうか。
委員:  私もそう思います。
専門委員:  通説はよく分かっていますが、もし図書館におけるネットワーク系の複製サービスをめぐって訴訟が起きた場合、裁判官は、ネットワーク系にも著作権法第31条の適用があるとした上で、同規定の解釈で判断を下すだろうと思います。著作物の一部分についてですが、例えばデジタル・コンテンツのアニメーション部分を除き、テキスト部分だけコピーさせたらこれは著作物の一部分だと思います。常に複製できないということではないでしょう。私も法改正が望ましいと思いますが、もし事件がおきたら裁判所はそういう解釈論でいくと思います。
委員:  裁判所がそう考えてくれれば望ましいと思いますが、法改正した方が疑義は少なくなるだろうということです。
小委員長:  著作権法第31条の規定をネットワーク系に適用した上で、ある程度解釈により複製を認めることもあり得ないわけではないが、問題の明確な解決のためには法改正が望ましいということですか。
委員:  裁判官がネットワーク系にも著作権法第31条の適用があると解釈してくれるのを望みたいところですが、実際にそう解釈するかどうかは難しいところです。裁判所は技術に対して保守的です。
 ところで、事務局に質問があります。配布資料6にニュージーランドの国立図書館法の関係条文が掲載されていますが、ここに出てくる"deposited document"はデジタルのものを含むのですか。
事務局:  含まれます。同法セクション34(1)において、"deposited document"は、国立図書館長がインターネット上から複製したドキュメントも含むものとされています。
 
―第三者著作物が混在する場合について―
小委員長:  それでは、第三者著作物が混在する場合について御意見・御質問をどうぞ。
専門委員:  論点メモに、「国の諸機関から国立国会図書館へ送信された場合、その中に含まれる第三者著作物については適切な著作権処理がなされたものと推定する」と書いてある箇所がありますが、館がそう思うのは自由ですけれども、法律上の根拠がないので、そのような推定は認められないだろうと思います。
 むしろ、館における収集・利用についての許諾を得ていないにもかかわらず送信されてきた第三者著作物の取扱いの手続をきちんと定めておいたほうが合理的だろうというのが私の意見です。
事務局:  推定するためには何らかの法律の規定がないと難しいのではないかと考えています。
 なお、国の場合は、第三者著作物について著作権処理がなされたものと推定しただけでは、国の責任自体は免れないことになります。資料作成後の事務局の検討においては、この問題は、発行者たる国の諸機関と当館のいずれが責任を負うのかという国の内部での責任の所在に関わることに過ぎず、この小委員会で議論していただくようなことではないのでないかとの意見が出ています。どのようなまとめ方が妥当なのか、事務局のほうで考えます。
委員:  二つの行為があると考えないといけません。まず第三者著作物を国・独立行政法人等が送信する行為があり、次にそれを受けて館が行う行為があります。この二つの行為について、元来の著作権者がどう対応するかということになります。権利の及ぶ行為が別々ですから、書き分けたほうがはっきりします。
委員:  第三者の著作物を無許諾で国の機関が送信してくるというのは、もう少し具体的にいうと、どのような事態を想定しているのですか。
事務局:  国の機関のホームページの中には、第三者に著作権が帰属する著作物が掲載されていることもしばしばあります。第三者の著作物を国の機関のホームページに掲載する場合には、国と第三者の間では著作権の利用許諾契約が締結されると思われますが、その国の機関のホームページを館が収集するときは、館と第三者の間には許諾契約がありませんから、掲載されている第三者著作物を当館が収集することについて、著作権者の許諾を得ていないと問題になります。
 国の機関が送信するネットワーク系が大量になると、館による収集・利用に関する許諾を得ていない第三者著作物が誤って館に送信されてくる場合も予想されます。
 そのような場合には、国の機関が送信してきた第三者著作物については、国の機関が第三者から館による収集・利用についても著作物の利用許諾を得てくれたものと考えて、当館が利用できるようになれば望ましいというのが論点メモの趣旨です。
委員:  紙の著作物の場合には、許諾なしに引用ができますが、ネットワーク系ではどうなのでしょう。
事務局:  ネットワーク系でも引用の要件は紙媒体の著作物の場合と同じではないかと思います。
委員:  自分の著作が主であって引用が従でなければならない等のしばしば挙げられている要件を満たす必要があるということですか。
専門委員:  ホームページに紙媒体の本等から引用するのは、これまでの紙媒体から紙媒体への引用と同じですが、ウェブにあるものを引用する場合については、まだルールが確立していませんので、何が適法な引用なのか、著作権法第32条第1項の適用があるのかもはっきりしません。
 ウェブ上の引用の場合には、出所表示をどのようにすればよいのかということも問題となります。URLを記しただけで引用箇所を特定したことになるのかが問題です。ウェブ上のどの箇所かを特定するのは簡単ではありません。毎日更新されているウェブサイトでは、何月何日のどのページと特定しないといけなくなりますし、スタイルシートを使っている場合などは実際に見えているものとファイルが違っているので、特定できません。
 アメリカなどでは判決を引用する場合、ウェブで使えるようにパラグラフ方式が取られ、パラグラフ番号を左肩に打って、それで引用するのが主流になっています。どうやって出所を特定して表示するのかは難しい問題です。
委員:  それは、引用先のウェブサイトの構造によっても変わってきます。
専門委員:  ルールが確立していないことは多いです。リンクするのは引用に当たるのかなども、今後の課題です。イギリスでは、いわゆるディープリンクを引用とは認めず、著作権侵害に該当するとした判決が出ています。しかし、ヨーロッパの多くの国では、ディープリンクは引用として認めらていると認識しています。
専門委員:  私はディープリンクについては適法という立場です。
委員:  この論点メモが扱っているのは、第三者の著作物が掲載されている国の機関のウェブサイト全体を収集すると、第三者の著作物も一緒に収集されてしまうという問題であって、引用の話ではないと思います。
事務局:  著作権法で認められた引用の範囲であれば問題にならないという前提の下に論点メモは組み立てられています。
専門委員:  第三者著作物が混在する出版物のうち、最も悪質なのはデッドコピーでしょう。国が発行したものでもそういうものが既にあります。たぶんデジタルでも存在していると思います。国が報告書を出すときには、学会と違って査読がなく、決裁しかないので、どうしても見逃してしまいます。学会で査読を受けていても剽窃があります。完全にデッドコピーを阻止する方法はなさそうだと思います。
小委員長:  パブリック・コメントなどで長いコメントをして、それが省庁のページに掲載される場合には、コメントを書き込んだ人の著作権はどうなるのでしょうか。
専門委員:  電子掲示板への書き込みでも著作物になるとした判例があります。パブリック・コメントでも著作物になると思います。ただし、パブリック・コメントを募集する場合には、募集の要項が記されたページ上に、通常、寄せられたコメントをとりまとめて公表するときは要約して公開する旨の注記がありますので、そのような事例では、ある程度編集されることについて、あらかじめ許諾があるものと考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
委員:  パブリックコメントの結果の紹介では、書き込んだ人の名前は普通公表されないと思います。所属だけではないでしょうか。
専門委員:  所属と名前が出る場合があります。ただし、だれがどのコメントを書いたのかは分からないようになっていて、どこに自分のコメントがあるのか分からないことがあります。
専門委員:  議事録でも個々の委員名は伏せられて「委員」としか表示されないのに似ています。
専門委員:  紙の学位論文の場合、納本制度で納入されていると思いますが、学位論文がデジタルの形で提出先の大学のウェブサイト等に掲載されるようになったら、どうなるのでしょうか。第三者著作物なのでしょうか、それとも、それ自体が納入対象になるのでしょうか。納入対象になるとすれば、電子的なものについてはコピーしやすいので、図書館における閲覧まではともかく、それを超える利用態様により、外部へデジタルのコピーが流出する可能性があるとすれば問題です。
事務局:  紙の学位論文は出版物ではないので納入対象ではありません。ですから、学位論文は、納本制度によってではなく、大学に出すものを寄贈していただくという理解です。しかし、ネット上に掲載されれば「公表」されたことになりますが、これをもって「発行された」として「出版物」とみなしてよいのかどうか、紙媒体の学位論文とのバランスを考えると難しい問題です。
専門委員:  修士論文も学位論文ですが、これについても、何年間か公表は止めてくれというケースがあります。また、先端的な研究では特許が絡んできます。ですから、利用態様については、配慮が必要なのではないでしょうか。
 
(2)その他(第1回小委員会における継続審議事項の取扱い等)
小委員長:  続きまして、その他の審議事項に入ります。第1回の審議におきまして、継続審議とされたり、論点別検討資料について修正が必要とされた事項について、確認の上で、その取扱いについて、ここで議論したいと思います。事務局から、説明をお願いします。
事務局: 〔説明:資料8に基づいて説明。要点は次のとおり。
(1) 継続審議
 ア 国等「のため、発行された」ネットワーク系電子出版物
   独立行政法人等の出版物の納入義務の在り方に関する納本制度審議会の答申をまって、第3回小委員会において調査審議することとする。
 イ 収集の頻度
   法制度上の問題の調査審議が本委員会の主要任務であることからすれば、本委員会では、義務を課される者に対して過大な義務・負担を強いることのないような範囲に頻度を制限・制約すべきこと、具体的な頻度については下位の法規に委任すべきことを指摘すれば足りる。
(2) 論点別検討資料の修正等が必要とされた事項
 ア 放送番組を収集対象から除外する理由付けの明確化
   前回、放送番組を収集対象から除外する理由との関係で、放送番組を除外するための規定振りが変わること、また、法律の規定から趣旨が読み取れるようなものであるべきことが指摘されたので、そのような方向で、記述を改めることとする。
 イ データベースの取扱い
   いわゆる動的出版物については、収集方法・範囲(2)の問題として、第3回小委員会で調査審議をお願いしたい。
   暫時、データベースについては、技術的理由及び発行されている状態の再現に膨大な手間又は費用を要するという理由により、収集対象としないものがあるという整理とする(論点別検討資料にあるとおり)。
 ウ 「WAN」の整理
   技術的にWANとLANの違いは明確でなく、また、不特定多数のアクセスがあるWANも存在することからみて、WANをインターネットと区別して、WAN上のすべてのネットワーク系を収集対象から除外するという整理は適当でない。これについても、第3回小委員会の調査審議を踏まえて再度検討していただきたい。〕
小委員長:  それでは今のことについて御意見をお願いします。
専門委員:  WANという言葉が出てきたのは霞ヶ関WANからかと思いますが、これは固有名詞です。WANはここで使う必要のない言葉だと思います。
委員:  特定多数のアクセスを対象とするものをWANというのではないのですか。不特定多数を対象とするWANがあるのですか。
事務局:  インターネット・サービス・プロバイダーが運営しているもので、不特定多数を対象とするWANがあるそうです。
専門委員:  WANとLANとの違いは、ファイアーウォールやIPアドレスなどに関する極めて技術的な細かい点にあり、厳密に技術的な議論を始めたら、専門の技術者・研究者でなければ理解できないようなものです。ここでのまとめ方としては、技術的に正確な説明をするというより、ここの議論に必要な範囲で話を限定し、「~をWANという」、「~をLANという」とわかりやすく定義してしまった上で、記述を整理してはどうでしょうか。
小委員長:  「ウ 「WAN」の整理」についてはもう一度再検討する必要がありますか。
専門委員:  言葉の定義を明確にした方がよいということです。
小委員長:  よろしいですか。では、「ウ 「WAN」の整理」については、もう一度まとめ直すということで事務局にお願いします。そのほかにございますか。
専門委員:  この小委員会が調査審議すべき課題ではないかもしれませんが、新しい収集システムを館に導入するとなると外部から通信が来るわけですから、ウイルスなどが混じってくるおそれがあります。セキュリティについても考える必要があるでしょう。審議会答申にはセキュリティについての記述も盛り込んだ方がよいと思います。御検討いただければと思います。
委員:  それは館の情報セキュリティポリシーの枠を超えたものですか。
専門委員:  どういうシステムを実装するかにもよります。
委員:  館でも情報セキュリティを考えていると思いますが、それだけでは不足だということでしょうか。
専門委員:  館の情報セキュリティポリシーで問題なければよいのですが、審議会としてセキュリティについても考慮していることをきちんと記しておくとよいと思います。
事務局:  似たような論点として、悪質な改ざんがあります。当館が集めたものを悪質に切り張りしたりして改ざんすることが考えられます。そういうものについては配慮が必要だろうと思います。発行者が公表するのを止めたものを当館が閲覧させる場合もあるので、当人のコントロールが及ばないところで問題が起こることについても、配慮が必要だろうと考えております。セキュリティの問題とまとめて、小委員会報告の中で触れてはどうかと考えています。
 
4. 第3回小委員会の調査審議内容及び日程等
小委員長:  では、最後に会次第4の、第3回小委員会の調査審議内容と日程を決めておきたいと思います。
 事務局から、第3回小委員会の調査審議内容について、説明をしていただきます。
事務局: 〔説明:収集範囲・方法(2)として、学術的な出版物の問題等を主に取扱い、第1回小委員会の調査審議で継続案件とされた「国等の発行するネットワーク系電子出版物」についても検討をお願いしたい旨を述べた。具体的な調査審議予定項目は、次のとおり。
(1)国等の発行するネットワーク系電子出版物(継続)
(2)学術的な出版物
(3)「通知又は送信」の在り方
(4)除外すべき出版物
(5)その他〕
小委員長:  第3回小委員会の日程については、この後、事務局から、3月中の委員・専門委員の皆さんの御都合を伺い、その状況をみて決定の上、お知らせしたいと思います。
 それでは本日の小委員会はこれで終了いたします。
(閉会)

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