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トップ > 国立国会図書館について > 納本制度審議会 > 第25回納本制度審議会議事録

第25回納本制度審議会議事録

日時:
平成27年3月25日(火)午前10時30分~11時35分
場所:
国立国会図書館本館3階総務課第一会議室
出席者:
中山信弘会長、山本隆司会長代理、石﨑孟委員、植村八潮委員、遠藤薫委員、相賀昌宏委員、永江朗委員、福井健策委員、藤井武彦委員、藤本由香里委員、湯浅俊彦委員、片寄聰専門委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員
会次第:
  1. 委員の委嘱及び会長代理の指名の報告
  2. オンライン資料の補償に関する小委員会審議経過報告
  3. 事務局からの報告(平成25年度出版物納入状況、平成26年度代償金予算及び平成25年度代償金支出実績、オンライン資料収集制度の運用状況、代行機関による納入漏れ防止措置の実施状況)
  4. その他
配布資料:
  • (資料1)第24回納本制度審議会議事録
  • (資料2)納本制度審議会委員専門委員名簿
  • (資料3)納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会審議経過報告
  • (資料4)(参考)有償オンライン資料収集実証実験事業の概要図
  • (資料5)資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料6)納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料7)オンライン資料収集制度の運用状況について
  • (資料8)日本出版取次協会による納入漏れ防止措置の実施状況
  • (資料9)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (資料10)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料11)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (資料12)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料13)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (資料14)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
(開会)定足数の確認等
会長:
定刻でございますので、第25回納本制度審議会を開催いたします。委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、ありがとうございます。本日は、15名の委員中11名の委員に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。また、本日は、専門委員の皆様方にも御出席いただいております。
なお、傍聴の方は、メモをとることは差し支えございませんが、自由な審議を行うため、録音及び写真撮影につきましては、御遠慮ください。
事務局:
〔配布資料について説明。〕
会長:
よろしゅうございますか。
(会次第1)委員の委嘱及び会長代理の指名の報告
会長:
それでは、会次第の1、委員の委嘱及び会長代理の指名の報告に入ります。事務局から報告をお願いします。
収集書誌部長:
会次第の1につきましては、2件ご報告いたします。
まず1件目は、委員の委嘱についてでございます。一般社団法人日本出版取次協会会長の交代に伴いまして、前会長の古屋文明委員から委員の職を辞する旨の申し出がありましたので、平成26年7月1日付けで委嘱を解き、現会長の藤井武彦委員に補欠として委員を委嘱いたしました。なお、藤井委員の任期は、納本制度審議会規程第4条第2項ただし書の規定により、平成27年6月30日までとなります。
2件目、会長代理の指名についてご報告します。平成26年1月3日に、会長代理を務めておられました濵野保樹委員がお亡くなりになりました。後任の会長代理には、同年2月1日付けで、中山会長から山本隆司委員が指名されております。この指名以降、納本制度審議会が開催されておりませんでしたので、このたびご報告させていただきました。
事務局からの御報告は、以上です。
会長:
昨年の1月に濵野先生が亡くなられまして、まだお若いのに貴重な人材を失ったと非常に残念に思っております。御冥福をお祈りしたいと思います。
それでは、新たに委員に委嘱されました藤井委員が本日御出席でございますので、一言御挨拶をお願いいたします。
委員:
昨年の4月から日本出版取次協会の会長を拝命しております、株式会社トーハンの社長を務めております藤井でございます。一括納本と言いますか、私どもトーハンと日販とでいろいろ役割分担しておりまして、今日もいろいろ御意見を頂きながら、スムーズな制度運用に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
会長:
ありがとうございました。
会次第にはございませんけれども、一昨年7月に開かれました、前回、第24回納本制度審議会の議事録の取扱いにつきまして、事務局から説明がございます。よろしくお願いします。
事務局:
御説明いたします。議事録につきましては、前回出席された委員の皆様方の御確認、御了解を得た上で、議事運営規則第16条の規定によりまして、既に当館ホームページで公開しております。
御説明は以上です。
会長:
ありがとうございます。
(会次第2)オンライン資料の補償に関する小委員会審議経過報告
会長:
それでは、会次第の2に入ります。オンライン資料の補償に関する小委員会のこれまでの審議経過につきまして、小委員長から報告がございます。それでは、福井小委員長、よろしくお願いいたします。
小委員長:
それでは、オンライン資料の補償に関する小委員会の審議経過について、御報告いたします。お手元の資料3をご覧ください。
まず、経緯でございます。この小委員会は平成23年に設置されまして、平成24年に中間報告を行っております。これに基づき決定された審議会の中間答申では、無償かつDRMの付されていないオンライン資料については、資料の送付に必要な媒体、メディアの費用を補償の対象とすべきとされました。その一方、有償又はDRM付きのオンライン資料については、なお課題があるため、調査審議を継続する必要があるとされました。このため、平成25年7月以降の今期も小委員会が設置されまして、今月までに3回の会議が開催されています。
続いて、調査審議の内容でございます。
まず、平成25年9月の小委員会では、1点目としてDRMを付さない状態での納入、2点目として経済的補償又はインセンティブの付与、3点目として制度化に先立って実証実験を行うこと、最後に4点目として実証実験を行う場合の実験内容、この4点について審議をいたしました。
次いで平成26年3月の小委員会では、実証実験の実施に係る進捗についての報告が事務局からあり、質疑の中では、セルフパブリッシングのオンライン資料収集への対応の必要性が指摘されました。いわゆるオンラインでの自己出版、自費出版です。
そして平成27年3月の小委員会では、実証実験の実施に係る進捗、そして具体的な実施案についての報告が事務局からありました。
それではまず、平成25年9月の小委員会で審議された個別の論点について御説明いたします。資料16頁の(2)になります。
DRMを付さない状態での納入についてです。この点については、平成22年の当審議会の答申において「DRMを解除して納入するように依頼することが必要」とされたところです。ただ、これに対しては、出版関係団体からは、DRM付きのものを納入対象とすべきであるという主張がありました。小委員会で議論したところ、この時点でDRMを付さない状態での納入に技術的困難はなく、長期保存するためにも、出版社に十分説明して理解を得るべきであるとの意見が多数でありました。その後、事務局と出版関係団体との協議が続きますが、それでは著作者から異議が出る懸念があるという御意見もございまして、実証実験をまず行って解決策を探るということになっています。
次いで2番目、資料では(3)になります、経済的補償又はインセンティブの付与についてです。この点については、補償自体の必要性の議論やその手法に関する議論が活発に交わされました。小委員会としては、金銭的・経済的補償は、一方では望ましいと思われるものの、たとえば電子書籍には必ずしも定まった価格がないとか、あるいはスパム的に大量の電子書籍が出版された場合に補償額が高額になったらどうなるのかといった困難な点がいくつか指摘されまして、こうした困難な点に鑑みて、非金銭的なインセンティブ、金銭以外でいかに納入するとメリットが感じられるか、という点の検討が重要であると現在のところ考えております。
3番目に実証実験についてです。資料では(4)になります。この点については、小委員会で多数の賛成を得ております。
次いで4番目の論点、資料では(5)となっています。この実証実験の内容ですけれども、各回の小委員会において事務局から提案や報告があり、活発な質疑が交わされました。事務局が大変熱心に取り組んでいただいて、ご苦労も多々あるように聞いております。今月の小委員会で報告された内容としては、実証実験自体を2段階に分けるということが議論されています。まず、第1段階といたしまして、出版社から電子書籍コンテンツを国立国会図書館のサーバに直接ダウンロードしたりアップロードしたりというのは課題も多いということで、外部の取次会社などのサーバに一回電子書籍コンテンツを送信していただく。そして、ここから外部サーバに電子書籍コンテンツを保管した上で、国立国会図書館に配信する方法により、国立国会図書館内でビューア等を利用して館内閲覧者が利用できるという形です。いわば、現状の電子書籍の販売流通に近い形態になると思います。比較的抵抗が少ない形から進めていこうということです。それと同時に国立国会図書館における保管のために必要な技術的課題・要件を検討するということになります。次いで第2段階です。この段階では、国立国会図書館のサーバに電子書籍コンテンツを保管するという直接的な形になります。第1段階の実験は、年内に開始したい、ということになります。
これに対して活発な質疑等が行われ、確かに実証実験を行うためには著作権者の理解と許諾が必要なので、許諾を得る際には収集の意義や最終的な制度化後のビジョンを含めた十分な説明が必要であろうという意見、あるいは、障害者を含むユニバーサル・サービスの実験の場としてもこの実証実験を捉えられるのではないかという意見がありました。また、一つ議論になりましたのは、第1段階の期間を最長3年としている点です。実証実験は、関係者のコンセンサスがないとできないことなので、当事者を含むコンセンサス形成のためには適当な期間であるとの意見と、他方では、技術は日進月歩で進歩している中で、条件や社会的ニーズも今後どんどん変わっていく、そうしたことが急激に変化した場合に、たとえば、もっと急速に進めなければいけないというような大きな社会的な風潮ができあがって、一気に政治的な決定がされた場合などに、実証実験が十分な段階に進んでいないと、急速に制度でやろうという話になってしまって、かえって混乱するのではないか、という指摘もあったところです。言ってみれば、前者は3年をやむを得ないとする意見であり、後者はもう少し急げないかという意見だったということです。以上がその時の質疑です。
さて、平成26年3月に議論されたセルフパブリッシングについて最後に御説明します。資料の17頁の(6)です。セルフパブリッシングとは、出版社を経ずに発行されている電子書籍等のことですが、これらは、実証実験の対象となっていません。これらについて、制度収集の対象として考えるべきとの意見が出されています。
以上のとおり、今期の小委員会では、制度収集に先立って実証実験を行うことが主な論点となりました。実証実験については概ね了解が得られましたが、小委員会で指摘された諸点についても取り組むべきと考えます。また、実証実験の期間が長期となると、出版社、著作権者等の理解を得る上で有効である一方で、オンライン資料の散逸防止や急激な技術の変化、社会の変化への対応の観点からはリスクをはらむものになります。国立国会図書館には、関係者の理解を得るための説明や調整を丁寧に行うというタスクと、他方においては、当初想定した実証実験の実施期間を必ずしも所与の前提とせずに、常に見直しを図りながら、制度化に向けた作業を迅速に行うという、2つのタスクの両立が求められることになろうと思います。これは大変な御苦労だと思いますが、時代を切り開いていく上での大きな挑戦だと思いますので、よろしくお願いしたい、という意見がありました。
次期においては、実証実験の進捗及び成果について報告を受けて、引き続き中間答申に挙げられた課題を検討する必要があると考えます。また、実証実験の対象ではない有償の、又はDRMが付されたオンライン資料についても、収集に向けた検討を行う必要があると考えております。
私からは以上ですが、もし、ユニバーサル・サービスについて植村委員から補足があれば。
委員:
この点は、私だけではなくて、何名かの委員からもご指摘があったことですが、御存じのとおり、障害者差別解消法によって合理的配慮が公共機関に求められています。図書館における読むことへのサービスが今まで以上に広く求められるわけです。今までは、障害者に対するサービスというのは、読書介助者というような形での限定的なサービスでした。今は障害のある対象者を広く捉え、視覚障害者だけではなく、たとえばディスクレシアのような方たち、あるいは、肢体不自由で図書館まで来ることが困難である方なども含んでいます。つまり、アクセシビリティやユーザビリティとして捉え直されているわけです。そうした状況では、従来型の読書介助者によるサービスはもちろんですが、電子書籍、つまりITによって何かサポートするというのは当然の流れです。電子書籍が収められるならば、いわゆる音声読み上げ、TTSによってサービスできるのではないかと思います。これは、当然、音質といった別の問題が残りますが、対象を容易に広げるという点では非常に有効な方法です。ただし、これに関しては、DRMの問題とか、さまざまな問題が含まれていますので、今回の実証実験の中に1つの課題として含まれていれば、先への知見ということで、広く期待されるのではないかという意見だったと思います。
会長:
ありがとうございました。ただ今の福井小委員長の報告、それから植村委員からの補足につきまして、何か御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。
委員:
セルフパブリッシングのオンライン資料について検討が必要ということですが、それ以前に、携帯電話向けに配信している、今ちょっと下火になりましたが、ケータイ小説などがあります。こうしたものは一時期のめだった文化的な現象だったのに、全く収集されていないという状況ですので、完全にデータがなくなってしまう前に、何らかの手段を講じる必要があるのではないかと個人的には考えています。この点について御意見等はありましたでしょうか。
事務局:
小委員会の中では、ケータイ小説そのものをテーマとして取り上げられませんでした。ただし、当館としては、御指摘のようにケータイ小説などについても重要なコンテンツ群であろうと認識しております。ただ技術的な観点からは、通信会社固有の携帯電話や専用アプリを介して提供されており、コンテンツだけ、テキストだけ抜いてくれば図書館内で再現できるかということがありまして、躊躇していたところでございます。ただ、長期的観点からは将来的に失われる前に何らかの手をつける、あるいは研究するということは必要であろうということで、研究を続けているところです。
会長:
これは、もっぱら技術的な問題ですか。法的な問題はないのですか。
事務局:
法的な問題としましては、たとえば、ケータイ小説だけではなく、セルフパブリッシング全般に言えることですが、権利者がいったい誰なのか、という点があります。投稿的な形で作られると、扱っている企業あるいは団体は、携帯電話で見るということについては許諾を当然得ていると思いますが、新たに国立国会図書館にコピーして保管するということになると、別途の許諾が必要になります。そもそもペンネームなどで書かれているものが大半だと思われますので、一体誰に許諾を取ればよいのかという、法的課題が出てくるものと認識しております。
会長:
他に何かございましたら。
委員:
確かに「ケータイ小説」という言葉は、携帯電話とともに衰退して見えるのですが、最近では「スマホ小説」ですとか、さらにもっと注目されているのに「デジタルコミック」があります。これは、スマホで初めて成立する縦ロールという、今までは紙ではできなかった表現方法で、大変注目されています。これらはパブリッシャーがはっきりしており、次の段階では何か手を考えた方が良いのではないかと思います。
会長:
それでは検討をお願いします。他に何かございませんでしょうか。「非金銭的インセンティブ」とは、具体的にはどのようなものがあり得るのでしょうか。
委員:
かつて議論されたところで言うと、たとえば、国立国会図書館にオンライン資料を納入すると、オリジナルの出版物であるという何らかの証明につながる、というようなインセンティブが考えられないかということが、議論されています。登録制度等との何かリンケージのようなものまで、その先にはあるいは見通せるような議論かもしれません。
会長:
著作権法の改正にもつながってくるわけですね。
委員:
あるいは、マーケティングに利用できるようないくつかのデータのフィードバックは考えられるところかと思います。
会長:
ありがとうございます。他に御意見や御質問はありますでしょうか。
委員:
今の説明はそうかと思うところがある反面、時間との競争という面があって、そうすると、先ほどの報告書の方にも出ていましたが、3年というのは結構長すぎるのかなという気がちょっとしました。
それから、これは本当に思いつきなのですが、今出ていたオンライン資料の登録制度のようなものを、何かうまい形で構成すると、今、学校などで問題となっているコピペ問題への対策とつなげられないかな、とちょっと思ったりもしました。
委員:
超流通的に各コンテンツのトレーサビリティを確保するようなお話ですね。野心的な印象ですね。
会長:
コピペ防止と連動することとなると、ソフトによって国立国会図書館にある資料と学生のレポートが同じかどうかをマッチングする、ということですね。
委員:
たとえば大学であれば、大学で使用する教材に関して「大学学習資源コンソーシアム」が昨年設立されていて、たとえば私が所属している大学も昨年加盟しています。これは、これまで紙媒体の時であれば、無償でコピーを取って教室で配布しても著作権法上問題なかったわけですけれども、それをスキャニングして配信をする、あるいはアップロードするといったことに関して著者や出版社に対して全く許諾を取っていなかったものを、これから何とかきちんと整備していこうと動いているものです。そういう意味では、正に遠藤委員がおっしゃった点につなげていければ、出版社側も電子書籍という形で提供するメリットが相当あるのではないか、という気がします。
委員:
「3年」という期間のことで言いますと、技術の変化が速いというのは確かなのですが、一方で、著作者あるいは著作権継承者の抵抗感というのもかなり強いことを考慮する必要があると思います。技術の進歩が速いからこそ、なおさら抵抗感が強い側面があります。日本文藝家協会内での議論を見ても、電子のことはよく分からない、分からないからとにかく抵抗がある、との意見があります。前回の小委員会では、出版社の方々に編集者を通して作家に対して懇切丁寧な説明をして理解を得ることが言われていましたがそこには時間もかかるでしょう。技術の進歩が早いから、とにかく3年を1年にして、みたいな議論では、おそらくかなり反発を招くのではと思います。それは難しいところだと思いますし、出版社だけに説得する責任を負わせるということは大変だろうなと思います。
会長:
おっしゃるとおりで抵抗はかなり強いわけですけれども、他方、日本だけの問題ではなくて、アメリカだとGoogle等の企業が盛んにやっておりますし、ヨーロッパでは「Europeana」が盛んにやっておりますので、外国との関係もあって、そうもゆっくりもできない。しかし他方、おっしゃるような創作者の抵抗の問題もあるというので、そのあたりは兼ね合いの問題だと思うのですけれども、しかし、できるだけ早くという点ではみなさんコンセンサスを得ていると思いますので、そこは、国立国会図書館側も大変だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
委員:
ご指摘のとおり、小委員会では本当に両方の立場が出て、非常に有意義な議論になったのですが、出版社や著作者の懸念に十分こたえつつも、今、中山会長から御指摘があったとおり、海外のプラットフォーム勢の動きが非常に速く、たとえばフェアユース規定を根拠にどんどんやってしまう。で、事実上、彼らが集め、アーカイブを作り上げましたという話になると、それに対して、交渉上は日本の出版社や権利者が、非常に劣位になってしまうというのが、過去の例では見られるところです。それよりは、意見をいろいろと反映しやすい国立国会図書館主導のプロジェクトにコミットしていくということもまた、視点としてはありうるのかな、と。こういう場では、こういう話は比較的通りやすいのですが、いざ、いろんな方々に御理解をということになると、容易ではないのですけれども。そんな意見もあったように思います。
会長:
従来の日本の出版業というのは、「日本語」という天然の要害に守られていたと思うのですけれども、そういう障害は、もう技術的に問題がなくなってきていて、そうすると、場合によっては、もたもたしていると、日本は海外の巨大なプラットフォーマーに跪かなければならない、という状態にもなりかねません。そうすると、知の大本を海外に握られてしまう、という事態もあり得ます。だからといって、むやみに進めても良い、というわけではないですから、そのあたりは大変難しいところだと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
委員:
議論になっているセルフパブリッシングとか、ボーンデジタルとか、デジタルファーストのコンテンツに関しては、今後どのような対応が求められるのか、今回の実証実験では少し見えていません。とうぜんのことながら、多くの本は出版社によって生み出されてきたわけですが、もう一つのサブの対応として、自己出版の人たちへ説明をする必要があるのではないでしょうか。入り口は2つあるということで、ボーンデジタルやデジタル出版社についても、説明を少し入れておくということです。実証実験の性格や手間の関係から、すぐできないかもしれませんが、ほぼ同時スタート出来ればと思います。つまり、両者の速度は違うので、ゆっくり時間をかけて整理する世界と、すぐ対応しなければならないデジタルファーストへの道を、最初の段階で何か説明できた方が良いのではないか、と思いました。
会長:
この点、いかがでしょうか。
事務局:
実証実験とは別に、いわゆる無償・DRMなしのオンライン資料については、既に制度化が進んで、これを受け入れるシステムはもう出来上がっています。サイトにロボットで取りに行くという方法、あるいは、国立国会図書館の送信専用サイトにファイルをアップロードすると自動的に収納されるというシステムがあります。セルフパブリッシングについては、DRMがないものであれば基本的に御寄贈いただくという形で、コンテンツを送っていただければ、今でも収納は可能となっております。ただし、この窓口は現時点では仮に無償寄贈であっても有償で流通しているものを受け入れておりませんが、今後調整した上で広げていく、という方法が、まずは採れるのではないかと考えております。
委員:
今回の実証実験実施に向けて、出版社側のとりまとめ役として片寄専門委員に大変御調整の御苦労いただいたということを御報告いただいております。謝意を改めて表したいと思います。
会長:
他に御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次に進みたいと思います。
(会次第3)事務局からの報告
会長:
続いて、会次第の3に移ります。事務局から報告が3つあるそうですので、うかがいたいと思います。よろしくお願いします。
事務局:
〔平成25年度出版物納入状況、平成26年度代償金予算及び平成25年度代償金支出実績について、資料5,6に基づき説明〕
〔オンライン資料収集制度の運用状況について、資料7に基づき説明〕
〔代行機関における納入漏れ防止策の進捗状況について、資料8に基づき説明〕
会長:
ただ今の3件の報告につきまして、御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
委員:
この問題に対しては、ここ何年か、なかなか動きがなかったのですけれども、ようやく「なぜ」なのか、ということが分かりましたし、実際に実績が上がっていると聞いて非常に心強く思いました。
ただ、1、2,3と理由が挙げられていますが、2と3、つまり、取次を経由しない出版物については、自動納入はもともと難しいと思っておりました。問題は1です。今回、取次で扱う出版物をすべて自動納入するわけにいかないのは、雑誌は直接納入されることが一つの理由であることは分かったのですが、取次を通じた自動納入のシステムを作ってはどうか、という提案の一番大きな眼目は、今の御説明にもありました人事異動やうっかりミスで納入漏れが起こるということが防げないか、ということでした。だとすれば、たとえば直接納入でない書籍については、「取次に自動的に納入をお任せする」という選択肢を出版社に示して、もしそれを選択してもらえれば、担当者がいちいち手続を行わなくても確実に1部が納入される。そうすると手間もかからなくて済みますよ、という提案をしてはどうでしょうか。たとえば、特に納入漏れが多い出版社に対してそういう選択肢を示して御同意いただければ、かなり効果があるのではないかと思います。そうした方法も検討していただければと思います。
会長:
その点はいかがでしょうか。
事務局:
引き続き取次協会様と協議して、御提案の可否を検討させていただきたいと思います。
会長:
藤井委員から何かありますでしょうか。
委員:
とにかく納入漏れがあるというのが一番のポイントだと思いますが、リストを作って消し込みして、納入が遅れている出版社に対しては督促をやっているというのもございます。自動納入は良いと思いますけれども、実際には、納入漏れがそういう仕組みの中でいかにチェックされて防止されるか、という点があります。その点、実務的にどうか、というのは、取次協会の方で検討することになるかと思います。
委員:
これは、取次協会を通じての納入ということですけれど新しく出版社を興す人たちに話を聞いてみると、一種のトレンドとして、取次離れが見られます。とりわけ大手の取次とは取引せず、書店への直接納入だけでビジネスを立ち上げていくという人たちが一つのトレンドになっています。それは、書店の淘汰、チェーン店化、大型化が進む中で、今までのように全国のすべての書店にまんべんなく本を卸すのではなくて、250とか300店くらいの大型書店、チェーン店とだけ取引していれば、何とかビジネスとして成り立ってしまうような、そういう時代になっています。それで、新しく出版社を立ち上げる人たちは、取協加盟の取次は使わないで、自分たちで納品して、自分たちで代金を回収している。そうなると、取協を通じて納入あるいは自発的に出版社が納入するのを待つだけでは、日本の出版界全体を捉えられない時代に入りつつあって、そこをどうフォローしていくのか、たとえば、大型書店等のデータベースを利用しながら把握していくのかとか、そこを考えていかないと、次の時代に入ってくのが難しくなってきました。
会長:
その点、事務局、いかがでしょうか。
事務局:
流通に関するデータについては、出版情報がありますので、それをもとに調査し、当館が未所蔵であれば督促を行うことができます。この出版情報がそもそもない資料については、なかなか納本をしていただく手立てを探るのが難しいと思っています。たとえば、小さな新興の出版社の出版物や官庁出版物についても、こうした出版情報という手段に頼らずに、別の手段を見つけないといけないという状況です。個別の課題で申しますと、会社の社史も出版情報に入っていませんので、社史だけを集めた専門の目録を調べて、未収のものをチェックして督促をしています。こうしたツールを探し出して、それをもとに督促する、ということになります。こういったツールとしてどういったものが有効なのか、新興出版社の出版物を把握するためにはどのような手立てが有効なのか、今後の研究課題としたいと思います。
会長:
他に何かございますでしょうか。
委員:
資料24ページの督促を行う代表的な分野の中に「復刊商品」があるわけですけれども、こういったものを、たとえば1冊物であっても、発行部数が極めて少なくて、国立国会図書館に納入されることによって、国立国会図書館で閲覧できればコンパクトに情報が得られるので、売れなくなる可能性があるので納入しない、という意識があるのでしょうか。というのは、議事録の9ページのところで、国立国会図書館の大規模デジタル化事業に関連して「大正新脩大蔵経」の問題があって、売り上げが落ちるので、デジタルアーカイブとして公開するのを止めて欲しい、という出版社が実際にあったわけです。こういうことが復刊商品の納入率を下げている理由になっているのか、それとも、たまたま納入対象であることを認識していなかったのか、という点を、調査の分析の中でどうだったのかを聞かせていただければと思います。
事務局:
復刊商品について、果たして出版社の方で納本するという意識に説得性がなかったためにこういう結果になったのか、あるいは、別の要因があるのか、という点については、そこまで踏み込んだ分析を残念ながらしていませんので、確たることは申し上げられません。
委員:
図書は取次による一括納入で、逐次刊行物については直接納入というのは理解したのですが、では、図書の中にも直接納入があるとすると、どれくらいの割合なのか、という点を教えてください。また、パッケージ系電子出版物は、点数の割に額が大きいなと理解したのですけれども、パッケージ系電子出版物の納入ルートがどうなっているのか、いずれも民間について教えてください。
事務局:
まず、民間のうち直接納入の割合ですが、金額ベースで言うと、取次が3割なのに対して、直接納入は6、7割です。次に、パッケージ系電子出版物の納入ルートですが、直接納入が大部分だったと記憶しています。
会長:
他に何かございますでしょうか。
委員:
確認させていただきたいのですが、取次経由が3割で、直接納入が7割というのは、ちょっと違うのではないか、と直感的に思うのですが。それは、逐次刊行物を全部含めた場合の割合ではありませんか?取次経由の書籍は本当に3割しかないのでしょうか。
事務局:
申し訳ございません、本来なら点数ベースでご回答すべきところ、数値が手元にございませんでしたので、金額でのお答えとなりましたが、点数ベースであれば取次経由の割合が大きいです。直接納入は高額の出版物の場合が多々ございます。
ちなみに、高額の物というのは、市場調査報告書とか、通常の書店では販売されていないようなもの、だからこそ、取次にも流れないというのがありまして、そういうものが実は、数は少ないのですけれども、相当納入されています。
委員:
貴重な代償金予算を、本来の出版社ではないところに、こんなに払っていると理解しました。
委員:
正に、オンライン資料についてもよく議論になったところですよね。極めて部数が少なくて、極めて高いというものがありうるということです。
会長:
先日、私のところへ300万円くらいするセットの本の宣伝がありましたけど、そういうものが、金額がその半分だとしても150万円くらいの金を食っているわけですから。それにしても、広報活動等をしたら約10ポイント上がったというわけですから、大変な数値の上昇だと思いますけれども。それではよろしいでしょうか。
(会次第4)その他
会長:
次に、会次第の4に入ります。その他ということでございますけれども、事務局から何かございましたらお願いいたします。
収集書誌部長:
今後のことにつきまして簡単にご説明いたします。
現在の委員・専門委員の皆様の任期は、平成27年6月30日までとなっております。実質的に、今期の納本制度審議会につきましては、今回が最後ということになるかと思います。
以上でございます。
会長:
ありがとうございました。この点についてご質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、予定されている議題や報告は以上のとおりですが、その他、この際御意見や御質問があれば、お願いいたします。ございませんでしょうか。それでは、以上をもちまして、第25回納本制度審議会の会次第はすべて終了しましたので、これで散会としたいと思います。
(午前11時35分終了)

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