大正期に活躍した文学者

    「近代日本人の肖像」には多くの文学者が掲載されている。ここでは主に大正期に活躍した文学者を簡単に紹介しよう。

    大正の文壇においては、自然主義に代わって、ロマン主義的な作品が発表された。与謝野晶子永井荷風谷崎潤一郎、また志賀直哉武者小路実篤に代表される白樺派や、芥川龍之介久米正雄菊池寛ら新思潮派の作家たちが活躍した。

    自然主義作家である島崎藤村の代表作『家』のように、封建的な「家」との葛藤に苦しむ地方出身の青年が主人公となった作品に対して、荷風や谷崎などは大正期の華やかな都市を舞台に芸術至上主義的な作品を発表した。また白樺派は鬱屈とした自然主義とは対照的に、天衣無縫の自己肯定に基づく文学を提示した。とりわけ志賀はその明快で優れた文章ゆえ「小説の神様」とも称され、文学批評家の小林秀雄に高く評価された。新思潮派は東京帝国大学生によって発刊された文学誌『新思潮』から出発した書き手たちから成り、古典などに題をとり綿密な構想をもとにフィクションを作りあげる点を特徴とする。

    以上、紹介した人物の代表作は各人物のページから読むことができるので、本紹介を手掛かりに、近代日本作家の作品を読み進めていただければ幸いだ。

      参考文献