史料にみる日本の近代 -開国から戦後政治までの軌跡-

[桂太郎覚書]

桂太郎覚書

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【3コマ~10コマ】

宇佐川へ一進会のこと

第一
皇室之件合意
統監府廃止し総督府を置くこと
韓国内閣を廃止
法部を復活のこと

元老始末合意
一 皇太子将来の始末
一 憲法は無用
一 地方官衙は三ケ所模範的に設置
一 市税は廃止、実行前に実施
一 地方警察は憲兵
一 実行前に増兵
一 韓国警察を東京に出張せしむること
  但在東京韓人取締

韓国
副統監を任命するや否
副統監を置くとすれは、其人撰を要す。
統監府の識組は現今之儘に据置くや否
統監府の改正を必要とすれは、其後の組織如何

韓国地方制度は、現今の儘にては到底日韓人をして互に同和せしむること至難なり、果して然りとせは、其制度は如何して可なるや。
(見込にては可成地方官の主なる位置に、尤も有力なる適当なる人物を据え、下級の官吏には可成韓人を仕用するの方法を取ること極めて必要ならん。仮令は地方長官には日本人を採用し、事務官の如きは日本人、半は韓人を仕用し、判任已下は可成韓人を多数に仕用する方、却而韓人を同化せしむるの良法ならんか。
地方事務取扱は可成韓国的にして簡便を主とし、其必要の部分丈け日本(即ち法制的にして所置)にし、彼れ等をして妙策に堪え兼ぬる様なる行政は妨けなき限度に留むること。
行通機関の発達並に拓殖の実行は、成し得程度に進行せしむること。
地方警戒の方法は一度に出つること、憲兵巡査の混交は害ありて益少なし。
此際韓国統治に一歩を進むるや、否進むるとすれは、如何なる点迄進むか。
韓皇太子帰国の事は如何
凡そ韓国の事明治三十八年末統監府[府]設置已来統監政治を実行し、其

一 韓皇室之始末之件
但日本皇族に準すること
一 韓皇族前同断
但親王は皇族、其他は公侯両爵に準すること
一 高等両斑之前同断、但華族を造ること
一 其他両斑の件 授産の方法に由り始末をなすこと
一 統監府組織を改正し、総督府となすこと
一 地方制度を単純にし、統一を謀ること
  但下級官吏には成るべく韓人を採用すること
一 地方警察力を増加し、併せて重復制度を廃すること

統一後の施政の方針としては第一行通の弁を開き(鉄道、道路)植産の方法を確立
し、拓殖移民の業を発達せしめ、並に韓国富源の開発を充分実行すること。

【11コマ~20コマ】

右始末をなすには幾多の資金を要するは当然のことなれは、韓国公債を起し、其原利支払の為めには、第一韓国行政制度の統一に際し節減をなしたるものを以て之れに当て、其不足は帝国の補助に由るをなすこと。
併合実行の時機は尤も注意を要するは勿論なれは、総ての準備をなし彼等をし併合の必要なるを志願せしむるの方法を取るを以て最上とす、然りと雖とも時機を失するの恐れあれは現今内外殊に韓国人の疑いを起さざるときに於て決行をなす又必要のこととす、故に目下魯国と交渉の事件の整理を遂げたる最近の時機を撰ぶを以て適当の時とす。

韓国始末の要領
一 韓皇室の始末の件
  但日本皇族に準すること
一 韓皇族の始末の件
  但親王は皇族、其他は公侯爵に準すること
一 高等両斑の始末の件
  但華族に準し、伯子男に区別すること
一 統監府は総督府に改むること

<今日直に名称を変するは徒に内外人に疑惧の念を生せしめ得策に非す、合併後たるへし、疑惧とは(ミリタリスムに出つるなるへし)との疑を云>

一 地方行政制度は単純にし、統一を謀ること
但し下級官吏は成るへく韓人を採用するの法を取ること

<本項は速に実行したし、是亦準備の一なり>

一 地方警察力は増加し併せて重復制度を廃すること

<兼て申上候通小生之意見を実行の外なし>

韓国統一後の施政の方針は行通を弁を開き(鉄道道路)殖産の方法を確立し、拓殖移民の業を発達せしめ、並に韓国富源の開発を充分実行すること。
右始末をなすには幾分資金を要するは当然のことなれは、韓国公債を起し其用途に当てさるべからす、其原利支払の為めには第一韓国行政統一に際し節減をなしたる財を以て之れに当て、其不足は帝国国庫の補助に由るとす。
<本項は単に前議を指すか、又は前諸項を指すか明亮ならす、勿論節減すへきものを節減するは当然なれとも、可成的円満に合併を行はん欲せは日本の出資を以て両斑に恒業を前渡し、兼て人民に諸種の奨励金を付与するの計画を確定発表するを要す、然らされは不得策に陥るのみならす後悔するに至るは必然なり、此議は小生の確く信して疑はさる所なり、又合併後両三年は税務の変更は大禁物なり、且つ如何なる好事業あるも両三年間は現在の韓国財政を以て満足するを要す>
合併実行の時機は、尤も注意を要するは勿論なり、故に総ての準備をなし、彼等をして志願的に合併を願ひ出ださしむるを最上とす。然りと雖とも時機を失すの恐れあれは現今内外殊に韓人等をして疑ひを起さざるの時機に於て決行をなす、又必要のこととす、就ては目下交渉中に在る魯国との事件結了後の最近時機

【21コマ~22コマ】

を以て、撰択に適当とす。

<結局するに諸種の準備を為さすして合併を発表し之に着手するを所謂大坂陣に陥るなるかを疑ふ、一層の考慮を要す>
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