史料にみる日本の近代 -開国から戦後政治までの軌跡-

[立憲政友会会則草案]

[立憲政友会会則草案]



 政党組織
一、余等同志者の団結を立憲政友会と称す。
一、立憲政友会は東京府下に本部を置き、各地方に支部を設け、以て同志者の統一と及連絡を謀るに便ならしむ。
一、立憲政友会本部の外更に東京府下に倶楽部を設け、以て立憲政友会の会員たると否とを問はす、洽く府下朝野の紳士を招邀し、以て一般社交上の便宜を謀るの用に供ふ。
 倶楽部の計画及規程は別に定むる所に依る。
一、地方の事情に依り支部を置き難きときは倶楽部を設け、以て同志者の糾合を謀るに便ならしむ。
一、余等同志者は東京府下に本部を置き、各地方に支部を設く。但し地方の情況に依り支部を置き難きときは倶楽部を設け、以て同志の糾合に便ならしむ。
一、本部には評議員を置き、行政各部の事務に就て其実際を査覈し、其利害を考究し、及各地方の状況を観察するに便ならしむ。
一、事専科に渉るものは特に専攻の士托し、前項調査考究の事を嘱托することあるへし。
一、本部の評議員は同志者の内より総裁之を撰任し、其定員は事務の繁閑に応し、臨機総裁の酌定する所に依る。
一、本部には幹事長一人、幹事若干員を置き、総裁の指揮監督の下に往復会計其他本部日常の事務を掌らしむ。
 幹事長は評議員内を以て之に充て、幹事は同志者中より簡抜す、共に総裁の撰任する所に依る。
一、本部には日常の事務に便ならしむる為に有給の部員を置くことあるへし。
一、本部には会報局を置き、以て同志者の本趣を闡明し、調査考覈の結果を公示し、各地方同志者の発兌する諸新聞紙及通信社に必要の材料を供給するに便ならしむ。
一、会報局には主事一人を置く、評議員の内より総裁の選任する所に依る。
一、本部よりは総裁の命に依り、時々各地方に遊説員を派遣し、以て同志者の趣旨を説明せしめ、以て洽く同志者の糾合と各地方の支部及倶楽部との連絡を謀るに便ならしむ。
一、毎年一回東京に於て同志者の総会を開き、既往の成績を報告し、各地方の事情を疏通するに便ならしむ。
一、前項総会の外、同志者一般の統一を計る為に総裁に於て必要なりと認むるときは臨時会を東京に召集することあるへし。
 此の臨時会には各地方の支部及倶楽部より各一人の委員を派出す。
一、議会開会中若くは其他適当の時機に於て、本部に於ては代議士会を召集し、総裁の意見若くは評議員の査覈に係る問題を諮詢することあるへし。
 代議士総会の召集は総裁の命に依る。

一、代議士十名以上の連署を以て代議士会の召集を請求するときは、本部に於ては代議士全員を召集するに必要なる期間内に開会すへし。

 代議士総会に関する規程は別に定むる所に依る。
一、地方の利害を繋に由り、各地方の支部若くは倶楽部の間に連合会の開設を要するときは、発議の地方支部若く倶楽部は其趣旨を本部に報告すへし。
 本部に於て之を認可するときは、其関繋地方に連合会の参与を命すへし。又本部よりも必要に応し委員を派遣し、地方連合会に臨席せしむることあるへし。
一、各地方の支部及倶楽部設置に関する規程は、各其地方の事情に応し、同志発起者に於て便宜酌定し、本部の認可を経て之を施行すへし。本部に於て妥当ならすと認むるものあときは、評議員に諮詢し、其決議を以て特に修補改削を命することあるへし。
一、本部の設備に関する一切の費用は一時同志者の寄付金若くは同志者の醵金を以て構成したる資金を以て之を支弁す。
一、本部の収支は幹事の内より責任者を定めて之を取扱わしめ、評議員の二名をして検査の任に当らしめ、毎年の総会に之を報告せしむ。
一、行政各部若くは他の政党に交渉を要するときは、同志者一般の統一を謀る為に予しめ総裁の認可を経るを要す。
一、同志者一般の統一を謀る為に、同志者中に除名を命すへき場合に於ては、評議員の会議に提出し、其決議を以て之を執行すへし。但事急を要する場合に於て総裁の専決を以て之を執行す。
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