はじめに

箏と琴。どちらも「こと」と読みますが、別の楽器です。どちらも弦楽器の一種ですが、琴柱ことじをたてて音を合わせ、箏爪ことづめをはめて弾くのが箏、琴柱を使わず弦を押さえて音を作るのが琴です。

箏の絵
(出典:年方[画]『三十六佳撰』秋山武右衛門,1893【本別7-292】デジタル化資料ボタン

琴の絵
(出典:後藤博山編『為恭逸品集』平安精華社,昭和2【417-44】デジタル化資料ボタン

『源氏物語』(若菜下)の女性四人による合奏の場面の絵 『源氏物語』より、明石の君が琵琶、紫の上が和琴、明石の女御にょうごが箏、女三の宮が琴を演奏する場面。
(出典:[紫式部]『[源氏物語]』(若菜下),[寛文頃]【856-9】デジタル化資料ボタン

そもそも「こと」とは、弦楽器の総称を意味しました。『源氏物語』【856-9】 には、「きん(琴)のこと・・」「さう(箏)のこと・・」「びは(琵琶)のこと・・」という言葉で、箏や琴について書かれています。
また、箏を指す場合でも、琴という漢字が使われることがあったり、戦後、箏という漢字が常用漢字ではなくなったため、代わりに琴という字を用いていた時代もあったりと、箏と琴の用法は少し紛らわしいものになっています。

現在私たちが「おこと(お琴)」と呼んでいる十三弦の楽器は、一般的には箏を指します。箏は、奈良時代に唐から伝わり、雅楽の一楽器として合奏に用いられてきましたが、徐々に箏を伴奏とした歌曲が作られ、ついには「箏曲」という独自のジャンルを作りあげました。
今回の展示では、箏にまつわる資料や箏曲を紹介します。

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