史料にみる日本の近代 -開国から戦後政治までの軌跡-

井上毅書翰 伊藤博文宛

井上毅書翰 伊藤博文宛



内申 先時御内報いたし置候後、愈自由党中旧愛国公党之二十二人して分裂する事に一致記名し、猶其の外に影響し三十余人は全く分離を表するに至るへく、已にたしかに而明日にも発表すへく候(大成派、国民派、分裂派は全く大多数を得へし)。右之経由は畢竟薩人と長人と折合はず、改進党及自由硬党之査定案及誤謬之憲法解釈を固執せる反動と見え、又板伯之解散を厭へるに因由するものに候。
百事天幸に而明治政府之運命之強き事驚く而已。既定費額論も已に機に後れたりとて、改進派不同意を唱へ候由に而今日も持出さず候。但し地租論今午後議に上り未決なれとも、明日或は経過すへし。此方面倒に有之候。
畢竟は憲法之防樊周匝に而方陣堅牢不可破了。猶明日御報可申上候。頓首

二月廿三日夕五時半
梧陰生
伊藤伯閣下
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