史料にみる日本の近代 -開国から戦後政治までの軌跡-

総理大臣に進言(閣議席上)

総理大臣に進言(閣議席上)



総理大臣に進言(昭和二九年十一月廿二日閣議席上)

私は本日閣僚引退の御許しを願いたいのでありますが、此の際一言申上たいことは、総理大臣の御外遊中に、政局は極めて重大となりまして、若しこの侭で推移しますと、我国の近き将来に、甚だ憂うべき状態を招来するのではないかと思います。
この際、この緊迫した難局を救うの道は、総理御引退の一途よりないと存じます。
恐らく総理にも既に御考があると存じますが、遅くも臨時国会前までに、御善処を願いたいのであります。

保守新党もその成立の経過に於て、遺憾の点が少くない。然し私の宿論と一致し、且つ清新にして汚れがない。よつて私は志を同うする新党に参加し、老躯に鞭ちて清新を堅持し、強力を推進したい。
思うに現在の日本には独立の経綸がない。私は追随の政治から創造の政治へ、無責任の政党から道義の政党へ、と微力を傾倒し、政党の背骨を正して国民の信頼に答へたいと思ふ。
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