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びぶろす-Biblos

87号(令和2年4月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412

4. 【特集:官庁出版物の収集と利用】
議会図書室における各府省庁等刊行物の受入及び利用について

新潟県議会事務局議事調査課 田村 ゆかり
後藤 由佳 

1. 新潟県議会図書室の概要

新潟県議会図書室(以下、「議会図書室」という。)は、昭和22年の地方自治法改正による議会図書室の必置規定と、新潟県議会図書室設置条例(昭和24年3月新潟県条例第5号)に基づき、県議会議員の調査研究に資することを目的に設置され、昭和60年6月の県庁舎竣工に伴い、議事堂1階に移転し、現在に至っています。

画像:議会図書室の受付カウンター
議会図書室の受付カウンター


議会図書室は、当初、議会事務局調査課の所属でしたが、機構改革等を経て、現在は議事調査課に所属し、議員閲覧室7室及び閉架書庫を含む総面積は264.81㎡、平成30年度末の蔵書冊数は40,732冊を数えます。このほか、新聞・雑誌を所蔵しており、代表的な地元紙である『新潟日報』は昭和41年以降の原紙を保存し、利用者の便宜を図っています。

職員は、図書係長(兼務)、専門司書、嘱託員各1名(令和元年12月末現在)で、専門司書と嘱託員は司書有資格者です。大きな特徴としては、開室以来、県立図書館との人事異動により司書職の正規職員が配置されていることが挙げられます。このため、業務ノウハウが継承しやすい環境であることから、議員をはじめとする利用者に対し、きめ細かなサービスの提供が可能となっています。

また、図書室業務のコンピュータシステムを平成9年度に導入し、目録業務のほか貸出等の利用者管理もシステム化することで、業務効率を高めているほか、「新潟県図書館等情報ネットワーク」に参加し、資料の相互賃借やレファレンス等で県立図書館をはじめ各機関との協力関係を築いています。

2. 各府省庁の刊行物の収集・受入

国立国会図書館は、国立国会図書館法第21条第1項第2号の規定に基づく都道府県議会図書室への支援の一環として、各支部図書館から納入された各府省庁の刊行物の一部を、全国都道府県議会議長会を通じて配付しています。議会図書室にも毎年数回送付されており、刊行物が届き次第、専門司書が書誌・所蔵データを作成し、蔵書登録を行っています。送られてくる様々な資料の中で、社会の現状や政府の施策をまとめた年次報告書である「白書」は、議会図書室でのレファレンスサービスはもちろん、議事調査課政策調査班が行っている政策調査においても、有益な情報ツールとして大変役に立っています。なお、蔵書登録が済んだ白書や年鑑類は、議会図書室の出入口からほど近い書架に、NDC(日本十進分類法)順に配架しており、スペースの都合上、直近5年分の資料を並べ、その後は書庫に一定期間収蔵しています。

画像:議会図書室で所蔵する白書
議会図書室で所蔵する白書


ところで、「白書」は原局版(閣議や国会等に提出される段階のもの)と市販版でタイトルが異なることがよくあります。議会図書室に送付されたものが原局版で、このケースに当てはまる場合、背表紙に市販版のタイトルを補記したり、タイトルの違いを説明した紙を掲示したりすることで、目的の資料がすぐ探し出せるよう工夫しています。

また、送付のなかった白書・年鑑類については、地元の書店から購入し、欠号のないように留意しています。

近年は、各府省庁のホームページに白書が掲載されることも増えましたが、通読しやすく、かつ複数の資料を一度に比較できるというメリットを持つ紙媒体の白書を大いに活用していただくために、議会図書室からも利用方法を提案する等、貸出等につなげていけたらと考えています。

3. 各府省庁の刊行物の活用事例

議事調査課政策調査班では、議員から依頼を受けた各種調査業務のほか、本県議会議員の政策立案活動や調査活動を積極的に支援するため、各行政分野の県政課題に即した政策調査を行い、調査結果をまとめた各種レポート等を作成して議員へ配付しています。

議会図書室に配架されている各府省庁の白書や年鑑類は、政策調査において、調査テーマの現状や課題等を把握し、政府の取組や先進事例を知るための資料として活用しています。また、各種レポートの作成時には、調査結果を分かりやすく紹介するため、出典を明示した上で、白書等に掲載されている統計データや図表を引用することもあります。

画像:政策調査班の発行資料
政策調査班の発行資料


例えば、令和元年12月定例会時に作成した『政策調査レポート』第148号では、福祉行政をテーマとした「深刻化するひきこもりの現状と対応について」において、ひきこもりの実態を統計的に示すために、内閣府の『令和元年度子供・若者白書』の調査結果を引用しています。

また、最近の社会情勢に関するキーワードについてコンパクトに解説した『用語解説レポート』(月2回発行)においても、カタカナや略語が多い時事用語を分かりやすく解説するため、白書等を引用することがあります。例えば、次世代通信規格「5G」(5th Generation)を解説した『用語解説レポート』No.380では、5Gの実現に向けた総合的な実証試験の事例として、総務省の『令和元年度情報通信白書』の図表を引用しています。

このように、政策調査班では、議員依頼調査だけでなく、各種政策調査の結果報告をまとめる一連の過程において、各府省庁の刊行物を活用しており、引用したデータや事例等の出典を明示することで、調査結果の信頼性を高めています。

なお、ここで引用している白書等は各府省庁のホームページからダウンロードすることもできますが、紙媒体ならではの一覧性の高さと、手元の資料を見ながら同時にPC作業ができる扱いやすさから、議会図書室へ送付された刊行物が大変役立っています。

4. おわりに

議会図書室は設置当初と時代が大きく変化し、個人の情報収集手段が多様化したことで転換期を迎えています。

新しい試みとしては、議会図書室への関心をより一層深めていただくため、政策調査班が作成したレポートに、テーマに関連した議会図書室の蔵書紹介ページを設ける等、課内での連携強化を図ったところです。

また、議会図書室のカウンター周辺は、これまで新着図書が隙間なく並び、利用者と本を挟んで応対していましたが、配置を見直した結果、コミュニケーションがとりやすい空間となり、好評を得ています。さらに、新着図書についても表紙を見せて展示することで、利用者が手にしやすいよう趣向を凝らしています。

このほか、議会図書室で年4回発行している『議会図書室だより』は、従来、新着図書リストがメインでしたが、資料の紹介ページを増やし、読み物としても楽しめるよう広報にも力を入れています。

インターネット上に無数の情報がある現代だからこそ、情報収集・リサーチのスキルを有する「頼れる司書」と、各府省庁の刊行物も含め、議会活動に役立つ資料が豊富に揃った「使える図書室」を目指し、ますます利用していただけるよう、今後も手探りではありますが取り組んでいきたいと思います。


(たむら ゆかり、ごとう ゆか)

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