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びぶろす-Biblos

81・82合併号(平成30年11月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412

5. 平成30年度専門図書館協議会全国研究集会第3分科会に参加して-専門図書館をうまく活用するには-

支部農林水産省図書館 齊藤 麻実子

1.はじめに

平成30年6月27日(水)及び28日(木)の2日間、専門図書館協議会主催の平成30年度通常総会・全国研究集会が行われました。

2日目は午前・午後にわたって全6分科会が行われ、そのうち「専門図書館をうまく活用するには」というテーマで行われた第3分科会に参加しましたので、その概要を報告いたします。

第3分科会の様子(専門図書館協議会提供)

2.講演内容

第3分科会は、2名の講師による講演という構成でした。

最初に、明治大学文学部教授の青柳英治氏より「専門情報機関の探し方」というテーマでお話を伺いました。

専門情報機関は、大学・大学院図書館や美術館・博物館図書館、企業内図書館など多様であり、公開の状況も機関によって様々です。そのため、これらの専門情報機関を把握することができるツールが刊行されており、それぞれの持つ特徴から以下の2種類に分けられます。

1つ目は「探訪支援ツール」と呼ばれる、機関の施設面や特徴的な蔵書に着目したものです。主に一般の人を読者として想定して編集されており、館内の様子が分かるよう写真が多用され、読みやすいものになっています。

2つ目は「情報サービス支援ツール」と呼ばれる、各機関が取り扱う主題に着目したものです。主に図書館員向けに作られており、代表的な資料は、専門図書館協議会が発行している『専門情報機関総覧』(以下、「総覧」という。)です。

「総覧」は掲載機関数が多く、各機関の主題分野から探すことができます。3年に1回刊行されていて、今年2月に2018年版が発行されました。

2018年版では、専門図書館協議会調査分析委員会からの掲載依頼に対し回答があった、1,645機関分の情報が掲載されており、「専門情報機関一覧(関係団体一覧)」(機関情報)と「専門情報機関統計」の2部構成となっています。「機関情報」では、各館の利用条件やサービス等についての情報を収録し、主題分野など4種類の索引で引くことができます。「専門情報機関統計」では、機関種別等の計4種別について、それぞれの統計がまとめられています。

また、2018年版より「総覧」の冊子体購入者への特典として、ウェブ版が提供されています。ウェブ版では、フリーワード検索機能を利用して、冊子体の索引では調べられない部分も検索でき、複数の索引を用いた複合検索や絞り込み検索も可能なため、より多くの機関がヒットするようになりました。

大小様々な専門情報機関が存在する中、必要とする主題分野を扱う機関を漠然と探すことは困難なため、「総覧」はとても重宝しますし、2018年版からはウェブ版も公開されたため、より使い勝手が良くなると感じました。

次に、株式会社電通事業企画局ナレッジ・マネジメント部の中谷俊介氏より「日々のビジネスにおけるレフェラルサービスの活用」というテーマでお話を伺いました。

電通社内にある図書館は「情報センター」と呼ばれ、社内及びグループ会社で働く方を対象とした非公開の企業内図書館です。広告関係資料のほかビジネス雑誌等を幅広く約2万冊所蔵しており、独自の検索システムでの蔵書検索と目次検索が可能です。また、社内のイントラネットを通じて、外部導入データベース、政府統計、独自に作成した業務に役立つコンテンツなどを提供しています。

「情報センター」の中核サービスである「IRAIサービス」は、専門のリサーチャー10名が常駐しており、社員からの問合せに応じて調査を行い、翌営業日までに回答するものです。年間1万件もの依頼があり、1件に使う時間は原則40分とされているため、限られた時間内で終えられるようリソースマップに基づいて調査するそうです。

続いて、社員の課題解決のための相談窓口を紹介する「ソリナビ(ソリューションナビ)」について説明がありました。「ソリナビ」のメンバー(各部署の中堅社員で構成される)が、それぞれの知見をいかして、最適と思われる解決のための社内リソースを提案するサービスです。部署の改編や新しい作業チームが次々と作られ、案件の担当部署等が分からなくなってしまうことも多い中、活用されているそうです。

また、これまで業務に関係ないということで注目されることのなかった、個人の持つ隠れたスキルにスポットを当てる2つの取組も行っています。「検索電通人」は、各社員の基本情報(連絡先や顔写真等)のほか、個々が任意で趣味や特技を入力している自己紹介欄まで検索できるシステムです。「LIFE WORKER's FESTIVAL」は、ユニークなスキルやこだわりを持つ社員を集めて社内向けにプレゼンするというイベントで、昨年行われた際は大変好評であったということです。このような取組から、個人の持つ隠れたスキルにアクセスすることが可能となり、業務にこれらのスキルを必要とする人がそれらを活用できるような環境が作られています。

御紹介いただいた取組は、それぞれとても参考になり、特に「IRAIサービス」は、レファレンスがとても効率化されていて、素晴らしいと思いました。また、ユニークな事例もありましたが、組織によっては取り入れるのが難しいと感じるものもありました。

3.終わりに

第3分科会でのお話を伺って、組織に属する図書館の役割は、そこで働く人が効率よく業務を進められるよう、正確かつ迅速に支援することだと改めて認識しました。そのためには、必要なときに求められた情報をすぐに提供できるよう、図書館員は組織内外の様々な情報やツールを把握しておくなど、より活用してもらえるような工夫が必要だと感じました。

最後に、今回貴重なお話を聞かせていただいた青柳・中谷両講師へ、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。

(さいとう まみこ)

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