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びぶろす-Biblos

81・82合併号(平成30年11月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412

4. 【感謝状贈呈】
「過去を読み、未来を読む」ために

支部農林水産省図書館農林水産政策研究所分館 植田 知明

平成30年9月3日に、国立国会図書館長より支部図書館職員として長年の勤務に対し感謝状を頂きました。

筆者は大学生の頃より国立国会図書館と向き合ってきました。当時は古今の文献に目を通す必要があり、資料の探し方も時間をかけて学びました。引用文献等を調べるために、「国書総目録」や「学術雑誌総合目録」(冊子体)で当該図書・学術誌を所蔵している他の大学や機関を探し、出向いて複写・筆記する日々でした。

その一環で国立国会図書館の資料も閲覧させていただきました。国立国会図書館の巨大で重厚な造りに圧倒され、ホールに掲げられている「真理がわれらを自由にする」の言葉を見るたびに、就職後も国立国会図書館と関われないかと漠然と考えておりました。


就職先は現在の農林水産政策研究所分館(以下、「当館」という。)の前身である農業総合研究所分館でした。近世の古文書・満州関係の文書・中国の漢籍・ヨーロッパの農書等、貴重な史料が豊富にあることと、学生時代に培われた資料の探し方などが生かせる環境であることが選択の決め手でした。偶然にも国立国会図書館の支部図書館であることも後ほど知りました。

これまで図書館の仕事に携わったことはなかったため、国立国会図書館の司書業務研修で今までの経験知を図書館業務に落とし込み、かつ当館の古参スタッフに指導を仰ぎながら図書館員としての研鑽を積んでいきました。

その後、行政部門等と当館を行き来し、支部農林水産省図書館へ異動してからは、資料の相互貸借等で国立国会図書館や他の支部図書館との連携を深めました。平成24年にはオンライン資料収集の制度化に伴い国立国会図書館法や著作権法が改正され、よく改正できたと驚いたことを記憶しています。

再び当館に戻って来てからも、国立国会図書館のサービスを活用しております。


巷ではデジタル情報が破壊的なぐらい溢れております。数年前には「情報"砂の一粒"時代」1と言われましたが、現在は皆目見当がつきません。デジタルデータも扱っている当館としても悩ましい状況になっておりますが、まずは足下を固めることが肝要と思いますので、情報の渦の中に巻き込まれないように従来の方針を踏襲しております。

具体的には、当館の守備範囲である農業経済を中心としたコレクションを構築し、学問上の流れを把握するための参考図書・基本図書を収集しています(収集に当たり国立国会図書館のリサーチ・ナビは参考になります)。所蔵していない図書・文献等は国立国会図書館の貸出サービスや、関西館所蔵雑誌の文献複写サービス及び国立国会図書館で契約している商用データベースを活用しております。デジタル化資料送信サービスも業務上役に立っています。


最後に、国立国会図書館開館70周年・支部図書館制度創設70周年おめでとうございます。テーマの「過去を読み、未来を読む」は、E.H.カーの名言「歴史とは現在と過去との対話である」2を彷彿させるすばらしいキャッチフレーズだと思います。

支部図書館制度のおかげで予算面、業務面でも現在まで支えていただき、大変感謝しております。支部図書館で10年勤続できました。ありがとうございました。

(うえた ともあき)

  1. 佐藤尚之『明日のプランニング』講談社(現代新書), 2015.5[国立国会図書館請求記号:EC235-L313]より。マーケティング関連の内容ですが、情報を扱う立場として非常に参考になります。
  2. E.H.カー『歴史とは何か』岩波書店(岩波新書), 1962.3[請求記号:201-cC31r-S]より。歴史哲学の古典ですが、文献に関する考え方は未だ学ぶものが多いです。

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