資料デジタル化について
国立国会図書館は、資料の利用と保存の両立を図ることを目的に、所蔵資料の媒体変換を実施してきました。従来はマイクロフィルムやマイクロフィッシュでの撮影が中心でしたが、平成21年度以降の媒体変換は、原則としてデジタル化により実施します。
(1) 資料保存の観点
紙質あるいは頻繁な利用により、資料の劣化損傷状況が著しい、又は、劣化損傷の大幅な進行が予想される資料については、媒体変換を行うことにより、代替物を作成、提供し、利用による原資料の劣化損傷を防止します。
(2) 電子図書館サービスの観点
資料のデジタル化の実施により、資料閲覧における利便性の向上を図ります。著作権処理が終了したものは、デジタル化した資料をインターネットで提供し、利用者がどこにいても、来館者と同様のサービスが受けられるようにします。
資料デジタル化基本計画
国立国会図書館は、令和3年3月に「資料デジタル化基本計画2021-2025」を策定しました。これは、令和3(2021)年度から令和7(2025)年度までの5年間に、デジタル化の対象とする所蔵資料の範囲と優先順位、デジタル化の方法等についての考えを示すものです。
資料デジタル化の手引
国立国会図書館では、所蔵資料をデジタル化する場合において、仕様の共通化や技術の共有化を図り、もって標準化によるデータ品質の確保及びデジタル化作業の効率化に資することを目的として「国立国会図書館資料デジタル化の手引」を作成しています。
資料デジタル化に関する協議
国立国会図書館は、著作権者・出版者団体、大学、図書館など関係の団体や機関と、デジタル化した資料の利用提供方法などについて継続的に協議を行っています。
デジタル化資料の概要
資料群 | 年代等 |
---|---|
図書 | 明治期以降、1995年までに受け入れた図書 |
雑誌 | 明治期以降に刊行された雑誌(刊行後5年以上経過したもの) |
古典籍 | 貴重書・準貴重書、江戸期以前の和漢書等 |
博士論文 | 1988~2000年に送付を受けた論文 |
官報 | 1883(明治16)年7月2日(創刊)~1952(昭和27)年4月30日に発行された官報 |
憲政資料 | 幕末から昭和までの日本の政治家・官僚・軍人などが所蔵していた書簡・書類・日記等 |
録音・映像関係資料 | カセットテープ、ソノシートなどの録音資料(付属する冊子等を含む)、レーザーディスクなどの映像資料(付属する冊子等を含む)、日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムから寄贈された1980年以前の放送脚本(テレビ・ラジオ番組の脚本・台本)の一部、明治期以降の日本人作曲家の手稿譜及びその関連資料の一部 |
地図 | 明治期から昭和前期までに国内で刊行された地図資料 |
その他 |
|
上記年代でも、デジタル化されていない資料もあります。特定の資料がデジタル化されているかどうかは、国立国会図書館デジタルコレクションで検索してご確認ください。
歴史的音源のみを検索・視聴できる歴史的音源専用ページ(れきおん)もあります。
資料群の詳細については、「国立国会図書館デジタルコレクションについて」をご覧ください。
デジタル化資料提供状況 (令和5年5月時点)
資料種別 | デジタル化資料提供数(概数) | |||
---|---|---|---|---|
インターネット公開資料 | 図書館・個人送信資料1 | 国立国会図書館館内提供資料 | 合計 | |
合計 | 58万点 | 184万点 | 102万点 | 345万点 |
図書 | 36万点 | 85万点 | 38万点 | 159万点 |
雑誌 | 2万点 | 82万点 | 52万点 | 136万点 |
古典籍 | 8万点 | 2万点 | - | 9万点 |
博士論文 | 1万点 | 14万点 | 2万点 | 17万点 |
官報 | 2万点 | - | - | 2万点 |
憲政資料 | 1万点 | - | 0.2万点 | 1万点 |
録音・映像関係資料 | - | - | 1万点 | 1万点 |
地図 | - | - | 0.2万点 | 0.2万点 |
その他 | 8万点 | 2万点 | 9万点 | 19万点 |
- 図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)に参加している公共・大学図書館等の参加館及び国立国会図書館の館内での閲覧、また日本国内に居住する国立国会図書館の個人の登録利用者の閲覧が可能な資料です。
(参考)その他の内訳
資料種別 | デジタル化資料提供数(概数) | |||
---|---|---|---|---|
インターネット公開資料 | 図書館・個人送信資料 | 国立国会図書館館内提供資料 | 合計 | |
日本占領関係資料 | 7万点 | - | 1万点 | 9万点 |
プランゲ文庫 | - | 2万点 | 3万点 | 4万点 |
歴史的音源 | 0.6万点 | - | 4万点1 | 5万点 |
日系移民関係資料 | - | - | 0.5万点 | 0.5万点 |
他機関デジタル化資料 | - | 0.1万点 | 0.1万点 | 0.2万点 |
- 歴史的音源配信提供参加館及び国立国会図書館の館内で聴くことができる音源です。
※デジタル化資料から作成した全文テキストデータについては、「デジタル化資料の全文テキストデータの視覚障害者等への提供に係る確認手続」を経たうえで、「視覚障害者等用データ送信サービス」を通じて提供する予定です。
国立国会図書館デジタルコレクションでは、各資料の全文テキストデータを用いた全文検索サービスを提供しています。全文検索可能な資料の一覧は、「全文検索が可能な資料について」をご覧ください。
デジタル化作業に伴う原資料の利用休止について
国立国会図書館未収かつ入手困難資料のデータ収集事業へのご協力のお願い
図書、雑誌、古典籍資料の著作権処理について
国立国会図書館では、デジタル化した資料をインターネット上で公開するための著作権処理を行っています。
図書・古典籍資料は、刊行時期の古いものから順次著作権の確認を行い、権利処理が完了した資料をインターネットに公開しています。
また、著作者、著作権者が不明な資料については、公開調査を行っています。詳しくは、以下のページをご覧ください。
雑誌は、発行元が著作権を有し、インターネットでの公開をご要望いただいた資料について、インターネット上で公開しています。
博士論文のデジタル化及び著作権処理について
国立国会図書館では平成22年度に、平成3(1991)年度から平成12(2000)年度までに国公私立の各大学から送付を受けた博士論文のデジタル化を実施するとともに、デジタル化した博士論文の公開のために、大学と国立国会図書館が協力して、博士論文の著者に許諾を求める「共通許諾」を実施しました。
なお、国立国会図書館では、引き続き、学位授与日が平成13(2001)年3月31日以前の博士論文について、段階的にデジタル化を実施しています。大学図書館との協議により、学位授与日が同日以前の博士論文のデジタル化を、国立国会図書館で行うこととなったためです。学位授与日が平成13(2001)年4月1日以後の博士論文については、国立国会図書館でデジタル化する予定はありません。
国立国会図書館における全文テキスト化実証実験の出版社等との共同実施について
平成22年度に、国立国会図書館では、デジタル出版データの利活用に向けた動きに対応するため、視覚障害者のアクセシビリティ確保および全文テキスト検索サービス実現に向けた技術的課題に関する実証実験を行いました。