タイトル: 障害者向け資料の紹介(国立国会図書館月報2015年1月号特集「国立国会図書館と障害者サービス」記事) 著者: 関西館図書館協力課 1 大活字本・拡大写本 大活字本・拡大写本は、弱視の方が読みやすいよう、文字を拡大した資料です。通常の出版物より大きな活字で出版社から出版された資料を大活字本、読者一人一人のニーズに合わせた形でボランティア等が文字を拡大して作成した資料を拡大写本と呼んでいます。これらの資料は、加齢で文字を読みづらくなった方にも喜ばれます。 2 点字資料 点字資料は、点字や、絵や図表を点で表した点図を使用した資料です。点字、点図のみが使用された資料や、晴眼者もいっしょに楽しめるように点字といっしょに活字(墨字)が印刷され、絵も触って分かるように盛り上げた「点字つき絵本」(「「てんやく絵本ふれあい文庫」30年の取り組み  ~てんやく絵本のこと、そして、図書館に望むこと」参照。URL http://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/geppo201501/article08.txt )などもあります。 3 録音図書 録音図書とは、視覚障害等のある人が読めるよう、音訳された資料です(「学術文献録音図書の製作と提供」参照。URL http://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/geppo201501/article01.txt )。国立国会図書館では、カセットテープやデジタル録音図書形式であるDAISY 形式によって製作されたCD-ROM を所蔵しています。録音図書は、ディスレクシアなどで活字を読むことが難しい方にも、有効に活用いただけます。 3 マルチメディアDAISY 図書 マルチメディアDAISY は、音声データの他に、本文のテキストや図のデータなどを持ち、それらを同期して表示させることのできる資料です。テキストや図のデータを持っているので、弱視の方は拡大して読むことができるほか、同期している箇所をハイライトすることが可能で、ディスレクシアの方などの読書にも有効であるといわれています。 4 LLブック 「LL」とは、スウェーデン語のLättLäst の略語で、「やさしく読める」という意味です。やさしい語彙や文法を使う、写真や図を多用する、単純な構成にするなどの工夫がされており、知的障害などにより言語理解に困難がある方や、日本語を学習中の方にも読みやすくなっています。最近は、読みやすいLL 漫画も研究されています。 5 布の絵本 布の絵本は、台紙が布で出来ていて、そこに様々な布で作った絵が綴じ付けられています。ファスナーやボタン、スナップ、ひもなど多様な材料を使った絵本もあります。布の絵本には、たくさんの使い道があります。視覚障害のある子どもが手で触って読んだり、手の不自由な子どもがリハビリを兼ねて遊んだり、知的障害のある子どもが楽しく勉強するための教材になったりします。 6 バリアフリーDVD ここ数年、市販されているDVD に聴覚障害対応字幕や視覚障害者向け音声ガイドの入ったものが増えてきました。聴覚障害対応字幕には、「風の音」などの音を解説した字幕や、話者を特定する字幕(話者の口元が見えない場合、誰が話しているかわからないため)が入っています。視覚障害者向け音声ガイドには、「○○株式会社の看板」「(場面が切り替わったタイミングで)夕方、○○の家」などの通常の音声だけでは伝わらない視覚情報を伝える音声が入っています。