国立国会図書館 令和2年1月 視覚障害者等用データ送信サービス データ提供館ガイド 【テキストデータ編(テキストDAISY、EPUB、プレーンテキスト、PDF等)】 このガイドは、国立国会図書館に視覚障害者等用データをご提供くださる図書館等のご担当者様向けに作成したものです。テキストデータ(テキストDAISY、EPUB、プレーンテキスト等)をお送りいただく前には、本ガイドのチェック項目をご参照いただき、そのデータが「視覚障害者等用データ送信サービス」(以下「本サービス」といいます。)に適合するものかどうかをご確認ください。チェック項目は、A~Hまでの8項目あります。 目次 A データの範囲…そのデータは、1つの著作物に相当するものですか? B 製作主体…そのデータは、誰が製作したものですか? C 出版状況…その資料のテキストデータが、著作権者や出版者から提供されていませんか? D 記述内容と順序 E テキストデータ凡例 F データ形式について G 校正レベル H その他…データの製作過程等について 別添 記述内容と順序の例 A データの範囲…そのデータは、1つの著作物に相当するものですか? 本サービスでは、著作物単位のデータを対象にしています。著作物の一部分のみのデータは対象にしていません。詳しくは次のとおりです。 A.1 図書の場合 墨字図書が上下巻等の複数巻で構成されるものであっても、墨字図書1冊を1つの著作物として扱います。1冊に満たないデータについては、次の①又は②のように取り扱います。 ①いわゆる論文集(=章ごとに独立した標題があり、章ごとに著者表示がある等により、各章の単位で1著作物とみなせるもの) 個々の章のみのデータであっても収集対象になります。 ②単行本(=章を通じた内容の連続性がある、著者が全編を通じて同一である等、全編をもってはじめて1著作物とみなせるもの) 個々の章のみのデータは収集対象になりません。 A.2 雑誌又は新聞の場合 1冊(1号)を1つの著作物として扱います。 1冊(1号)に満たないデータについては、次の①又は②のように取り扱います。 ①個々の記事や論文に標題と著者表示があるもの 個々の記事のみのデータであっても収集対象になります。 ②個々の記事や論文について、標題と著者表示のいずれかがないもの 記事の分量や完結度合により個別に取扱いを検討しますので、ご連絡ください。 B 製作主体…そのデータは、誰が製作したものですか? 著作権法第37条第3項では、視覚著作物の複製や公衆送信の主体となることができる機関が限定されており、著作権法施行令第2条に、主体となり得る機関が列挙されています。本サービスでは、著作権法施行令第2条に該当する機関が製作されたデータを収集しています。 B.1 著作権法施行令第2条該当機関(データ提供館)自身が製作している場合 本サービスの収集の対象になります。 B.2 データ提供館以外の外部機関(外部組織)が製作に関与している場合 当該外部機関の関わり方によって、次のように取扱いが異なります。 ①データ提供館が製作計画の立案や製作対象資料の選定等の主体的な役割を担い、外部機関はデータ提供館への協力者として入力・校正等の製作実務作業を行っている場合 収集対象になります。 ②外部機関が製作対象資料の選定等を行う等、その機関が主体的にデータを製作し、データ提供館に寄贈しているような場合 収集対象にはなりません。 C 出版状況…その資料のテキストデータが、著作権者や出版者から提供されていませんか? 著作権法第37条第3項「ただし書」では、著作権者や出版者等の権利者自らが、視覚障害者等が利用可能なデータ形式で著作物を提供(有償・無償の別を問いません)している場合は、同項に定める複製や公衆送信はできないこととされています。 C.1 テキストデータにおける「ただし書」の考え方 権利者から次のいずれかのデータが提供されている視覚著作物については、テキストデータに相当又は類似するデータが既に提供されているものとみなして、当該視覚著作物を原本として製作されたテキストデータは本サービスの収集対象とはいたしません。 なお、権利者による以下のデータの提供の有無を確認する方法については、C.2をご参照ください。 ・プレーンテキスト ・テキストDAISY ・マルチメディアDAISY ・テキスト抽出が可能な(DRMフリーな)EPUB ・テキスト抽出が可能な(DRMフリーな)PDF おことわり  本サービスでは、何らかの方法(形式)で権利者からテキストデータが提供されていれば、著作権法第37条第3項ただし書に該当する可能性があると捉えて、一律に収集対象としないことにしています。 これは、障害の状況・程度、ICTスキル等の置かれた状況が異なる不特定多数のさまざまな利用者(視覚障害者等)にご利用いただいているという本サービスの特性によるものです。  たとえば、Aさんはテキストデータを構造化し、ナビゲーション機能を高めたテキストDAISYでなければ利用できないが、Bさんは構造化もナビゲーション機能もほとんどないプレーンテキストでも十分に利用でき、目的を達成できる、という場合において、著作権者からそのタイトルのプレーンテキストが提供されている場合を考えます。Bさんにとっては著作権法第37条第3項にいう「当該視覚障害者等が利用するために必要な方式」のデータが権利者から提供されていることになりますので、同項「ただし書」に該当します。したがって、Aさんだけではなく、Bさんに対しても一律にデータを提供する本サービスにおいては、そのタイトルのテキストDAISYを収集し、送信することができません。 各図書館等が、個々の利用者(視覚障害者等)の状況及び必要性に応じて、その方が必要とする形式のデータを製作・提供すること(上記の例でいえば、AさんのためにテキストDAISYを製作し提供すること)を妨げたり、否定したりするものではありません。 異なる形式で製作された場合等でご判断に迷われることもあると思われますので、ご相談ください。 おことわり、終わり。 C.2 権利者による提供の有無の確認方法 データ提供に際しては、お手数ですが次の事項をご確認くださいますよう、お願いいたします。確認方法や対象は、今後の支援技術の対応状況等により今後随時変わる可能性があります。 ①原本(奥付等) 当該図書について、購入者等の求めに応じてテキストデータを提供する旨が記載されていないか。 例:『合理的配慮: 対話を開く,対話が拓く』(有斐閣, 2016) 写真の説明 テキストデータを提供する旨が記載されているページの写真 説明終わり ②原本の出版社ホームページ (出版社全体のポリシーを示したページ、当該資料の個別紹介ページ) 購入案内、問合せ等のページに、自社の出版物について、C.1に記載のいずれかのデータ形式又はそれらに類するデータを提供する旨が掲載されていないか。 例:㈱樹村房 の『図書館のアクセシビリティ』書籍紹介ページ http://www.jusonbo.co.jp/books/153_index_detail.php 例:㈱生活書院 の購入案内ページ http://seikatsushoin.com/order/index.html D 記述内容と順序 ご提供いただく視覚障害者等用データは、著作権法上の例外(権利制限規定)に基づいて複製・製作されたものです。原本の著作権を尊重するのとあわせて、目的外使用を防ぐためにも、各データにはそのことを明示し、利用者に正しく伝える必要があります。このため、原本の本文に当たる部分とは別に、冒頭に「別添 記述内容と順序の例」のようなアナウンスを含めるようにしてください。 E テキストデータ凡例 そのデータを利用する利用者に対して伝えるべき留意事項がある場合(特に、原本の情報をそのままテキストデータに反映できていない部分がある場合)は、テキストデータ凡例を設けてその情報を記述してください。挿入箇所は「別添 記述内容と順序の例」をご確認ください。  図、写真、グラフ等の、視覚表現の処理について(代替テキストを提供している/していない等)  校正レベル(本書の「G 校正レベル」参照)  原本の一部(索引、年表、参考文献一覧等)を省略している場合  原本に誤植があった場合の処理(明らかに誤植、誤記、脱字と判断できるものも訂正せずに原本に忠実に入力した。ただし、原本に正誤表がある場合は、正誤表のとおり訂正した等)  その他、テキストデータ化にあたり独自の処理を行っている場合 F データ形式について 以下のいずれかのファイル形式のテキストデータを収集対象とします。  テキストDAISY(バージョン3.0)  EPUB  プレーンテキスト  DOCX  透明テキスト付きのPDF 見出し等が設定できるファイル形式(テキストDAISY、EPUB等)の場合は、原本のアウトラインに従って見出しやパラグラフ、表等を適切に構造化することを推奨します。 G 校正レベル G.1 概要  本サービスでは、以下いずれかの校正レベルのテキストデータを収集対象とします。 ①人手による全文校正(回数は任意)を行ったテキストデータ(全文校正テキストデータ) ②OCRで読み込んだままで、人手による確認を経ていないデータ(未校正テキストデータ) ③OCRで読み込んだのち、人手で最低限の(主として体裁上の)確認・修正をしたもの、又は、手入力により作成されたのち、作業者以外による確認・修正を経ていないもの(簡易校正テキストデータ) それぞれの仕様(要件)の詳細は、G.2、G.3、G.4をご参照ください。 G.2 全文校正テキストデータの仕様   本サービスでは、次の要件を全て満たすデータを「全文校正テキストデータ」とします。 1 全体 人手による全文校正を最低1回経ていること。また、「D記述内容と順序」で求める内容が記載されていること。 2 テキストデータ凡例 校正レベルが「全文校正テキストデータ」であることが記載されていること。 校正レベルを利用者に伝えるためです。 3 本文 人手による全文校正を最低1回経ていること。 4 図表等の視覚表現 該当箇所に図表の存在が明記され、その番号や名称が記載されていること。また、図表の内容説明を省略する場合は、冒頭(凡例)又は該当箇所において省略する旨を記載していること。 原本との同一性保持及び利用の便宜を確保するためです。 専ら装飾目的の図やイラストは省略することができます。 5 改行 墨字図書の紙面幅による改行(各ページの右端や下端での改行)や、レイアウト上の都合による改行(横に図が配置されていることに伴う改行等)が削除されていること。 読み上げソフトを使った読書に最適化するためです。 6 原本情報 ・記載内容は「別添1 記述内容と順序の例」のとおり。 ・データ提供館独自の管理番号が書かれていないこと。 (例:請求記号、登録番号、排架記号、書誌番号) データ受信館や利用者の混乱を避けるためです。 7 構成 1タイトルを複数のファイルに分割する場合(章ごとに分ける、表データだけ抜き出す等)は、開く際の順序が分かりやすいファイル名とし、1ファイル目の冒頭に、ファイルの構成についての説明が記載されていること。 例:ファイル名を001.txt,002.txt…table1.tsv,table2.tsvとし、001.txtの冒頭部で、ファイルの構成や命名規則について説明する。) 利用の便宜を確保するためです。 G.3 未校正テキストデータの仕様 本サービスでは、次の要件を全て満たすデータを「未校正テキストデータ」とします。 1 全体 OCRで読み込んだそのままのデータ。ただし、「D記述内容と順序」で求める内容は追記すること。 2 テキストデータ凡例 校正レベルが「未校正テキストデータ」であることが記載されていること。 校正レベルを利用者に伝えるためです。 なお、当館で当該テキストデータの書誌データを作成する際には、タイトルに未校正であることを記載します。 3 原本情報 ・記載内容は「別添1 記述内容と順序の例」のとおり。 ・データ提供館独自の管理番号が書かれていないこと。(例:請求記号、登録番号、排架記号、書誌番号) データ受信館や利用者の混乱を避けるためです。 4 構成 1タイトルを複数のファイルに分割する場合(章ごとに分ける、表データだけ抜き出す等)は、開く際の順序が分かりやすいファイル名とし、1ファイル目の冒頭で、ファイルの構成についての説明が記載されていること。 例:ファイル名を001.txt,002.txt…table1.tsv,table2.tsvとし、001.txtの冒頭部で、ファイルの構成や命名規則について説明する。) 利用の便宜を確保するためです。 G.4 簡易校正テキストデータの仕様 本サービスでは、次の要件を全て満たすデータを「簡易校正テキストデータ」とします。 1 全体 「未校正テキストデータ」に対して、簡易な校正(「全文校正テキストデータ」の仕様を満たさない校正)がなされていること。また、「D記述内容と順序」で求める内容が記載されていること。 OCRによらず手入力した場合で校正を経ていないものは、「簡易校正テキストデータ」とします。 2 テキストデータ凡例 校正レベルが「簡易校正テキストデータ」であることが記載されていること。また、具体的にどのような粒度で確認や修正が為されたかが記載されていること。 例1:このデータは、章ごとに異なる作業者が手入力により製作したもので、入力した作業者以外による校正は行われていません。 例2:このデータは、OCRによりテキスト化したのち、無用な改行やスペースを削除、ページ番号の付与、見出しの校正を行ったものです。本文全体にわたる校正は行っておりません。 例3: このデータはOCRによりテキスト化したのち、第5章の本文のみを校正したものです。そのほかのページは校正を行っておりません。 校正レベルを利用者に伝えるためです。 3 原本情報 ・記載内容は「別添1 記述内容と順序の例」のとおり。 ・データ提供館独自の管理番号が書かれていないこと。 (例:請求記号、登録番号、排架記号、書誌番号) データ受信館や利用者の混乱を避けるためです。 4 構成 1タイトルを複数のファイルに分割する場合(章ごとに分ける、表データだけ抜き出す等)は、開く際の順序が分かりやすいファイル名とし、1ファイル目の冒頭で、ファイルの構成についての説明が記載されていること。 例:ファイル名を001.txt,002.txt…table1.tsv,table2.tsvとし、001.txtの冒頭部で、ファイルの構成や命名規則について説明する。) 利用の便宜を確保するためです。 H その他…データの製作過程等について 次の2つのケースに該当する場合は、本サービスの対象外となる場合があります。 H.1 著作権者(著者、出版社等)による許諾や、著作権者からデータ提供を受けて製作された場合 データ(原稿データや版下データ等の元データ)を受け取られた際に著作権者と交わされた契約や利用条件の内容によります。 H.2 特定の利用者のみを対象にしてデータを製作された場合 特定の利用者の要求に応じて製作され、当該利用者以外には提供されていないデータ(いわゆる「プライベートサービス」のためのデータ)で、その利用者に固有の製作方法が適用されている(例えば、学校の試験範囲に当たる箇所だけが選択的に抜粋製作されている、図の説明の有無や校正レベルが箇所により異なる、原本が授業のレジュメや卒論発表会の要約集など外部への頒布が想定されていないものである等)などにより、不特定多数の利用者に提供するのには馴染まない、又は、利用に当たって相当の注意喚起が必要になる(テキストデータ凡例では十分な注意喚起ができない、それと知らずに利用した利用者の誤解や不審を招くおそれがある)ものは、原則として対象外です。   別添1 記述内容と順序の例 (1)記述内容  原本に関する情報、製作者、著作権法第37条第3項に基づき製作したことを、冒頭に記述します。 凡例 : 半角コロン .半角ピリオド △ 半角空白 /半角スラッシュ ↓改行 1 原本情報 記載内容及び例 タイトル△:△タイトル関連情報.△巻次・年次 責任表示↓ 各巻タイトル△:△各巻タイトル関連情報△/△各巻責任表示↓ シリーズ名△/△シリーズ責任表示↓ 原本出版者名↓ 20##年##月##日第##版第##刷発行↓ 記載内容及び例ここまで 当該版と当該刷の発行日が異なる場合は、両方を入力する(例 ####年##月##日第#版↓####年##月##日第##刷発行) 2 製作館及び製作年 記載内容及び例 (製作期間・団体名)□20##年制作↓ 記載内容及び例ここまで 製作年は西暦年とする。 3 著作権処理に関する事項 記載内容及び例 このテキストデータは、著作権法第37条第3項の規定に基づき、障害や高齢等の理由により原本をそのままでは利用することができない方のために、(製作機関・団体名)が製作したものです。↓ 記載内容及び例ここまで 4 テキストデータ凡例 記載内容及び例 <入力方式> テキストデータ凡例↓ 1.~↓ 2.~↓ ↓(空行) 記載内容及び例ここまで 校正レベルは必ず記入する。テキストデータ化に際し、何か特別な処理等した場合は、記入する。 5 (本文) (本文のとおりに記述する) 6 原本奥付 記載内容及び例 <入力方式> 原本奥付↓ (原本記載のとおりに全て入力する。) 記載内容及び例ここまで (2)記入例 以下は、国立国会図書館が『障害とは何か:戦力ならざる者の戦争と福祉』を原本としたプレーンテキストデータを製作した場合の例 原本情報 障害とは何か:戦力ならざる者の戦争と福祉 藤井渉 著 法律文化社 2017年5月15日初版第1刷発行 製作館名及び製作年 国立国会図書館 2018年製作 著作権処理に関する事項 このテキストデータは、著作権法第37条第3項の規定に基づき、障害や高齢等の理由により原本をそのままでは利用することができない方のために、国立国会図書館が製作したものです。 著作権法に定められた権利制限規定に該当する場合を除き、又貸し、複製等による第三者への提供はできません。 テキストデータ凡例 1. このデータの校正レベルは、「全文校正テキストデータ」です。その他、本データ全体にわたる処理は次のとおりです。 2. 注番号の表記 1) は、注1)に変更した。 3. 資料中の、読み取り不能文字の箇所に記載されている■は、〔読み取り不能文字〕■と記述した。 4. 原本のページ番号を隅付き括弧(【 】)で囲い、原本のページが開始する位置に挿入している。例 【361ページ】 5. ルビは二重山括弧(《 》)で囲い、当該用語の後ろに配置した。 例 図書館《としょかん》 (以下、原本奥付までテキストデータ本文) 原本奥付 障害とは何か―戦力ならざる者の戦争と福祉 2017年5月15日 初版第1刷発行 著者 藤井 渉 発行者 田靡 純子 発行所 株式会社法律文化社 〒603-8053 京都市北区上賀茂岩ヶ垣内町71 電話 075(791)7131 FAX 075(721)8400 http://www.hou-bun.com/ *乱丁など不良本がありましたら,ご連絡ください。お取り替えいたします。 印刷:共同印刷工業(株)/製本:(株)藤沢製本 装幀:白沢 正 ISBN978-4-589-03845-6 まるシーマーク2017 Wataru Fujii Printed in Japan JCOPY〈(社)出版社著作権管理機構 委託出版物〉 本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。複写される場合は,そのつど事前に,(社)出版社著作権管理機構(電話 03-3513-6969,FAX 03-3513-6979,e-mail: info@jcopy.or.jp)の許諾を得てください。 ガイド終わり