国立国会図書館 令和2年1月 視覚障害者等用データ送信サービス データ提供ガイド 【音声DAISY編】 このガイドは、国立国会図書館に視覚障害者等用データをご提供くださる図書館等のご担当者様向けに作成したものです。音声DAISYのデータをお送りいただく前には、本ガイドのチェック項目をご参照いただき、そのデータが「視覚障害者等用データ送信サービス」(以下「本サービス」といいます。)に適合するものかどうかをご確認ください。チェック項目は、A~F及び別添までの7項目あります。 目次 A データの範囲…そのデータは、1つの著作物に相当するものですか? B 製作主体…そのデータは、どなたが製作したものですか? C 出版状況…その資料の音声DAISY等が、著作権者や出版者から提供されていませんか? D 録音内容と順序 E データ形式について…お願い F その他…データの製作過程等について 別添 録音内容と順序の例 A データの範囲…そのデータは、1つの著作物に相当するものですか? 本サービスでは、著作物単位のデータを対象にしています。著作物の一部分のみのデータは対象にしていません。詳しくは次のとおりです。 A.1 図書の場合 墨字図書が上下巻等の複数巻で構成されるものであっても、墨字図書1冊(1巻)を1つの著作物として扱います。1冊に満たないデータについては、次の①又は②のように取り扱います。 ①いわゆる論文集(=章ごとに独立した標題があり、章ごとに著者表示がある等により、各章の単位で1著作物とみなせるもの) 個々の章のみのデータであっても収集対象になります。 ②単行本(=章を通じた内容の連続性がある、著者が全編を通じて同一である等、全編をもってはじめて1著作物とみなせるもの) 個々の章のみのデータは収集対象になりません。 A.2 雑誌又は新聞の場合 1冊(1号)を1つの著作物として扱います。 1冊(1号)に満たないデータについては、次の①又は②のように取り扱います。 ①個々の記事や論文に標題と著者表示があるもの 個々の記事のみのデータであっても収集対象になります。 ②個々の記事や論文について、標題と著者表示のいずれかがないもの 記事の分量や完結度合により個別に取扱いを検討しますので、ご連絡ください。 B 製作主体…そのデータは、どなたが製作したものですか? 著作権法第37条第3項では、視覚著作物の複製や公衆送信の主体となることができる機関が限定されており、著作権法施行令第2条に、主体となり得る機関が列挙されています。本サービスでは、著作権法施行令第2条に該当する機関が製作されたデータを収集しています。 B.1 著作権法施行令第2条該当機関(データ提供館)自身が製作している場合 本サービスの収集の対象になります。 B.2 データ提供館以外の外部機関(外部組織)が製作に関与している場合 当該外部機関の関わり方によって、次のように取扱いが異なります。 ①データ提供館が製作計画の立案や製作対象資料の選定等の主体的な役割を担い、外部機関はデータ提供館への協力者として音訳等の製作実務作業を行っている場合 収集対象になります。 ②外部機関が製作対象資料の選定等を行う等、その機関が主体的にデータを製作し、データ提供館に寄贈しているような場合 収集対象にはなりません。 C 出版状況…その資料の音声DAISYが、著作権者や出版者から提供されていませんか? 著作権法第37条第3項「ただし書」では、著作権者や出版者等の権利者自らが、視覚障害者等が利用可能なデータ形式で著作物を提供(有償・無償の別を問いません。)している場合は、同項に定める複製や公衆送信はできないこととされています。 権利者から同じ形式が既に提供されている視覚著作物を原本として製作された音声DAISYは、収集対象となりません。 権利者による提供の有無の確認に当たっては、「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37 条第3 項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」(https://www.jla.or.jp/library/gudeline//tabid/865/Default.aspx) に基づき、「著作権法第37条第3項ただし書該当資料確認リスト」(https://www.jla.or.jp/library/gudeline/tabid/859/Default.aspx)掲載の出版社について、ホームページで当該タイトルの出版の有無をご確認ください。 D 録音内容と順序 ご提供いただく視覚障害者等用データは、著作権法上の例外(権利制限規定)に基づいて複製・製作されたものです。原本の著作権を尊重することとあわせて、目的外使用を防ぐためにも、各データにはそのことを明示し、利用者に正しく伝える必要があります。このため、原本の本文に当たる部分とは別に、冒頭と末尾に「別添 録音内容と順序の例」のようなアナウンスを含めるようにしてください。次の要件が満たされていれば、文言や順序は、この例と異なっていてもかまいません。 ・原本情報の明示(原本の書名、著者名、奥付情報) ・製作団体名(製作した機関・団体名)の明示 音訳者、編集者、校正者等の情報を含んでいてもかまいませんが、最終的にそのデータに 責任を持つデータ提供館の名称(著作権法施行令第2条に当てはまる機関の名称)を必ず 含めてください。 ・著作権法第37条第3項に基づき製作されたことの明示 ・製作年 なお、このようなアナウンスの挿入は「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」 でも求められているところです。 https://www.jla.or.jp/portals/0/html/lsh/zenkokukijyun.html また、原本の構造に基づき、また、利用者の利便性にも配慮し、階層化、セクション分割、ページ付けを行うことを推奨します。詳細は、上述の「録音(DAISY)資料製作に関する全国基準」をご参照ください。 E データ形式について…お願い 同じ資料(タイトル)で異なる形式のものがある場合は、次の形式のものを優先としてください。 DAISY バージョン: 2.02 音声圧縮形式: MP3 ※1個のMP3ファイルのサイズが100MBを超えるとエラーになることがあります。 ※ビットレートは64kbps, 48kbps, 32kbpsのいずれでもかまいません(なお、1タイトルが複数枚のCDに及んでいてもかまいませんが、なるべく1枚のCDに書き込めるように、DAISY全体で700MBより小さくなるレートを選ぶことをお勧めします)。 文字コードセット: Shift_JIS ※コードが異なるとAMISなど一部のソフトで文字化けすることがあります。 バージョンが2.01未満、音声形式がWAVのものしかない場合は、そちらをお送り下さい。国立国会図書館において、可能な範囲で形式を変換の上、登録させていただきます(この場合、登録までにお時間を要することがあります)。 F その他…データの製作過程等について 次の2つのケースに該当する場合は、本サービスの対象外となる場合があります。 F.1 著作権者(著者、出版社等)による許諾や、著作権者からデータ提供を受けて製作された場合 データ(製作の補助となる何らかの元データ)を受け取られた際に著作権者と交わされた契約や利用条件の内容によります。 F.2 特定の利用者のみを対象にしてデータを製作された場合 特定の利用者の要求に応じて製作され、その利用者以外には提供されていないデータ(いわゆる「プライベートサービス」のためのデータ)で、その利用者に固有の製作方法が適用されている(例えば、学校の試験範囲に当たる箇所だけが選択的に抜粋製作されている、図の説明の有無や校正レベルが箇所により異なる、原本が授業のレジュメや卒論発表会の要約集など外部への頒布が想定されていないものである、アクセントの訛りを大幅に許容している等)などにより、不特定多数の利用者に提供するのには馴染まない、又は、利用に当たって相当の注意喚起が必要になる(録音図書凡例では十分な注意喚起ができない、それと知らずに利用した利用者の誤解や不審を招くおそれがある)ものは、原則として対象外です。 別添 録音内容と順序の例 音声DAISYの録音例です。 冒頭部分に製作機関・団体名、著作権法第37条第3項に基づき製作したことを録音します。 1 (書名等) 読む内容 (書名・著者名) 読む内容ここまで 備考 原本の一部を抜粋して製作した場合は、書名・著者名に抜粋部分の情報を入力する。 2 著作権、製作施設に関すること(著作権ガイド) 読む内容 (製作機関・団体名)製作(次の著作権の説明に含めても良い) この録音図書は、著作権法第37条第3項の規定に基づき、障害や高齢等の理由により原本をそのままでは利用することができない方のために、[(製作機関・団体名が]製作したものです。 読む内容ここまで 3 録音図書凡例 読む内容 録音図書凡例 (特記事項) 録音図書凡例終わり 読む内容ここまで 備考 利用者の利便性を向上させるためのガイド。階層レベル、全般的な処理方針、省略した箇所の説明、原本に誤植があった場合の処理(誤植、誤記、脱字と判断できるものも訂正せずに原本に忠実に読んだ等)など。 ・DAISY編集・音訳の際の特記事項(DAISY図書凡例と録音図書凡例に分けても良い) 4 (本文) (原本どおりに読む) 備考 ・原本の構造に基づき、また、利用者の利便性にも配慮し、階層化、セクション分割、ページ付けを行う(推奨) ・個々の箇所の処理については、必要に応じて「音訳者注」と「注終わり」に挟んで説明を挿入する。 5 奥付(又は原本奥付) 読む内容 奥付(又は原本奥付) (原本どおりに読む) 奥付終わり(又は原本奥付終わり) 読む内容ここまで 6 終わりの枠 読む内容 以上で(書名等)を終わります。製作完了20##年 読む内容ここまで 備考 ・1タイトルが、CD複数枚に分かれる場合、最後以外のCDでは「ディスク2(3…)に続きます。」と読む。 ・音訳者、校正者、編集者等の名前を読む場合は、ここに挿入する。 ・過去に製作したアナログテープをDAISY化する場合、DAISY製作完了年を読む。(テープへの録音完了年は、残しても削ってもどちらでもよい。) ガイド終わり