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第44回ISSNセンター長会議参加報告―ISSNネットワークの新たな取組み

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2020年2・3号(通号53・54号)

【はじめに】

第44回ISSN(International Standard Serial Number: 国際標準逐次刊行物番号)センター長会議が、2019年11月12日から16日まで、インド・デリーの国立農業科学センター複合施設(National Agricultural Science Centre (NASC) Complex)で開催されました。会議には、開催国のインドを含めて14か国のナショナルセンター[1]とISSN国際センターから約30名が参加しました。

会議の中から、いくつかの話題をご紹介します。


図1 ISSNセンター長会議の会場となったインド・デリーの国立農業科学センター複合施設

1. ISSN規格(ISO 3297)の改訂

前回(第43回)会議[2]の報告でお伝えしたISSN規格の改訂の進捗状況として、ISO 3297第6版は間もなく最終国際規格案(FDIS)投票で承認されるであろうとの説明がありました[3]

また、ISSN規格改訂を受けてISSN国際センターが実施予定のISSNマニュアル[4]の更新については、内容を見直した上で複数言語への翻訳を行うことを考慮すると、規格改訂から2年間のスケジュールで対応することが妥当との説明がありました。

今回のISSN規格の改訂のポイントは、(1)「Registration Authority」と「Registration Agencies」に関する用語整理と役割の明記、(2)ISSNクラスター(ISSN Cluster)の新設、(3)ISSNの機械可読形式での記録方法の詳細化です。

(1)「Registration Authority」と「Registration Agencies」に関する用語整理と役割の明記

「Registration Authority」は国際的なISO登録機関、「Registration Agencies」は各国内のISO登録機関であり、前者は後者に対し、ISOとの協定に基づく登録サービスの一部を委任します。前回会議の報告でもお伝えしたように、ISSN国際センターはISSNの「Registration Authority」として認定されています。今回の改訂で、規格では「ISSN International Centre」(ISSN国際センター)や「ISSN National Centre」(ナショナルセンター)の語を使用せず、ISSN国際センターは「Registration Authority」、ナショナルセンターは「Registration Agencies」として改めて位置づけられます。

(2)ISSNクラスターの新設

ISSNクラスターとは、「Registration Authority」が、ISSN登録済み資料のクラスター(cluster。この場合、互いに関連する複数資料のまとまりを指します)を識別する必要があると判定した場合に設けられる識別子です。接頭辞は「ISSN-X」の形で、「X」の部分にはクラスターの種類を表すアルファベットが入ります。規格では、このような識別子を設けることができる旨のみが定められ、具体的な付与対象や方針等は「Registration Authority」に一任されます。なお、例示には、現行のISSN-L(他の媒体版をまとめる識別子)[5]に加え、以前のタイトル・現在のタイトル・将来のタイトルをまとめるもの、様々な言語の版をまとめるものが挙げられています。

(3)ISSNの機械可読形式での記録方法の詳細化

ISSNの機械可読形式での記録方法の詳細化としては、これまで同様に人の目によるISSNの識別を想定したISSN表示の章とは別に、「ISSN Machine Legibility」(ISSNの機械可読性)の章が新設され、ダブリンコア(Dublin Core) MODSMARCXMLの各形式のメタデータへの記録方法が示されます。

2. ISSN+に関するプロジェクトについて

ISSNデータベースの現行システムであるISSN Virtuaは2004年から稼働していますが、そのデータ作成機能部分に代わる新システムとして、ISSN+が開発されているところです[6]。今回の会議で最初のモジュールが披露されました。

ISSN+では、新たなワークフローとして、ISSNの発番から登録までの流れと目録作成作業を一元管理することが可能になる模様です。オープンソースの技術を用いたウェブアプリケーションにより、対象データの多様なインデックス作成(デフォルトですべてのタグとサブフィールドのインデックスを作成、適合度ランキング、ファセット検索可能)などを扱えるようになる予定です。

今回の会議では、ナショナルセンターからの志願者を含むISSN+利用者グループでの議論について、議事録をISSNネットワークの全メンバー国に早期に共有することや、ISSN国際センターによる研修の計画、グラフィックアイテム増設やカラースキームの導入等を通じたユーザエクスペリエンスの向上などが決議されました。

3. ISSN国際センター戦略について

2020年から2024年を対象期間とした新たなISSN国際センター戦略(以下、「戦略」)について、理事会(Governing Board)で検討されている内容の概略が今回初めて明らかになりました。この戦略はISSN国際センターに限らず、各国のナショナルセンターを含む、ISSNネットワーク全体に関係する今後5年間の活動の方向性を示すものです。

戦略については、まず2019年10月の理事会で次の四つの範疇が選定されました。

  1. ISSNを付与する新しい資源
  2. ISSNデータの強化と正確性
  3. ISSN Portal[7]経由の新サービス
  4. 新しいナショナルセンター

今回の会議では、これらの範疇に属する七つの選択肢が挙げられました。

  • 選択肢1:ISNI(International Standard Name Identifier: 国際標準名称識別子)の付与(ISSN国際センターによるISNIの付与の検討)
  • 選択肢2:新しいナショナルセンター(より多くの国への新たなナショナルセンターの設置)
  • 選択肢3:Family Tree ISSN(以前のタイトル・現在のタイトル・将来のタイトルをまとめるISSNクラスターの想定)
  • 選択肢4:ISSNにより識別される新しい資源(主にリポジトリへのISSN付与の拡大)
  • 選択肢5:デジタル逐次刊行物のURL更新、タイトルDOIの付与(ISSNを登録済みのオンラインジャーナルのURL更新)
  • 選択肢6:Keepers Registry[8](ISSN国際センターによるKeepers Registryの引継ぎとISSN Portalへの統合、プロジェクト拡大)
  • 選択肢7: ISSN Portalの強化と宣伝(2018年1月にリニューアルしたISSN Portalについて、詳細な説明の必要性と宣伝拡大)

最終的な戦略は、さらなる検討の上、2020年4月から5月にかけて地域ごとにオンラインで行われる総会で提示され、その後、ISSNネットワークの全メンバー国によるウェブ投票にかけられる見込みです[9]


図2 会議の様子

【おわりに】

次回の第45回ISSNセンター長会議は2020年10月にエジプトのカイロ[10]で、第46回会議は2021年にドイツのフランクフルトで開催される予定です。

今後も、ISSNネットワークの新しい取組みに注目していきます。

永井 善一
(ながい よしかず 逐次刊行物・特別資料課)

[1] フランス・パリにあるISSN国際センターと、各国のナショナルセンターからなるISSNネットワークについて、また、日本のナショナルセンターであるISSN日本センターについては、以下のページをご覧ください。
国立国会図書館. “ISSN日本センター(ISSN日本センターについて)”.
https://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html#anchor07, (参照 2020-07-03).

[2] 前回の会議の参加報告は、本誌2019年1号(通号48号)をご覧ください。
長嶺悦子. 第43回ISSNセンター長会議報告―より活用されるISSNへ,
https://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2019_1/article_01.html, (参照 2020-07-03).

[3] 2020年6月26日から8月21日までの期間に2度目の最終国際規格案(FDIS)投票が行われます。
International Standard Serial Number International Centre. “Second FDIS ballot for ISO standard 3297”.
https://www.issn.org/second-fdis-ballot-for-iso-standard-3297/, (参照 2020-07-03).
ISOのホームページによると、その後8月下旬に承認され、次の段階に進んでいます。

[4] ISSNネットワーク内で使用するISSNマニュアルは、以下に掲載されています(日本語訳は最新版ではありません)。
国立国会図書館. “ISSN日本センター(ISSN日本センターについて)”.
https://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html#anchor07, (参照 2020-07-03).

[5] ISSN-Lについては、以下のページをご覧ください。
国立国会図書館. “ISSN日本センター(ISSN-Lについて)”.
https://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html#anchor10, (参照 2020-07-03).

[6] 最低限必要な開発が2020年10月までに行われる予定です。
International Standard Serial Number International Centre. ISSN International Centre activity report for 2019. p. 19-20,
https://www.issn.org/wp-content/uploads/2020/06/ISSN_RAPPORT_ACTIVITE_2019_ENGL_final10June.pdf, (参照 2020-07-03).
なお、2021年には追加開発が行われるとのことです。

[7] ISSN Portalについては、以下のページをご覧ください。
国立国会図書館. “ISSN日本センター(ISSN Portalについて)”.
https://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html#anchor11, (参照 2020-07-03).

[8] Keepers Registryは、複数のアーカイブ機関により収集されたデジタル逐次刊行物のメタデータを長期保存するサービスで、現在はISSN Portalに統合されています。ISSN国際センターは2019年12月に、英国・エディンバラ大学の国立データセンター(EDINA: Edinburgh Data and Information Access)からこのサービスを引き継ぎました。
ISSN Portal(Keepers Registry).
https://keepers.issn.org/, (参照 2020-07-03).

[9] その後、戦略は2020年5月に承認され、概要がパンフレットとして公開されました。
International Standard Serial Number International Centre. ISSN International Centre 2020-2024 strategy. 2020, 9p,
https://www.issn.org/wp-content/uploads/2020/07/Strategy-ENG.pdf, (参照 2020-09-04).

[10] ただし、第45回会議はオンライン開催の可能性があります(2020年6月末現在)。


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2020年2・3号(通号53・54号) 2020年9月25日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
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