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第43回ISSNセンター長会議報告―より活用されるISSNへ

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NDL書誌情報ニュースレター2019年1号(通号48号)

【はじめに】

第43回ISSN(International Standard Serial Number: 国際標準逐次刊行物番号)センター長会議が、2018年9月18日から21日にかけて、アメリカ・ワシントンD.C.の米国議会図書館(Library of Congress: LC)で開催されました。会議には、ウェブ会議での参加を含め、26か国のナショナルセンターとISSN国際センター、EU出版局から約40名の参加がありました。LCが会場となるのは4回目で、2000年の第25回会議以来、18年ぶりのことです。

会議の中から、いくつかの話題をご紹介します。


ISSNセンター長会議の会場となった、LCジェームス・マディソン記念館

1. 複数国が関与する出版物へのISSN付与の問題

2017年、ISSNの公式登録データベースであるISSN International Registerの正式登録件数が、200万件を超えました。

ISSN International Registerには、ISSN国際センターおよび90か国のナショナルセンター[1]によって、日々、ISSNを付与した逐次刊行物の書誌データが登録されます。さらに、逐次刊行物に改題や出版者変更などが発生したときは、登録データを管轄するセンターによって、データが随時更新されます。ISSNを管轄するセンターは、逐次刊行物の出版国に基づいて決定されますので、刊行途中で出版国の変更が生じたときには、複数のセンターの間で、管轄変更のやりとりが生じることもあります。

出版者が一つの国の中にあれば、管轄すべきセンターの判断は容易ですが、異なる国にある二つの出版者による共同刊行や、多国籍出版者(複数の国に事務所を構える出版者)の刊行物においては、どのセンターがISSNを管轄すべきなのか、判断が困難なことがあります。一つのタイトルに対して、出版に関与する国のセンターそれぞれがISSNを付与してしまうと、国際標準番号として一意であるというISSNの特性が揺らぎますので、重複付与が避けられるよう、管轄するセンターの判断基準を明らかにしなくてはなりません。

そこで、ISSNマニュアル[2]などのツールが用意されています。

2か国以上にわたる共同刊行の場合、出版国(すなわち、ISSNを管轄するセンター)は資料に表示された最初の地名などから決定するという、ISSNマニュアルのルールに則って取り扱われます。また、多国籍出版に関しては、ISSN国際センターが多国籍出版者のリスト[3]を作成・維持し、管轄するセンターを明らかにしているので、そちらを参照して判断します。たとえば、Springer Internationalの管轄はドイツセンターである旨がリスト上で示されていますので、その日本法人であるSpringer Japanが日本センターに対してISSNの付与を求めてきたときは、ドイツセンターに回付すべきだと判断できます。

しかし、近年、ある国の学会が刊行するジャーナルを、多国籍出版者が発行する(オンライン資料であれば、多国籍出版者が運営するプラットフォームで公開する)ことが増え、従来のルールでは考慮されていなかった事例が出てきました。

ジャーナルを編集・刊行する学会などの学術機関が、研究資金を得る手続き上、自国のセンターからISSNを取得したことによって、自国の出版物であると証明しようとすることがあるようなのです。ISSNには出版国を示す機能はありませんので、このような目的でISSNを用いるのは、本来は適切ではありません。とはいえ、ISSNを付与するセンターが外国になることで出版の補助が受けられず、ジャーナルの刊行が危ぶまれるのであれば、リストに記載された管轄を機械的に当てはめることには問題があるかもしれません。

これに対し、会議では活発な議論が行われました。その結果、多国籍出版者が外国の学会の刊行物の発行を請け負う場合には、一定の条件のもと、学会が所在する国の管轄にできるように、ISSNレビューグループ[4]が「出版者」の考え方を再検討することになりました。

また、ISSNを付与するセンターと、その後データを管轄するセンターは同一でない場合があること、ISSNに出版地や資料の内容などを示す機能はないことを、ISSN国際センターが出版者に対して広報することになりました。


レセプション会場に置いてあった世界地図のパネル
(参加者の国にピンを刺すという趣向。欧州からの参加が多いことが分かります。)

2. ISSN規格改訂に向けたRAAの締結と、ISSN利用者への意見調査

ISSN国際センターは、ISSN規格(ISO 3297[5]の制定当初から40年以上にわたり、規格の維持管理を担ってきましたが、このたび、改めてISO登録機関(Registration Authority: RA)[6]としての認定手続きが行われ、ISOとの間に協定(Registration Authority Agreement: RAA)を締結しました[7]。ISSN規格の改訂に際して、RAAの締結は必須の手続きだったということです。

そして、前回の報告[8]でお伝えしたISSN規格の改訂は、現在も作業中です。ISSN国際センターは、ISSN規格の将来的な展開をも視野に入れた検討を行うべく、2017年11月から12月にかけて、七つの言語による「ISSN規格への意見調査」を行いました。調査内容は、おもに前回の報告で「鍵となる項目」として挙がっていた事柄に関するもので、全世界の図書館、出版者、研究者等から1,491件にのぼる回答が寄せられました。これらをどのように取り扱うか、ISSN国際センターと、ISOの作業グループとで、話し合われているとのことです。

ただ、ISO規格の改訂プロセスは、開始から36か月以内に完了させねばならないという制約があるため、ISSN規格上で詳細に定義されるかどうか、不透明な課題もあるようです。たとえば、「meta-ISSN」(仮称)の新設については、調査でも7割の支持がありましたが、データフォーマットの変更はシステム実装の面でリスクが高いこと、出版者にとっては便利であっても図書館利用者の検索においてはノイズの要因になること等から、会議の時点では、ISSN規格へ取り込むかどうかの結論が出ていませんでした。

規格の改訂原案は、2019年から12週間の国際規格原案(DIS)投票にかけられ[9]、ここで承認基準を満たし、さらにその後の最終国際規格案(FDIS)投票で承認されれば、新しいISSN規格として成立する見込みです。


会議の様子

3. 改題ルールの検討

ISSNマニュアルで定める改題ルールは、ISBD(国際標準書誌記述)およびRDA(Resource Description and Access)に準じていますが、いくらかの不整合が生じています。ISBDとRDAはともに改訂手続き中であるため、ISSNレビューグループで検討した新しい改題ルールを、ISBDおよびRDAの各レビューグループに対して提案することになりました。ISSN、ISBD、RDAの関係者でワーキンググループを設けてこれらの間の相違を明らかにし、さらには、IFLA Library Reference Model(IFLA LRM)も踏まえた形で調整することを目指します。


歴史的建築物である、LCトーマス・ジェファーソン館の大ホール

【おわりに】

今回の会議では、複数の国が関与する出版物の問題について、多くの時間が割かれました。

出版形態が多様化し、学術情報がグローバル化する中にあって、目録に関する国際標準も変化を続けています。ISSNに関しても、ISSNネットワーク内外との連携を保ち、情報共有をはかりながら、新たな対応を試み続ける必要があることを、強く感じました。

次回のISSNセンター長会議は、2019年11月に、インドのニューデリーで開催されます。改題ルールに関しては、ここで、ISSNレビューグループからの報告が提出される予定です。

長嶺 悦子
(ながみね えつこ 逐次刊行物・特別資料課)

[1] フランス・パリにあるISSN国際センターと、各国のナショナルセンターからなるISSNネットワークについて、また、日本のナショナルセンターであるISSN日本センターについては、以下のページをご覧ください。
https://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html#anchor07, (参照 2019-02-19).

[2] ISSNネットワーク内で使用するISSNマニュアルは、以下に掲載されています(日本語訳は最新版ではありません。)。
https://www.ndl.go.jp/jp/data/issn/index.html#anchor07, (参照 2019-02-19).

[3] The ISSN for multinational publishersは、以下に掲載されています。
https://www.issn.org/services/requesting-an-issn/the-issn-for-multinational-publishers/, (参照 2019-02-19).

[4] ISSNマニュアルと、ISBDおよびRDAとの調整事項等について検討するグループ。

[5] 現行のISSN規格であるISO 3297:2017 Information and documentation -- International standard serial number (ISSN)(第5版)は、国際標準化機構(ISO)が有償で頒布しています。
https://www.iso.org/standard/73322.html, (参照 2019-02-19).

[6] ISO国際標準番号の登録認定機関については、以下のページをご覧ください。
https://www.iso.org/maintenance_agencies.html, (参照 2019-02-19).

[7] 2018年10月18日に締結しました。
https://www.issn.org/iso-signs-two-registration-authority-agreements-with-the-issn-international-centre-october-2018/, (参照 2019-02-19).

[8] 前回の会議の参加報告は、本誌2018年1号(通号44号)をご覧ください。
栁澤健太郎. 第42回ISSNセンター長会議報告―ISSN国際センターのサービス向上,
https://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2018_1/article_02.html, (参照 2019-02-19).

[9] 2019年1月2日にDIS投票が開始されました。DISでは、「meta-ISSN」(仮称)に相当する「ISSN Clusters」の項目が提案されています。


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2019年1号(通号48号) 2019年3月27日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
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