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「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2018-2020」の概要

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2018年2号(通号45号)

【はじめに】

図書館を取り巻く状況は常に変化しています。書誌データの作成・提供に関する業務も、その変化に遅れずに対応しなければなりません。そのためには、将来を見据えた戦略的な計画が必要です。

2018年に設立70周年を迎えた国立国会図書館(NDL)は、全国書誌作成機関として、書誌データの作成・提供について、これまでさまざまな計画を策定してきました。特に2008年度の組織改編によって、資料収集部門と書誌作成部門を統合して「収集書誌部」となってからは、収集資料の多様化を視野に入れた計画を公開してきました[1]

そして2018年3月、新たな計画として「国立国会図書館書誌データ作成・提供計画2018-2020」(PDF: 386KB)(以下、「書誌計画2020」といいます。)を策定しました。本稿では、「書誌計画2020」がどのような目的や意図で策定されたのか、経緯と概要を簡単にご紹介します。

1. 「新展開2013」が目指したものとその成果

まず、2018年3月までの計画「国立国会図書館の書誌データ作成・提供の新展開(2013)」(PDF: 594KB)(以下、「新展開2013」といいます。)を振り返ってみたいと思います。

「新展開2013」は、図書およびその他の図書館資料(有形資料)と電子的に流通する情報(電子情報)の双方に、「利用者が迅速、的確かつ容易にアクセスできる」こと、書誌データの利用を促進することを目標としていました。

その目標を実現するためには、有形資料と電子情報の書誌データを一元的に管理できる新しい「容れもの」(書誌フレームワーク)と、新しい「容れ方」(書誌データ作成基準)が必要です。当時の世界の図書館界では、MARCフォーマットに替わる書誌フレームワークとしてのBIBFRAMEが米国議会図書館を中心に検討されており、NDLも、こうした動向に注意を払いつつ、日本語環境に適したフレームワークの構築を目指しました。また、書誌データ作成基準については、英米目録規則第2版(AACR2)に替わる書誌データ作成基準であるRDA(Resource Description and Access)の普及が進む状況を受けて、「新展開2013」でも、RDAに対応した書誌データ作成基準を定めることとしました。

しかしながら、2018年現在、書誌フレームワークに関する進捗は必ずしも「新展開2013」策定時の想定どおりにはなっていません。BIBFRAMEは、未だ試行段階にあります。ただし、現在でも、新しい国際的な標準として期待され、各国の図書館などから、その動向が注目されています。そのため、NDLでも独自に書誌フレームワークを構築することはせず、BIBFRAMEの動向調査を継続的に行い、本誌などで情報共有に努めました[2]

書誌データ作成基準に関しては、RDAの世界的な普及が進む中で、NDLは日本図書館協会目録委員会と連携して、『日本目録規則』の改訂に取り組みました。改訂にあたっては、FRBR(書誌レコードの機能要件)などの概念モデルに対応し、RDAとも相互運用性のある規則とすることで、新たな時代に即した目録規則の完成を目指しています。この成果は、『日本目録規則2018年版予備版』として、2018年3月に日本図書館協会から公開されました。完成版である「本版」も、2018年12月頃に公開される予定です。

また、典拠データの充実全国書誌(電子書籍・電子雑誌編)の提供などに取り組み、全国書誌利用促進の広報に努めました。

このように「新展開2013」は、一定の成果を挙げました。そして、有形資料と電子情報の書誌データ管理の一元化という課題は、書誌フレームワークの状況も見据えた長期的な検討が必要であるため、後継の「書誌計画2020」に引き継ぐことにしました。

2. 国立国会図書館中期ビジョン「ユニバーサル・アクセス2020」との関係

「新展開2013」は計画期間をおおむね5年と設定していましたが、「書誌計画2020」は3年間の計画としました。これには、二つの理由があります。一つは、2020年度にNDLの書誌作成業務の基盤である図書館システムのリニューアルが予定されているためです。今回の計画では、新しいシステムの機能要件となる、2020年度までに実現すべき書誌データ作成・提供の具体的な目標を定める必要がありました。もう一つの理由は、NDL全体の方針である国立国会図書館中期ビジョン「ユニバーサル・アクセス2020」(以下、「中期ビジョン」といいます。)と終了時期を合わせ、両者を関連づけるためです。

「中期ビジョン」は2017年に策定され、2020年までの4年間を、設立100年までを見通した長期的展望のスタート地点として位置づけています。「中期ビジョン」では、NDLの基本的役割である「国会活動の補佐」、「資料・情報の収集・保存」、「情報資源の利用提供」を推進することと、その遂行にあたって、(1)利用環境、(2)組織力、(3)連携、(4)情報発信の四つの視点・行動指針を重視することを示しています。「書誌計画2020」でも、書誌データ作成・提供に関する取組みについて、中期ビジョンの視点・行動指針に沿って整理しました(図1参照)。

「書誌計画2020」の「書誌データ提供の強化」に関する取組みは、「中期ビジョン」の「利用環境」、「連携」、「情報発信」の視点・行動指針に基づいています。「書誌計画2020」の「書誌データ作成基盤の整備」に関する取組みは「中期ビジョン」の「組織力」および「連携」の視点・行動指針に基づいています
図1 国立国会図書館中期ビジョン「ユニバーサル・アクセス2020」との関係
(「書誌計画2020」の参考資料より。図中の番号は、「書誌計画2020」の見出し番号)

3. 「書誌計画2020」の概要

計画期間を3年間としたこと、直近のシステムリニューアルを見据えたものであることから、「書誌計画2020」は、実務上の実施項目を中心に策定しました。内容を大きく「書誌データ提供の強化」と「書誌データ作成基盤の整備」に分け、書誌データの内容の充実に関する取組みを前者に、職員能力の向上や書誌作成環境の整備といった事項を後者に位置づけました。

「書誌データ提供の強化」には、(1)新しい日本目録規則への対応、(2)典拠コントロールの拡大、(3)雑誌記事索引の拡充、(4)新しい書誌フレームワークの国際動向の把握、(5)全国書誌を中心とした書誌データの利活用促進を挙げました。

「書誌計画2020」の最重要課題は、(1)「新しい日本目録規則への対応」、つまり『日本目録規則2018年版』(以下、新NCRといいます。)をNDLの書誌データ作成に適用するための準備です。この計画では、2021年1月にNDLにおいて新NCRの適用を開始することを目標としています。それまでに、適用細則[3]の作成・公開、研修の実施、システム対応を進める必要があります。

(2)「典拠コントロールの拡大」については、新NCR適用に伴う著作の典拠コントロールの実施[4]、電子情報を対象とした典拠データのリンクの実現に向けた環境整備、ジャンル形式用語の導入に向けた検討[5]を計画しています。

(3)「雑誌記事索引の拡充」については、具体的取組みとして、国立国会図書館デジタルコレクションで公開しているデジタル化資料へのアクセス強化(雑誌記事索引からのリンク)、電子雑誌の雑誌記事索引採録に向けた検討を行う旨を記載しました。この取組みは、システムリニューアルを待たずに2018年度から順次着手する予定です。

(4)「新しい書誌フレームワークの国際動向の把握」については、「新展開2013」から継続して、海外の事例や研究発表等を調査します。前述のとおり、ウェブ環境に対応した書誌フレームワークは、国際的にも検討段階にあり、2021年1月に予定するシステムリニューアルでの本格的導入は困難と考えています。そのため、新しいシステムではMARC21フォーマットの利用を継続します。一方で、新NCRやRDAのような新しい目録規則を適用した書誌データの機能を十分に活かすためには、新しい書誌フレームワークが必要であるとの認識は変わりません。今後も引き続き国際動向を注視し、動きがありましたら本誌などでお知らせします。

(5)「全国書誌を中心とした書誌データの利活用促進」の取組みも継続します。ここでは、書誌データ提供の窓口として、国立国会図書館サーチを中心に考える方針を記載しました。図書館パッケージシステムでのAPI対応[6]を働きかけるなど、今後は機械的連携によるNDLの書誌データの利用を促進する方針です。なお、現在提供している国立国会図書館書誌提供サービス(NDL-Bib)は、システムリニューアルに伴い2020年12月に終了する予定です[7]

「書誌データ作成基盤の整備」としては、(1)「職員の能力向上」と(2)「外部資源の活用とシステム機能の強化等」に取り組みます。

「書誌計画2020」では、これまでの計画ではあまり詳しく触れていなかった(1)「職員の能力向上」に言及しました。時代の変化に対応した書誌データの作成・提供を行うためには、ウェブ環境でのデータの利活用に関する知識が必要となっています。情報科学分野に関する研修の実施や、外部機関主催の研修会への参加の促進など、個々の職員の能力向上を積極的に支援する仕組みが必須と言えます。

また、出版情報、海外機関の書誌データなどの外部資源の活用や、システムの強化等により、書誌データ作成作業の一層の効率化を図り、データの迅速な提供につなげる方針も示しました。

【おわりに】

ウェブ上で利用される書誌データには、迅速に提供され、データとして扱いやすい形であることが求められています。一方、図書館目録には、目録規則による標準化の仕組みや、典拠データを用いたアクセス・ポイントの管理、件名・分類の体系化といった、長い歴史の中で整備されてきた伝統的な機能があります。ウェブ上での利用においても、これらの伝統的な機能が活用されるよう、書誌データ作成・提供において常に留意することが必要です。

これまで70年間(帝国図書館時代を含めると150年近く)継承されてきた、書誌データとその作成技術に対し、新たな価値を加えて発展させることは、全国書誌作成機関であるNDLに課せられた使命であると言えます。

「書誌計画2020」は、3年間という限られた期間の計画ですが、各項目を着実に実施し、書誌データ作成・提供の進展につなげて行きたいと考えます。

諏訪 康子
(すわ やすこ 収集書誌部)

[1] 2008年3月に「国立国会図書館の作成・提供の方針(2008)」を、2009年5月に、利用者の多様化に対応するための書誌サービスの方向性を示した「国立国会図書館の書誌サービスの新展開(2009)―今後4年間の枠組み」を、2013年2月には、電子情報の書誌データ作成・提供を見据え、「国立国会図書館の書誌データ作成・提供の新展開(2013)」を策定しました。
国立国会図書館の書誌データの作成・提供の方針(2008). http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_1000855_po_housin2008.pdf?contentNo=1&alternativeNo=, (参照 2018-05-01).
国立国会図書館の書誌サービスの新展開(2009)―今後4年間の枠組み. http://warp.da.ndl.go.jp/collections/NDL_WA_po_print/info:ndljp/pid/8703998/www.ndl.go.jp/jp/library/data/pdf/NDL_WA_po_houshin2009.pdf, (参照 2018-05-01).
国立国会図書館の書誌データ作成・提供の新展開(2013). http://warp.da.ndl.go.jp/collections/NDL_WA_po_print/info:ndljp/pid/9484238/www.ndl.go.jp/jp/library/data/NDL_WA_po_shintenkai2013.pdf, (参照 2018-05-01).

[2] 柴田洋子. 米国議会図書館におけるBIBFRAMEの動向(出張報告). NDL書誌情報ニュースレター. 2017年3号(通号42号).
https://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2017_3/article_01.html, (参照 2018-05-10).
柴田洋子. ウェブ環境に適した新しい書誌フレームワーク:BIBFRAME. NDL書誌情報ニュースレター. 2016年2号(通号37号).
https://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2016_2/article_01.html, (参照 2018-05-10).
柴田洋子. ウェブで広がる図書館のメタデータを目指して―RDAとBIBFRAME. カレントアウェアネス. 2014, (322), CA1837, p. 17-21. http://current.ndl.go.jp/ca1837, (参照 2018-05-10).

[3] NDLで作成している「日本目録規則適用細則」は、NDLの書誌データ作成において、日本目録規則の規定をどのように適用するのかを細かく定めたものです。現在の『日本目録規則1987年版改訂3版』の適用細則は、NDLホームページで公開しています。
https://www.ndl.go.jp/jp/data/catstandards/ncr_regulations/index.html, (参照 2018-05-01).

[4] 著作の典拠コントロールを行うことによって、同一著作に翻訳書のように複数の言語による版(日本語版、英語版、フランス語版など)がある場合、これら複数の書誌データを著作の単位でグループ化することが可能となります。NDLでは、この効果が高いと期待される翻訳書などを中心に対象資料の範囲の検討を進めます。

[5] 「新計画2020」の期間内は、海外の日本研究者などから要望が高いことから、形式用語としての「漫画」などの導入を検討します。

[6] NDLが提供する書誌データの取込機能を実装している図書館システムの一覧を、ホームページで公開しています。
https://www.ndl.go.jp/jp/data/data_service/jnb/system_list.html, (参照 2018-05-01).

[7] MARC 21形式での書誌データ提供は、国立国会図書館サーチの検索結果詳細画面で対応する予定です。


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2018年2号(通号45号) 2018年6月26日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
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