ホーム > 資料の収集 > 納本制度 > 納本制度審議会 > ネットワーク系電子出版物の収集の課題に関する小委員会(第3回)議事録

ネットワーク系電子出版物の収集の課題に関する小委員会(第3回)議事録

日時:
平成16年3月30日(火)午後2時~3時30分
場所:
国立国会図書館 特別会議室
出席者:
公文俊平小委員長、合庭惇委員、安念潤司委員、内田晴康委員、小幡純子委員、紋谷暢男委員、奥住啓介専門委員、野末俊比古専門委員
会次第:
1. 第2回小委員会の議事録の確認
2. 調査審議
 収集範囲・方法(2)-学術的な出版物及び通知等の在り方等
 国・地方公共団体のネットワーク系電子出版物(継続)
 学術的な出版物
 「通知又は送信」の在り方
 除外すべき出版物
 その他(国内発行の考え方、WANの扱い)
3. 第4回小委員会の調査審議の内容及び日程等
配布資料:
(資料1)第2回小委員会議事録
(資料2)論点メモ-収集範囲・方法(2)
 付:(1)ネットワーク系電子出版物の制度的収集と納本制度に関する検討の経緯
 付:(2)収集範囲及び収集方法に関する事前質問に対する委員・専門委員の意見
(資料3)納本制度調査会答申(平成11年2月22日)(抄)
(資料4)ネットワーク系電子出版物小委員会における調査審議について(平成15年3月13日)(抄)
(資料5)ネットワーク系電子出版物の収集の課題に関する小委員会(第1回)論点別検討資料
(資料6)納本制度審議会におけるネットワーク系電子出版物の収集に関する表現の自由等に関する議論
(資料7)「動的出版物」に関する外国の立法例について
(資料8)第4回小委員会の調査審議内容(案)
(資料9)納本制度審議会 今後の日程(案)[第10回納本制度審議会配布資料]

議事録:
小委員長:  それでは、時間となりましたので、第3回のネットワーク系電子出版物の収集の課題に関する小委員会を始めます。
 本日は、収集範囲と方法の「その2」といたしまして、学術的内容の出版物、通知・送信といったところを審議していただきます。
 
1. 第2回小委員会の議事録の確認
小委員長:  それでは、会次第1としまして、第2回小委員会議事録の確認をすることとします。事務局から、説明をしてもらいます。併せて、今日の配布資料の確認もお願いします。
事務局: 〔配布資料について説明の後、資料1の第2回小委員会議事録の確認を行う。〕
 
2. 調査審議
小委員長:  それでは続きまして、会次第2の調査審議に入ります。今回は、調査審議事項が多岐にわたりますが、配布資料2の「論点メモ」の項目に沿って進めさせていただきます。
(1)国・地方公共団体の発行するネットワーク系電子出版物(収集範囲・方法(1)の継続)
小委員長:  まず、ネットワーク系電子出版物(以下「ネットワーク系」という。)の制度に基づく収集において、国・地方公共団体の周辺にある独立行政法人等をどのように取り扱うべきかが第1回の小委員会から、問題となっておりました。この点につきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。
事務局: 〔資料2に基づき国・地方公共団体の範囲について説明。
[1]国・地方公共団体の範囲-独立行政法人等
 第1回小委員会において、ネットワーク系の収集に関する義務を負うべき国・地方公共団体の範囲については、従来の出版物の納本制度と同じ範囲とすべきであるとの考え方から、従来の出版物の納入義務を負うべき独立行政法人等の範囲等に関する諮問を受けた納本制度審議会の調査審議にまつこととされたが、平成16年2月13日、同審議会答申が決定された。同答申では、現行の国立国会図書館法(以下「館法」という。)第24条・第24条の2の納入目的である「公用」の意義について、政府等の活動に関する国会の審議を国立国会図書館(以下「館」という。)が補佐するための事務に用いることであると確認した上で、この納入目的にかんがみ、政府活動を担うことを目的として設置された法人が出版物を発行したときは、国・地方公共団体の機関と同様に、「公用」のため、複数部数を無償で館に納入する義務を負うこととするのが適当であると述べており、館においては、同答申を受けて、そこに示された趣旨を制度に反映させるべく、制度の改正に係る作業が進んでいる。国等・独立行政法人等の発行するネットワーク系についても、その収集目的に関しては「公用」を中心に考えることとするのが妥当であり、したがって、ネットワーク系の収集に関する義務を負う独立行政法人等の範囲については、同答申において国・地方公共団体と同等の出版物納入義務を負うこととされたものの範囲と同等と考えるのが適当と考えられる。
[2]国等・独立行政法人等のために発行された出版物の扱い
 また、同答申は、独立行政法人等のために発行された出版物について、現行館法第24条・第24条の2に規定された国・地方公共団体のために発行された出版物と同様に、独立行政法人等に納入義務を課することとするのが妥当としている。
 同答申を受けて、独立行政法人等のために発行された紙媒体等の従来の出版物については、当該独立行政法人等が納入義務を負うこととなる方向で制度改正作業が行われていることから、 独立行政法人等のために発行されたネットワーク系についても、従来の出版物の納入義務の取扱いと同様に、当該の独立行政法人等が収集に関する義務を負うこととするのが妥当と考えられる。〕
小委員長:  ありがとうございました。ただいまの説明に関して、確認したいことなどがおありでしょうか。
 特に御質問等もないようですので、先般の審議会答申に沿って範囲が定められることとなる独立行政法人等については、ネットワーク系の収集においても、国・地方公共団体と同様に扱うこととし、併せて、これらの国等のネットワーク系の収集の目的は、「公用」を中心として考えることといたします。
 また、国・地方公共団体、先般の審議会答申に沿って範囲が定められることとなる独立行政法人等のため、ネットワーク系が発行されたときは、その国等が収集に関する義務を負うということといたします。
 
(2)学術的な出版物(収集範囲)
小委員長:  次に、国等以外のネットワーク系について、その収集方法と範囲に関する論点に入ります。
 ここでは、まず、収集範囲としてこれまで考えてきた学術的な出版物という限定が、法制度的に可能かどうかについて、検討することとなります。事務局から説明をお願いします。
事務局: 〔資料2に基づき説明。
[1]学術という内容による区別の可否
(ア)ネットワーク系電子出版物の制度的収集(法的強制を伴った収集)の目的との関係
 学術情報に収集範囲を限定することを館の任務・目的から合理的に説明することは困難である。
(イ)納本制度が網羅性をその根幹的要素としていることとの関係
 ネットワーク系が従来の図書館資料の「延長」であるとすると、ネットワーク系のみについて収集の網羅性を放棄することは、合理的に説明できない。学術情報への収集対象の限定は、内容による選択的な納入制度を創設することになり、紙媒体の出版物についても、選択的納入が及ぶ可能性がある。
(ウ)自由な表現の萎縮のおそれとの関係
 収集範囲を限定しても、限定の態様、範囲の設定のいかんによっては、自由な表現の萎縮のおそれが解消されない可能性がある。
[2]発行主体による限定の可否
 ネットワーク系を発行する者の中で、ネットワーク系収集に関する特別な義務を負う主体を明確に定義することは、その収集目的を、館法に規定された館の任務・目的との関係で説明することが困難である。
 また、学術情報を発行する者(例えば、日本学術会議法第18条に規定する「登録学術研究団体」)のみに特別な義務を負わせることは、憲法第14条の平等原則に適合するかどうか疑問がある。登録学術研究団体の発行するネットワーク系のみが館の目的達成のために特に必要であるとの論証は困難である。
*委員及び専門委員の意見
 以上の問題点を指摘した上で、委員及び専門委員に対し、収集の範囲を学術情報に限定することの是非について、事前に意見照会したところ、「学術情報に収集範囲を限定することは困難」、「学術情報への限定について、館の任務・目的から合理的な説明を導き出せるのであれば可」との回答があった。また、「館による収集が『意思に反した固定』や『自由な表現の萎縮』につながるおそれのないネットワーク系を『学術情報』と定義することができないか」との意見もあった。〕
小委員長:  この点に関して、御意見をどうぞ。
委員:  ネットワーク系の収集については、前小委員会の報告を受けた審議会において、現行の納本制度に基づくのではなく、新たな制度に基づき行うことが妥当とされました。新たな制度の創設ということになると、ネットワーク系の収集のために新しい法律を作らなければなりませんが、その場合には、現行納本制度から離れて、全く自由に新しい制度を設計できるはずです。しかし、どうしても伝統のある納本制度の考え方が議論に枠をはめることとなり、自由な検討ができないような状況になっているように思われます。
 例えば、ネットワーク系の中で学術的なものだけ収集すると決めてはなぜいけないのでしょうか。客観的にみて網羅的収集は不可能ですし、動的なものは集められません。ネット上の学術情報は、紙媒体で発行していた学術雑誌の代替物として出版されることが多いですし、学術情報の場合には、学会内部での査読などを経て内容が固まったものが掲載されるので、一度公表された情報が修正されることはまれですから、意思に反した固定の問題も生じにくいように思います。収集・保存しやすいネットワーク系として学術情報を義務を課す対象に挙げるのは根拠のないことではないと考えます。学術情報を収集対象とすることに、なぜ、それほど問題があるのかが今の説明だけでは十分に理解しかねます。
事務局:  御指摘のありましたように、ネットワーク系の収集については、館法第24条、第24条の2及び第25条に基づく現行納本制度とは別の制度を考えているのですが、新たな制度といっても、館の任務・目的に合致したものでなければならないのはいうまでもないことです。ここで申し上げましたのは、収集範囲を学術情報に限定することの合理的な理由が館の任務・目的からは導き出せないのではないかということです。また、学術情報のみを法的強制力をもって収集することは、館の任務・目的のみならず、憲法の保障する表現の自由や平等原則に反するおそれもあると考えられます。
 学術団体との協議に基づき任意的方法により学術情報を収集するのであれば問題はありません。しかし、学術情報のみを制度に基づき収集しようとすれば、今申し上げたような問題があるのではないかということです。
事務局:  現行納本制度とは別の制度を創設するといっても、館の任務・目的から逸脱した制度を設けるわけにはいきませんから、一定の制約の下で制度設計を行わざるを得ません。また、新制度の創設に当たっても、調査会答申が指摘している懸念、つまり、著作者等の意思に反するネットワーク系の強制的な固定が自由な表現の萎縮につながるおそれ等には十分な注意を払う必要があります。
委員:  館法は館にとっては憲法のようなものですから、それを逸脱した制度を設けることができないのは当然だと私も思います。
 ただ、収集対象を学術情報に限定するという議論が出てきた理由を考えると、学術情報が学会における査読を経て公開されることから、情報の固定という点では、紙媒体の出版物と大きく異ならないので、収集しやすいということがあると思います。
 実際のネット上での情報発信を見ていると、館が収集可能なものは限定されると思います。何を収集対象として義務を課するかを検討する際、紙の出版物と同等に考えられる情報は、義務を課する理由を説明しやすいものでしょう。その意味で、学術情報は収集対象として妥当であると思います。
 最初からあまりに厳密な法的議論を詰めていると、何も始められなくなるおそれもあります。
 例えば、現在のWARP(インターネット資源選択的蓄積実験事業)を拡充して、単なる実験ではなく、何らかの制度上の根拠を与えるとか、そういうところからスタートしてもよいかもしれません。
 ネットワーク系の収集において網羅性を放棄することに問題があるといっても、アメリカのインターネット・アーカイブのように対象を限定せずに網羅的収集を行うことは、困難な点が多いですから、適当でないと思います。
委員:  法的な義務付けを考えると困難な問題が生じてくるというのなら、現時点で無理に義務付けなどを行わない方がよいと思います。それほど困難な問題が多いというのは、まだ機が熟していないということです。それならば、当面は任意的方法による収集に留め、館が自由に動ける余地を残しておいた方が賢明です。
 図書のように物理的に送ってもらうより外に収集方法がないものと違って、ウェブ情報の場合は自動的に収集できますから、館が任務遂行のために必要なネットワーク系を選択して収集すればよいと思います。館に対して、ウェブサイトの収集を禁ずる法律の規定はないでしょう。
 現時点で館ができる範囲のことをすればよいのであって、わざわざ窮屈な枠を作って苦しむ必要はないと思います。
事務局:  納本制度調査会答申では、ネットワーク系については選択的に収集すべきとされていますが、その後の状況の変化にかんがみ、国内で発行されるネットワーク系電子出版物を納本制度に組み入れることについて諮問が行われました。この諮問がなされた背景として、選択的収集の場合には、個別契約を締結するのに手間や人手を要するので、必要なネットワーク系が確実に館に入ってくるようにするためには、何らかの法的義務を課することが必要であるという事情がありました。このように何らかの制度的な根拠が必要との考え方の下に、これまで前小委員会(ネットワーク系電子出版物小委員会)で議論を積み重ねてきていただいたという経緯がございます。
委員:  それは分かっていますが、今までネットワーク系電子出版物小委員会等で考えてきたことを覆しても構わないと思います。
 個別契約によると手間がかかるのは御説明のとおりですが、法律で義務付けさえすれば、必要なネットワーク系がすべて館に入ってくるというものではありません。ネットワーク系の納入を義務付けても納入しない者はしないでしょう。そう考えれば、実際には、法律により義務付けても、任意的手法によっても、大きな違いはないともいえます。
 従来の出版物と同様にネットワーク系に対して納入義務を課さなければならないわけではないと思います。館としては義務を課すことにこだわらず、将来における選択の余地を残しておいた方がよいということもあります。
委員:  ただいまの御意見は、禁止する法令がないから館がウェブ情報を収集できるという趣旨のようですが、館がウェブ情報を何の法的根拠もなく無断で収集・保存してよいのかという点が懸念されているのではないでしょうか。
委員:  ネットワーク系は、ネットワーク上に公開されているものですから、固定して保存しても、大きな問題があるとは思えません。館が自ら収集する場合には、発行者に対する法的な強制はありませんし、館にとっても作用法的な制約はありません。
委員:  国の機関が法的根拠なくウェブ情報を収集しても構わないと割り切ってよいのかどうかが問題です。そのようなことを館が行えば、何らかの行為を強制するわけではないにせよ、発行者の意思に反して国が固定を行う結果となることもあります。その場合には、自由な表現を萎縮させるおそれがあるという調査会答申の指摘が当てはまることになります。ウェブ情報を自分で複製するだけとはいえ、館としては、複製の法的根拠が必要になるのではないでしょうか。
 いずれにせよ、このような自動的収集は、発行者等に対する納本という法的義務付けを伴う収集方法ではなく、これまで議論されてきた方向性とは、かなり異なることになると思います。
委員:  その方が館にとって望ましいということなら、それでもよいでしょう。
事務局:  お示しした論点整理には、これまでの審議会の議論と異なるように見える面があるのは確かです。
 前小委員会における調査審議では、ネットワーク系のうち、国・地方公共団体等の発行する情報と学術的な情報を館が収集対象とすべきとの方向性を示していただきました。現小委員会では、このような情報を法的強制力をもって収集することが可能かどうかを検証するために、調査審議をお願いしてきているわけです。本日の調査審議の前半で、国・地方公共団体の発行する情報については、法的義務付けを伴う収集の対象としても問題はないという結論をお示しいただき、一定の要件を備えた独立行政法人等も義務を課する対象に含めてよいということになりました。次に、学術情報を法律上の義務を課することにより収集することについて、法的に支障がないかどうかが問題となりますが、事務局の方で、論点を整理したところでは、多くの困難な点を指摘せざるを得ないということであります。前小委員会の議論では、日本学術会議法第18条の登録学術研究団体を納入義務の対象とする案も検討されていましたが、憲法の平等原則や館の任務・目的との関係を考えると、この案を採ることは難しいように思われます。そこで、どうしたらよいのかという点を、今回の調査審議では御検討いただきたいと思っているところでございます。
委員:  先ほどから伺っていると、館が自らネットワーク系を収集することについては、明文の法的制約がないという前提の下に議論が進められているような印象を受けますが、館がウェブ情報を収集する場合には、複製権の問題が生じます。複製権を制限する法律上の根拠なくしては、館がネット上の情報を自由に複製することはできません。この点を前提として議論を進める必要があります。
委員:  これまでは憲法上の問題が議論の中心だったので、著作権の問題は、とりあえず度外視していました。館が収集するとなれば、収集時における複製権の問題が生じますから、法律の改正により権利制限を行い、館による複製を受忍していただかなければならないかもしれません。しかし、これは、著作権法第31条に類する制限が多少加わると考えることも可能であり、納入の義務付けに伴うような困難な法的問題は生じません。
委員:  自由な表現の萎縮の問題については、これまで、収集の範囲をある程度限定することにより、回避することが可能かもしれないということが議論されていました。しかし、館法に規定された館の任務・目的から、収集範囲を学術情報に限定することの合理的理由が導き出せるかどうかが問題です。館の業務としてネットワーク系の収集のための制度を設けるのですから、館の任務・目的から説明可能でなければならないと考えられます。
委員:  収集範囲を限定する理由については、館の任務・目的から導き出せればよいですが、それが困難であれば、技術的な制約により限定せざるを得ないという説明でもよいと思います。館の裁量により、恣意的に収集するということがなければよいと考えられます。現時点において技術的に収集可能な範囲を限定し、その範囲のものを収集することをあらかじめ明らかにしておけばよいでしょう。もっとも、技術の進展に伴ない、収集範囲を数年のうちに変更しなければならないかもしれませんが。
委員:  学術的な情報を館が収集するのは当然という気がします。学術情報を収集することについて、反対の声が上がるようなことがあるとは思えません。確かに、学術情報だけを収集することとし、他の情報については収集するつもりがないということになると、なぜ学術情報だけ収集するのかを説明するのが難しいかもしれません。しかし、日本のウェブサイトは全部収集したいけれども現時点では技術的に無理なので、とりあえず学術情報から収集を開始するというのであれば、収集範囲を学術情報に限定する理由として十分合理的なのではないでしょうか。
委員:  法律の規定上はすべてのネットワーク系を収集できるようにしておいて、実施の細則を定める段階で、現時点では技術的に収集可能な学術情報に限定して収集を行うこととするという構成を採ることも考えられます。
委員:  将来的に技術の進展によってネットワーク系の収集が容易になれば、収集範囲を拡大してもよいと思います。ただし、収集範囲は、その境界を明確に示すことができなければなりません。
 しかし、事務局の論点メモに示されている問題点からすると、すべてのネットワーク系を収集するのが困難なので、とりあえず学術情報を収集することとした場合には、なぜ学術情報をとりあえず収集する対象として選択するのかについて、合理的説明が困難ということになるのではないでしょうか。
 現時点では技術的に学術情報以外は収集できないということであれば、説明がつくかもしれませんが、技術的にはもっと広い範囲のものを収集できるのですか。
事務局:  技術的には学術情報以外のものも広く収集できます。
小委員長:  学術情報以外のものにまで収集範囲を広げることになると、通知義務を課することが困難になるのではないですか。
委員:  まず館として何を収集したいのかを明確にする必要があるでしょう。そこから、どのような立法を行えばよいかということに議論を進めるのが正しい順序だと思います。最初に法律上の義務付けの当否について議論するのは逆です。
 法律上の義務付けといっても、その態様は様々です。ネットワーク系を送信する義務を課すのか、単に館による収集に協力する義務があるとするのか、あるいは館による収集・保存に必要な限りで著作権を制限するのか、いくつも方法があります。
事務局:  館としては、国・地方公共団体の発行する情報と学術情報をとりあえず収集したいと考えておりました。これらの収集を法律上の義務付けにより行う場合には、国・地方公共団体の発行する情報については大きな問題がないようです。問題は、私人の発行する情報のうち学術情報だけを対象として義務を課することが妥当かどうかですが、この点については法的な検討を行ったところでは、かなり困難であることが明らかになってまいりました。そこで、館にとって必要な学術情報を確実に収集するために、任意的手法によるという案も検討してみました。それが論点メモで「補論」としてお示ししたものです。ただし、これは当小委員会における調査審議事項からは若干外れるので、参考資料とお考えくださればと存じます。
委員:  収集範囲を学術情報に限定することは、館の任務・目的からは説明できないということですか。
事務局:  事務局で検討してみたのですが、難しいということになりました。
委員:  そうすると技術的な制約を根拠として説明するしかないと思います。
事務局:  技術的に収集可能なネットワーク系ということになると、学術情報よりはるかに広い範囲のものが含まれてしまうことになるのではないでしょうか。
委員:  それでは、制度的収集の対象を学術情報だけに限定するのは無理だと思います。
委員:  調査会答申は、表現の自由の萎縮効果を根拠として、法律上の義務付けを伴う方法によりネットワーク系を収集するのは難しいと結論付けました。このような結論に至った背景には、ネットワーク系の範囲を限定することを説明できないということもあったように記憶しています。
委員:  そもそも「学術情報」とは、どのように定義するのですか。この点は、他の立法例でも明確ではありません。例えば、著作権法第39条では、新聞・雑誌に掲載された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説について、他の新聞・雑誌への転載、放送・有線放送における利用を認めると規定する一方で、学術的な性質を有するものは、権利制限の対象となる論説から除かれるとしているのですが、ここでいう「学術的な性質を有するもの」に何が含まれるのかがはっきりしていないのです。
委員:  学術の定義については、前小委員会でも、今後議論しなければならないとされていたことです。前小委員会の議論では、学術情報というとき、具体的には電子ジャーナルを想定していました。学協会の発行する出版物の中で、紙媒体で出版されないジャーナルが増えてきたので、従来の紙媒体資料の収集を補完するためウェブ上の電子ジャーナルを集めたいということだったと思います。学会の発行する電子ジャーナルを収集対象として想定していたので、義務付けの対象として日本学術会議法の登録学術研究団体が挙がってきたのです。
専門委員:  「出版物」をうまく定義することにより、収集範囲を学術情報に相当するものに限定できないでしょうか。紙媒体の出版物と同程度に完結したもの、原則として後から変更などがないものを「出版物」と定義することにより、収集範囲の妥当な限定ができるのではないかと考えます。紙媒体で印刷・発行されたものであっても、館の収集対象ではないものがあります。ビラやパンフレットなどは収集されていないと思います。これは、館法上の「出版物」の定義により、ビラやパンフレットを納入義務の対象から除いているからでしょう。同じことをネットワーク系の収集でも考えればよいのではないでしょうか。
 出版物」の定義としては、"著作者・発行者が公表に際して他の論文に引用されることを前提としているような完結したもの"という位が妥当でしょう。このように定義すると、ウェブ情報の中で「出版物」といえる情報はごくわずかであると思います。そのような「出版物」の定義に最もよく当てはまるのが学術情報であると考えられます。このように「出版物」を定義すれば、仮にネットワーク系を網羅的に収集するとした場合であっても、ウェブ上の個人的な日記などは、「出版物」に入らないとして、収集対象から除外できるのではないでしょうか。
 うまく「出版物」を定義すれば、納本制度の「網羅性」を維持しつつ、実質的なネットワーク系の収集範囲を学術情報に限定していけるのではないかと思います。
委員:  館の任務・目的から考えて、納入対象となる「出版物」の定義を学術的内容を有するものに限定することについては、合理的説明が困難です。ネットワーク系のみについて、そのような定義を置くことは、これまで納入対象となってきた出版物との整合性という点でも難点があります。
委員:  従来の出版物の場合、例えば、図書の形をしていれば一応完結しているものと考えられてきました。しかし、ウェブの世界では、公開されているものであっても、完結しているのか否かを確認することができません。何らかの定義を行い、従来の出版物と同程度の完結性を有する情報に収集範囲を限定したとしても、その中には学術情報でないものが随分あるでしょう。むしろ大部分は学術情報でないと思われます。
 収集範囲を学術情報に限定できるかどうかについては、館法に示された館の任務・目的から考えるしかありませんが、そのように考えると、特定の内容をもつ情報だけを限定的に収集するのは、法的義務付けを伴う手法によっては難しいという結論にならざるを得ないと思います。
 著作権法第39条の規定は、法律上の義務を課するような内容ではなく、権利制限を認めないという例外規定なので、学術的性質を有するものを特別に扱ったり、あるいは、定義に多少曖昧なところがあったりしても、ネットワーク系収集をめぐる議論と比較すれば、問題がそれ程重大ではないのではないでしょうか。
委員:  現行の館法第24条第1項では、納本対象として図書、逐次刊行物等の典型的な出版物を掲げるほか、第7号に「前各号に掲げるもののほか、印刷その他の方法により複製した文書又は図画」を掲げています。
 ネットワーク系の収集範囲を規定する場合、これと同様に、従来の納入対象である出版物に近いような、明らかに収集対象となる典型的なものをいくつか掲げた上で、その他出版物に当たる情報を収集対象とすると規定しておけば、規定の上では収集範囲を特定のものに限定する形をとらず、実際には、従来の納入対象に近いものから収集するということができるかもしれません。
委員:  従来の納入対象である出版物に近いものということになると、完結性が問題になると思いますが、完結しているかどうかの判断をどのように行うかは、相当困難ではないでしょうか。
委員:  既に納本対象となっている出版物についても、完結性という基準ですべていい表せるのかどうか難しいところがあると思います。例えば、館法第24条第1項第9号に掲げられた電子出版物の中には、コンピュータ・プログラムのように更新しなければ意味がないものもあります。これなどは、完結しているといえるのかどうか疑問です。
委員:  館法第24条第1項第9号の文言は、「・・・プログラムを記録した物」となっているので、納入対象が「物」に限定されていることをもって、完結性の要件を満たしていると考えられるのではないでしょうか。
小委員長:  細かい問題は残っていますが、これまでの議論の結果、収集範囲を学術に限定する合理的理由は見出し難いということについては、明らかになってきたように見受けられます。この点については、よろしいでしょうか。それでは、収集範囲を学術に限定するのは困難であるということを確認した上で、次の論点に進みたいと思います。
 
-通知又は送信の在り方(収集の方法)-
小委員長:  次に、収集方法に関する論点に入ります。事務局から説明していただきたいと思います。
事務局: 〔資料2に基づき、通知又は送信の在り方(収集の方法)について説明。
[1]通知又は送信の内容
 通知は、館による複製に同意する意思表示ではなく事実を知らせることである。通知義務・送信義務は、館による固定(複製)を望まない者にも課される。
 通知がなくとも、発行の事実を他の方法で知りえた場合には、館は複製を行うことができる。
[2]通知又は送信の意義・目的
 発行者は、通知義務を課された上、館による固定を受忍すべき義務を課される。通知をしない者についても、通知義務は消滅せず、意思に反する固定の問題が生じる。したがって、通知義務を課する場合には、発行者は意思に反する固定であっても受忍すべき義務を負う。
 送信義務を課する場合には、送信が義務付けられる以上、発行者は意思に反する固定を受忍すべき義務を負う。
 通知義務・送信義務を課することは、発行者の意思に反する固定の問題の解決になっているとはいえず、自由な言論の萎縮のおそれを減少させることができるといえるか問題がある。
[3]表現の自由に配慮した収集方針の検討
(1)表現の自由に配慮した収集方法の要件
 収集範囲の限定及び通知・送信に基づく収集は、表現の自由の萎縮効果に反する問題の解決として不十分である。特に、収集範囲の限定は、館の任務・目的から合理的な説明を行うことが困難である。したがって、収集範囲を限定することなく、表現の自由に配慮した別の収集方法を考える必要がある。
 そのような収集方法に求められる要件としては、ネットワーク系を終局的に固定するかどうかの判断を発行者・著作者の意思に委ねることを根本において、十分な意思申出の機会を確保し、意思に応じた措置を採る仕組みによることが考えられる。
 (2)固定意思の尊重のための要件の検討
 固定しようとする前に個別のネットワーク系の作成者等に意思を確認することを要する。意思の確認の方法として、(ア)固定を承諾するという意思を表示させる方法、(イ)固定を拒否する意思を表示させる方法とが考えられるが、ここでは、実現の比較的容易な(イ)を前提とする。この場合には、事前公告、拒否申出(申出期間、申出方法)、申出があった場合の措置という一連の手続を検討することとなる。
(3)固定の拒否手続に関連する問題
 次の問題を検討する必要がある。
(ア)複製に関する義務の発生時期
(イ)通知・送信義務に基づく方法と自動的収集との関係
(ウ)固定の拒否の申出と著作権に関する許諾との関係
(エ)事前公告と収集頻度の公示との関係

 なお、通知義務又は送信義務に基づく収集という方法が表現の自由の萎縮を減少させることができるか否かについて、当小委員会所属の委員及び専門委員に対し、事前に照会したところでは、意思に反した固定の問題の解決にはならないという意見がある一方で、ネットワーク系であっても、公開した以上は紙媒体の出版物の場合と同様に、固定されても構わないと考えるべきであるとの意見もあり、見解に幅があった。〕
小委員長:  今の説明を踏まえて、どうぞ御意見をお願いします。
委員:  この収集方法の議論に入る前に確認したいのですが、仮にネットワーク系を通知義務に基づき収集するとすれば、具体的にどのようなことが行われるのですか。ネットワーク系を収集することについて、事前に発行者に対して連絡することになるのでしょうか。それとも法律上の根拠が設けられれば、個々の発行者には特に連絡することなく、収集が行われることになるのでしょうか。
事務局:  通知義務に基づく収集を行う場合には、発行者は、義務付けられた通知を行うかどうかにかかわらず、館によるネットワーク系の固定を受忍すべき義務を負うことになりますので、個々の発行者に対して連絡を行うことなく、ロボットなどの専用ソフトウェアを用いて、館が強制的にネットワーク系を固定することも可能性としては考えられます。
委員:  ロボットでは収集できないネットワーク系が最近では極めて多いと考えられます。例えば、利用者登録しないとアクセスできないとか、あるいは、商業出版社が紙媒体でも販売している紀要類のように、ウェブ上では一部しか利用できないようなネットワーク系がありますが、こういうものは、ロボットでは収集できません。
事務局:  収集範囲を限定せずにネットワーク系の収集を制度化するのであれば、収集方法としてロボットを用いるかどうかは、二次的な問題だと考えられます。御指摘のあったようにロボットでは収集できないネットワーク系というものが存在します。この場合には、例えば、ID・パスワードなどを通知してもらわなければ館が収集できないのなら、必要なID等を通知してもらうことになると思われます。
委員:  制度的に収集するとなると、対象となるネットワーク系については、ID・パスワードの設定等の有無にかかわらず、該当する情報はすべて強制的に固定されるということですか。
事務局:  そのとおりです。
委員:  義務を課される発行者への説明や交渉などはしないのですか。
事務局:  これは大きな制度改正なので、改正に当たっては関係するところとは最大限入念な打ち合わせをする必要があると考えております。
小委員長:  収集範囲を限定しないとすると、義務の対象となる範囲は広がります。そうなると、強制的に固定する方法では、表現の自由の保護は不十分と考えざるを得ないのではないでしょうか。表現の自由の侵害を回避し得るような何らかの仕組みが必要ではないですか。
委員:  これまでの出版物も著作者が知らないところで納本制度により強制的に収集されていますが、納本制度が表現の自由を侵害しているという議論はありませんでした。それなのにウェブ情報の収集ということになると、なぜ表現の自由の萎縮が問題になるのでしょうか。
委員:  収集範囲を学術に限定することについては、合理的説明ができないという問題があるかもしれませんが、収集範囲を限定しないのであれば、発行者・製作者等に連絡することなく強制的に収集できる旨を明確に法律に規定すれば、表現の自由を脅かすような問題は生じないと思います。
委員:  国による強制的固定が問題という指摘がありましたが、紙媒体の出版物であっても、国が保存する点は同じだと思います。どうしても国に収集・保存されるのが嫌な人は、ウェブ上に情報を公開しなければよいだけのことです。
委員:  「発行(publish)」の定義の問題になりますが、いったんネットワーク上に公表すれば「発行」を行ったことになり、その場合には、紙媒体の出版物を発行したときと同様に、他者に固定され保存されても仕方ないという社会通念があれば、国による固定・保存も認められると思います。
事務局:  紙媒体の出版物の場合には、発行者側が自分の意思に基づき固定しますが、ネットワーク系ではそれを想定していない場合も多いと思われます。
委員:  ウェブ情報の場合も誰かが固定することは想定されているのではないでしょうか。紙媒体の出版物とネットワーク系との間で、本質的な違いはないように思います。
事務局:  国が固定するということが問題視される可能性があるのではないでしょうか。
委員:  国が収集・保存するといっても、館の場合には、表現の自由の萎縮につながるような使い方、例えば、捜査目的で使うようなことをするわけではありません。館が固定し、その任務の遂行のために利用に供するということを法律に規定すれば、問題はないように思います。
委員:  館に収集されたくない発行者は、外国のサイトでネットワーク系を公開することになるのでしょうか。
小委員長:  館によるネットワーク系の固定に際して発行者の意思を尊重し、表現の自由を萎縮させるおそれを回避する収集方法をあらかじめ事務局に検討してもらいました。ここで説明してください。
 
事務局: 〔表現の自由に配慮したネットワーク系電子出版物の収集方法について、配布資料に基づき説明。
(1)範囲を制限することなく収集を行う場合には、事前公告を行い、館がネットワーク系を固定することについて、収集日時とともに周知し、固定を拒否する者は一定期間内に申し出るように伝える。
(2)固定拒否の申出があった場合には、固定に関する義務は発生しない。
(3)拒否の意思表示がない場合には、館は、ネットワーク系を仮に固定するが、この時点では利用に供さない。
(4)仮の固定を行った後、固定を行ったことを再度公告して、一定の期間内に拒否の意思表示を行えることを周知する。
(5)固定を拒否する意思表示があれば、この時点で固定に関する義務は消滅し、館は、固定したネットワーク系を削除する。
(6)固定を拒否する意思表示がなければ、館は、ネットワーク系を終局的に固定し、利用に供することとなる。ただし、終局的とせずに、いつでも削除を認める考え方もある。〕
小委員長:  説明してもらったのは、通知又は送信に基づく収集に代わる収集方法と考えてよいですか。
事務局:  館による固定が自由な表現の萎縮につながるおそれを回避する方法として、発行者・製作者等の固定に関する意思を尊重するための手続を考えてみました。このような手続が適切に設けられていれば、通知・送信に基づく方法を採るか、自動的収集の方法を採るかは、本質的な問題ではないともいえます。
委員:  表現の自由の問題だけでなく、商業的理由から館による固定を拒否する発行者が現れることも予想されます。学術のネットワーク系を発行する出版社の中にも、商業的理由から、館による固定を嫌うところは少なくないでしょう。例えば、エルゼビア社ならば、館による固定を拒否するのではないかと思います。
委員:  紙媒体の出版物についても、複写サービスが行われることを嫌って、納入に難色を示す発行者がいるとききますが、ネットワーク系の場合には、特に損失補償の額の算定が難しい問題となると思います。利用に供するときのことまで補償額の算定に反映させるのかどうかを検討する必要があります。
専門委員:  ネットワーク系を網羅的に収集するには、必要な人員、施設、機器などを考えても、莫大な予算が必要となるでしょう。それだけの投資をしてまで、国がネットワーク系の網羅的収集を行う必要があるのかが問題です。高額の補償を行って商用のネットワーク系を収集するのは、財政面から考えて相当困難ではないかと思います。
 ところで、先ほどの事務局の説明の中で、仮の固定を行った後、固定を行ったことを再度公告して、一定の期間内に拒否の意思表示を行えることを周知するというところがありましたが、その場合には、ネットワーク系を仮に固定された者に個別に連絡するということになるのですか。
事務局:  個別の連絡ではなく、仮に固定された者全体を対象とした官報公示などによる公告を考えていました。
委員:  これまで議論されていた通知又は送信に基づく収集の場合には、通知又は送信を義務付けられるのはネットワーク系の発行者であることを前提にしていたと思います。先ほどの事務局から説明のあった発行者の意思を尊重する方法では、固定拒否の意思表示を行うのは誰になるのですか。著作者ですか。
事務局:  その問題は、小委員会で議論していただきたい点です。従来の出版物の場合には、生産費用を負担している発行者に対して納入義務を課するとともに、損失補償を行ってきました。しかし、ネットワーク系の場合には、損失補償の問題をどう考えるのか、従来の出版物と同列には論じられません。また、発行者に固定の可否を決定する権限があるのかも問題です。
委員:  事務局から説明のあった仕組は、理論の点ではともかく、実務のことを考えると、大変な労力を要するように思います。
委員:  入念に考えられた案だと思いますが、現実的には困難なのではないでしょうか。
小委員長:  表現の自由を萎縮させるおそれを回避しつつ、法律的な義務付けを伴う収集制度を設けようとすると、事務局から説明のあったような仕組みを考えざるを得ませんが、このような仕組みを運用するのは実務上困難という御意見が多いようです。3時半になりましたので、私は退席させていただきますが、事務局から、強制的方法に代わる収集方法について説明しておいてください。
(小委員長退席。)
 
-補論について-
事務局:  本小委員会で調査審議していただくのは、法的強制を伴う制度的な収集の在り方でございますので、強制的方法に代わる収集方法の検討については、本小委員会の役割ではないと思いますが、私人の発行するネットワーク系を制度的に収集しようとなると、ただいまの議論でも御指摘がありましたように、現時点では、かなり困難な点が多いようです。そこで、参考に供するため、補論といたしまして、強制的方法に代わる収集方法の例を説明させていただきます。
事務局: 〔資料2に基づき、補論として、強制的方法に代わる収集方法について、次の二つの例を説明。
(1)学術情報等に限定した特別な「寄託」制度
 館による一定の利用を受忍すること、「返還」(削除)の制限など特別な義務を内容とする特別な契約を検討する。
(2)意思表示システム類似のシステムの普及
 館による複製その他の利用を承諾する意思表示を行っているネットワーク系の中から、館の収集・選定方針の下で館にとって有用なものを選択する。〕
(以後、懇談会に移行した。)
 
3 第4回小委員会の調査審議の内容及び日程等
事務局:  第4回小委員会の調査審議の内容について説明させていただきます。
事務局: 〔資料8に基づいて、第4回小委員会の調査審議の内容である「補償及び義務履行確保の手段」について、次のとおり説明。
[1]補償に関する論点
(1)収集における補償の要否
(2)利用における補償の要否
(3)補償の範囲についての考え方―憲法上の補償か政策的補償か―
[2]義務履行確保のための強制の在り方に関する論点
(1)強制の必要性
(2)行政罰としての過料
(3)過料以外の強制方法
[3]その他〕
事務局:  次に、納本制度審議会の今後の日程を説明させていただきます。
事務局: 〔資料9に基づいて説明。第4回小委員会の前に、第11回納本制度審議会を開催し、これまで3回にわたる当小委員会の調査審議の状況について中間報告を行う。当小委員会の調査審議状況について報告を行うことから、第11回納本制度審議会には、専門委員の出席を求めることとする。この第11回審議会において、自動的収集方法の是非についても判断を示していただくことが望ましい。〕
事務局:  先ほど申し上げたように第11回納本制度審議会において当小委員会の調査審議状況の中間報告をしていただきたいと考えていますので、本日の調査審議予定事項のうち、未了に終わりました問題につきましては、御意見等をメール等によりお伺いして、事務局側でまとめたいと思います。詳しくは、改めて御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
(午後3時55分 閉会)

このページの先頭へ