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第37回納本制度審議会議事録

日時:
令和4年11月25日(金)16時00分~16時50分
場所:
Web会議システムによるリモート開催
出席者:
斎藤誠会長、植村八潮会長代理、伊藤真委員、江上節子委員、江草貞治委員、奥邨弘司委員、柴野京子委員、仲俣暁生委員、根本彰委員
会次第:
  1. 委員委嘱の報告
  2. 事務局からの報告(令和3年度資料収集状況、令和3年度出版物納入状況、令和4年度代償金予算及び令和3年度代償金支出実績、有償等オンライン資料の制度収集開始に向けた進捗)
  3. 今後の日程について
配付資料:
  • (資料1)納本制度審議会委員名簿
  • (資料2)国立国会図書館の資料収集状況(令和3年度末時点)
  • (資料3)資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料4)納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料5)有償等オンライン資料の制度収集開始に向けた進捗について
  • (資料6)国立国会図書館法等の一部を改正する法律(令和4年法律第57号)
  • (資料7)国立国会図書館法等の一部を改正する法律(新旧対照表)
  • (資料8)国立国会図書館法による出版物の納入に関する規程及び国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程の一部を改正する規程(令和4年国立国会図書館規程第2号)
  • (資料9)国立国会図書館法による出版物の納入に関する規程及び国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程の一部を改正する規程(新旧対照表)
  • (資料10)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件の一部を改正する件(令和4年国立国会図書館告示第3号)
  • (資料11)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件の一部を改正する件(新旧対照表)
  • (参考資料1)第36回納本制度審議会議事録
  • (参考資料2)納本制度審議会答申「有償等オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(令和3年3月25日)概要
  • (参考資料3)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (参考資料4)納本制度審議会規程(平成9 年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料5)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (参考資料6)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料7)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (参考資料8)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
会長:
それでは、第37回納本制度審議会を開催いたします。委員の皆様方にはお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。本日は14名の委員中、現在のところ9名の方々に御出席いただいております。ですので、定足数は満たされています。まずは事務局から、配付資料の説明をお願いします。
事務局:
〔配付資料及び発言時のWeb会議システム操作について説明〕
また、議事録作成のため、会議を録画録音させていただいております。どうぞ御了承ください。以上でございます。
【会次第1 委員の委嘱の報告】
会長:
それでは、会次第1に入ります。委員の委嘱について、事務局から報告があります。
収集書誌部長:
事務局から御報告いたします。通しページ1の資料1を御覧ください。今回、委員の交代がございましたので、新規に委嘱された方を御紹介いたします。
一般社団法人日本出版取次協会会長の交代がございまして、これに伴い、近藤敏貴委員を新たに委嘱しました。前任の平林彰委員は委嘱を解きました。
令和4年7月1日付で、前任の平林委員の補欠という形で委嘱させていただいたもので、納本制度審議会規程第4条第2項ただし書、通しページ41で参考資料のほうに規程は付けておりますけれども、この規定によりまして、補欠委員の委嘱期間は、残任期間ということで、発令日の本年7月1日から令和5年6月30日までとなります。
御報告は以上です。
会長:
どうもありがとうございました。御紹介がありましたように、新たな委員をお迎えいたしました。委員の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【会次第2 事務局からの報告】
会長:
続きまして、会次第2に入ります。事務局からの報告になります。まずは資料の収集状況等について、お願いいたします。
収集書誌部長:
それでは、まず令和3年度末時点における国立国会図書館の資料収集状況について御報告いたします。資料2、通しページ2を御覧ください。
まず上の方の有体物としておりますのが、図書、雑誌・新聞、その他非図書資料等の無体でないものです。その他非図書資料等の中には、マイクロ資料や映像資料、録音資料等、印刷資料以外の有体物が含まれます。印刷資料である図書と雑誌・新聞を合わせますと、約3,187万点、その他非図書資料を合わせ、全体では約4,622万点です。
その下に無体物としておりますのが、インターネット資料及びオンライン資料の収集数です。インターネット資料とは、ウェブサイトを収集したものです。下のアスタリスクの1にありますように、国、地方公共団体等の公的機関のウェブサイトを制度に基づいて収集しています。1サイトを1タイトルとカウントしております。約22万件という数字は、ウェブサイトを構成しているデータの塊を1回収集したところで1件と数えたものでして、そのサイト1タイトルについて複数回収集しますので、このようにタイトル数と件数が違うことになります。昨年度末時点で約2PB分の蓄積がございます。昨年度1年間では358TB増加しております。
右のオンライン資料については、電子書籍・電子雑誌に該当するものです。これも注2にありますように、私人がインターネット等で出版した電子書籍・電子雑誌等を制度に基づき収集する他、インターネット資料として収集した公的機関のウェブサイトから、電子書籍・電子雑誌等に相当する部分を取り出して収集しています。昨年度末時点で民間・公的機関合わせて約140万点が蓄積されています。昨年度の収集数は約7万5千点になります。
続きまして、納本制度に基づく出版物納入状況等について御説明申し上げます。
事務局:
令和3年度出版物納入状況、令和4年度代償金予算及び令和3年度代償金支出実績について御報告いたします。
最初に、昨年度、令和3年度の出版物納入状況についてですが、お手元の資料3、通しページの3ページを御覧ください。
図書、パッケージ系電子出版物及び逐次刊行物につきまして、最近3か年の納入数を示しております。昨年度について御報告いたします。
図書は、官庁出版物が3万1,465冊、民間出版物が10万643冊、合計で13万2,108冊が納入されました。
パッケージ系電子出版物は、官庁出版物が2,540点、民間出版物が2万9,925点、合計3万2,465点が納入されました。
逐次刊行物は、官庁出版物が8万594点、民間出版物が28万4,038点、合計36万4,632点が納入されました。なお、逐次刊行物の数値の中には、地図、静止画資料、点字・大活字資料も若干含まれておりますが、そのほとんどは逐次刊行物です。
令和3年度の出版物納入状況については、以上でございます。
続きまして、今年度、令和4年度の納入出版物代償金予算及び令和3年度の代償金支出実績について御報告いたします。お手元の資料4、通しページの4ページを御覧ください。
今年度の代償金予算額は、3億9,747万6,000円でございます。昨年度と同額でございます。
次に、昨年度の支出実績ですが、3億4,649万2,289円でございます。
参考といたしまして、図書、パッケージ系電子出版物及び逐次刊行物の支出実績の内訳を示しております。令和3年度は、図書が46%、パッケージ系電子出版物が24%、逐次刊行物が30%となっております。
令和2年度と比較して代償金予算の執行額はほぼ同様の状況となっております。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響等により出版物の納入が減少しておりましたが、令和3年度も引き続き同様の状況が続いております。
なお、代償金の運用につきましては、当館収集書誌部におきまして、高額で販売実績の少ない資料を中心に厳正な審査を行って、引き続き適正に進めております。
御報告は以上です。
会長:
どうもありがとうございました。次は、有償等オンライン資料の制度収集開始に向けた進捗状況についての報告です。こちらも事務局からお願いします。
事務局:
有償等オンライン資料の制度収集開始に向けた進捗について事務局から御報告いたします。資料5、通しページ5、6の「有償等オンライン資料の制度収集開始に向けた進捗について」を御覧ください。
当館における民間発行のオンライン資料の制度収集につきましては、現状、無償かつDRM(技術的制限手段)が付されていないもののみ収集対象となっており、有償又はDRMが付されたオンライン資料、以降「有償等オンライン資料」と申し上げますが、これらについては、当分の間、提供義務が免除されております。この有償等オンライン資料については、令和3年3月の審議会において、答申「有償等オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」を頂戴いたしました。この答申の概要は参考資料2として添付しております。
当館としましては、答申の内容に沿った形で、有償等オンライン資料の制度収集開始に向けて、準備を進めております。以下、資料に沿って準備の進捗を御報告いたします。
(1)の法規整備については、令和4年5月25日の参議院本会議において、国立国会図書館法等の一部を改正する法律が成立し、6月1日に公布されました。この改正により、有償等オンライン資料の提供義務を免除する規定が削除されました。改正法及び新旧対照表を資料6及び7としていますので御参照ください。
同時に、国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程の改正も行いまして、国立国会図書館法と同様に、有償等オンライン資料の提供義務を免除する規定が削除された他、長期的な保存及び利用に適していると認められる状態で館にオンライン資料を提供する旨の規定が追加されました。この改正が、参考資料8と9になります。その後、運用について詳細を検討しまして、9月15日に国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件を改正いたしました。この改正で、技術的制限手段、DRMが付されていないものを提供することと、同一内容のオンライン資料において優先的に提供すべきバージョンの選定基準につき、参酌すべき基準を4点定めています。
1点目、複数のフォーマットが流通している場合は、PDF、EPUBリフロー型、EPUB固定型、その他の優先順位で提供、2点目、テキストデータ付きで流通している場合は、テキストデータ付きのものを提供、3点目、解像度の異なるものが流通している場合は、最も解像度の高いものを提供、4点目、全体版と分割版の両方が流通している場合は、全体版を提供、となります。 この改正が、参考資料10と11となります。これら3件の改正は全て、令和5年1月1日が施行日となります。
なお、オンライン資料ではなく有体物の納本制度の関係となるのですが、今回あわせて、国立国会図書館法の別表第2に2つの法人を追加する改正も行われ、改正法の公布日に施行されました。この別表第2は、特殊法人のうち地方公共団体と同等の出版物納入義務を課すものを記載しております。また、国立国会図書館法による出版物の納入に関する規程にて、これら2つの法人の納入部数を規定しました。
(2)の対外説明等についてですが、有償等オンライン資料の制度収集の開始について、法改正が成立した折などの機会をとらえて、関係団体に周知を行っております。また、10月26日には出版社等に向けた説明会をオンラインで開催しました。173名の方に御参加いただき、有償等オンライン資料の制度収集の概要及び収集方法につき説明いたしました。質疑応答では、納入するフォーマットの優先順位や同一版面について、また納入方法の詳細など、実務にかかわる質問を多数いただきました。主な質問と回答は当館のHPに掲載しております。説明資料及び説明の動画もあわせて掲載いたしました。
今後の予定ですが、(1)の運用の調整等としましては、収集除外対象となるリポジトリについて、一般社団法人デジタル出版者連盟等と、認定に向けて引き続き調整を行っております。
また、オンライン資料の館内におけるプリントアウト及び遠隔複写については、PDF形式のものを対象に、令和5年1月中旬に開始することとなりました。
(2)の対外説明等としましては、著作権者や発行者を始めとする権利者の方々の御理解、御協力を得られるよう、制度の趣旨や具体的な収集実務について、引き続き丁寧な説明を行います。また、より広範囲に制度を周知するため、「国立国会図書館月報」1月号への記事掲載など、幅広い広報に努めてまいります。
御報告は以上となります。
会長:
どうもありがとうございました。オンライン資料収集につきましての今の事務局からの報告につきまして、何か御質問や御意見はありましたら、お願いいたします。御質問御意見の際には、画面下のほう、挙手機能をお使いいただくか、あるいは直接御発声いただいても結構です。画面のレイアウトの関係で、私の方で即時に把握できないかもしれませんが、その場合は事務局の方にサポートをお願いいたします。
せっかくの機会ですので、何かありましたら、是非よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
委員:
よろしいでしょうか。
会長:
はい、よろしくお願いいたします。
委員:
先ほど説明いただきました資料5、有償等オンライン資料の収集制度開始の進捗について、長く委員として関わってきて、肩の荷を下ろしたような気がしているのですが、それだけに、2の今後の予定の運用調整等のところ、もう少し聞かせていただければと思います。収集除外対象となる民間リポジトリについて、認定に向けて協議を続けているということなのですが、具体的にこれも1月1日から運用されていくのか、もう少し御説明いただければと思います。
会長:
ありがとうございました。今の点いかがでしょうか。事務局よろしくお願いいたします。
事務局:
事務局から申し上げます。収集除外対象となる民間リポジトリにつきまして、現在一般社団法人デジタル出版者連盟(電書連)と調整をしておりまして、こちらは今年中の覚書の締結を目指して、現在調整を続けております。スケジュールどおりにいけば、1月1日からリポジトリとして運用されるという想定でおります。電書連に関しましては以上です。
委員:
分かりました。順調であると受け取りました。
会長:
どうもありがとうございました。引き続きいかがでしょうか。
委員:
発言してよろしいでしょうか。
会長:
それではお願いします。
委員:
2点あるのですが、1点目は、通しページ2ページ資料収集状況で統計数値があります。有体物は図書、雑誌新聞、その他となっていて、図書と雑誌・新聞が別々に記載されているのですが、無体物は、オンライン資料について、民間・公的機関に分けてあって、図書と雑誌・新聞の区別がこの中にないと思うのですが、この点数の数え方についてです。先ほど図書と雑誌・新聞で少しお話があったと思うのですが、私の理解だと、雑誌・新聞というのは、この1,944万点というのは、たとえば月刊誌であれば1年分で12点というふうに数えているのかなと思うのですけれど、オンライン資料の電子雑誌というのはどう数えているのか、この85.7万点とか、こういう数字はどう考えればいいのかについて、ちょっと教えていただきたいと思います。
収集書誌部長:
有体物の雑誌・新聞については仰るとおり1号ごとで1点なのですけれども、オンライン資料の電子書籍・電子雑誌等については、陪席の実務担当の方から回答させていただいてよろしいでしょうか。
会長:
はい、お願いします。
事務局:
お答え申し上げます。オンライン資料のうち電子雑誌の単位について、詳細は確認しまして後日議事録送付の折にきちんとしたお答えを申し上げますけれども、基本的には1つのファイルの単位を1として数えていると聞いております。ですので、紙でいうところの1号分が1つのファイル単位になっておりましたらば、それが1単位になるのですけれども、記事単位で1ファイルの場合には、記事単位を1としてカウントしております。以上でございます。
〔後日補足〕:
オンライン資料のうち電子雑誌の統計採取単位は、記事・論文単位でファイルが利用されているものは1記事=1ファイルを1点、論文の性格を持たない年報や業務報告などは、複数ファイルをまとめて、有体物でいう1点としています。
委員:
通常学術雑誌等は1論文が1ファイルになっていると同時に、物理的な単位に対応するようなものとか、非常に複雑なものが一緒になっていると思います。オンライン資料として1つにまとめられた形で出ることで、中身が良く分からなくなるおそれがあるように感じたのですが、こういうところに出る数値としてこれでいいのか、たとえば有体物と無体物を比較するようなときに、そういうことが非常にしにくくなります。今は移行期なわけですけれども、どういう変遷があるのかということを見ることがこれでできるのかというのがちょっと不安に思いましたので、お尋ねしました。そのあたりで何かございましたら教えていただきたいです。
会長:
ありがとうございます。今の点いかがでしょうか。有体物のほうは図書、雑誌・新聞で分けたデータになっていると。オンライン資料についてもそういうやり方もあり得るわけで、これまでの収集との対比とか、統計的な蓄積という意味では、どうかという趣旨を含んでいたと受け取りましたけれど、その点に関しまして何か現時点でありましたら。
事務局:
御指摘のとおり、オンライン資料と申しますのは有体物とは異なって数え方が難しいところで、有体物と完全に対比してというのはなかなか難しいのでございますが、統計については今後検討をさせていただきたいと思います。以上です。
委員:
承知しました。よろしくお願いいたします。もう1点あるのですがよろしいでしょうか。
会長:
はい、お願いいたします。
委員:
今回新しいものが1月1日から始まるということで、通しページでいうと30ページに資料がございます。去年の3月の答申の概要で、補償すべき費用の内容についてというものですが、この資料の4に補償というのがございます。提供するための複製費用は軽微であるから経済的な損失は特に発生しないと、だから補償は要しないと。これは全体として了解された事項だと思うのですが、たとえば今電子書籍等で個人が購入する場合と図書館で購入する場合だと、提供される価格が図書館の場合3倍から4倍の価格設定になると聞いておりますが、そういうことはこの場合考えないということなのだと思います。ただ、これの裏側としては、国立国会図書館に納入すると、館の内部では少なくとも閲覧可能になるということに対する抵抗が考えられると思います。それで、4の補償の一番最後のところ、「制度収集の実効性を高めるためには、金銭的補償にこだわらず、政策的補償に相当するインセンティブが必要である。著作の真正性の証明、データバックアップ機能、統合的検索サービスから本文情報へのナビゲートがインセンティブとして期待される。」とあります。今ここに3つの事項が上がっているのですけれども、2番目と3番目は分かるのですが、この1番目の著作の真正性の証明のようなものというのは、何か具体的に検討されていることがあるのか、他の2つも含めて、このあたりの政策的な補償がどういうものなのかについて、お伺いしたいと思います。
会長:
はい、いかがでしょうか。念のため確認しますと、通しページ30ページ、答申の概要ですね、そこの4の補償の4つ目の・というのが、金銭的補償は行わないということで答申をいたしまして、それに基づいた法改正、それに続く規定の整備が進んでいるわけですね。それに対しまして、4つ目の・にありますように政策的補償と、金銭以外で何かインセンティブあるいは代償的なものを考えましょうというのが答申の趣旨でしたので、そこの具体例として挙がっている3つのもの、特に第一の真正性の証明について、何か現時点で進捗あるいは事務局のほうで取り組んでおられることがありましたらという御質問と受け止めました。いかがでしょうか。
事務局:
事務局からお答えいたします。まず3つ挙がっているうちの著作の真正性の証明につきましては、もともと紙媒体、有体物では記事証明というものをやっており、それと同様のことができないかということで検討いたしまして、納入いただいたオンライン資料について、お求めがあれば、受入日の証明、いつ受け入れたものであるかということを証明できるような仕組みを想定しております。2点目のデータバックアップ機能につきましては、当館に出版者の方からオンライン資料を納入いただいた後で、出版者様のお手元にファイルがなくなってしまった場合に、当館にお申し出いただければ、当館で保存していたものをお渡しするという仕組みを考えております。要するに当館が保存庫のような役割を果たすというところですが、こちらも現在調整中でございます。3点目の統合的検索サービスからの本文情報へのナビゲートにつきましては、こちらは現在当館の検索システムである国立国会図書館サーチに販売サイトへのリンクが出ております。また、実際にファイルを納入いただきますと、オンライン資料の提供元のURLが当館のデジタルコレクションに表示されますので、そこからそのファイルを置いてある元々の出版者のサイトにリンクができる形になっておりまして、そのような形で販売サイトや本文情報へとナビゲートするということをインセンティブと考えております。現状は以上となります。
委員:
ありがとうございました。1番目の真正性ということなのですが、これが何を意味するのか。今のお話だと、出版者から提供された時の受入日ということで、なぜこれが真正性なのかということについて、伺えればと思います。たとえば図書館で受け入れるということ自体は、必ずしも受け身の行為でもなくて、メタデータを付けて等々、図書館が何らかの存在を認知したということだと思います。逆に言うと、海賊版だとか、そういうものが紛れ込んでいた場合、そういうものは受け入れないということなのか、特に見ないで受け入れたということをNDLで証明したりするのかと、そのあたりのところがいまひとつ良く分からなかったのですが、いかがでしょうか。
事務局:
事務局でございます。最後に触れていただいた、海賊版であるかないかを証明する趣旨とは異なっております。受け入れた時点でそこまで当館で一つ一つ調べているわけではございませんので、それを当館の受入をもって証明するというのは難しいと考えております。紙媒体の記事証明というのは、当館で受け入れた資料のこの部分の記事ということで、それが確かに受入資料に載っていることを証明するものでございますが、オンライン資料につきましては、特にリフロー型など、なかなか同様に証明するのが難しい部分があるということと、今まで無償のオンライン資料に関しては既に収集しているところでございますが、今のところこういった御要望をいただいておりませんので、今後どのようなニーズがあるかというのを実際に御要望・御相談いただきながら、それに合わせて今後調整していきたいと考えております。以上です。
委員:
はい。できるだけ政策的補償に沿った形で検討いただければと思います。ありがとうございました。
会長:
ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
委員:
よろしいですか。
会長:
お願いいたします。
委員:
直接このことに関係があるということではないのですけれど、他にこの後議題も挙がっていないので、先日の説明会の時に、デジタルコレクションのサイトをリニューアルするという話を伺いました。よろしければ、その目的、意図あるいは内容等少し伺えればと思います。
会長:
事務局いかがでしょうか。
収集書誌部長:
リニューアルは定期的に行っているのですが、補正予算等が付いたこともありまして、近年デジタル化がかなり大幅に進みましたので、今回はそれに対応するように、デジタル化資料を提供するためのデジタルコレクションのサイト、システムのほうもリニューアルいたします。特に、今まで基本的には画像データを提供していたのですけれども、リニューアル後は、基本的にテキストデータも付いた形で提供し、著作権法の範囲内で、検索に使えるようになります。古典籍などテキストが付かないものもありますが。また、今後の予定のところで御説明しましたが、オンライン資料のプリントアウトへの対応を行います。今までは無償のオンライン資料等で、基本的にはどなたでもインターネットで見ることができるというので、プリントアウトしなくても大丈夫だろうということがあったのですけれども、だんだん古いものについてはアクセスできないものもできてくるので、そろそろプリントアウトサービスをしなければいけないという課題がありました。それもこの新しいリニューアルしたシステムでその機能を持たせて行うこととしております。主要な変更点、機能追加は以上だと思います。
委員:
ありがとうございます。ということは、今までPDFで提供されていたものが、そこにOCRで読み込めるようなものがデフォルトになっていくというか、それで画面構成システムも全部変わっていくというイメージでよろしいでしょうか。
収集書誌部長:
OCRでテキストデータを持たせたものを提供いたしまして、そこのところは検索しに行くという感じになります。スニペット表示まではいたします。
委員:
つまりそれはダウンロードしたりすることが可能になっているものも当然あるわけですよね、パブリックドメインのものなどは。テキストが付いた形でダウンロードできるということになりましょうか。
収集書誌部長:
(テキストデータの)デジタルコレクションからのダウンロードは考えておりませんので、パブリックドメインも含めて、残念ながらダウンロードはできない、ということになります。一方で、話が外れてしまうのですが、実験用システムで次世代デジタルライブラリーというのをやっておりまして、そちらではダウンロード機能も付けているのですけれど、デジタルコレクションでパブリックドメインのものだけダウンロードするという機能は今回のリニューアルでは実現しておりません。
委員:
分かりました。ありがとうございます。
会長:
どうもありがとうございます。事務局から補足があるようですのでどうぞ。
事務局:
基本的に、テキストを付けるのは当館でデジタル化した資料になりまして、外部から収集するオンライン資料につきましては、もともとテキストデータの付いているものについては検索可能となりますが、付いてないものにこちらからテキストを付けるというところまでは現在考えておりませんので、あくまでいただいたファイルに付いている範囲内で検索ということになります。
委員:
ありがとうございます。追加の発言をしてよろしいでしょうか。ということは、今回のオンライン収集は基本的にPDFで出してくださいということをお願いしているわけなので、そこにテキストが付いているスタイルのファイルが入ってくれば、それは検索対象になるけれども、という理解でよろしいでしょうか。
事務局:
仰るとおりでございます。
委員:
ありがとうございました。
会長:
はい、どうもありがとうございました。確かに、デジタルコレクションで古典籍はなかなか難しいと思うのですが、明治期の文献もテキストデータができるようになると研究上は非常にありがたい面はあると思うので、是非お進めいただければと考えます。他になにかありますでしょうか。よろしいですか。
委員:
もう一点、よろしいですか。
会長:
はいどうぞ。
委員:
先ほどの、資料5の有償等オンライン資料の制度収集なのですが、機関リポジトリは収集除外対象となると書いてあります。となると、これは機関リポジトリとして、国立国会図書館の中では検索等ができるのですが、今後国立国会図書館が報告する資料としての資料収集状況の中の点数には含まれて来ないという理解でよろしいのでしょうか。
会長:
今の点いかがでしょうか。
事務局:
事務局から回答いたします。先ほど御紹介しました電書連のような収集除外となるリポジトリに関しましては、当館の収集した資料の点数の中には含めないと考えております。資料本体は各リポジトリで保存いただくのですが、メタデータのみ連携しまして、当館の検索システムから検索できるようになっています。ですので、本体に関しては含まれないと考えております。以上です。
委員:
要望なのですけれども、日本の電子書籍がどれくらい出ているのかを正式に決めていくことが統計として求められます。今までは民間事業の中で民間が各社で発表しているだけなのですが、せっかく国立国会図書館の中での制度収集の枠組みの中でとらえられるので、収集ではないけれども、こういう点数があるよというようなものを補足的に出していただけないでしょうか。日本の電子書籍の点数が増えて、これくらいあるということを私たち知りたいところです。できればお願いしたいと思います。
収集書誌部長:
認定しました民間リポジトリ、収集除外対象のリポジトリについてはこういうところがリポジトリとして収集除外対象となっていて、それはこういう点数を含むものだよみたいなことを表すことが何らかの形でできると思います。ただ、そこが日本の電子出版状態のそれほど全体かというとまた違うかもしれませんので、そこもまた一部かもしれないとは思っております。
委員:
念のためですけれど、直接国立国会図書館に納本される電子書籍というのは当然あるわけで、この点数は収集点数として含まれるわけですよね。
収集書誌部長:
はい、もちろんそうでございまして、今日の資料の数え方が難しい資料2のような形の収集した無体物の数のほうに含まれることになります。
委員:
分かりました。では、あわせてですけれど、先ほども質問がありました、どういうふうに点数を数えているか備考か補足で明らかにしていただければよろしいかと思います。特に電子書籍に占める比率の多いコミック類は、例えば『ONE PIECE』はタイトル数でいうと1点と数えますが、巻数というと100何巻あり、さらに配信は話数単位であったり、話を細かく割ったりしているので、数え方が多様です。数え方の問題は、雑誌だけではなくて図書のほうでも起こりうることだと思います。ですから、電子書籍の数え方についてご検討いただいた上で、開示いただければと思いました。
収集書誌部長:
はい、うまく統合するのは難しいかもしれませんけれども、少なくとも説明はきちんとしていきたいと思います。ありがとうございます。
会長:
他にいかがでしょう。よろしいでしょうか。
事務局:
事務局から一点だけよろしいでしょうか。
会長:
どうぞ、お願いします。
事務局:
先ほどの電子書籍の出版点数に関して、全体像というのは申し上げたとおり難しいのですけれども、現在、JPRO、日本出版インフラセンターとの連携は、紙媒体につきましては近刊情報という形で、当館が収集する以前の刊行時期のデータというのを期間限定の形で連携しております。電子書籍に関しても、電書連リポジトリのメタデータはJPROを通じて連携することになっておりますが、電書連以外の電子書籍のメタデータにつきましても、JPROが持っているものについては連携の調整をしているところでございます。
会長:
はいどうも。やはり情報提供といいますか、基本的には国立国会図書館で収集しているものの他に、これからはこういう機関リポジトリもあるよというのは、概要といいますか、分かりやすい形で国民に示すということは重要ではないかと私も考える次第です。他に委員の方々、よろしいでしょうか。
【会次第3 今後の日程について】
会長:
それでは、会次第3、今後の日程について、事務局から説明をお願いします。
収集書誌部長:
今後の日程について御説明いたします。 有償等オンライン資料の制度収集につきまして、本日進捗を御報告いたしましたが、来年1月からの制度収集に向けて、引き続き、より詳細に準備を行ってまいります。
次の審議会についてですが、制度収集開始後の状況がある程度まとまったところで御報告させていただきたいと考えておりまして、令和5年度の半ば頃の開催を予定しています。制度開始直後だとどれくらい集まってくるかが全く見えませんので、ある程度まとまったところでと考えております。現在の第12期納本制度審議会の任期は、来年6月末までとなっておりますが、委員の皆様には、真摯に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。おかげさまで、長年の懸案だった有償等オンライン資料の制度収集が開始できる運びとなりました。今後とも、御指導を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。事務局からは以上でございます。
会長:
今後の日程、スケジュールについての今の事務局の説明につきまして、何か御質問等はありますか。よろしいですか。そうしましたら、予定されている議題や報告は以上で終了ということになります。なお何か御質問・御意見はございますか。
よろしいですか。はい。事務局のほうも補足等特によろしいですか。
【閉会】
会長:
それでは、以上で第37回納本制度審議会の会次第は全て終了いたしました。
本日はこれで散会いたします。第8波ということが言われておりますので、引き続き御健勝の程を祈り上げます。どうもありがとうございました。
(16時50分終了)

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