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第23回納本制度審議会議事録

日時:
平成25年3月28日(木)午後2時~3時15分
場所:
国立国会図書館本館4階特別会議室
出席者:
中山信弘会長、濵野保樹会長代理、石﨑孟委員、遠藤薫委員、角川歴彦委員、岸本佐知子委員、北川直樹委員、福井健策委員、藤本由香里委員、三輪眞木子委員、山本隆司委員、湯浅俊彦委員、植村八潮専門委員、大久保徹也専門委員、三瓶徹専門委員
会次第:
1. 委員の委嘱の報告
2. 大滝国立国会図書館長挨拶
3. オンライン資料の収集等に関する国立国会図書館法の一部改正の報告
4. 納本制度審議会の所掌範囲の変更について
5. 送付に係る補償金額の算定方法について
6. オンライン資料収集制度課の進捗状況について
7. 代行納入機関における納入漏れ防止策の進捗状況について
8. 今後の日程について
配布資料:
(資料1)第22回納本制度審議会議事録
(資料2)納本制度審議会委員専門委員名簿
 付:平成24年6月21日付け官報該当部分(写し)
(資料3)オンライン資料収集制度化の経緯
(資料4)国立国会図書館法の一部を改正する法律
(資料5)国立国会図書館法の一部を改正する法律(新旧対照表)
(資料6)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程案
(資料7)納本制度審議会規程の一部改正について
(資料8)納本制度審議会規定の一部改正案(新旧対照表)
(資料9)オンライン資料の送付に要する補償金額について
(資料10)オンライン資料の制度収集
(資料11)オンライン資料収集制度化の進捗状況について
(資料12)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
(資料13)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
(資料14)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会決定)
(資料15)国立国会図書館法第二十五条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)

議事録:
(開会) 開会・定足数の確認等
会長:  それでは定刻を過ぎましたので、第23回納本制度審議会を開催いたします。委員の皆様方にはお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、15名の委員中12名の委員、あと1名、後にお見えになると思いますが、一応12名御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。また、本日は専門委員の方々3名にも御出席をいただいております。
 なお、傍聴の方々は、メモを取ることは御自由でございますけれども、自由な審議を行うため、録音及び撮影については、御遠慮くださいますようお願いいたします。
 それでは初めに、事務局から、配布資料の説明をお願いします。
事務局:  〔配布資料について説明。〕
会長:  過不足はございませんでしょうか。それでは、お手元の会次第に従いまして、審議を進めて参りたいと思います。
 
(会次第1)委員の委嘱の報告
会長:  それでは、会次第の1「委員の委嘱の報告」に入ります。事務局から御報告をお願いします。
収集書誌部長:  座ったままで失礼いたします。一般社団法人日本出版取次協会会長の交代に伴い、平成24年6月 20日付けで山﨑厚男委員の委嘱を解き、古屋文明委員を補欠として納本制度審議会委員に委嘱いたしました。なお、納本制度審議会規程第4条第2項ただし書の規定により、委嘱期間は発令日から平成25年5月31日までになります。以上でございます。
会長:  ありがとうございました。新任の古屋委員は、今回やむをえない事情で御欠席でございます。
 会次第にはございませんけれども、ここで、昨年3月の第22回納本制度審議会の議事録の取扱について、事務局から説明をお願いいたします。
事務局:  議事録につきましては、議事運営規則第16条に基づき、前回出席された委員の皆様方の御確認、御了承を得まして、当館ホームページ上において既に公開をさせていただいております。
会長:  ありがとうございました。
 
(会次第2)大滝国立国会図書館長挨拶
会長:  それでは、会次第の2に入ります。大滝国立国会図書館長から御挨拶を頂戴することになっております。
〔館長、副館長入室〕
会長:  それでは、館長からよろしくお願いいたします。
館長:  国立国会図書館長の大滝則忠でございます。中山会長、御挨拶を申し上げる機会を与えていただき、ありがとうございます。私は、館長に就任しまして1年近くになるわけですけれども、平成24年4月1日付けで、第15代国立国会図書館長を拝命いたしました。また、昨年9月10日付けで、副館長も交替いたしまして、ここに控えております池本幸雄が第23代の副館長に就任いたしました。両名とも、よろしくどうぞお願いいたします。
 さて、館長就任以来はじめての納本制度審議会となりますので、お許しを得て、一言、御挨拶させていただきます。
 まず、本日は年度末の大変に御多用中のところ、当審議会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。国立国会図書館の業務の根幹をなします納本制度につきまして、皆様の御指導と御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 私は国立国会図書館の元職員でございまして、36年余を奉職いたしました。平成16年12月に副館長を最後に退職して館を離れましたが、このたび図らずも7年振りで新しい持ち場を与えていただいて戻ってまいりました。この間の国立国会図書館の内外の動きは非常に目覚ましいものがあると実感しております。ますます急速に進展するデジタル情報時代において、この時代に最も適合した国立国会図書館の業務のあり方を模索しながら、館長として運営に取り組んでいるところであります。特に、御承知のとおり、伝統的な印刷資料と同じように、多様なデジタル情報を収集し、将来的に活用できるようにするという国民的課題に対する制度化を進めることは、国立国会図書館が当面する最大の課題であります。これまで、この納本制度審議会で御審議いただいた結果を実施に移す形で、一連の国立国会図書館法の改正を重ねていただき、各種のデジタル情報を制度的に収集する体制を、段階的に整備させていただいておりますことは、中山会長をはじめ、納本制度審議会の委員及び専門委員の皆様の御尽力のお蔭でありますこと、厚く御礼申し上げる次第であります。
 本日は特に、民間発信の無償オンライン資料の制度的収集が来る7月1日から施行されますが、その実施に向けた準備状況をはじめ、1年前の審議会以降の取組について御報告させていただき、御意見御指導を賜りたく、どうぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
 結びに、引続き、中山会長をはじめ、委員及び専門委員の皆様方の御指導を賜りつつ、国立国会図書館が担う納本制度の一層の充実のために努力する所存でございますので、今後とも何とぞよろしく御鞭撻のほどをお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。
〔館長、副館長退室〕
 
(会次第3)オンライン資料の収集等に関する国立国会図書館法の一部改正の報告
会長:  それでは、会次第の3に入ります。オンライン資料の収集等に関する国立国会図書館法の一部改正につきまして、事務局から報告がございます。よろしくお願いします。
事務局:  〔資料3、4、5に基づき報告。〕
会長:  ありがとうございました。ただ今の報告に関しまして、何か御質問はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に進みたいと思います。
 
(会次第4)納本制度審議会の所掌範囲の変更について
会長:  それでは、会次第の4に入ります。納本制度審議会の所掌範囲の変更につきまして、事務局から報告がございます。よろしくお願いします。
事務局:  〔資料6、7に基づき報告。〕
会長:  ありがとうございました。ただ今の報告に関しまして、何か御質問がありましたらお願いします。
委員:  確か先ほど、収集の免除をするものとして、通し番号の22ページ、条文で言うと25条の4の2項の3号のところで、「オンライン資料の性質及び公衆に利用可能とされ、又は送信された目的に鑑み前項の目的の達成に支障がないと館長が認めた場合」ということで、私立大学のレポジトリなどとうかがいましたけれども、この理由としては、その後に登場した、当分の間は、消去されそうもないから、というのが理由になるのでしょうか。
事務局:  さようでございます。機関レポジトリあるいはNII、国立情報学研究所にあるJAIROと呼ばれるようなレポジトリに出ている論文等に関しましては、基本的にすぐ消されたりする可能性はない、ということで、当分の間、収集は免除するということにいたしております。
会長:  よろしいでしょうか。
委員:  はい。
会長:  他に何かございましたら。
委員:  理解しにくいような表現をしていますけれども、言ってみると非常に単純なことで、オンライン資料の収集をするということを言っているわけですよね。
会長:  それで、その例外を「当分の間」として定めているということです。
委員:  そうそう。
会長:  これは、法律にはよくあることで、正確に書こう思うと、こういうことになるのだと思います。よろしいでしょうか。それでは、次に進みたいと思います。
 
(会次第5)送付に係る補償金額の算定方法について
会長:  会次第の5に入ります。送付に係る補償金額の算定方法につきまして、事務局から御報告をお願いします。
事務局:  〔資料9に基づき説明。〕
会長:  はい、ありがとうございました。ただ今の説明につきまして、何か御質問ございましたら、お願いいたします。
委員:  10分の1という説明がよく分からなかったのですが。
会長:  普通は1枚いくら、ということになりますが、10枚セットで売っているからということですね。
委員:  分かりました。
会長:  これは、要するに、普通のスーパーか何かで売っている値段に近い値段ですね。それを正確に言うと、こうなるということですね。
事務局:  さようでございます。
会長:  要するに100円しないくらい、7、80円くらいでしょうか。
事務局:  はい。そのくらいです。
委員:  なかなか難しいところですね。実際には、1枚1枚買うと大分高い、10枚組で買う人ばかりじゃないよ、とかいう意見も出るかもしれません。媒体の指定がされているのは、補償金の根拠としての指定ですか、実際の納入方法としても、DVD-R中心で行うということですか。
事務局:  現在は、DVD-Rを想定しているということでございます。
委員:  算定方法だけではなくて、実際にDVD-Rで納入させるということですか。
事務局:  はい。ただ、技術革新等で他に有力な媒体等が出てまいりましたときには、見直すときがある、ということでございます。
委員:  送信させるというのは、あまり現実的ではない、という御判断でしょうか。
事務局:  それにつきましては、次項で説明をさせていただきます。
会長:  よろしいでしょうか。それでは、記録媒体と郵送に要する最小限度の実費につきましての算定方法は、この内容で御異議ございませんでしょうか。ありがとうございます。本件については、この内容で納本制度審議会の了承といたします。
 
(会次第6)オンライン資料収集制度化の進捗状況について
会長:  それでは、会次第の6に入ります。オンライン資料収集制度化の進捗状況につきまして、事務局から報告をお願いします。
収集書誌部副部長:  〔資料10、11に基づき報告。〕
会長:  ありがとうございました。ただ今の報告に関しまして、何か御質問はありますか。
委員:  今うかがったところでは、収集する対象は「無償出版物でDRMがついていないもの」、ということですよね。ただ、先ほどお示しいただいた改正法では、「無償でDRMなし」という条件は、条文の中にはうかがわれないので、もしかしたら24条及び24条の2の規定するものに入っているのかもしれませんが、その点、どのように理解すればよろしいでしょうか。
収集書誌部長:  資料の通し番号の20頁をごらんいただけますでしょうか。前の19頁からきているところでございますけれども、国立国会図書館法第11章の3、オンライン資料の記録、というところで、こういったものを集めます、ということが決められております。20頁の方に移りまして、附則のところでございます。附則は、全部で5条あります。第1条は施行日です。第2条、提供の免除と言うところがございます。ここのところで、いろいろ規定が細かく書いてあります。「この法律による改正後の国立国会図書館法第二十五条の四第一項に規定するオンライン資料のうち有償で公衆に利用可能とされ、又は送信されるもの及び技術的制限手段・・・」、いろいろ細かく書いてありますが、最後から4行目まで飛ばしていただいて、「・・・が付されているものについては、当分の間、館長の定めるところにより、同項の規定にかかわらず、その提供を免ずることができる。」という、ここでございます。
委員:  わかりました。そこに「有償のものを除く」という条件が入っているのですね。
収集書誌部長:  さようでございます。
会長:  法律の本文で書いてあって、附則で除外している、ということはよくあることだと思います。
委員:  わかりました。
会長:  他にありますか。
委員:  利用提供は、当分、館内の閲覧ということでしたが、これは、定義上は、著作権法の新設31条3項の入手困難資料の公共図書館への公衆送信の対象にはなる、という理解でよろしいですか。
収集書誌部副部長:  公衆送信の対象にはなりません。
委員:  ならないのですね。どこのところでならないのですか。
総務部副部長:  31条の3で規定しているものは、紙の資料をデジタル化したものが対象ということです。複製範囲が定められています。31条の2に公衆送信を目的として複製する、という規定に今回法改正されておりますので、デジタルの形で集めたものは対象とはなっておりません。
委員:  そういうことなのですね。
委員:  先ほどの説明でもありましたが、説明会がありまして、私がやっている団体等でも情報関係なものですから、大変関心が高くて、説明会に申し込んだのですが、満員で行けなかった、と聞いております。このパワーポイントの資料等は公開する予定はございますか。
収集書誌部副部長:  説明会で用いた資料は、公開されております。それから、4月にもまた同じものを開催いたします。必要があれば、また開催することも考えなくてはならないと思っております。
委員:  ネット上に資料は公開されている、ということですね。
収集書誌部副部長:  はい。
会長:  他に何かございませんでしょうか。
委員:  納入義務対象の中の、対象外の一番上のところに書かれております「法施行前のもの(平成25年7月より前)」についてですが、逐次刊行物のような形で提供されているものについても、やはり、7月以降のものだけを集めるということでよろしいのでしょうか。
事務局:  これは、当面はその形を採らせていただくということでございます。
収集書誌部長:  補足しますと、義務として発生するのは平成25年7月以降ですが、それ以前のものも当館としてはなるべく集める、ということで、個々の出版の方とお話を具体的にさせていただている形でございます。
委員:  今の件に関してですが、1月30日の説明会を私は関西館で聞いていましたが、その時、法施行前のものについてどうなるのか、と質問をしましたところ、寄贈をお願いする、というお答えをなさっておりました。ちょっと補足です。
会長:  他に何かございますか。よろしいでしょうか。
 
(会次第7)代行納入機関における納入漏れ防止策の進捗状況について
会長:  それでは、次の会次第の7に入ります。代行納入機関における納入漏れ防止策の進捗状況につきまして事務局から説明をお願いいたします。
事務局:  前回の第22回納本制度審議会におきまして、日本出版取次協会に対して組織的・系統的な納入漏れ防止措置の実施を依頼するよう御指示がございました。そこで、平成24年3月28日付け国図収1203261号「組織的・系統的な納入漏れ防止措置の導入について」という文書で、日本出版取次協会に対しまして国立国会図書館から依頼をいたしました。
 この依頼に対しまして、この1年の間、日本出版取次協会からは、何度か相談や提案というようなものがございましたが、今年度打ち合わせてきた範囲では、特段、一貫した措置の提案を受けることができませんでした。最近になって出されてきたのは、組織的・系統的な納入漏れ防止措置の一部ということで、現時点で収集がなかなか困難であり、かつ、出版状況の把握が難しいとされるコミックやムックなどの分野で、まず実験事業的なもの、モデル事業的なものを行い、それで良い結果が出るようであれば、その手法や指導の措置等を他の分野まで応用し、それを包括的な納入漏れ防止策まで高めていこうという案でございます。現在は、その御提案につきまして、国立国会図書館の中で精査をしている段階というところでございます。
会長:  ありがとうございます。ただ今の説明につきまして、何か御質問等はありましたら。
委員:  その具体的なモデル事業というのが、どういうものを指すのかよくわかりません。また、これまで何度かお話をさせていただいて、出版社は必ず取次会社には見本誌の納入をするので、その機会を利用して、必ず1冊、国立国会図書館用に抜けば、それで完全に漏れがなくなるはずだ、という指摘がありました。前回の審議会で日本出版取次協会の会長もそれで問題はないはずだ、とお答えくださったにもかかわらず、どうして先に進まないのかがちょっと理解し難いのですが。どういう説明だったのでしょうか。
事務局:  まず、モデル事業というのは、国立国会図書館がお金を出してやる、というわけではなく、あくまで日本出版取次協会の中で実験事業としてやってみたい、というようなことでございまして、その手法についてはまだ細部まで詰めていないようですが、なるべく早急に調査を行って、実態をつかんでいくようにしたい、そして、平成25年度中には事業を実施したいというお答えを頂いております。
委員:  いや、その前の話ですよね。見本誌を納入する義務があるので、必ず納入しているはずですから、どうしてそれを国立国会図書館に納入することができないんだろう、ということを山﨑前委員がおっしゃったのだろうから。それに対する答えになっていませんよね。モデルを作らなくてはいけないということでしたが、なぜモデルを作らなければいけないのだろう。
収集書誌部長:  昨年の3月6日の納本制度審議会で、日本出版取次協会の山崎前会長からもお話があって、それを受け、国立国会図書館の方からも私の名前で、日本出版取次協会の方に、組織的・系統的な納本漏れ防止措置の導入について、検討の申入れ文書を出しました。それで、具体的にどうやっていくのかということに関して、いろいろ協議を1年間進めようということでやってきたわけですけれども、一つは、こちら側が実際にどのくらいの資料が入っていて、どういったものが入っていないのか、というのが、これはこちらの内部の事情ですけれども、昨年、システムの大きな切替をやっておりまして、きちんとした統計データをとれていなかったという問題がございます。もう一つ、そのデータをこちら側が精査する、その準備が遅れていたということで、お話を先方とすること自体が遅れた、というのが二点目の問題でございます。具体的に統計データを取り始めましたのが、12月になってからでございまして、その意味でいうと、非常に申し訳ございませんが、先方との話合いが遅れておりました。具体的な話が始まりましたのが、第四四半期ということで、そのへんのところをお詫びさせていただきたいと存じます。それで、この納本制度審議会への御報告ということもありますので、当方の担当者と取次協会の事務局との間で、いろいろお話をさせていただき、先週あたりまで、具体的にどうすればいいんだというお話をさせていただきました。その中で、日本出版取次協会側のお話として、なぜ1冊抜いておけないのか、という説明がいろいろございまして、それは大きく理由が3つ、御説明がございました。1つ目の理由は、全部の資料が、取次協会、というか、取次会社へ来るわけでなく、直送する分が相当数あるので、重複が発生してしまいます、ということ、それが挙げられております。それから、具体的に日本出版取次協会が措置を採るとして、その場合、出版物の国立国会図書館への納入、これは寄贈の部分と代償金をお支払いしている部分がありますので、それで1点1点の確認が必要になるので、事務量が相当増大してしまう、というのが2点目の理由。3つ目が、新刊に関しては、新刊委託のものと、注文新刊があるということ、つまり、新刊委託は、全国の書店に委託配本するので、それを最初から配るということで入ってくるわけですが、注文新刊というのは、注文を前提として、注文されて初めて取次に来るんだと、それで1冊しか来ないから、基本的に、それを納本に回すことができないと、そういうことが先方の御回答だったわけです。我々としては、これはどうなのかなというところもございますので、この3つを含めまして、改めて、この御回答に関して内容の確認を、日本出版取次協会の事務局と、突っ込んだ話をさせていただきまして、その妥当性をちょっと確認させていただきたいと、そういうところでございます。ということで、昨年の納本制度審議会での皆様からのお話、中山会長からの御指示があったところを受けてであったわけですけれども、誠に不十分、至らぬところがあると思います。お詫びする次第です。
会長:  その点につきまして、何かございましたら。
委員:  確かに、取次への見本誌提出の際に1冊抜くことにしたとしても、配本されない注文新刊に関してはどうしてももれてしまう、というのは分かります。ただ、そういう特殊なものを含めて100パーセントにしろ、と言っているわけではなく、普通に取次に見本が入るものに関しては100パーセントにできるはずだ、という話だと思うんですね。
 寄贈なのか、それとも代償金をもらうのか、という判断に関しては、確か考慮が必要と思いますが、納本の時にその区別を取次が出版社に聞いているのは現在でも同じなんですね。なので、むしろ、逆に、一冊抜いてしまって、その後で、寄贈なのか代償金なのかを確認する方がいいと思います。納本義務はあるわけですから、それで問題はない。
 それから、取次会社に見本を持っていくのは、よほどの事故が起こらない限り各出版物ごとに1回のはずで、それがいくつも機会があるということはありえないと思うんです。だから、少なくとも取次会社に見本が入るものに関しては、組織的にもれなく納本することができるはずです。それだけでも、取次会社を経由して配本される出版物に関しては、もれなく納本させることができるのではないかと思うのですが。注文生産の出版物だけ別の対応を考えればいい。
 このことに関しては、3月の前回の審議会以前から、つまり一昨年から何回か日本出版取次協会とお話をさせていただいていると思うのですけれども、どうもお話を聞いていると、何か、言を左右にしている感じがあるんですね。どうしてできないのか、本当にしたくない理由はどこにあるのかが、本当によく分からない。しかも、日本出版取次協会の会長だった山崎前委員も、それはできるはずだ、とおっしゃっていたので、それがどうして事務局にいくと、できない、というお話になるのか。それについて何か、お分かりになることがありましたらお願いします。
収集書誌部長:  今のお話はごもっともだと思うのですが、私どもといたしましては、1年間あるいは2年間にわたりましてやり取りをしてまいりまして、次は事務局ともう少し踏み込んだお話をさせていただいて、実際の現場ではどうなっているのかというあたりまでを踏まえまして、実際に見て来て、お話をさせていただくというようなことを考えるか、というところでございます。
委員:  これは、日本出版取次協会と話しているんですよね。
収集書誌部長:  さようでございます。
委員:  現実としては、結局、トーハンか日販か、どちらかになるはずなんですよ。
委員:  半年交代にされているので。
委員:  だから、その半年交代、というのが煩わしいのではないかと思うんですよね。つまり、3年くらいは、もう…。
収集書誌部長:  半年交代を含めて、基本的な、大きな枠組みといたしましては、今のところ順調に、特に具体的なこの間の交代のところに関しては進んでいる、と、そういう認識でございます。
委員:  どうなんだろう、現場からみれば、半年なんてしょっちゅうだから。また代わるの、また代わるの、っていっているうちに、どさくさまぎれに漏れるのは出るのではないか。それよりも3年経ったらトーハンから日販にして、その間、納品がこんなにもれたたら、トーハンの責任だとか、日販の責任だとか、もう少し責任が明確に分かるようにしたら、かなり明確になると思いますよ。ぼくは現場を知っているから、半年ごとにというのは、結構、取次店も気の毒だと思いますよ。これが本当に商売にならない、ただ義務ということでやらなきゃいけないんですから。ちょっとかわいそうだなぁ、という気がします。半年っていうのは。半年交代には、何か意味はあるのでしょうか。
収集書誌部長:  意味があるかというと、今までの慣行で、要するに当館と日本出版取次協会とのお話の中でだいたいそういう形で最初に決まったものが、一定の時間継続してきているということでございまして、その「半年」の合理的な理由、これに関しては、ちょっと分かりかねるところございますが、今、角川先生のおっしゃることは一つの示唆かな、というところかと思います。
委員:  おそらくトーハンと日販とを平等にしたい、ということだったと思うんですよ。ですが、3年ごとでも平等ですよね、言ってみれば。6年経てば平等になる訳ですから。その辺りを、ぜひ、調べられてはいかがでしょうか。それから、ごく稀にですが、取引先が日販だけとかトーハンだけとかいう例もあるんですよね。そうすると、おそらく、トーハンしか取引していないという出版社から見れば、日販に漏れている分を、日販から取り寄せなければならない、というふうな追加的な作業が出てきているのではないかと思うんですよ。最初から日販に3年、トーハンに3年と決めておけば、トーハンの帳合はあるけど、日販の帳合はない、という出版社をリストアップしておいて、それでマッチングはできると思うんですよ。現実的に、取次の窓口に行かれたら分かりますけど、取次店の窓口というのは出版社とけんかしているみたいな状況なんですよね。そんな仕入れ窓口で、何部取ってもらうのかというのは出版社にとって死活問題なんですよ。そこに1部だけ取りのけろというのは、結構リアリティのない話だと思いますよ。
専門委員:  確認ですが、納入漏れが主に起こっているのはコミックスとおっしゃったと思うのですが、これは、いわゆるISBNがついた図書として発行されているコミックスということですか。逐次刊行物のマンガ雑誌ではなくて。コミックスは図書扱いだということですか。
事務局:  さようでございます。
専門委員:  それは普通どおりに仕入れに入っているものですね。しかも問題は、書籍では起こっていないのですよね。コミックスで割と起こっているということは把握できているわけですか。
事務局:  コミックスで起きているということが把握できているというよりは、コミックスについては、どの程度出版数があって、どの程度が収められているのか、という全体が正確に把握できていない、という状況です。
委員:  全体が把握できていなければ、どうにもならない。
事務局:  コミックスというのは、その発売日に必ず店頭に並ばなければならないため、取次の場合には雑誌扱いで書籍扱いではないそうです。私どもが入手しているデータは、書籍の出版データで、雑誌扱いのデータの入手自体がなかなかできず、差分をとって督促をかける、ということが困難です。そのことも含めまして、日本出版取次協会の方とも御相談をして、まずコミックスの出版データを頂き、次に督促をかけていきたいと思っております。コミックスにはISBNが付いていますが、書籍と異なる流れになっていて、ムックも同様です。
専門委員:  そう意味では、仕入れに入っていないですよね。コミックスは、書籍ですけれども、雑誌流通をさせている、ということですね。そうですか、分かりました。
委員:  いや、それもちがうんですよ、本当は。角川は全部書籍扱いなんですよ。集英社は全部雑誌扱いです。集英社が雑誌扱いにしているのは、雑誌扱いであれば全国の5万軒に全部撒けるんですが、書籍の場合には1万5千軒に撒くのが精一杯なんです。角川の書籍は、1万5千に撒けば十分なんです。逆に5万軒に撒くと、かえって返品が増えてしまう。ところが集英社の場合には、「ワンピース」みたいなものは初版400万ですから、書籍流通で流したらとても撒き切れないということで、雑誌流通で撒くんです。これ、根本的にちがうんですよ。ですから今お聞きすると、確かに、コミックで、書籍扱いのものでは間違いないけれども、雑誌扱いのものはつかみにくい、というのはよく分かりますし、雑誌扱いのものに重点がいくと、今度は書籍扱いのものがおろそかになってしまうというのも、よく分かりますよね。これはぼくのジャストアイデアですけど、日本書籍取次協会の会長は、納本制度審議会に必ず入っているわけですから、日本書籍取次協会の会長が納本制度審議会のメンバーのときには、その協会の会長の所属する取次会社が納入制度について担当すれば、非常にリアルな話になって、すぐ現場に言います、と言えるわけですよね。それが、日本出版取次協会を通すと、それは間にいろんな人がいますから。どうでしょうかね。山崎前委員が納本制度審議会にいらっしゃるときは、トーハンというふうにしていれば、審議会でこの問題を取り上げたら、山崎前委員がトーハンに帰ってから、どうしたんだ、って言えますからね。
会長:  確か、昨年の山崎前委員の話では、そんなに難しくなくできるようにうかがっておりましたので。是非、今後詰めて、なるべく漏れがないようにしていただきたいと思います。
委員:  現実的な思慮をお願いしたいですね。
会長:  今いろいろ出ました意見も勘案いたしまして、是非詰めていただきたいと思います。
収集書誌部長:  はい、承知しました。
会長:  他に何かこの点についてございますか。よろしいでしょうか。予定されております議題は以上でございます。ここで特に何か御意見とか御質問等あれば、承りますが。
委員:  中山先生にお聞きするのが一番いいと思うのですが、国立国会図書館にない古い雑誌で私が所有している2万冊ぐらいを、PDF化してしまいました、それを国会図書館に寄贈したいと思ったのですが、PDF化してしまったので寄贈しても手元に残ってしまいます。PDFにしたものの寄贈は可能でしょうか。
会長:  手元には、PDFが残るのですね。
委員:  それは廃棄しても良いのですが。
委員:  手元にはPDFを置いて、実物を寄贈するのがよいのでは。
委員:  いや、あまり量が多いので実物は捨ててしまいました。
会員:  それは、目的外使用になりそうな気がします。
委員:  角川委員がおっしゃったように、手元にPDFを残して、現物を寄贈するのが、こういう場合は、安全策ではあるんですが。
委員:  雑誌社が、かなり前に倒産していても駄目ですか。
会員:  権利者が雑誌社でない場合が多いと思いますので。
委員:  雑誌は単なる媒体ですから。著作者は後ろにいますので。
委員:  駄目ですね。分かりました。
会長:  他に何か、御意見等ございましたら。
収集書誌部長:  今後の日程を御説明させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
会長:  はい。お願いいたします。
収集書誌部長:  今後の日程でございますけれども、現在の委員・専門委員の皆様の任期でございますが、これは5月31日までという形でございます。したがいまして、今期の納本制度審議会につきましては、想定といたしましては、今回が最後という形になります。次期の審議会は、新たに7月に法改正の施行にあわせて行われる、という想定でございます。以上でございます。
会長:  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第23回納本制度審議会の会次第はすべて終了いたしました。本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。
(午後3時15分終了)

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