国立国会図書館中期総括評価
国立国会図書館は、国立国会図書館中期ビジョン「ユニバーサル・アクセス2020」及び「国立国会図書館 活動目標2017-2020」(以下「活動目標」という。)を掲げ、活動目標の下に、毎年度「重点事業」を決定し、年度終了後にこれらの事業の取組状況について評価してきました。令和2(2020)年度の評価に当たっては、中期ビジョン及び活動目標の最終年度に当たることを踏まえ、平成29(2017)年度から令和2(2020)年度までの4か年の取組を「中期総括評価」として、次の通り総括的に評価しました。
活動目標と重点事業の実現の度合いを数値に基づいて客観的に評価するために設定したのが、「評価指標」と「参考指標」です。
評価指標は、自律的に成果を挙げることが可能な業務や、利用者へのサービスの提供に係る日数等を対象とする指標で、近年の実績値とその増減の傾向、事業の規模・性質等を踏まえ、年度当初に数値目標を設定し、達成に努めました。
中期総括評価においては、各年度の当初に設定した数値目標を達成した回数及び期間を通じての推移を踏まえて、標語で評価しました。
参考指標は、他律的な側面が強く対外的な要因に左右されやすいため目標値を設定しませんが、当館の活動の動向を把握するために用いました。
中期総括評価においては、令和2(2020)年度の実績値について、平成28(2016)年度比プラスマイナス10%以内を「水準維持」とし、10%を超過した場合は増減率を記載しました。
活動目標ごとの定性的な評価は、評価指標の達成状況及び参考指標の動向に加え、期間中に実施した重点事業の成果等を総合的に勘案し、文言で評価しました。また、単年度の大きな変動については適宜補足説明を加えました。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「中期総括評価における新型コロナウイルス感染症の影響に関する補足説明」(下記[評価結果]のp.15)も併せてご参照ください。
全評価結果をご覧になりたい場合は、[評価結果](PDF: 476KB)をご覧ください。
なお、令和2年度の重点事業については、[重点事業](PDF: 150KB)をご覧ください。
活動目標2017-2020 | 評価 |
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活動目標1 国政課題に関する職員の専門的知見と豊富な情報資源に基づく、信頼性の高い調査・分析と迅速かつ的確な情報提供の一層の強化を通じ、国権の最高機関である国会の活動を十全に補佐する。 |
当館が多様な手段により収集・構築した情報資源を基盤として、国会議員等の依頼に応じて調査を行った。要望に即し、調査報告作成及び面談・会議における説明等のより付加価値の高い調査回答を行っている。また、国政課題を予測した調査研究に取り組むとともに、その成果を国会議員に紹介するため、政策セミナーを開催した。調査研究の総件数、政策セミナーの開催回数とも、目標を全て達成した。 外部専門家の知見も活用し、立法上・政策上の重要課題に関する「総合調査」、「科学技術に関する調査プロジェクト」を実施した。期間を通じて、欧州議会調査局(EPRS)等外部機関との連携の強化による調査の充実を図るとともに、ベトナム国会図書館の支援に取り組んだ。平成30年度には第12回APLAP東京大会を開催した。令和元年度からは、G7議会調査機関会議にも参加している。 令和元年12月に国会会議録検索システム等の国会関連システムをリニューアルし、アクセシビリティを向上させるとともに、コンテンツ拡充等を実施した。 |
活動目標2 我が国の唯一の国立図書館として、将来にわたるアクセスを保証するため、出版物を中心に国内外の資料・情報を広く収集・保存するとともに、関係機関と連携・協力して多様な情報資源及びそれを保存する基盤の構築に取り組む。 |
資料の保存のためのデジタル化を着実に実施するとともに、当館所蔵資料をデジタル化した図書、雑誌、手稿譜、官報へのDOI付与を完了した。
有償等の電子書籍・電子雑誌を収集・保存する仕組みの整備には至らなかったものの、関係団体との合意に基づいて実証実験を実施し、納本制度審議会の答申を得た。無償かつDRM(技術的制限手段)のない電子書籍・電子雑誌や、東京オリンピック・パラリンピック関連サイトを含むウェブサイトの収集を進め、いずれも目標を達成した。また、東日本大震災アーカイブの連携先を拡大した。 ジャパンサーチの構築を進め、令和2年8月に正式版を公開した。 平成30年度に納本制度70周年記念国際シンポジウムを開催する等、納本制度の周知に努めた。国内刊行物の納入実態調査及び督促を実施し、納入率は、資料種別によるがおおむね目標を達成した。書誌データ等の作成日数もおおむね目標を達成し、令和元年度には書誌データの二次利用を無償化、令和3年1月からは新しい目録規則を適用した書誌データの提供を開始する等、書誌情報の利活用促進を進めている。 関西館の書庫増築工事は予定どおり進捗し、令和2年2月に竣工した。 パッケージ系電子出版物の長期保存に向けた各種調査等を実施し、またUSBメモリ等各種媒体の資料についてマイグレーション作業を実施した。 資料保存に関して、国内外の図書館・関連機関等との連携協力を推進した。 |
活動目標3 多様な利用者が、必要な情報に的確かつ効率的にアクセスできるよう、システム、施設を整備し、サービスの充実に取り組む。 |
平成30年1月に国立国会図書館オンラインの提供を開始し、利用環境の向上を図った。この結果、遠隔複写及び文書レファレンスの件数は増加している。館内利用はおおむね水準を維持していたが、令和元・2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により減少した。また、国立国会図書館サーチの連携機関数は着実に増加し、利用数も増加傾向にある。 図書館向けデジタル化資料送信サービスの利活用の促進に向けて、広報活動に取り組んだ。その結果、参加館数、参加館からの閲覧件数及び複写件数は全て増加した。著作権法の改正を受けて、平成31年4月には海外機関からの申請受付を開始し、評価対象期間中に4館の参加を承認した。国立国会図書館デジタルコレクション及びウェブサイト・アーカイブ(WARP)におけるインターネット提供分のデータ数を着実に増やした。 視覚障害者等用データの利用者資格の年齢制限廃止等により、障害者の利用環境の整備に取り組んだ。マラケシュ条約の発効を受け、視覚障害者等用データの国際交換サービスを開始した。また、視覚障害者等用データ送信事業について、新規データ数は評価対象期間中の目標をおおむね達成し、送信承認館数並びに登録利用者及び点字図書館等からのアクセス数も着実に増加している。 図書館員向け研修の実施件数は目標をおおむね達成し、参加者からも高い評価を得ている。また、リサーチ・ナビのページビュー数及びレファレンス協同データベースのデータへのアクセス数は増加している。 開館70周年記念展示を始め、各種イベント・展示会を開催し、開催回数は目標をおおむね達成した。 |