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平成30年度第2回 国立国会図書館活動実績評価に関する有識者会議 議事概要

1.開催日時

平成31年3月5日(火)13時27分から15時25分まで

2.開催場所

国立国会図書館 東京本館本館 総務課第一会議室

3.構成員

  • (座長)糸賀 雅児(慶應義塾大学名誉教授)
  • 只野 雅人(一橋大学大学院法学研究科教授)(欠席)
  • 田辺 国昭(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 山口しのぶ(東京工業大学学術国際情報センター教授)(欠席)

4. 国立国会図書館出席者

坂田副館長、田中総務部長、伊藤総務部企画課長

5. 主な会議内容

平成31年度国立国会図書館活動実績評価の枠組み(案)について国立国会図書館(以下「NDL」という。)から説明を行った後、有識者会議構成員(以下「有識者」という。)による意見交換を行った。意見交換の概要は、以下のとおりである。

活動目標1について

有識者:
政策セミナーについての評価指標としては、「政策セミナーの開催回数」を3か年平均基準型の目標値で行うということだが、参加者数を補助的な指標として使わないのか。

NDL:
政策セミナーは職員が行うもので、開催回数が一つの重要な指標になる。議員の参加を目指して実施しているが、国会の審議状況等にも影響されるので、指標としては開催回数が適当であると考える。

有識者:
活動目標1(1)の参考指標4「国会議員の調査サービスの利用率」について。全国会議員のうち、少なくとも1回はNDLの調査サービスを利用した議員の割合ということだが、複数回利用する議員もいれば1回のみ利用した議員、利用しない議員もいるのではないか。延べの利用回数も大事な指標ではないか。

NDL:
延べ回数は、厳密にはやや異なるが、参考指標1「依頼調査の処理件数」が相当する。

有識者:
参考指標4「国会議員の調査サービスの利用率」はこのままでよいと思う。ただ、PDCAサイクルの一環としては、利用率を100%に近づけるためには、利用していない議員に働き掛けることが必要になる。

NDL:
選挙の後、新たに当選した国会議員には必ず訪問して利用に関する御説明をするなど利用率を高める努力はしている。

有識者:
重点事業[3](世界各国の議会図書館等との交流)について、国際協力機構(JICA)の「ベトナム国会事務局能力向上プロジェクト」の支援対象の一部門にベトナム国会図書館があり、NDLはそのカウンターパートとして協力しているとのことだが、NDLが主体のプロジェクトではないのに重点事業に掲げられていることに若干疑問がある。

NDL:
NDLは「国会事務局能力向上プロジェクト」のアドバイザリーグループに参加しており、職員も相互に訪問するなど、NDLとしても主体的にプロジェクトに参画している。あわせて、JICAのNDLに対する認知度向上を目指している。ベトナムが終了しても、同様の事情を持つ諸外国の議会図書館との交流も目指している。

有識者:
NDLからも職員を派遣しているのであれば、評価の際には具体的な取組を記載した方がよい。

活動目標2について

有識者:
重点事業[7](東日本大震災アーカイブ事業の推進)について。三点ある。一点目は、復興庁が廃止されるようだが、その後はどのような対応を考えているか。二点目は、活動目標2(1)②にある「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の記録の収集・保存について、どのようなイメージで取り組む方針か。また、オリンピック・パラリンピックに関連して、2020年という機会に、文字やデジタルに関して、NDLとして打ち出したりサポートしたりする事業は無いか。三点目は、重点事業[6](有償等の電子書籍・電子雑誌の収集実証実験の継続等)で掲げられている「学協会等からの任意提供に基づく学術系オンライン資料の収集」について具体的に説明してほしい。

NDL:
一点目について。基本的にはこのまま継続していける状況である。 二点目について。オリンピック関連のサイトの全てが国や自治体に含まれるわけではないが、国や自治体のサイトであれば、現在でもインターネット資料収集事業として収集保存している。その他の記録性の高いものは個別に許諾を頂いてサイトを収集することになる。 2020年に関連した事業という点については、ジャパンサーチも、クールジャパン等の国の政策の一環であり、広い意味での文化政策であると考えている。

有識者:
二点目に関連して、ビブリオバトルがこれだけ普及して高校生が熱心に取り組んでいる状況がある。2020年に世界中の人々が日本に集まるのであれば、他の団体等と連携してビブリオバトルの世界大会を開催するということもあるだろう。

NDL:
三点目について。まず前提として、DRMの付与された有償の電子書籍・電子雑誌は現在の制度的収集の対象から除外されている。民間との有償等の電子書籍・電子雑誌については難しい課題があるが、学協会は商業出版社とは違う事情があり、制度的収集対象外であっても、保存のために個別に協議して、寄贈による収集はできる。学協会の学術系オンライン資料の中には、有償であったり協会員限定としてDRMが付与されたりしたものがあるが、まずは収集するということがNDLの目標である。

有識者:
いずれは有償の電子書籍・電子雑誌も提供できるのか。費用負担ということを考えて提供する方向で考えられるか。

NDL:
商業サービスのあるものは、データベースや電子ジャーナルと同様、別途契約を結んで利用者に提供している。

有識者:
将来的な方向性はどのようにするのか。実験を続けてどのような資料にニーズがあるかを探るのか。

NDL:
商業出版社も出版した資料を保存したいという思いはあると思うので、何らかの歩み寄りができないかと考え、担当部署で話し合いを続けている。

有識者:
大学図書館等でも同様な問題は存在する。課金制や利用可能にするまでに期間を設ける等、一定の制約がかかることはやむを得ないと思うが、そういった話し合いは大学図書館関係機関等と進めていないのか。

NDL:
何らかの形でデータの利用が長期的に保証されることが重要であると考える。利用については、図書館も含めて利用契約を結んで利用範囲がはっきりしている分野もあると思う。学協会については、まとめて保存する仕組み自体に問題があるわけではない。収集対象別に、ニーズが異なるところは切り分けて進める方策が必要ではないかと認識している。

有識者:
平成31年度の枠組みでは、評価指標2「インターネット資料の収集 新規データ数」が評価の指標となっているが、NDLが関わる意義は、国内の大学図書館を含めて、インターネット資料にアクセスしやすくなる環境をどのように整備するか、そこにNDLがどれだけイニシアティブを発揮できるかというところにあると思う。指標化は難しいが、NDLの努力や貢献の度合いを定性評価でもよいから報告できるとよい。

有識者:
評価指標2①「インターネット資料の収集 新規データ数>電子書籍・電子雑誌」の注記に、「平成29年度実績値は、平成28年度末をもって終了した国立情報学研究所の「電子図書館事業」(NII-ELS)から取得した大量のデータを含むため例外とみなし、目標値は平成28・30年度実績値の平均値を基準値として設定」するとあるが、特殊な事情で収集した数値が識別できないのであればそれでよいが、識別できるのであればそれを除外して、3か年の平均値で目標を設定するべきではないか。検討いただきたい。

有識者:
活動目標2(2)の評価指標3「索引誌当該号の受入れから雑誌記事索引のデータ校了までに要した日数」の3か年平均基準型について。目標値をどのように算出しているのか。

NDL:
直近3年の実績値の平均値を基準とし、プラスマイナス10%以内を目標値として設定している。

有識者:
平均値を示した上でプラスマイナス何日とした方が分かりやすいのではないか。

NDL:
検討する。

有識者:
重点事業[14](電子情報の長期保存に関する具体的対策の実施)について。安定的に保存することが難しいことは以前から言われているが、「電子情報の長期利用保証に関する調査研究」とは具体的にどのようなことを行っているのか。

NDL:
劣化状況の調査や媒体ごとのリスク調査、文献調査等を行ってきたが、例えばUSB媒体のデータを実際にマイグレーションするという段階に入ってきている。

有識者:
この問題もNDLだけの問題ではなく他の図書館や民間企業と連携していくことになると思う。特に評価の指標は無いということだが、NDLが国内の図書館の電子情報の収集保存体制にリーダーシップを握ってほしい。NDLが単独で実施するより、他機関と連携した方が効率的であると思う。他機関と連携してNDLがこの分野でどこまで貢献できたかを評価するとよい。

有識者:
重点事業[15](資料保存に関する連携・協力)について。活動目標2(3)③と連動していると思うが、ここ数年で被災した図書館等を支援した事例はあるか。

NDL:
平成27年の豪雨で被災した常総市立図書館や、平成28年の熊本地震で被災した熊本県立図書館を支援した事例がある。

有識者:
国立公文書館でも、過去に公文書管理が問題になったことでアーキビストの養成や公文書保存を打ち出そうとしているが、切分けをどのように行っているか。

NDL:
国立公文書館は行政窓口ではあるが、資料保存という点では、国立公文書館のほかにも文化財研究所等もあり、そうした機関と常に連携してフォーラムを開催するなどしている。そうした分野では立法府・行政府といった枠を超えて御教示いただきたいと考えている。

有識者:
東日本大震災アーカイブに関連して、東日本大震災で被災した地方自治体で当時の行政文書が廃棄されているという問題が新聞で報道されていた。地方自治体で廃棄と決定したものはどうしようもないのか。

NDL:
記録として残すべきと判断されたものは行政文書も東日本大震災アーカイブに含まれるが、残すべきか否かの判断は各アーカイブの作成主体が行うため、全ての行政文書が収集されるわけではない。自治体の出版物や刊行物であれば収集できるが、行政文書そのものとなると公開されているものでもないので難しい。

活動目標3について

有識者:
重点事業[18](図書館向けデジタル化資料送信サービスの普及のための取組)で、「国内外の図書館への広報活動等」とあるが、国外へはどのような広報を行うのか。

NDL:
いろいろな手段で広報する。例えば、海外の日本研究専門家の学会等に出張した際などに、各国の国立図書館職員や日本研究専門家等を中心に説明をしていく。

有識者:
評価の仕方としては、国内外問わず閲覧件数や複写件数を指標とするか。

NDL:
国内外同じように算出できるかはこれからの課題である。

NDL:
国内とは違い、日本の法律が直接適用されないので、送信まではできるが、利用の保証については、NDLと別途契約を結んでその規約の内容を遵守していただくことになるので、手続きが上乗せされるようになる。スタートしてすぐに利用館が増えるわけではないと思う。

有識者:
活動目標3(1)の指標7「レファレンス」について。平成29年度の口頭レファレンスの処理件数は約85万件だが、注記には「利用案内を含む。」とある。単純な申請書の書き方や書庫出納のやり方の案内も含まれると思われるが、年報に掲載された統計の内訳を見ると口頭レファレンスのかなりの割合が利用案内となっている。なぜ利用案内を含むこととしたのか。口頭レファレンスの処理件数が減ったので利用案内を入れたのか。

NDL:
統計では昭和30年代終わり頃から利用案内を口頭レファレンスに含めている。また、活動実績評価においても口頭レファレンスの指標の実績値に利用案内を含めてきた。

有識者:
NDLのレファレンスの統計の取り方が国内の他の図書館に波及しており、ある時期から口頭レファレンス件数が増えてきた。数え方を緩やかにしてしまったのではないかと感じる。利用案内を入れてもいいが、内訳を出した方がよいのではないか。「利用案内も含む」とだけ書かれると、それがどの程度か気になる。

NDL:
利用案内が増えればよいと必ずしも考えているわけではない。コストが掛かり改善の余地があるものであるので、減ることを常に消極的に捉えているのではなく、むしろ館内表示等の改善により減らすことも目標となり得る。

有識者:
そのような事情であれば、合計数だけではなく、利用案内を内訳として明示した方がよい。単純な利用案内はサインシステムの改善等で減らすことができ、コストをカットできる。このコストカットの部分と、逆に職員でないとできないことがこれくらいできたという部分を分けた方がアピールできるので一工夫した方がよいと思う。

「組織力」について

有識者:
重点事業[25](人材育成の強化)について。国家公務員総合職の離職時の理由として、キャリアパスが見えないということが言われている。キャリアパスが多様化すれば、ますますキャリアパスが見えなくなる。その点についてどのように対応していくのか。

NDL:
重点事業[25]で掲げている「キャリアパスの多様化」は、障害者雇用を契機として、標準的なキャリアだけでよいのかという問題意識を持っている。働き方改革という社会的情勢もあり、平成31年度に向けてキャリアパスについて模索していこう、というものである。キャリアパスが見えるような形で多様性を増やしたい。

有識者:
具体的には、育成策はどうするのか。研修などをするのか、メンターのような人を付けて行うのか。

NDL:
キャリアパスは職場をどのように異動していくかということが中心になる。館内に検討会等を設けてキャリアパスの形を提示することを想定している。また、人材育成としては、研修などを積み重ねていく。

有識者:
NDLなら、ある分野のスペシャリスト養成も考えられるし、図書館全体を見渡せるジェネラリスト養成も考えられる。「キャリアパスの多様化」と書かれているので、多様なキャリアパスの中から職員が選んだキャリアに基づき、館外での研鑽も含めて研修を行い、着実にそのキャリアを積んでいけるような人材育成を行うのかと思った。全体像を示してもらえると評価できる。多様化したキャリアパスとそれに伴う研修やジョブローテーションがどう考えられているか示されるとよかった。この文章だけを読むと、具体的な姿がよく分からない。研修計画など人材育成策の具体的なものをキャリアパスにそれぞれ対応する形で示してもらえると、NDLの考え方が分かりやすくなる。次回辺りにはそういったものを提示してもらいたい。

NDL:
来年度検討する、というものなので、平成31年度評価の際にお示しできるのではないかと思う。

有識者:
「組織力」も含め、平成31年度国立国会図書館活動実績評価の枠組みについて検討してきた。本日の有識者会議を受けて、部分的な修正、意見反映をしていただきたいと思う。

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