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平成29年度第2回 国立国会図書館活動実績評価に関する有識者会議 議事概要

1. 開催日時

平成30年3月9日(金)13時24分から15時22分まで

2. 開催場所

国立国会図書館 東京本館本館 総務課第一会議室

3. 構成員

  • (座長)糸賀雅児(慶應義塾大学名誉教授)
  • 只野雅人(一橋大学大学院法学研究科教授)
  • 田辺国昭(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 山口しのぶ(東京工業大学学術国際情報センター教授)

4. 国立国会図書館出席者

坂田副館長、伊藤総務部企画課長、山地収集書誌部副部長収集・書誌調整課長事務取扱、川鍋電子情報部副部長電子情報企画課長事務取扱

5. 主な会議内容

平成30年度国立国会図書館活動実績評価の枠組み(案)について国立国会図書館(以下「NDL」という。)から説明を行った後、有識者会議構成員(以下「有識者」という。)による意見交換を行った。意見交換の概要は、以下のとおりである。

活動目標1について

有識者:
重点事業[4]の「国会関連システムのリニューアルに向けた取組」について、リニューアル方針をお聞きしたい。また、スケジュールについて、リニューアル後のリリース時期を伺いたい。

NDL:
国会会議録フルテキストデータベースのリニューアルが大きい。今まで検索できなかった、法案や請願が掲載される会議録の末尾部分の検索を可能とすることが主眼である。他にも、発言者ごとにページを読み出せる、携帯仕様にする、といったことを基本設計している。2点目のリニューアルのスケジュールについては、平成30年度は基本設計ということで、平成31年度後半リリースを目指し作業を進める予定である。

有識者:
活動目標1(2)重点事業[3]の「世界各国の議会図書館等との交流」の一環として開催されるアジア太平洋議会図書館長協会(以下APLAP)大会の概要を説明してほしい。また、活動目標1(2)は、「外部機関との連携の強化による調査の充実」が目標になっているが、これらの活動を通じてどのように調査の充実を図るのか教えてほしい。

NDL:
APLAPは1990年に設立され、アジア地域の議会図書館から職員が集い、様々な課題を話し合う会議が、ほぼ隔年で開催されている。その時々でテーマを掲げるが、2018年の東京大会では、人材育成がテーマである。外部機関との連携の強化の取組を調査業務にどのように還元するかという点については、APLAPにおいては参加国の政策や制度に関する知見を得ることができる。また、典型的なのは重点事業[3]に記載のある、欧州議会調査局(以下EPRS)との交流が挙げられる。EPRSはNDLと規模感が似ていて、電子メールで欧州事情など文献では不明確な点を質問することがある。また、EPRS職員が日本の財政についてのレポートを書いた際には、当館職員がSkypeでコメントしたこともある。また、当館職員が出張する際はEPRSを訪れ、日本事情を英語で解説するセミナーを開催している。このように、グローバルな視点で調査の成果を出していると考えている。

有識者:
外国の議会図書館との連携も進めているようだが、それについての指標がなくてよいのか。

NDL:
プロジェクトの実施や取組を文言で紹介するといった形の方が分かりやすいのではないかと考えている。

有識者:
定性的な評価を行うということだろうが、それも含めて、指標に何らかの形で入れることができるのではないか。定量的な評価にしてしまうと、例えば今年度は50人参加、来年度は25人参加、などとなってしまうことを危惧しているかもしれないが、国際的な交流活動は労力・時間共に掛かるので、これだけの計画があるならば、評価項目に入れたほうがよろしいかと思う。

有識者:
活動目標1(3)では指標が二つ挙げられているが、重点事業[4](国会関連システムのリニューアルに向けた取組)で国会関連システムが実際に稼働するのは平成31年度である。活動目標1(2)で実績があるのであれば、こちらに具体的な指標を挙げたらいかがか。例えば重点事業[2]の「調査プロジェクトの実施」で刊行物の作成等を行うのなら、それを挙げられるのではないか。

NDL:
工夫の仕方はあると思うので検討したい。

有識者:
例えばプロジェクト等の参加数については活動目標1(2)において、「世界各国の議会図書館等と交流を深め」となっているので、地域の多様性、回数等にダイバーシティがあるとよろしいのではないか。何地域のプロジェクトに関わった等の形でうまく書くことができるのではないか。

NDL:
検討させていただきたい。数字自体は評価の段階で御覧いただくが、経年変化で見ていく中で適切かどうかを懸念している。

有識者:
先程、活動目標1(2)については定性的な評価をするとのことだったが、前回の会議で定性的な評価の在り方について考えた方がよい、という指摘もあった。それについて、私もカテゴライズするのがよいと思う。例えば、議会図書館との交流について、全部の件数が10件でも、ヨーロッパだけの10件とそれ以外の10件だと意味が異なるのではないか。東南アジア、北米、南米にも目を向けているということになる。また、予測調査においては、主題領域がどう変化しているのかを見ていけるのではないか。図書館の評価というときに内訳、カテゴリーの推移を見ることで定性的な評価につながるのではないかと思う。検討していただければと思う。

活動目標2について

有識者:
活動目標2は重点事業が[5]から[15]まであるが、前年度と比較して増減はあるか。

NDL:
増減はない。内容に新しい取組を書き加えている。

有識者:
ジャパンサーチ(仮称)はいつ公開されるのか。

NDL:
NDLだけでなく、国のデジタルアーカイブの取組として内閣府の知的財産戦略推進事務局とも協力して行っているところである。分野横断型統合ポータルに関しては、政府の知的財産推進計画に書かれており、東京オリンピック・パラリンピック開催で、国としても気運が盛り上がる2020年の公開を目指している。ただし、予算面等の兼ね合いもある。

有識者:
構築作業が続くことになると思うが、評価としては、一生懸命準備しているというだけの話になってしまう。例えば全体を100としたときに、前年度は40まで進捗した、今年度は70くらいであるというような点が示されているとよい。

NDL:
実際は2020年にいきなり公開というわけではなく、来年度は予算の範囲内で、各分野から公開できる範囲のデータを提供いただき、試験公開版を作成し、使い勝手などのフィードバックを頂きながら進めていくことを検討している。

有識者:
ある程度ロードマップがあって、今ここまでできている、来年度はここまで行うということが分かった方が評価の枠組みとしてはよいと思う。

有識者:
重点事業[9](「深化型知識インフラ」の構築に向けた学術情報基盤の整備の推進)は何をもって深化型知識インフラというのか、また、「構築に向けた学術情報基盤の整備の推進」というのは、どの部分を評価したらよいか明確ではない。最終的には「深化型知識インフラ」の構築になるのだと思うが、我々が評価しなくてはならないのは、それを作るための情報基盤の整備をどのように推進していくか、最終目標に向けて今年度はどこまで事業が進んでいるかというようなことである。また、「納本制度70周年記念国際シンポジウム」の内容について説明されたい。

NDL:
「深化型知識インフラ」については「第四期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画」で定義しているが、様々な取組を総合したものである。デジタルアーカイブ、識別子の付与、研究データのメタデータ整備などがあるが、それぞれ様々な難しい課題がある。識別子付与に関する取組に関しては、平成29年度までの取組は調査研究であったが、平成30年度は「今後の取組の方向性を検討する。」という部分を、抽象的な表現ではあるが、新たに加えた。それを踏まえて年度終了後に進捗について評価する。

NDL:
「納本制度70周年記念国際シンポジウム」では、電子書籍、電子雑誌等の納本も含んだ各国の納本制度についてお話を伺うことを予定している。ドイツとオーストラリアの国立図書館の資料収集担当者を呼ぶ予定である。各国の図書館ではどのように電子書籍を収集しているかという事情も紹介したい。図書館員だけでなく、電子書籍を作成している方や販売している方からの参加も期待している。多くの方に来ていただくことの参加層別の評価については、これから検討したい。

有識者:
11ページの「電子書籍・電子雑誌」の実績値について、新規データ件数が減っているが理由はあるか。大学の紀要などは多くPDF化されており、普通に考えると、増えていくのではないかと思うが。

NDL:
オンライン収集は手作業で処理している部分も多く、実績としてNDLは毎年7万点くらいの大学の紀要や研究所の技報といったものを個体として整理しているということである。インターネット上の情報については、公的なものはウェブサイトとしてそのまま保存しており、その中に更に多くの資料が入っているが、目録としてそれぞれの著作を管理しているものが年に7万点くらいの実績という感覚である。

有識者:
重点事業[8]と[9]は同じような方向性かと思う。どちらの評価もどこを目標にして、どこまで活動が進んでいくかということを年度ごとではなく、年度をまたいだ形でパーセンテージ化した方が、進捗状況が分かりやすい。

有識者:
その方が我々としては評価がしやすい。ただ、重点事業[8]と[9]は若干違う部分もあるのではないか。重点事業[8]はNDLがイニシアチブを取って進めていくことになるかと思う。一方で、重点事業[9]は国立情報学研究所や科学技術振興機構との連携が必要になると思う。これについてもNDLがイニシアチブを取って進めていくのか。それによってロードマップの示し方が変わってくると思う。重点事業[8]はNDLがイニシアチブを取って行うと思うのでロードマップが示せるのではないか。

NDL:
重点事業[8]は、書籍分野はNDLサーチがあることからシステム的には当館で行っていくことではあるが、実際にデータを集める部分は政府と一緒に行う。重点事業[9]については、かつて知識インフラの構築が「第三期科学技術情報整備基本計画」で示され、現在の「第四期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画」で「深化型」となった。こちらも情報の形態が多様になり、ますますNDLだけでは進められないものになっている。連携も含めて、深化型と名付けている。

有識者:
重点事業[10](納本制度による資料収集の強化及び代償金制度の適正な運用)について、説明の中に「納入出版物代償金制度のより適正な運用を行う。」とあるが、どのように運用するのか確認したい。

NDL:
代償金制度については改善を進めてきたところである。代償金の支払いについては、内部に審査会も設け、出版状況の調査を丁寧に行っている。支払いの対象資料となる発行部数についても、NDLホームページ上に、具体的に100部という基準を示した。納本制度審議会でも報告して着実に運用している。

有識者:
書誌情報の作成・提供と利活用の評価指標である、「1東京本館で受け入れた和図書の受入れから書誌データ校了までに要した日数」と「2東京本館で受け入れた和非図書(録音・映像資料)の受入れから書誌データ校了までに要した日数」について、和図書の方が目標値が20~25日と長くなっているのはどういうことか。過去の実績値から見て妥当なのか、むしろ和図書の方を早くするべきではないか。

NDL:
どの資料種別についても一定のペースを維持してバランスよく整理する方針である。補足であるが、指標として出ているのは完成するまでに至った日数ではあるが、現在では整理中のデータも提供しており、実際にはもう少し短い時間で、書誌情報を利用できる状態にしている。

有識者:
過去の実績値を見ると、和図書は平成29年度が18日、平成28年度が15日のところを、目標値として20~25日と設定することは妥当か。和非図書の方は、平成29年度が20日、平成28年度が17日のところを目標値として16~19日と設定することは、和非図書の方を優先しているように受け取られかねない。

NDL:
目標値の設定は、3か年平均基準型にしており、平成27年度からの3年間を平均している。和図書の場合、色々な要因で平成27年度に34日と極端に増えてしまったためこの数値になった。

有識者:
事情は理解したが、数値だけを見るとNDLとしては和非図書を優先しているように見えてしまう。

NDL:
結果としては和図書と和非図書にカテゴリー分けがされこのような数値になっているが、どれを優先してどれを後回しにしてという基準は無い。

有識者:
そういう事情があるのであれば無理に3か年平均基準型にするのではなく、我々が評価するに値する基準値を注記とともに書いた方がよいのではないか。

NDL:
目標としては3か年で平均したものが徐々に減っていけばよいのではないかと考える。

活動目標3について

有識者:
重点事業[16]の「情報発信型レファレンス」とは具体的に何を念頭に置いているか。

NDL:
「情報発信型」に対するものとして、利用者からの質問に回答する「質問回答型」というものがある。インターネットの発展等によって、統計上、質問回答型レファレンス件数は減少傾向にある。そうした背景を踏まえて、テーマ別調べ方の案内や目次情報の提供など、調べものに役立つ情報を発信していく方向に力を入れていく。我々が維持しているデータベースにリサーチ・ナビがあり、2次情報について充実させていく方向に重点を置いて進めていきたいという考えである。

有識者:
いわゆるパスファインダーをコンテンツとして充実していくという理解でよいか。大学図書館や公共図書館でもパスファインダーを置くところが増えてきている。

NDL:
はい。リサーチ・ナビのデータのアクセス件数も増えており、需要があると考えている。

有識者:
活動目標3(1)にリサーチ・ナビに関する指標を設けてはどうか。

NDL:
リサーチ・ナビは重点事業[21](国内外の各種図書館等への研修の実施や情報発信の強化)の指標として位置付けている。

有識者:
どこに位置付けるのがよいか検討してほしい。

有識者:
活動目標3(5)の「図書館の役割や本の魅力を伝える活動の推進」は、国民の目線に立ってNDLを見ていただく大変重要な位置付けと思う。重点事業[22]の「国立国会図書館開館70周年記念事業の実施」は一般市民を対象としたものであるという理解でよろしいか。
また、重点事業[23](児童書及び子どもの読書に関する情報発信及び研修・交流プログラムの充実)に関連して、前回の有識者会議で、日本の児童図書館は大変質が高く、世界中の書籍を収集しているとの話があり、今後の活用法についても言及した。子どもの書籍を対象としたスペシャルイベントは特に企画していないのか。

有識者:
平成30年度はNDL開館70周年の節目であるが、国際子ども図書館は多分そろそろ開館20周年くらいではないか。その節目には別にイベントを行う予定であるか。

NDL:
「国立国会図書館開館70周年記念事業の実施」は一般市民を対象としたものである。また、国際子ども図書館は平成32年度に開館20周年を迎える。イベントを行うことになると思う。

有識者:
重点事業[18](図書館向けデジタル化資料送信サービスの普及のための取組)で「海外の図書館等へのサービス拡充に向け、必要な準備を進める」ため、日本の著作権法の改正も視野に入れてと説明があったが、日本の図書館は海外から同じようなサービスを受けられるのか。万国著作権条約やWIPO(世界知的所有権機関)で国際的な著作物の流通については統一した足並みをとる必要があると思うが、国際間の双方向の資料の行き来について、実現の見通しが分かれば教えてほしい。

NDL:
現行の著作権法では図書館送信できるのは国内のみであるが、「国内の図書館」から「国内外の図書館」に著作権を改正する方向で、検討されている。これは海外の日本研究関係図書館関係者の要望にも沿うともいえるものである。提供するだけではなく海外の情報を享受することが望ましいが、それに向けて当館から声を上げているわけではない。海外への送信サービスが開始することで、そのような声が出てくる可能性はあるかもしれない。

全体について

有識者:
利用者に対するアンケート調査を、これまでの来館利用者アンケートと遠隔利用者アンケートを統合するという話があったが、これについて説明してほしい。

NDL:
これまで来館利用者アンケートについては8月の3日程度に紙媒体で来館者にお願いしていた。それとは別に遠隔利用者アンケートも実施してきたが、平成29年度来館利用者アンケートは関西館の回収率が低かった。前回の有識者会議でも御指摘があったが、当館としてもサンプル数を増やしたいということで、紙をやめてウェブで通年実施することにした。質問数も精査する。半年程度で一度分析することを考えている。

有識者:
評価の枠組みは「ユニバーサル・アクセス2020」で掲げる三つの要素から組み立てられていると思うが、「四つの視点ないし行動指針」である「利用環境」「組織力」「連携」「情報発信」のうち、「組織力」についてどのように考えているか。この枠組みでは「組織力」だけ抜け落ちている印象を持つ。

NDL:
ビジョンを組み立てたときに議論になったところだが、「組織力」については、評価指標を特に設けないこととした。「四つの視点ないし行動指針」のコンセプトは三つの活動目標を貫く横串のようなものである。御指摘のとおり「組織力」は指標の項目に入っていないが、特筆すべきことがあれば各活動目標において文言で評価する。対外的な活動実績評価の中で「組織力」を取り上げることは、今のところ考えていない。

有識者:
対外的には三つの活動目標を柱にして、「四つの視点ないし行動指針」は活動実績評価の末尾に付録のような形で記載するなどの方法も考えられる。

有識者:
NDL内の職員研修体制は充実していると思う。国内の大学図書館等でも参考にすることができると思う。国内の他の図書館等への波及効果が期待できるだけに、検討をお願いしたい。

有識者:
組織力の重要性については以前の有識者会議でも議論になっていたが、研修の参加者数や研修の質は、NDLが思っている以上に高いと思うので積極的に評価の対象にした方がよいと発言したと思う。職員の意識調査は組織としてマストになっている。大学レベルでも、教員のストレスチェックも含めて、どれだけの業務が意識向上に貢献しているか、又はネガティブに働いているかを丁寧に見ている。横串とはいえ、組織力が大きく出てきている。定性的でよいが計測していく必要があると思う。

有識者:
構成員からの指摘を踏まえ、事務局で部分的見直しを行うということで、平成30年度国立国会図書館活動実績評価の枠組み(案)について了承することでよろしいか。
(異議なし)

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