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インキュナブラ小辞典

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木版挿図

「幾何学原論」に見られる木版挿図 「名婦伝」に見られる木版挿図 Zapf: Augsburgs Buchdrukergeschichte...(1786)に見られるG.ツァイナーの木版挿図の複製

中世写本には文字だけでなく挿絵の入れられたものがしばしば見受けられましたが、インキュナブラ時代になると、挿絵は木版画で作られました。というのも、活字の版面と木版は同時に印刷できるからです。最初の挿絵入りインキュナブラは、1461年にバンベルクでA.プフィスターが印刷した『宝石』という寓話集で、この時はまずテキストが先に印刷され、後で挿絵が印刷されたようです。木版挿図は印刷された後、手で彩色されたものもあります。ドイツでは、G.ツァイナー、J.ツァイナー、A.ゾルク、A.コベルガーといった印刷者が挿絵入り本を多く印刷しましたが、後にウィリアム・モリスがこれらの本を愛好し、自らのケルムスコット・プレスで木版挿絵入り本を印刷しました。また、イタリア、フランスでも挿絵入り本は多数印刷されました。

挿絵は、16世紀には金属彫版でも作製され、17-18世紀には凹版である銅版画で作製されました。19世紀に石版術 (リトグラフ) が発明されると、挿絵はリトグラフで作製されるようにもなりました。これらの挿絵には、植物図集や鳥類図集などのように手で彩色の施されたものもあります。

挿絵入り本の研究も行われ、18世紀にはアウグスブルク印刷史を研究した G. W. Zapfがインキュナブラの木版挿図の複製を作りましたし、19世紀末から20世紀始めにはW. L. Schreiber: Manuel de l'amateur de la gravure sur bois et sur métal au XVe siècle (1891-1911) や V. M. d'Essling: Les livres à figures vénitiens ... (1907-14) 、A. Schramm: Der Bilderschmuck der Frühdrucke (1920-43) のような大部な研究書が出されました。このうちSchramm: Bilderschmuck... (『初期印刷の絵画的装飾』) は、ドイツのインキュナブラで用いられた木版挿図 (縁飾り、木版イニシャル、プリンターズ・マークなども含みます) をほとんど網羅的に複製したもので、全23巻中に1万点を越す木版挿図が含まれています。

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