第7回納本制度審議会議事録
- 日時:
- 平成15年3月13日(木)午後3時~4時30分
- 場所:
- 国立国会図書館 東京本館新館2階大会議室
- 出席者:
- 納本制度審議会所属委員・専門委員(敬称略)
衞藤瀋吉、公文俊平、合庭惇、朝倉邦造、浅野純次、安念潤司、内田晴康、塩野宏、清水勲、竹内悊、依田巽、奥住啓介、白田秀彰、杉本重雄、戸田愼一 - 概要:
- (1)国立国会図書館の組織再編に伴う「納本制度審議会議事運営規則」の改正が決定された。
(2)平成14年6月以降のネットワーク系電子出版物小委員会で調査審議された内容について小委員長から納本制度審議会に報告が行われた。
(3)小委員会報告に基づき、今後の調査審議事項について審議会として確認を行った。 - 会次第:
- 1. 会長あいさつ
2. 委員の紹介
3. 納本制度審議会議事運営規則の改正について
4. ネットワーク系電子出版物小委員会の調査審議の報告
5. 今後の調査審議事項の確認 - 配布資料:
- (資料1)納本制度審議会の構成
(資料2)納本制度審議会委員・専門委員名簿(平成15年3月1日現在)
(資料3)官報(平成14年8月16日、平成15年3月5日)〔抄〕
(資料4)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会決定)の改正(案)について
(資料5)第6回納本制度審議会議事録
(資料6)諮問書「日本国内で発行されるネットワーク系電子出版物を納本制度に組み入れることについて」(平成14年3月1日国図収第25号)
(資料7)ネットワーク系電子出版物小委員会における調査審議について
(資料8)納本制度審議会における調査審議の現況及び今後の要検討事項について(案)
(資料9)関係法規集(抄)
(資料10)納本制度審議会規程
(資料11)納本制度審議会議事運営規則
議事録:
| 1. 会長あいさつ: | |
| 会長: | 第7回納本制度審議会を開催いたします。本日は議事に関連するため、ネットワーク系電子出版物小委員会所属の専門委員にも御出席をお願いしております。6名の委員が欠席ですが、定足数は満たされております。 |
| 〔会次第の説明〕 | |
| 2. 委員の紹介: | |
| 〔事務局から委員交替の紹介(角川、菅、富塚、渡邊各委員の退任、朝倉、浅野、金田、依田各委員の就任)と配布資料の説明と確認、就任委員の自己紹介〕 | |
| 3. 納本制度審議会議事運営規則の改正について: | |
| 〔事務局から規則第15条の改正案について説明後、異議なしとして原案どおり決定〕 | |
| 4. ネットワーク系電子出版物小委員会の調査審議の報告: | |
| 会長: | 第6回納本制度審議会において国立国会図書館長から諮問を受け、当審議会にネットワーク系電子出版物小委員会を設けて小委員会での調査審議をお願いいたしました。ここで当審議会議事運営規則第12条に基づき、同小委員会におけるこれまでの調査審議経過等の報告をお願いいたします。 |
| 小委員長: | 御報告いたします。 納本制度審議会は、国立国会図書館長から、平成14年3月、日本国内で発行される「ネットワーク系電子出版物を納本制度に組み入れることについて、また、組み入れられない場合の収集すべき範囲、及びその収集はいかなる方法によるべきか」について諮問を受け、その調査審議のためにネットワーク系電子出版物小委員会が設置されました。 この報告は、平成14年6月以降、3回にわたって小委員会が調査審議を行った内容を整理し、まとめたものであります。 まず第1章は、納本制度調査会答申における議論と、それ以降の状況の変化について考察しております。 調査会答申は、ネットワーク系電子出版物について、状況に変化があった場合は改めて検討する必要があるとした上で、国立国会図書館が、その提供するサービスのために必要・有用と認めるものを選択し、納入以外の手段により収集するよう努めるべきであると結論づけました。 しかし、この調査会答申以降、大きな状況の変化が起こっており、改めてネットワーク系電子出版物を納本制度に組み入れることについて調査審議を行うことになったと、小委員会報告では位置付けております。この状況の変化とは、次の三点です。 第一は、ネットワーク系電子出版物の急激な増加。しかし、それは、保存されることなく日々消失しつつあります。 第二は、こうしたネットワーク系電子出版物を収集保存しようとする取組が世界の国立図書館で強化されていること。これは、日本も同様であります。 第三は、こうした収集・保存の取組の結果から、国立国会図書館が提供するサービスのために必要又は有用と認めるものを、膨大なコストをかけることなく確実に収集するために、何らかの制度的枠組みが必要と認識されるようになってきているということです。 第2章は、諮問にありましたネットワーク系電子出版物を納本制度に組み入れることについての検討です。 調査会答申で指摘された課題を踏まえて検討した結果、ネットワーク系電子出版物の特性から、国立国会図書館法の部分的改正によって当該出版物を収集することには問題があることを改めて確認し、法的問題をより簡明に解決し、かつ円滑に運用されている現行制度における出版物納入との間に不均衡を来たさないためには、別の規定を設けて収集することが妥当であると考えております。 検討したのは、次の7項目であります。
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| -小委員会報告についての質問- | |
| 会長: | 資料に「固定してしまう」ということが2、3箇所出てまいりますけれども、固定してはいけないのですか。現にそれが、例えば映像が全世界に飛んでいるわけでしょう。 |
| 小委員長: | 集めるということは何らかの形で固定することです。例えば、ホームページ上で書き間違え、訂正するとなっても、前のものがそのまま館に固定されていて、永久に閲覧されることとなる場合が考えられ、自由な表現を萎縮させる恐れがあるといえば確かにあります。 |
| 会長: | 当審議会として、ネットワーク系電子出版物小委員会の報告を承りました。 |
| 5. 今後の調査審議事項の確認: | |
| 会長: | 最後の議題の今後の調査審議事項の確認ですが、これについては当審議会として今後検討が必要な事項についてまとめをしておく趣旨から、小委員会の報告に基づき、事務局に案として整理してもらっているので、事務局から説明したのち、御意見を承ります。 〔事務局から今後の調査審議事項の案について、以下の項目に沿って説明〕 (1) 収集に関する事項 ・収集の範囲と方法について ・自由アクセス情報の自動的収集について ・権利処理の方法について ・収集に係る技術的検討について ・メタデータについて (2) 利用方法について (3) ネットワーク系電子出版物の収集及び利用に対する補償の要否について |
| 委員: | 大変錯綜した問題を今後の検討事項としてまとめられていると思う。 ただ、納本制度に組み入れないということになると、納本制度審議会で継続して審議することでよろしいのでしょうか。 |
| 事務局: | 現行納本制度に組み入れられないならば、館法上に新たな章を設けて現行とは別体系の何らかの収集の制度を作るのがよいとか、全く新たな別個の法体系に定めていくといった現行以外の制度について継続して審議していただきたいと思います。 |
| 会長: | この審議会で議題としてきちんと詰めておく必要があるという気がいたしますが、詰めるとすればこの方向でやると決めて詰めていくことになるかと思います。 |
| 委員: | 今の問題は、納本制度審議会において、納本制度に組み入れないとしたものについて審議してよいかという問題かと思います。 これは実質と形式と両方あると思いますが、実質は審議したほうがよいと思います。新たなメンバーで同じ議論が蒸し返されるのは避けたほうがよい。もう一つ形式として、諮問者の意向の問題で、納本制度に組み入れないような案を受け入れた現審議会を存続させるかどうかとなります。しかし、諮問の趣旨はなにも形式的なものではなくて、新しい情報が出てきたときに、現在の納本制度があるけれどもそれ以外にも考えてほしいという趣旨であれば、もう一度事務局からそのようにおっしゃればよいと思います。いずれにせよあまり議論する問題ではないと思います。 |
| 会長: | 形式論は別として、実質的には、小委員会がさらに一歩進んでいただけると議論は進むという気がします。 |
| 事務局: | 諮問との件については、諮問書に、ネットワーク系電子出版物を納本制度に組み入れられない場合についても調査審議をお願いしたいとあります。現行の館法24条・24条の2・25条によらない場合の制度についても本審議会において御検討をお願いしたいということです。 |
| 小委員長: | 関連する疑問を申します。今回の審議の中で痛感するようになってきましたのは、インターネットのようなネットワークの上で提供されている情報を収集して固定する事業を国立国会図書館のような国の組織が行うのがどこまで適切なのかということです。民間のNPOや個人でさえ、相当大量の情報をアーカイブすることが可能になっていますし、現になされている。アメリカの議会図書館はそういうところ(インターネット・アーカイブ)と連携するという戦略をとると聞いています。それから、先ほどの表現を萎縮させるとか、人格権の問題も、国立国会図書館がやると事が大きくなるが、民間の団体がやっていて、一定の範囲で国立国会図書館に利用を許すという枠組みがあれば、ずいぶん楽になるのではないかと思います。 |
| 事務局: | 今委員からお話がありました件については、出版物を集めて文化財として保存していくという国立図書館が担うべき役割の中に、ネットワーク系電子出版物も入るという認識です。世界の国立図書館はみな同じ認識の中で悪戦苦闘していると考えております。アメリカの議会図書館もその一つの例です。国立国会図書館が我が国の国立図書館として責任を持ってこの問題に対処していきたいということですので、よろしく御理解いただきたい。 |
| 会長: | 納本制度に組み入れられない場合の新たな収集の制度について、当審議会で議論を進めてほしいというのが諮問者の意向ということでいいですか。 今後の審議会においては、小委員会の形態を存続し、ここで出たような質問も含めて、極めて広範で自由なかつ実質的な議論をしていただき、その上で意見がまとまればよし、まとまらなければまとまらないままに審議会に持ち上げていただくことが望ましいと考えます。その場合に、必要があれば現委員・専門委員の小規模の交替はやむをえないと思いますが、基本的に変えてしまうということには消極的です。 |
| 委員: | 今日のこの納本制度審議会の議事としては、そこまで踏み込まなくてもよいと思いますが、一言だけ個人的な印象を述べさせていただきますと、小委員長はこれまでの経緯を熟知しておられる適任者であると考えております。 |
| 委員: | 形式論で恐縮ですが、委員等の構成に関しては、任期の関係から申しますと、ここでどうするかを決めるのではなく、これまでの意見は次期の審議会に遺言として伝えるということで、そもそも決めることのできない筋合いのものではなかろうかと思います。 |
| 会長: | 今後の構成については議題には挙げておりませんが、大事な討論ですので、十分に参考にさせていただきたいと思います。他に何かございませんか。 |
| 委員: | 通知義務・送信義務というのは、私人、国民に対して義務を課すわけです。納本制度は定着しているということですが、義務を新たに課すことについてはどう義務を担保、確保するのかが難しい。現在の納本制度の過料をそのまま維持するのかどうかという点が論点として一つございます。もう一つは、通知義務を課しても通知してこなかった場合、学協会を通して調べればすぐに分かるため、捕捉することができる。その場合に、過料を課さずともいただきますということで足りるのか。通知義務の点につきましてはよく御議論をしていただき、場合によっては、一回も用いたことのない過料制度が今でも通用するかという点も含めて議論いただいたほうがよろしいかと思います。 もう一点は補償のところですが、憲法の趣旨にそって考えるということにするのか、憲法の趣旨よりも前に進んでお金を差し上げますということにするのかがポイントです。資料にあるような有償・無償の組み合わせ自体にとらわれると、審議の際に混乱するということで意見を申し上げました。 |
| 会長: | 御意見はもっともだと思いますので、今後の参考にして議論を進めていただければということでよろしいでしょうか。 また、先ほど委員から意見のあった国がやるべきことかどうかについては、柔軟にいろいろな観点から議論し、実質的討議をぜひしていただきたい。私など個人的には国会図書館にそれだけの予算と人員が配置されるのだろうかという気持ちがします。 専門委員の方、御意見がございましたら拝聴いたします。 |
| 専門委員: | 本当にインターネット上の情報に信頼性があるかどうかが大事であると思いますが、問題は信頼性があるかをどうやって判断するかです。 こういう制度があることはよいとは思いますが、もう一つ技術的な面で、できるかどうかというのが大きな検討課題と思っております。 |
| 専門委員: | 国のやるべきことか否かについて、当初は民間ができることは民間がやったほうがいいと思っていましたが、最終的に責任を持って保管しておくことを考えると国会図書館がやるべきだという印象を持つに至りました。民間がやるということは、最終的にどこも責任を持たなくてよいということになりますので、今はこのように考えています。 次にネット系のものを保管しておく必要があるのかについては、例えば奈良時代・平安時代の落書きが時々出土しますが、そこに書かれていることが本当かどうか分からない。しかし、それがあること自体に価値があるわけです。インターネット上の落書きに類するものが将来どういう価値を持つかが現時点では分からないから、集めるというのがネットワーク系を集める趣旨ではないかと思います。 |
| 専門委員: | 内容に関する価値はいまここで判断することが難しいので、将来に向かって残していくべきだと思います。 NPOの形でやるにせよ、将来に残しておくべき資料を保存する社会的・制度的なインフラストラクチャーがまだできていない。それを国会図書館がイニシアチブをもって進めていくのは大事だろうと思います。 |
| 専門委員: | 信頼性の問題についてですが、信頼性を基準にして資料を収集するのは難しいと思います。これまでの紙の出版物は、出版という仕組みがあるから、一定の篩にかけられて上澄みが蓄積されているとはいっても、実際にはとんでもない本もたくさんあって、国立国会図書館に収集されている。今の納本制度は文化を後世に継承することで成り立っていますが、ネットワーク上の情報についても、内容を吟味するのではなく、技術的に収集可能なものはとりあえず取っておこうというのが妥当ではないか。そうでもしないと運用は難しいと考えています。 |
| 会長: | そういう国会図書館の納入の現状を背景にして、インターネット上の情報を考える。国家がやるべきことかどうかが議論の対象になるのではないでしょうか。 |
| 小委員長: | オール・オア・ナッシングではなく、国のやるべきことも当然あると思います。国や地方公共団体の出版物、学術情報を収集するのは当然だろうと思います。中世のお公家さんが毎日町を歩いて落書を集めたりしたのは、個人が自分の責任でやった固定化ですが、何百年かたってそれが非常に貴重な資料になります。しかし、その時点でそういうことを国がやるのは考えにくいことで、民間の主体が自由な観点からやって、その中にいいものがあったら使わせてくれという契約を結ぶというやり方もあると思います。 |
| 会長: | よろしいでしょうか。今後の調査審議事項については事務局から案の説明があり、委員から御意見がありました。この今後の調査審議事項については、委員の意見を含めての確認ということで御了承いただけますでしょうか。 |
| 事務局: | 今期の審議会の任期が5月の末日ですので、これからまた新たな委員の選考、再委嘱もあるかと思いますが、それを進めてまいります。 6月から7月を目途として第8回審議会を開催します。その際、先ほど御確認いただいた今後の調査審議事項に基づき、調査審議を進めていくことになると思います。その後のスケジュールはその場で御審議いただければと思っております。 |
| (閉会) | |