桂植民地への勧誘

Convite à Colônia Katsura

Attraction to the Katsura Colony

植民及職人募集条件

第一号 大正三年六月十二日 青柳取締役発信控
さて桂殖民地ローテ三十二個の内二十一は既に占有されしも残り十一区は
当地に資格(即ち家族連れ)あるもの無之未占有に候間其内右に
相当候目的を以て更に身体強壮性質善良なる純労働農民
十一家族募集可致候尤差当ては収容所に差支へ来住却て
迷惑に候間募集期日は追て可申上本信は御含みまでに過きす候

募集条件
植民地区を占有するとせさるとは本人の随意、地区譲受に関しては
予め約束に不及地区占有の場合は占有契約締結の際一時金
として全地代の四分の一納入残金は五ヶ年以内の年賦とし未納金
に対しては年六朱の利子納むる事 地代は一町歩二十ミルレース乃至
三十ミルレースにして一地区は二十五町歩内外とす 又会社は植民地の
秩序保持又は進歩発達の為め適宜規定する規則或は命
令に違反するものに対し植民地放逐の権利を保有する事等
則ち植民規則の重なる条件に候
但し植民地区を占領せさるも当分の間は会社に於て労働相授くへく
賃銀は一日二ミルレース半とす サンパウロより植民地迄の旅費は
本人の自弁とするも確実なる者に対しては追て其の賃銀より差
引く条件にて大人一人二十五ミルレースづつ貸与相成候て宜敷候
但し右借金は連中家長二三人の連帯責任となすを要す
又今後植民募集の節は大人一人十ミルレースの割合にて
募集手数料本人より御徴収相成候こと差支無之候
敬具
田口道造様
青柳郁太郎

大正三年九月六日 青柳取締役発信写
先に申進候植民十一家族は早速募集に御取掛り被下度候
但し此度は純農民にして田畑労働に慣れ且つ家族同伴致候
ものに限り候 又瓦及煉瓦製造に熟練なる者有之候はば

二人雇入可申賃銀は一人一日参ミルレース半追行く行くは
受負仕事に致し度存候右も可成は家族連れ希望いたし候得
共若し家族を有するものにて熟練者無之候はば独身
者にて宜敷候。
来十四日頃桂植民地主事橋田正男君御地へ罷出候筈
に付右農民及職人は成るべく其時迄に御纏め置く被下度
橋田君一応本人を見たる上にて採用の義取極め可申候
イグアペ
青柳郁太郎
田口道造様
玉案下