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蔵書印はなぜ朱色なのか
 
 蔵書印の色は、日中両国において古来朱色が圧倒的に多く使われてきました。その理由は、昔から「朱墨」と称されるように朱は墨に対する対照の色で、印刷や書写された文字や図画の墨色に対し、最も鮮明な色であるのと、藍や緑のように経年によって退色や変色するおそれがほとんどないからです。

 また、中国では朱は古くから高貴の色とされ、歳月によって変色や消滅しないため黄金の不変色と同様、不老不死を希求する人たちに瑞祥の色として愛用されたので、印肉にもこれを用いたと言われています。日本でも朱は昔から高価で、貴重品扱いされていたことが知られています。当時、文化の先進国であった中国で朱を用いていたとなれば、我国でもこれに倣うのは当然のことであったでしょう。

 なお、蔵書印の朱色の元は朱肉で、その製法は、寺島良安編『和漢三才図会』や大田南畝著『百舌の草茎』等に見えます。これら資料によって記述が若干異なるものの、一般的には丹砂を粉末にして、ひまし油などの油を少しずつ加えてよく練り、それに艾(よもぎ)を細かく切って綿のようになるまで突いたものを加えて作るとしています。油には胡麻油を用いるとしているのもあります。

 中国における製法については、元代の著作で著者不詳の『居家必要事類全集』戊集に記されています。また、中国には八宝印泥(色)という上等な印肉があり、宝石、金箔、真珠、珊瑚、瑪瑙、雲母等を加えて作るとされています。
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